2022年12月25日日曜日

他人のツイートのエンゲージメント率を眺める

Twitterの仕様変更でツイート毎のPVが見えるようになりました。

これまで、自分のツイートならアナリティクスで確認できましたが、他人のツイートのPVも見えるようになったことで、他人の「ツイートのエンゲージメント率」が丸見えになった点が中々面白いです。

ここでいう「ツイートのエンゲージメント率」というのは「いいね数÷PV」です。

例えば私の以下のツイートの場合、

PV数326に対していいね数11なので、エンゲージメント率は 3.37% ということになります。

有名人のツイートで見てみると、敵が少ないタイプの方のエンゲージメント率はだいたい 1% (100PVにつき1いいね)です。

逆に敵が多いタイプの有名人の場合、概ね1%割れのツイートが多い傾向があります。

9.4万いいね ÷ 2868.8万PV = 0.328%(合格ライン: 29万いいね)

タイムラインに流れてきたツイートの内、自分がフォローしていない人のツイートのエンゲージ率を意識的に見てみると、1%以上のものが多い傾向があるように思われます。

もちろん、「興味を惹きそうな内容が含まれているか」といった点が重視されているように見えますが、エンゲージメント率が高いツイートを流すことでフォローする行動を起こすことで活発な利用を促そうとしているのではないかと考えられます。

この辺のことは前々から分かっていたことですが、他人のツイートのエンゲージメント率が全て丸見えになったことで、エンゲージメント率の相場観を把握できるようになった点が中々面白いなと。

2022年12月13日火曜日

東方VGSの現在の配信曲数(158)

東方VGSで東方神霊廟の古きユアンシェン(4面ボス) を配信しました。

何となく4面ボスが終わると折り返した感があります。

ここまでの配信曲数は158曲。再開後(今年1月から)の配信数はちょうど50曲です。再開前(2013年〜2016年)は3年間で108曲(年間36曲)だったので、気持ち倍ぐらいのペースで配信できてます。

  1. 01/05 暗闇の風穴(地霊殿)
  2. 01/23 封じられた妖怪(地霊殿)
  3. 01/29 渡る者の途絶えた橋(地霊殿)
  4. 02/05 旧地獄街道を行く(地霊殿)
  5. 02/11 華のさかづき大江山(地霊殿)
  6. 02/17 ハートフェルトファンシー(地霊殿)
  7. 02/21 廃獄ララバイ(地霊殿)
  8. 02/24 業火マントル(地霊殿)
  9. 02/27 霊知の太陽信仰(地霊殿)
  10. 03/05 ラストリモート(地霊殿)
  11. 03/13 ハルトマンの妖怪少女(地霊殿)
  12. 03/17 地霊達の起床(地霊殿)
  13. 03/19 地霊達の帰宅(地霊殿)
  14. 03/26 エネルギー黎明(地霊殿)
  15. 03/31 春の湊に(星蓮船)
  16. 04/06 小さな小さな賢将(星蓮船)
  17. 04/11 閉ざせし雲の通い路(星蓮船)
  18. 04/15 万年置き傘にご注意を(星蓮船)
  19. 04/20 スカイルーイン(星蓮船)
  20. 04/25 時代親父とハイカラ少女(星蓮船)
  21. 04/28 幽霊客船の時空を越えた旅(星蓮船)
  22. 04/30 キャプテン・ムラサ(星蓮船)
  23. 05/06 魔界地方都市エソテリア(星蓮船)
  24. 05/13 虎柄の毘沙門天(星蓮船)
  25. 05/15 法界の火(星蓮船)
  26. 05/23 感情の摩天楼 〜 Cosmic Mind(星蓮船)
  27. 05/27 夜空のユーフォーロマンス(星蓮船)
  28. 06/07 平安のエイリアン(星蓮船)
  29. 06/11 青空の影(星蓮船)
  30. 06/12 妖怪寺(星蓮船)
  31. 06/15 空の帰り道 〜 Sky Dream(星蓮船)
  32. 06/19 春の氷精(妖精大戦争)
  33. 06/25 可愛い大戦争のリフレーン(妖精大戦争)
  34. 07/04 いたずらに命をかけて(妖精大戦争)
  35. 07/11 年中夢中の好奇心(妖精大戦争)
  36. 07/15 真夜中のフェアリーダンス(妖精大戦争)
  37. 07/23 妖精大戦争 〜 Faily Wars(妖精大戦争)
  38. 07/28 春の氷精 - 静 -(妖精大戦争)
  39. 08/03 ルーズレイン(妖精大戦争)
  40. 08/18 メイガスナイト(妖精大戦争)
  41. 08/21 プレイヤーズスコア(妖精大戦争)
  42. 09/07 欲深き霊魂(神霊廟)
  43. 09/21 死霊の夜桜(神霊廟)
  44. 09/28 ゴーストリード(神霊廟)
  45. 10/07 妖怪寺へようこそ(神霊廟)
  46. 10/17 門前の妖怪小娘(神霊廟)
  47. 11/01 素敵な墓場で暮らしましょ(神霊廟)
  48. 11/11 リジッドパラダイス(神霊廟)
  49. 11/30 デザイアドライブ(神霊廟)
  50. 12/10 古きユアンシェン(神霊廟)

東方Projectの二次創作をしている人は多く居るとはいえ、ここまで多くの曲をアレンジした人はそうそう居ないのではなかろうか?と思えてしまうのですが、上には上が居いて、例えば東方ピアノEasyモードあたりが多分200曲以上配信しているように見受けられるので、私はまだまだです。

ですが、そろそろ東方Project編曲数の世界ランキング100位以内には入っていると思います。

別に1位を狙っている訳ではないですが、射程圏内には居る限りは積極的に世界1位を狙っていく姿勢は大事にしたいところです。

神霊廟の次にどのタイトルに手をつけようか少し迷いどころです。

順序通りにすすめるのなら輝針城ですが、実は輝針城は原作未プレイです。(ちょうど輝針城ぐらいのタイミングでメインマシンがWindowsからMacになったので、以前ならWineでプレイできないこともなかったかもしれませんが結局未プレイです)

曲をコピーする「作業」だけなら、必ずしも原作をプレイする必要はありませんが、何かしらの「創作」をねじ込ませようとすると作品のコンテキストを追う必要があるので。何より耳コピの作業用に原作の元wavデータが必要という実用的な理由もあります。(東方Projectの音楽データは全曲のPCMをつなげたファイル形式になっているので、wavヘッダを付けてからffmpegでざっくり適当に曲毎に切って、細かいトリミングはLogic上で行う感じで使っています)

ただ、輝針城より前に花映塚をそろそろフルコンプしておきたいところです。あと文花帖とダブルスポイラーもノータッチなのでその辺に手をつけたいのと、旧作もまだ途中なのでフルコンプしたいですね。あと、秘封倶楽部も東方Projectと見做してOKならそれらもフルコンプしたい(10周年のタイミングで童祭は外せない?)・・・ということで、輝針城に入る前にやりたいことが、山のようにあります。

私の性格上、先のスケジュールをカッチリ決めると生産性が落ちるので、なるべくパターンを作らず行き当りばったりでやっていくようにしているため、神霊廟が終わった後どうするかは「神霊廟が終わってみないと分からない」ですが。

ただ、続けることは確定です。

当初、AppStoreのショバ代(年間$100)が稼げれば良いと思っていたのですが、思った以上に稼げています。今年の年間売上はだいたい40万円ぐらいです。1冊500円の同人誌なら800部も売れたことになるので、コミケで言えば壁サークル(3,000部?)とまではいかないまでも「そこそこ人気がある中堅サークル」ぐらい?(人混みが苦手なのでコミケには行ったことがないので、あまり詳しくないですが...前職の仕事でニコニコ超会議には何度か行ったことがあって、超会議の物販ぐらいの人混みならギリギリ大丈夫そうな気がするので、一度は行ってみたいところ)

ちなみに経費を差っ引いた利益は15万円ぐらいなので確定申告は必要なさそうです。

2022年12月6日火曜日

フリーミアムの弊害

Yahoo知恵袋に中々面白い質問がありました。
【質問引用】

「ゲームに金を払うのは当たり前だから、マリオに1200円は安い、無料で出来ると思ってる奴は感覚麻痺してる」こういう意見ありますけど、今の時代にはモンストやパズドラなど無課金でも楽しんで遊べるアプリがあるなかで、ファミコンの頃はとか言ってるけど、今は今です。いつまで昔のこと引きずってるんですか?あんた方の感覚が時代遅れなだけ。Wii Uや3DSのスーパーマリオブラザーズとマリオランが同じゲームだと思ってるんですか?マリオランをやって1200円の価値が見出せないから高いと言ってるんです。無料なら良かったという意見に「それなら会社に利益がないだろ」という人いますけど、なぜに会社目線?消費者側のこちらからすれば無料で全部遊べるに越したことないですよね?

マリオラン叩いてる人を叩いて世直しでもしてるつもりですか?

そもそも、これは質問ではなく意見表明ですね。
  1. パズドラやモンストなど無課金で遊べるゲームソフトがあふれている
  2. 過去のゲームソフトの値段(参考: ファミコンはだいたい5,000円前後、SFCはだいたい1万円前後)を引き合いに出して、現在のゲームソフトの市場価値を判断するのは誤りである
  3. デジタルコンテンツ(ゲーム等)は全部無料であるべき
1は事実、2は価値観、3が意見表明という感じでしょうか。3の意見は確か、クリス・アンダーソンのFREEとかいう本でも同じようなことが書かれていたかも。(あまり面白いとは思わなかったのでうろ覚えですが...)

質問は下記の4点、
  1. Wii Uや3DSのスーパーマリオブラザーズとマリオランが同じゲームだと思ってるんですか?
  2. 無料なら良かったという意見に「それなら会社に利益がないだろ」という人いますけど、なぜに会社目線?
  3. 消費者側のこちらからすれば無料で全部遊べるに越したことないですよね?
  4. マリオラン叩いてる人を叩いて世直しでもしてるつもりですか?
それぞれの解答は、
  1. 同じゲームである(プロダクトは同じだが開発コストと流通方法が異なる)
  2. 会社目線が無ければ商業製品としてのゲームが無くなるため
  3. Yes(消費者としては良いものを安く買いたいのは当然のこと)
  4. No(単にビジネスと価値観の問題で、人は基本的に自分と同じ価値観を得られる共感状態を本能的に求めるため、本能に基づく行動だと考えられる)
といった感じでしょうか。

生産者はそれが利益に繋がるから生産するのであって、利益に繋がらないものが生産されることは原則的には無いです。そして、コンテンツ(ゲーム、動画、音楽など)を無料で提供しても成立するケースは、3つの例外を含めた次の5パターンがあると思っています。
  1. 広告で収益化している場合(カジュアルゲーム、YouTube、民放テレビなど)
  2. 少数の課金ユーザが無課金ユーザを支える場合(ソシャゲなど)
  3. 認知拡大を目的とする場合(宣伝や布教活動など)※例外ケース
  4. 創作活動が趣味化している場合 ※例外ケース
  5. 公共的な情報発信の役割を担っている場合(NHKのラジオ ※NHKのテレビはサブスクリプションなので有料コンテンツだがラジオは無料)※例外ケース
1と2はWeb2.0の産物で、フリーミアムといった呼ばれ方をしています。

ユビキタスなインターネットの普及で1+2が普及した結果、世の中に無課金で楽しめるデジタルコンテンツが溢れ、「デジタルコンテンツ=無料」→「カネを払ってゲームを遊ぶのがおかしい」という価値観が形成されるのはごく自然なことだと思われます。

1+2の市場がビジネス的に成立する前提条件下では、全てのデジタルコンテンツは無料になると考えられます。

もっとも、1は不況下では広告在庫が減るので長続きはしませんが。

2についても、日本の社会保障システムの構造的欠陥と似たような弱点があると思われ、そもそもその根幹にあるルートボックスの仕組みは海外では違法行為となっていたりするので、マーケットは狭いと考えられます。

また、潤沢な広告出稿があった過去10年の好景気下でも、ゲーム+広告の相性はあまりよく無くて、結果的に動画+広告ぐらいしかビジネスとしては成立しなかったように思われます。その動画+広告のモデルも好景気が維持できない限り永続はしないと考えられますが。(昨今、引退したり活動休止や縮小するYouTuberが増えてきた原因が恐らくそれではないかと推測してます)

ゲーム+広告の相性が良くなかった(商業的なスケールが限定的だった)ことで、AAAタイトルが広告付きの無料ゲームとして配布される状況には至ってませんが、ハイパーカジュアルや日本のソシャゲの影響(弊害)で「ゲーム=無料」の価値観が定着した現代では、昔のようにお金を払ってゲームを遊ぶことが無くなりつつあるものと思われます。宛ら、かつて(江戸時代)は花形の大衆娯楽だった歌舞伎が、一部ギークの間だけで楽しまれる伝統芸能になったように。そして、ゲームが伝統芸能化すると、少なくともAAAタイトルのような大作は無くなるものと考えられます。

ゲームが商業化された弊害として「大作主義」があると思っていて、大作主義が深化するほど失敗が許されなくなるから、売れる確度の高い同じようなゲームばかりが量産されることになり、結果的に消費者に飽きられて自滅すると思っています。

ライト層は「ゲームにカネを出すのは馬鹿らしい」からゲームから離れ、ギークは「同じゲームばかりでツマラナイ」からゲームから離れる現象が「ゲーム産業の斜陽化」の実態なのかもしれません。

それらを踏まえた上で商業的に有効な戦略は、
  • ライト層に「お金を出しても欲しい」と思われる有料ゲームを販売する(任天堂がこの路線?)
  • 「とがっているが面白い」と思われる可能性があるAAAタイトル(開発費用500億円ぐらい?)のゲームを販売する
  • 「とがっているが面白い」と思われる可能性がある小粒なタイトル(開発費用1,000万円ぐらい?)のゲームを販売する
  • 無料でもうまいことマネタイズできるゲームを発明する
ぐらいしか無いのではないかと。

Web3が新しい発明のように持て囃される一因として4点目(Play To Earn)があるものと思われますが、結局のところそれは単なるポンジ・スキームやマルチ商法とよく似た手法ぐらいしか見られないので、将来性があるとは思えません。

多分、任天堂方式(1点目)or ギーク向けの小粒なタイトル(3点目)が筋が良いかなと。

こちらの記事によると、ゲームソフトの平均的な開発費用は
  • ファミコン: 1,000万円
  • スーパーファミコン: 3,000万円
  • プレイステーション: 1億円
  • プレイステーション2: 2〜3億円
らしいので、3点目を狙うならファミコンやスーパーファミコンぐらい(多くても数千万円程度)のコスト感が程よくて、レトロゲーム機向けに開発しても最新のゲーム機でエミュレーションで低コストに移植でき、実機向けカセットをノベリティ的に販売することでプラスαの売上も狙えるから、敢えてファミコン〜スーパーファミコンぐらいの世代のレトロゲーム機向けのゲームを新規開発するというのは、とても筋が良いやり方ではないかなと思っています。

アセンブリ言語をゴリゴリ書けるプログラマ、当時の制約下で設計できるデザイナ、コンポーザを確保するのは大変なので、それらの人材が確保できるレアケースに限られるかもしれませんが。

ただ、それが商業的に「筋が良い」と判断されれば、人材面での問題はすぐに解消されるのではないかと思っています。

既にネット上に情報があふれているので。

参考までに、過去のレトロゲーム機向けのゲーム開発方法を簡単に解説した記事を書いたことがあるのでリンクを貼っておきます。
私は個人的に8bitぐらいのレトロ感が好きなので、次世代機(16bit)の情報発信はしてませんが、もちろんスーパーファミコンやメガドライブなどの開発情報も沢山あります。むしろ、16bit機ぐらいの方がメモリが潤沢なので、高級言語を使って開発とかもできるから参入障壁は低いかも?

そういった意味だと32bit機なら更に開発しやすいかもしれませんが、内蔵プログラム(BIOS、IPL等)の著作権は現在でも有効な関係でエミュレーションがあまり積極的に行われて来なかった経緯がある(16bit機以前の商標権は現在でも有効かもしれませんが、ハードやプログラム言語=機械語には著作権が無く、BIOS等を搭載している機種がゲーム機に少ないので、そうなると特許でしかハードウェアの知財ガードができませんが、当時の特許は既に全部有効期限が切れている筈)と思われるので、32bit機(プレステ、サターン)以降のゲーム機をターゲットにしてしまうと、コスト面だけでなく再現性やライセンス処理の面での課題が多いかもしれません。

だいぶ脱線しましたが、「デジタルコンテンツ(ゲーム等)は全部無料であるべき」に対する私の見解としては、
  • 無料で成立するもの(宣伝・布教を目的としたアドウェア or 個人や小規模グループによる同人ゲームなどの小粒な作品)のみが基本無料で提供される
  • 商業コンテンツは、ライト層向け or ギーク向けのどちらか一方または両方が基本有料で提供される
という感じです。

2022年12月1日木曜日

メガドライブの新作STGが楽しみ過ぎる件

うおぉぉぉ....

レトロハードで完全新作というと、キラキラスターナイトハラディウス・ゼロなど、同人ゲームが主にファミコンで発売されていますが、古代祐三さんがメガドライブ用の新作ゲームを開発中とのこと。

楽しみすぎる。

個人的に「メガドライブ(レトロハード)だから」というより、ツイートの内容を見る限り、古代祐三さんの作家性が詰め込まれた作品になることが予感される点が楽しみです。

実のところメガドライブは持ってなかったので私自身あまり思い入れがないのですが「2Dゲーム開発用のバランスが良いハードウェア」だと思っています。

大まかなスペック:

  • メインCPU: MC68000(16bits)
  • サブCPU: Z80(8bits)
  • RAM: 136KB
    • MC68000用 64KB
    • Z80用 8KB
    • VRAM 64KB
  • サウンド: YM2612(FM音源)
  • VDP: 315-5313(Mode5)
    • 解像度: 320x224 or 256x224
    • 同時発色数: 64
    • スプライト: 1画面最大80
    • BG: 2画面合成(仮想スクリーンサイズは256x256を4面組み合わせた形)

グラフィック面はSFCよりも若干貧弱(回転、拡縮、半透明などが無い)ですが、これぐらいのスペックがあれば、だいたいどんな2Dゲームでも作れるんじゃないかなと。

プログラミング面でも、メインCPUのRAMはSFCの半分ですが、SFCのCPU(6502系16bit)よりもメジャーなCPU(MC68k)なのでプログラムは作りやすいと思います。

サウンド面は、古代さんの本領が発揮されるのはFM音源だと思われるので、SFC(DSP)で作るよりも良い感じかと思われます。主にFM音源の制御用に使われるサブCPUがZ80(PC88と同じ)であることに加え、YM2612はOPNAとFM音源部のデータ互換性があるのでMUCOM88がそのまま使える箇所も結構ありそうだから、SEGA下請け時代にも知見を活かしやすかったのではないかと勝手に想像しています。

【補足】YM2612は4オペレータ6音のFM音源です。OPNAからPCMドラムとSSG音源を抜いた廉価版といえば分かりやすいかもしれません。なお、メガドライブは何故かVDPにSN76489を搭載していた筈なので、メガドライブに限れば実質PCMドラム抜きのOPNA相当かな。SN76489はインタフェースがAY-3-8910(PSG)やSSGとは結構異なりますが。

要するに熟れた制作環境なので作家性を発揮しやすい筈...と推測してます。

MSX、ファミコン、ゲームギア、メガドライブ、PlayStation、Unity、DXライブラリなど、多種多様なゲーム開発環境が存在しますが、「作家性を発揮する」という観点では熟れている環境で制作することがベストだと思います。

レトロゲーム機向けに作っておけば、Nintendo Switch、XBOX、PlayStationなどの家庭用ゲーム機やSteamでも展開が(エミュレーションで)簡単にできる利点もあると思われます。

コレクターズアイテムとしても一定のニーズがあるかもしれないので、マニア向けに実機展開しつつ、一般層向けにSwitchでも展開というのが多分ベストかなと。アステボルグの悪魔という欧米で昨年発売され、日本語版ももうすぐ発売される予定のメガドライブのソフトがそんな感じの展開をしてますね)

2022年11月21日月曜日

Twitter

イーロン・マスクのプライベートカンパニーとなったTwitterがどのように変わるのか、一種のエンターテインメントとして興味深く注視しています。

主だった動きとしては、

  1. 経営陣を刷新(取締役はイーロン・マスク1名体制)
  2. 従業員の約半数を解雇
  3. ハードコアな働き方改革(Twitter2.0に向け週80時間労働)
  4. 収益の柱を変更(広告→サブスク)
あたりでしょうか。

かなりの荒療治なので、当面は荒れるだろうとは思います。流石、出社初日に満面の笑みで洗面台を持ち込む変人のやることは違います。(everything but the kitchen sink...ってことかな)


everything but the kitchen sink(流し台以外は全て)というのは英語圏のユーモア表現で、戦争の物資不足の時にありとあらゆるものが武器に転用されたものの、陶器製の流し台は使われなかった(参考)ことから「ありとあらゆるもの」を意味する慣用句らしいです。つまり、kitchen sinkすら持ち込むということは「例外なくなんでもやる」という意味ではないかと考えられます。

Twitter社内は中々楽しそうなことになっていたようです。


上記の方は現Twitter社員(本稿執筆時点でも米Twitterに在職)で、元livedoor社員というすごい経歴の方のようです。

上司ガチャのレアリティがヤバイw

世界広しといえど、ホリエモンとイーロン・マスクの両方を上司に持った経験がある(?)エンジニアは稀かもしれません。

現在の社内の様子も楽しそうで何より。


イーロン・マスクのハードコアな働き方改革には異論を唱える人も結構居るかもしれませんが、実際に働いている人々が楽しいならそれで良いのではないかというのが私見です。

コンプラ的な問題はさておき、私なら好きじゃない仕事(奴隷労働など)は週20時間でも苦痛だし、好きな仕事(趣味労働 ※参考)なら週80時間どころか週120時間でも全然余裕です。これを行政で一律に線引しようとすると弱者保護が優先されるので、どうしても「コンプラ的には問題あり」になってしまうので、趣味人に厳しい(=生産性の低い)職場になってしまいがちです。日本で趣味労働をしたければ経営者になれば良いだけの話しですが。

Twitterがこの先どうなるかという点ですが、「上手くいく」か「潰れる」の二者択一だと思います。要するに分かりません。(一般的な会社にはこれ以外にも「ジリ貧」という第三の選択肢があるのですが、現在のTwitterには多分それが無い筈)

ですが、ハードコアな働き方改革による従業員離れ(人材不足)でダメになることは無いと思います。もちろん、当面は荒れるのはやむ無しの荒療治なので、一時的にシステムが不安定になったり、ちょっとした大事故が起きたりはするんでしょうけど。

従来のビジネスモデル(広告への9割依存)への退路は大胆に断ち切っているように見えるので、サブスクへの転換が成功しなければサクッと潰れる(サービス終了する)ものと思われます。

ソーシャルメディアサービスの商売的な意味での負けパターンは、

①そもそも集客ができなかった
②集客はできたがマネタイズに失敗した

という2種類に分類できます。

①のハードルがかなり高いですが、②もサービス化時点から戦略に組み込んでいない場合はかなり難儀です。

例えば、TikTokは①が成功していますが、②が成功しているようには見えません。テレビ等の動画配信プラットフォームはプロパガンダ用のツールとしてとても有用なので、そもそも②は考えなくても良いのかもしれませんが。

もっとも無難な②の手段が広告だと思われがちです。

しかし、売上の9割を広告に依存していた従来のTwitterの場合、過去10年の決算で黒字化できたのは2期しか無かったようです。Twitterレベルで集客が上手くいっていても広告では上手く行かなかったと言えるので、広告は銀の弾丸ではありません。

加えて、広告での収益化は基本的に好景気下であることが前提条件になります。過去20年の米国経済は絶好調だったので広告ビジネスも好調だったものと思われますが、インフレ退治のためFRBが急激な金融引締をした影響で、米国経済はしばらく景気後退する可能性が高いものと思われます。そして、景気が悪くなればプロモーション費用などの変動費が真っ先にカットされるので、広告ビジネスには冬の時代が到来する可能性が高いと考えられます。

そこで、収益の柱を広告→サブスクに転換しようとしているものと思われます。

「SNSのサブスク」といえばmixiでの先行事例がありますね。

2007年時点のmixiの場合、MAU 800万人に対して有料会員(mixiプレミアム)数は約94.5万人(※売上高÷¥300で計算)とのことで、MAUあたりの有料会員CVR(転換率)は11.8%と中々高かったようです。

mixiの有料会員特典としては、広告が表示されなかったり、日記が装飾できたり、日記の容量が上がるなどがあるようです。


拡張子 .pl のウェブサイトを久々に見ましたw(この時点で限界集落感があります)

色々とゴチャゴチャしていますが、日記関連の特典プライオリティが高いので、mixiの中核コンテンツはどうやら「日記」(ブログ)だったようです。そして、日記(長文)が中核コンテンツだったことが、mixiがスマホ対応に失敗した原因だと考えられます。

スマホ対応に成功できるSNSは、写真(インスタグラム)や短尺動画(TikTok)など、スマホでの情報発信(コンテンツ生成)がし易い特徴にすることが基本で、Twitter(短文)も偶然このパターンに該当します。

サブスクの特典設定の基本は、mixiと同様「中核コンテンツ」に対して紐付けた何かにするべきだと考えられますが、Twitterのサブスクによる特典として(バッジ以外に)何か良いアイディアは無いものか?と考えてみたのですが、中々難しい...

Twitterはどちらかといえば瞬間的なやりとりに特化していると思われるので、サブスク未加入(非ログインを含む)ユーザーは全ツイートを直近1年分しか見れないとかかな?(確かSlackの無料版がそんな感じですね)

どの程度のサブスク会員を確保する必要があるかで大分話しが変わってきそうです。

かなりザックリと計算すると、従業員の平均給与等を月間2万ドル(280万円)/人で最終的に1,000人残るものとして、オフィスやサーバー等の固定費が月間20Mドル(28億円)ぐらいなら、損益分岐点は月40Mドル(56億円)だから、月額$8のサブスクなら500万人ぐらいが損益分岐点ということになります。

TwitterのMAUは3.3億人ぐらい(2019年実績)らしいので、アクティブユーザーあたりの有料会員CVR1.52%で損益分岐点を達成できることになります。

CVRの目標値としてはそんなに高くないように思われるので、それぐらいならバッジだけでも大丈夫なのかな?

多分、大きなマネタイズはTwitter2.0(多分フィンテック?)で目指すものと思われるので、サブスクでは大きく稼がなくても良くて「とりあえず損益分岐点をクリアできればOK」ぐらいのノリではないかと勝手に想像してます。

2022年11月17日木曜日

サウナ

サウナは割と好きで、銭湯に行けば必ず入ります。

いわゆる「整う」状態までは殆どやったことがありませんが。

15分サウナ → 水風呂 → 10分サウナ → 水風呂 → 5分サウナ

...ぐらいのライトな感じで済ませるエンジョイ勢です。

お金が掛かるので趣味にはしないようにしていますが。

ただ、サウナスーツなるものがあるらしく、それなら固定費無料でサウナが楽しめそうだということで、stanというメーカーのサウナスーツ(以下)を買ってみました。

https://shop.stan-jp.com/products/stan-sauna-suit-round-neck/

私はほぼ毎朝10kmぐらい(30分〜40分ぐらい)サイクリングをする習慣があるので、その時に使ってみたのですが、今の時期(※10℃ぐらい)でもかなり汗をかけました。

なお、以下のようなインナーを着ないと全裸でカッパを着た時のあの感じになるので、注意が必要です。


東京の冬場は、朝方ハーフパンツ+タイツでサイクリングすると結構寒かったのですが、これなら東京の冬場でも大丈夫そうな程度の防寒効果があります。(個人差はあるかもしれません)

静岡なら冬場でも氷点下になることが少ないので楽勝...な筈。

ただし、サウナっぽさは無いです。

シンプルにやたら汗がかける服ぐらいのようです。

ダイエットしたい勢には良さそうなのかな...(私は全く太らない体質なので、1ヶ月ぐらい使ってみた限りでの体重の変化は特に無いですが)

2022年11月14日月曜日

Cubase ProでDEXED(DX7エミュレータ)を使ってみる

東方VGSの売上でCubase Proが買える程度の利益が出た(※より正確にいえば最低でもCubase Proぐらいのお値段の経費を積まないと確定申告が必要になってしまい面倒臭かった)ので、導入してみました。

お値段はLogic Pro Xからの乗り換え割引を適用して税込み41,800円。普通に買うと6万円以上するので概ねLogic Pro Xの価格(2万円)ぐらいがディスカウントされているようです。

耳コピ作業はDAWを使うと捗ります。

今の所、耳コピ作業にはLogicをメインで使っていますが、Cubaseが良い感じであれば移行しようかな...と思ったのですが、ピアノロールのUI(耳コピ作業ではこれが最重要)が耳コピ用途では微妙にLogicの方が使いやすいかもしれません。

Logicだとピッチを変えずにテンポを落として再生する機能(VariSpeed)が最小-50%なので、Cubaseのテンポを落とす機能(参考)を試してみたかったというのもあります。ただ、この機能もLogicの方がカジュアルにスピード変更できるのに対して、Cubaseだと若干手順が多いから、基本Logicで作業して「どうしても分からん」という時の解析用になるかもしれません。

ついでに、ループ再生のUIとかも耳コピ用途ならLogicの方が良いかなと。(この辺は多分慣れの問題なのでCubaseを使い続ければ逆にCubaseの方が使いやすいかも)

という訳で、耳コピツールとしては引き続きLogicを使う予定です。

もう1点、CubaseでDEXEDを試してみたかったという事情があります。(LogicではVSTが使えないので。ただし、DEXEDはauプラグインにも対応しているらしいので、実はLogicでもDEXEDが使えるかもしれませんが、VSTしか無いけど使ってみたいソフトシンセも他にあった...という大義名分でCubase購入を決心)

DEXEDはDX7(FM音源)エミュレータのVSTプラグインです。

https://github.com/asb2m10/dexed

6オペレータか...私が昔PC-9801で使っていた音源(YM-2203)は4オペレータで、4オペレータでも使い熟すのに結構苦労した記憶。(まだ中学生でしたし)

パラメタのいじり方については、コチラの記事のYouTubeがかなり分かりやすいです。


色々なパラメタがあって覚えるのが大変かもしれませんが「どこをイジればどうなるか」という基本を抑えておけばある程度狙った音作りができると思われます。

プリセットの音色だけでもかなり揃っているので、基本はプリセットの音色を使いつつ、細かいパラメタを調整してあげる感じが一番手っ取り早いと思います。

DEXEDのUIの左下にある「CART」でプリセットデータを読むことができます。

1つの.syx(sysex)ファイルに32個の音色データが入っていて、デフォルトで入っている.syxファイルにもかなりの音色データが入っているので、欲しい音に近い音が見つかると思います。

また、syxファイルは以下のサイトにも大量に置いてあるので、そちらから探してみるのも良いかもしれません。

http://dxsysex.com/

Cubaseで使う時は、「インストゥルメント」のトラックでDEXEDを指定します。

インストゥルメント・トラック(DEXED)を作ったら、左タブから「インストゥルメント編集」を押せばDEXEDのUIが立ち上がり、そこで選択したトラック毎の音色パラメタを調整できるようです。

これで、(ドラム以外は)FM音源(DX7)で曲作りができそうです。

FM音源、PSG音源(SSG音源)っぽい感じのドラムをCubaseで良い感じに打ち込む方法については未調査です。私の場合、ドラムはMML化のタイミングで別途打ち込むので不要ということで。(東方DX7とかを作りたくなったら調べます)

追記: Logic Pro XでDEXEDを使う方法

ソフトウェア音源トラックを追加する時に、「音源:」のプルダウンをデフォルト(デフォルトのパッチ)から、

AU音源 → Digital Suburban → Dexed → ステレオ に変更すれば、Logicでも普通にDEXEDが使えます。

なお、右クリックで「新規ソフトウェア音源トラックを追加」だと現在選択中の音源の新規トラックが作られてしまうので、「+」ボタンでトラック追加する必要があります。



2022年11月12日土曜日

iDeCo

前職と前々職で企業型の確定拠出年金(DC)に入ってましたが、現職は企業型DCには対応していないので、国民年金基金連合会へ自動移管された状態で放置していたことを突発的に思い出しました。

いつの間にか制度がかなり改良されていて、iDeCo(個人型確定拠出年金)が良い感じだと思われるので、自動移管してしまっている方はiDeCo移管を検討することをオススメします。

参考: iDeCoとは?(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/ideco.html

IT業界は「ちょっとした異動」ぐらいの感覚でコロコロ転職する人が結構居るので、自動移管されたまま忘れている人が多いかもしれません。(かくいう私もど忘れしてた訳で...)

企業型DCは割と古くから(2000年初頭ぐらいから)ありますが、旧来の企業型DCは終身雇用前提のイマイチな仕様でした。ですが、iDeCoになってようやく使い物になる制度に整った感があります。(私見)

ちなみに、私の確定拠出年金の運用スタイルは一貫して「ハイリスク」です。

仕様上、積立額が大きくできないので、積極運用して利幅を狙う作戦ですね。

民間企業の従業員(2号保険者)だと最大でも月2万3,000円しか積み立てることができず、60歳以上にならないと現金化できない点も微妙にリスキーなので、余裕が無ければ積立額を月5,000円ぐらいでも良いかもしれません。

Nisaならすぐに現金化できるので額面いっぱい(33,333円/月)で問題ありませんが。

ただし、iDeCoの場合、掛け金の全額が所得の控除対象になるので、なるべく全力で積み立てた方が良いと思います。(※Nisaは運用益だけが非課税で積立金の所得控除はありません)

iDeCoの掛け金の所得控除は、普通の給与所得者(源泉徴収の方)の場合は年末調整で行います。

433万円/年(だいたい平均)の給与所得があるサラリーマンが、iDeCo全力(2万3,000円×12ヶ月 = 27万6,000円/年)の所得控除を受ければ、恐らく6万円/年ぐらい還付されるのではないかと思われます。

運用益も非課税なので、iDeCoをしていない同じ年収の人と比べて約6万円/年+運用益分の資産が多くなります。

もちろん、元本割れのリスクもありますが。

iDeCoを20年運用して所得控除による差益(6万円/年)を受け取れば120万円儲かるので、元本552万円に対して約20%の利益が入ることになります。なので、リスクを避けたい人は預金(リスクゼロ)や債権(低リスク)などの銘柄もあるので、そういうのを選んでおけば良いと思います。

【参考】20年間×月2万3,000円を運用した時の資産

  • タンス預金 = 552万円
  • 預金系(年率0%)でiDeCo運用 = 672万円
  • ローリスク(年率3%)でiDeCo運用 = 875万1,000円
  • ハイリスク(年率8%)でiDeCo運用 = 1,474万7,000円

※月ごとの掛け金 & 年率による運用益は金融庁のサイトで計算できます

年率8%はハイリスク過ぎる気がしますが。私はハイリスク運用とは言っても「20年で倍になれば良い」ぐらいの温度感で最低限のリスクヘッジしてます。


iDeCoを始めるには、iDeCoに対応している証券会社の口座が必要です。

私は既にiDeCo対応の証券会社の口座をいくつか持ってますが、今回は楽天証券で口座を新設してみることにしました。

https://dc.rakuten-sec.co.jp/lp/movie/

証券口座はいくら作ってもコストが掛からないので、こういう機会でどんどん新規開設して、手持ちの口座とサービス内容や手数料を比較して、口座を使い分けるのが良いと思います。運用に使わなくても情報収集にも便利だったりしますし、口座分散した方がリスク分散にもなるかもしれません。

2022年11月11日金曜日

SD-90

少し魔が差して、SD-90買おうか悩みましたが断念しました。

まず、思っていたよりも高い^^;

大分古い製品なので、中古なら2万円ぐらいで買えるかな?と思って調べたところ、動くかわからない状態(通電確認のみ)のものがメルカリで3万円、動作確認済みっぽい状態のものがヤフオクで4.5万円...(定価は10万ぐらいだった気がするのでそれと比べれば大分安いですが)

ヤフオクの平均落札価格は2.5万円とのことで、それぐらいなら買ってしまったかもしれません。

ですが、購入を躊躇した理由は値段だけではなく、技術的な事情もあります。

MIDIケーブルでの接続ならmacと問題なく接続できますが、SD-90は確かUSB接続でPC側で音が鳴らせた筈で、そうなると専用ドライバが必要だから、最新のmacで正常に動けるかちょっと怪しいです。

少なくとも公式ではMac OS X 10.9(OSX時代)が最終サポートのようです。

https://www.roland.com/jp/support/archives/archive_downloads_n-s/

USB接続できなければMIDI接続すれば良いのですが、そうなるとPC音とミキシングする機材が別途必要になってしまい機材がゴチャゴチャしてしまいます。

という訳で、音源はソフトシンセだけで良いかなと。

VST版のSC-88Proとかもあります。

https://info.shimamura.co.jp/digital/review/2015/12/73045

ただし、買い切りではなくサブスク加入が必要っぽいので導入予定はありませんが、ハチプロじゃなくてSD-90のVSTが出たら少し心が揺れるかもしれません。(それでもサブスクは嫌いだから使わないかもしれませんが)

というか、最終的にVGS音源(chiptune)に落とすので、FM音源のVSTを使った方が良いかもしれません。

FM音源のVSTなら、DX7をエミュレートしたDEXEDが無料で使えます。

https://asb2m10.github.io/dexed/

残念ながら、Logic Pro ではVSTが使えないので使えませんが...(Cubase Proなら使える筈)

耳コピ用途としてはオリジナルと同じSD-90があった方が難度が下がります。だから、一瞬「魔が差した」訳ですが、時にはミスリードを含めながら作っていった方が良いかなと。(飽くまでもコピーではなく二次「創作」ということで)

という訳で、VSTを使う為にCubase Proの購入に踏み切ることにしました。

経費で同じ4万出すならSD-90よりもCubase Proの方が有益だろうということで。

Cubase ProはLogic Proからの乗り換えなら約4万円で購入できます。

なお、乗り換えの場合、Logic Pro購入時のレシートの審査(2営業日ぐらい)が必要らしいです。(とりあえず審査だけ出してみた。アメリカは本日2022.11.11は祝日なので日本時間で来週の火曜日頃には連絡が来る筈)


2022年11月10日木曜日

不動産投資

2007年頃、みなとみらい(※正確にはみなとみらいではなく横浜駅北東口のベイクオーターあたり)のタワーマンションを買おうか悩んだ挙げ句買わなかったのですが、 買っていたら現時点(築15年)で結構なお値段で出回っているので、やはり、あの時買っておくのが正解だったか...と悔やんでいますw

実際、どの程度儲かるポテンシャルがあったのか皮算用してみます。

2007年の売出し(※竣工は2009年)当時の販売価格は、1LDK50平米前後の中層階(20Fぐらい)でだいたい3,000万円前後でした。

そして、現在(2022年)の中古販売価格は7,000万円前後。(9000万円という記録もあったが売れたかは分からないので、売り抜けられる安全圏で算定)

年利3%で2,500万円ほど借り、金利込みで月々平均12.3万円返済しながら管理費+修繕積立金を毎月3万円支払った場合、15年時点での支払い額は2,754万円、借金(ローン)残高は約1,150万円という計算になります。

つまり、15年目に7000万円で売れれば、仲介手数料等を差っ引いても2,300万円ほどの利益が得られた計算になります。

7000万円の物件を賃貸に出した場合、表面利回り5%として月額29万1,666円あたりが相場です。(Suumoで見ると安くても26.9万円/月ぐらい)

元の売値は3000万円だから、新築で購入した場合の表面利回りは11.67%という、田舎の築古マンションに迫る勢いの表面利回りで運用できるようです。

大規模修繕が恐らく15年ぐらいで発生することを勘案すると、そこで修繕積立金の大幅up等に見舞われる可能性があるので、多分、買っていても15年もキープすることはなくて10年ぐらい住んでそこから2〜3年目処で高値売り抜けを狙うつもりだったので、多分そこまで利幅は大きく無かったかもしれませんが。

ただし、これは2007年(15年前)時点の話しで、現在の(飽和状態の)タワーマンションではそこまでのリターンが望める物件はまず無いと思います。

便利な都心に建ってはいるものの、固定費(管理費+修繕積立金)が高く、生活にも不便だし災害リスクも高いので、バブル期のリゾートマンションのように負債化するリスクもかなり高いと思われます。なので、投資目的ではあまりオススメできません。(その辺のリスク判断が2007年当時、購入に踏み切れなかった原因ですが、今だと初期費用もかなり跳ね上がっているから更にハイリスクかなと)

2022年11月7日月曜日

メガドライブミニ2

私のTwitterフォローしている方にM2系の方が多いこともあってか、メガドライブミニ2の話題で結構盛り上がっていたので結構買いたかったのですが、今買おうとするとAmazonマーケットプレイス(転売ヤーの巣窟)から買うしかないので、近所のハードオフに回ってくるのを気長に待つことにします。

やはり気になるのはセガマークV版スペースハリアーですね。

移植版に新たな1ページ…セガマークV版「スペースハリアー」!

なお、セガマークVはメガドライブの開発コードのこと。

前世代機のセガマークIII(SMS)のVDPは、TMS9918aをベースに新たな画面モード(Mode4)を搭載した独自ハード(ヤマハ製)ですが、メガドライブにはMode5と呼ばれる新たな画面モードが追加されているので、開発コード名の由来はMode5から来ているのではないかと推測しています。(日本版SMSが第4世代ということで第5世代という可能性もありそうですが、日本版SMSを世代カウントするのは微妙なところかなと※私見)

Mode5にはコストの関係で画像の拡大縮小機能を搭載できなかったようですが、今回Mode5に拡縮機能を搭載したIfハード向けにスペースハリアーを移植したとか。

ちなみに、メガCDには画像の回転と拡大縮小機能が搭載されているので、実質「メガCD版スペースハリアー」ですね。

かなり誰得感がありますw

それなら、アーケード版をAS ISでオマケ搭載した方がソフトウェアの開発コストを大幅に抑えられる気が...まぁ、漢気は感じますが。

ただ、個人的に漢気なら、むしろセガマークIII版のスペースハリアーの方に感じてしまうタイプです。

飽くまで個人の趣向に関するお話ですが、リファインよりもディチューンの方が惹かれるということです。

「敢えて、プレステ4用のタイトルをメガドライブに頑張って移植しました」とか。

言うのは簡単でやるのは大変だろうとは思いますが。

Switch版のnamcotコレクションでそういう路線のゲームがあったようですが、何本かゲームを買った時のオマケということで内容未確認...単品で売られていたら即買いしたと思いますが、どうしてもそういうゲームはノベリティ的な扱いになり、ノベリティを買うために不要なソフトを買うのはちょっと...ということで買いませんでした。

Switchの8bit系レトロゲームはどうも抱き合わせ販売が多いので、単品販売してくれているアーケードアーカイブス以外は買うのを躊躇ってしまいます。(飛翔鮫もアーケードアーカイブスで出て欲しかった)

パッケージ販売なら媒体&流通コストの関係で抱き合わせやむ無しですが、DL販売ならバラ売りして単価を抑えた方がカジュアルに買えて良さそうな気がするけど、抱合せにした方がARPPUが上がる(=総売上が上がる)という判断なのかな?

単価が高いから買わない層も一定数居そうな気がするし、単品バラ売りでマーケット露出を増やしつつ、ほぼAS IS(低単価)で作って手数で勝負するアーケードアーカイブス方式の方が商売としては上手な気がします。(※ハムスターもM2も公開企業ではないので、実際の経営成績は不明だから単なる想像ですが)

2022年11月2日水曜日

MBPよりMBAが高い件

現在メインマシンでMacBookAirの2020年モデル(最後のIntel系CPUのモデル)を使ってますが、Android Studioが鬼のように遅いので、突発的にMBA(MacBookAir)じゃなくてMBP(MacBookPro)にしようかな?と思って見積もってみました。

う〜ん...高い。

今のMBAを下取りで-3万円しても約23万円。

ただ、どうせ買い換えるなら便利なMagSafeが復活しているモデルが欲しいところ。

USB-Cだとカジュアルに抜き差しできないので、マグネットで接続できる非公式のアクセサリーを使ってますが、それでUSB-Cが1ポート潰れるのが微妙に不便なので。

という訳で、ついでにMagSafe3が復活している最新のMBAを見積もってみました。

ん... MBPより微妙に高いな。

MBP/MBAの違いとしては、

  • MBAはCPUをM1にダウングレードできる(というかM1が標準)
  • MBPはTouchBarがついている

という感じらしい。

なので、

  • TouchBarは要らないけどMagSafe3は欲しい → MBAがベスト
  • TouchBarは必要でMagSafe3も欲しい → しばし待たれよ

という感じのようです。

TouchBar搭載のモデルはまだ使ったことが無いので良し悪しは分かりませんが、無くて困るものでもないのでMBAで良いんじゃないか感。

本当はArchLinuxにしたいところですが。(XCODEが動けば...)

ただし、メインPCは最低4年使うことにしているので当面買い替えません。

東方VGSでの輝針城(※原作未プレイ)以降をプレイするだけのために、激安Windows機をサブマシンとして調達する可能性ならありますが。その場合、減価償却せずに経費で落としたいので10万円未満でなければなりません...(Macも昔は8万とかで買えたんですがねぇ)

2022年10月24日月曜日

Z80エミュレータを色々と改修

ここ最近、拙作のZ80エミュレータに色々と手を入れてます。

https://github.com/suzukiplan/z80

主だった対応内容はQiitaの方で投稿してます。

また、Julien-Nevo.comというサイトの管理者の方からも幾つかissuesが切られ、建設的な指摘がされているので、着々と改修しました。

C++プログラミングに関しては実のところそんなに深くは学んでいた訳ではなかったりします。仕事で12年ぐらい使っていたので、門前の小僧が習わぬ経を読む程度のスキルならありますが、仕事で使っていたのはC++99以前の古い規格の知識止まりです。(古い規格についてもテンプレートの扱いを完全に空で書けるかというとかなり怪しいレベル)

Qiitaに記事を書いておけば、その道のスペシャリストの方々からの有り難い指摘を頂けるので助かります。

ブログの方に書いておけば、お賽銭程度の広告収入が期待できるので、本当はQiitaよりもブログに書いた方がお得かもしれませんが、このブログだとPVが1万を越えるような記事はかなり稀というか、そもそもSEO対策とかそういうのを一切していないのでPV収益のようなものはほぼ期待できない程度です。

Qiitaなら割と簡単に1万PVを越えるので、なるべく多くの人に見て貰える文章を書く時はQiita、どうでも良いネタはこのブログという使い分けをしています。

ちなみに、一番Qiitaで見られた記事は技術と全然関係ない(普段このブログで書いているような)節税ネタです。実験的に「Qiitaで普段ブログで書いているような記事を書いてみようか...」と魔が差してしまいました。

2022年10月15日土曜日

タイヤ破裂

自転車のタイヤ(後輪)のインナーチューブがパンクしてしまったのですが、近所のホームセンターにサイズ(20x1.5インチ)の合うインナーチューブが無かったので、とりあえずパッチ補修しつつAmazonで新しいインナーチューブを注文。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07Q9ZKMSK

元々英式バルブのインナーチューブを使ってましたが、仏式バルブにしてみました。

という訳で2本セットのものを購入して、パンクしていない前輪も一緒に交換してみたのですが、前輪の方が交換初日に破裂...

パンクではなく破裂です。

インナーチューブとホイールが噛んだ状態やチューブが捻れた状態で空気を入れると破裂することがあります。

そうならないようにインナーチューブに少しだけ空気を入れた状態でタイヤとセットでホイールに装着して、チューブとタイヤが噛んでないことを確認してから空気を入れたのですが、80PSIぐらいのところで「パンッ」という銃声のような音がして破裂してしまいました。

今まで何度かタイヤやインナーチューブは交換しているのですが、こんなことは初めてです...

空気を入れる前の商品状態を十分にチェックしていなかったのですが、最初から亀裂が入っていた可能性が高いかも。

とりあえずダメ元で出品元に交換 or 返品ができないか確認中です。

しかし、破裂音が大きくてビビりました。

とりえあえず、パンクしていない旧インナーチューブを取り付けておいたのですが、空気を入れる時にビビりながら恐る恐るでしたw

旧インナーチューブは無事再装着 & 空気も正常に入ったのですが、しばらくの間は前輪は英式バルブ、後輪は仏式バルブなので空気入れの際にアタッチメントをいちいち変更する必要があり、やや面倒です。

2022年10月12日水曜日

消費税の下げ方

「消費前は上げるべきか下げるべきか?」

と問われれば、恐らく8割以上の国民が「下げるか撤廃すべき」と答えると思われるので、どうすれば消費税を下げることができるかを(建設的に)考えてみます。

まず、そもそも消費税が導入された原因ですが、これについては「第3次ベビーブームが起こらなかったため」が模範解答かと思われます。ベビーブームの発生時期・発生期待時期と消費税法成立の時期感を照らし合わせると分りやすいです。

  • 1947年〜1949年ごろ(第1次ベビーブーム)
  • 1971年〜1974年ごろ(第2次ベビーブーム)
  • 1989年 消費税start(3%)
  • 1996年ごろ(第3次ベビーブームは発生せず)
  • 1997年 消費税率up(5%)
  • 2014年 消費税率up(8%)
  • 2019年 消費税率up(基本10%, 軽減8%)

人口が減れば税収が減るので、(その財源を根拠に設計された)充実した社会保障サービスが保てなくなってしまいます。

つまり、社会保障サービスを撤廃して、弱者切り捨てができる社会にすれば消費税を下げることができます。ただし、一旦その方策については横に置いておき、「現状の社会保障サービスを維持したまま消費税を下げる方法は無いのか?」という論点で考えてみます。

日本の2021年度の税収は約57.4兆円ですが、所得税+法人税+消費税で47.9兆円(全体の約83.4%)となっています。このボリュームゾーンの税収(メイン税収)を引き上げることが財源確保という観点で最も効果が高い手段だといえます。

メイン税収の内訳をもう少し細かく見てみます。

(2021年度メイン税収の内訳)

  • 所得税 18.6兆円
    • 源泉 15.7兆円(主に労働者から徴収)
    • 申告 2.9兆円(主に経営者や投資家から徴収)
  • 法人税 9.0兆円
  • 消費税 20.3兆円

所得税+法人税で消費税収の20.3兆円を丸々カバーできれば、現状の社会保障サービスを維持したまま消費税を撤廃することが可能だと考えられます。

所得税+法人税の税収を引き上げる手段をとしては、

  • 税率を上げる
  • がんがんお金を稼ぐ

という2通りの方法が考えられますが、税率を上げればキャピタルフライトが増えるなどして逆に税収が減るリスクがあるので、「がんがんお金を稼ぐ」ことが消費税を下げる上で有効だと考えられます。

お金を稼ぐ手段としては次の3通りの方法があります。

  • 労働をする(労働者になる)
  • 事業を営む(経営者になる)
  • 投資をする(投資家になる)

労働者からの税収は源泉所得税、経営者と投資家の税収は申告所得税に分類されると考えられます。

なお、労働者(平社員〜執行役員)でも年収が2000万円を超えると源泉徴収はできないため確定申告をする必要があるので、申告所得税に分類されます。確か、アクセンチュアの上級コンサルタントなら年収4000万円ぐらい貰えるので無い話しではありません。しかし、大半の労働者は年収2000万円未満(平均467万円)なので、大半の労働者の税収は源泉所得税に分類されると考えられます。(あとは源泉徴収ありの特定口座で運用している投資家も源泉所得税に分類されますが、多分総額はそんなに多くないので無視できる範囲かな...と想定)

そして、儲かっていない会社とかだと経営者(取締役)でも年収2000万円に満たないかもしれませんが、だいたいの経営者の年収は2000万円以上(上場企業の取締役の平均年収は3200万円ぐらい)なので、大半の経営者(と投資家)の税収は申告所得税に分類されると考えられます。

24時間寝る間も惜しんでガンガン労働してお金を稼ぐのは効率が悪いです。精神や体を壊したり過労死するなどして、むしろ総労働時間が減ってしまうということも考えられるので。

労働については元気な若年層(10代〜30代)が1日8時間を週3〜5日程度適度にQuiet Quitingでもしながら頑張り、ある程度の年齢(40代〜60代)になったら経営や投資で生計を立てていくのがベターだと思います。労働には体力が必要だから若さが必要ですが、軌道に乗っている事業の経営や投資は、頭脳酷使しますが肉体はそれほど酷使しないので結構年を喰った後でも割と何とかなるので、そういった方向性での人生設計が合理的ではないかと。

しかし、現状の税収分布を見る限り、申告所得税と法人税が少なすぎるので、現状はそういう風になっていないものと思われます。

源泉所得税収は人口動態とほぼ相関するため、第3次ベビーブームが起きなかった時点でそのシュリンクが発生することは既定路線です。

消費税の増税は、税収upさせる手段として手っ取り早いようにも思われますが、お腹を空かせたタコが自らの足を食べているような状態なので筋が良い政策とは思えません。

従って、如何に申告所得税+法人税の税収を増やすかという観点での政策立案が重要なのではないかと思われます。(なので、選挙で投票する時はそういう路線の政党に投票しています)

そういった意味では、副業はもっとガンガン推進していくべきだし、Nisa拡充で投資を呼び込んだり金融教育を進めることも重要だと思います。

ただ、個人的にはもっとシンプルに「個人の貯蓄や企業の内部留保に対して課税すれば良いんじゃない?」とも思っていたりします。ソルベンシーリスク回避という観点で貯蓄や内部留保は重要なのかもしれませんが、(企業も個人も)そのリスクヘッジが過剰過ぎる印象があります。

企業の内部留保は484兆円、個人の貯蓄額は1992兆円あるらしいので、そこから毎年1%吸い上げればそれだけでだいたい24兆円ぐらいの財源を確保できるので、消費税を撤廃しても問題無くなるかもしれません。厚生労働省の社会保険料歳入がだいたい4.6兆円ぐらいだったと思うので、何なら消費税撤廃だけでなく(あのえげつないぐらい高い)社会保険料を50%offとかにしてもお釣りが来そうです。

長期の安定税収にはならないと思いますが、貯蓄から投資への流れを加速させることで所得税収を増やす二段構えになります。ついでに、貯めると損だからお金を使う人が増えることに加え、消費税分の物価ディスカウントにより消費も拡大して景気が良くなるかもしれません。

企業や資産家のキャピタルフライト等のリスクはありそうですが、それぐらいフットワークが軽い企業や個人は既にタックスヘイブンに逃げていると思われるので、多勢には影響が無いのではなかろうか...と推測。

まとめると、貯蓄税を導入すれば消費税を下げられる or 撤廃できる(かも)と。

個人の貯蓄に対してという話しはあまり聞きませんが、企業の内部留保に対してという話しは割とチラホラ聞きます。(内部留保課税だけでは消費税の税収を賄えるだけのボリュームは得られないと思いますが)

参考 https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/1014_2

2022年10月11日火曜日

Web3とは果たしてどんなwinnyなのか

Web3の話しを聞く都度「それってどんなwinny?」となってしまうのですが、単なるバズワードなので真面目に考えるだけ無駄かなと思いつつ、かなりざっくり要約すると、

  • Web1.0は単方向メディア(ホームページ、テレビ、ラジオ、新聞など)
  • Web 2.0は双方向メディア(検索、広告、ブログ、SNSなど)
  • Web 3は分散管理台帳(ブロックチェーン)により個々の端末でデータを分散管理できる機能

ということのようです。

Web2.0も当時は単なるバズワードだったので、Web3もWeb2.0と同じくカネのなる木になるかもしれません...が、正直今ひとつピンときません。

メディア(情報媒体)or 機能でレイヤーが違うような気もするので。

ですが、

  • Web1.0 = 独裁主義
  • Web2.0 = 民主主義
  • Web3 = 個人主義(自由主義)

という文脈で見ると「なるほど?」となります。

プラトンの著書(国家)に『民主政が善とするのは自由だが、過度に自由を求めると結果的に独裁制に陥る』みたいな話しがあったと思います。かなり昔に読んだ記憶なのでうろ覚えですが、民主政で過度に自由がはびこる → 民衆に統治を疎む傾向が現れる → 反統治の民衆指導者が独裁者になる といった話しだったと思います。

つまり、Web2.0という名の情報の民主化が飽和しつつあって、その傾向のシグナルとしてWeb3というバズワードが注目されている状態だと現状を読み解くと、最適な次の一手が見えてくるかもしれません。

2022年10月6日木曜日

東方VGSのアプリ内課金(広告削除)の価格設定方針

以下の記事で東方VGSのアプリ内課金アイテム(広告削除)の値上げのアナウンスをしましたが、2022.10.06 PM 22:00 JST 時点でまだ値上げが反映されていないようなので、AppStoreでの値上げが確認されるまでの間、値上げの実施を延期します。

https://suzukiplan.blogspot.com/2022/09/vgs.html

ここで、SUZUKI PLANのアプリ内課金アイテム(非消耗タイプ)の価格設定の方針について(以前どこかで書いた気がしますが)改めて補足すると、原則的に「値上げはしても値下げはしない」というポリシーでアプリの有料販売を開始した2012年当初から運用しています。

パズドラの魔石などの消耗タイプのアプリ内課金と違い、CDやゲーム等のコンテンツを購入するイメージに近いのが非消耗タイプのアプリ内課金(有料販売を含む)ですが、この場合、基本的に「初期に買って頂いたお客様を優遇する」という考え方で価格設定をしています。

そのため、Steamのサマーセールのような期間限定の値下げみたいなキャンペーンは一切しません。(ストアからそういうお誘いがあっても断る予定です)

今回の値上げは、ドル高の影響に伴うものですが、逆に超ドル安になって1ティアが80円とかになった場合、ティアを引き上げて値上げをするつもりです。

価格を上げてしまうと売れる確率が下がるし、期間限定プロモーションをやった方が短期的には稼げるかもしれませんが、それをやると初期の頃に買っていただいたコアファンの方を裏切るように思えるというのが、そのポリシー設定の第一の理由です。

また、デジタルコンテンツはコピーが簡単にでき全く劣化しないので、価格設定についてはそれぐらいのポリシーにしておかないとそもそも売れなくなってしまうのではないか?とも考えています。

一度期間限定プロモーションをやってしまうと、期間限定プロモーションの時にしか商品が売れなくなるのではないかとも考えられます。私自身Steamで「このゲーム面白そうだなー」と思ってもサマーセールまで待つので。(そして、サマーセールの頃には忘れていることもままある...)

消耗型やサブスクリプションなら値下げしても(初期のコアユーザーにとっても出費が減って有り難いから)良いと思いますが。

2022年10月5日水曜日

ブレーキの重要性

移住から約2ヶ月経過して、だいぶ落ち着きました。

最近の休日は、近所のコース開拓に忙しいです。

近所の海や川のコースはだいたい把握済み。

近所の海

近所の川

山エリアを現在開拓中です。

静岡は面積が広いですが、大半は山なので、良い感じの激坂が豊富にあります。

毎朝始業前に30分ぐらい(10kmぐらい)近所を走ってますが、自宅から300mほどの所にも程よい激坂があり、短時間で体力をガッツリ消耗できるのでよく使ってます。

以前居住していた足立区を含む江東5区(足立区、葛飾区、墨田区、江戸川区、江東区)のエリアは、海抜ゼロメートル地帯とも呼ばれるだけあって坂が全く無かったので、山を走ると新鮮な気分になります。西岸にある荒川ロックゲート(江戸川区)あたりにそこそこの坂がありますが、山と比べると平坦も同然です。

山の上り坂は気合だけで何とかなるから良いのですが、下り坂はかなりブレーキを酷使します。調子に乗ってスピードを出すと死ぬレベルの急勾配なので、万が一ブレーキを作動しなかったらとても危ないです。多分時速70〜80kmぐらいは出るんじゃないかな。東京での最高トップスピード(時速64km)を更新できそうな気がしますが、危ないのでチャレンジはしないようにしておきます。

山道でブレーキを酷使しまくった結果、前輪のインナーワイヤーが若干ほつれてました...危うい。

インナーワイヤーの寿命は2〜3年ぐらいらしいので、元々そろそろ変え時ではあったのですが、最近の山岳アタック(下り)で一気に逝ってしまったようです。ついでに、インナーリードという可動部上部の部品の金属部分も破けていました。

という訳で、インナーワイヤーを交換の為、近所のホームセンターで以下の部品を購入:

  • Vブレーキ用インナーワイヤー(伝導部の金属線 ※コレがほつれた)
  • Vブレーキ用インナーリード(可動部の金属 ※コレの端っこが破れていた)
  • ワイヤーエンド(これはインナーワイヤーに付いていたので買う必要無かった...)
  • KURE5-56(本当はワイヤーグリスを塗布する必要があるらしいが売ってなかったので)

部品代は全部で2,000円ぐらい。

参考までにネットで見つけた同じような製品の通販リンクを張ってますが、実際に買ったのは別の製品です。(全部モノタロウで揃えればもっと安く調達できたのか...)

ブレーキワイヤー関連の部品としては、他にもアウターワイヤー(ストローみたいなヤツ)とアウターキャップという部品もありますが、それらは損傷が無いので古いヤツをそのまま使用しました。(アウターはそんなに負荷が掛からないので滅多なことでは壊れないっぽい)

ブレーキワイヤー交換の難度は、タイヤ交換よりも大分楽な印象です。

なお、お店で修理を依頼することもできるらしいです。

スポーツ車のブレーキワイヤー交換の相場は1,320円とのこと。

高いな...ついでにこれは基本工賃のみで部品代は別らしいです。

多分、部品代込みで最小2,000円ぐらい、前輪後輪同時なら4,000円ぐらいでしょうか。

「ご一緒にポテトはいかがですか?」的なノリで色々とオプションが追加されると思うので、なんやかや5,000円以上出すことになると思います。

実際、Google Mapで自転車屋のレビューを見ていると「頼んでない修理を勝手にして請求された」みたいなトラブルがチラホラ見受けられます。

同意なく勝手に修理するのはダメですが、消耗部品は定期的に交換した方が安全なので、修理する時はピンポイントでお願いするのではなく、一緒に点検もお願いした方が良いとは思います。

自力で点検できれば点検費用と工賃が無料で、交換する部品も最小限のコストで済むことに加え、自分で修理できると愛着も湧いてくるので長持ちするような気がしないので、なるべく自力点検 & 自力修理できた方が良いと思います。

私の経験上、自転車で壊れやすい箇所は、

  • タイヤ(パンク)
  • チェーン(切れる、オイル切れでガタつく)
  • シフター(切れる、オイル切れでガタつく)
  • ブレーキ(ワイヤー切れ, リムが擦り切れる, ディスクブレーキの油圧故障)
の4点で、タイヤ、チェーン、シフターは最悪走行中に壊れても安全に止まれるので良いのですが、ブレーキが壊れるとかなりキケンなので、自己点検する場合、一番入念にチェックする必要があるのはブレーキかなと思われます。

平坦な東京ではブレーキワイヤーの損耗が大したこと無かったからあまり頻繁にチェックしてなかったのですが、これからはマメにチェックした方が良さそうだなぁ...と。

2022年10月1日土曜日

金利上げれば物価下がるのか?

最近、円安やその原因の日米金利差などが話題で、FRBは景気悪化も辞さない覚悟で金融引締を断行(参考)のようなニュースをチラホラ聞きます。

米国が金融引締を行う理由は物価の高止まり(インフレ)を抑えるためという話を金融ガチ勢からよく聞きます。ただ、割とそもそも論なんですが、政策金利引き上げでインフレが収まるという理屈が「風が吹けば桶屋が儲かる」という風に聞こえます。

コチラのサイトで説明されている理屈によると、

  1. 過度な景気上昇
  2. 政策金利を上げる
  3. 資金調達が困難(資金不足)になる
  4. 生産・設備投資が縮小
  5. 業績が悪化して不景気になる

という感じのようです。

不景気になれば安くしなければ商品が売れなくなるからインフレが収まる筈...というのがFRBの見立てだろうと想像していますが、生産・設備投資が縮小すれば市場流通する商品の数が不足すること(需給バランスの悪化)で物価が逆に上がることもあるように思われます。

現在の米国物価の高止まりの原因は、

  • ウクライナ戦争による穀物や燃料等の一次産品不足(需給バランス悪化による価格上昇)
  • 感染症の影響(上海ロックダウン等)によるサプライチェーン混乱(需給バランス悪化による価格上昇)
  • エッセンシャルワーカーを中心とした労働者不足による賃金上昇(コスト上昇による価格上昇)

辺りに起因していると思われるので、政策金利引き上げでそもそもインフレ退治ができるのか?と以前から少し疑問でした。

という訳で、2022年1月〜9月の政策金利と物価指数(CPIとPCE)を偏差値化して比較してみたところ、一定の効果があるように見受けられます。

  • CPI: 消費者物価指数
  • PCE: 個人消費支出
(数値データ)

年月政策金利CPIPCE
2022/10.25%7.00%5.80%
2022/20.25%7.50%6.00%
2022/30.50%7.90%6.30%
2022/40.50%8.50%6.60%
2022/51.00%8.30%6.30%
2022/61.75%8.60%6.30%
2022/72.50%9.10%6.80%
2022/82.50%8.50%6.40%
2022/93.25%8.30%6.20%

5〜7月は政策金利/CPIともに上昇傾向でしたが、8月以降はCPIがピークアウトしたように見受けられます。政策金利を上げ始めたのが5月あたりなので、CPI下落までに3ヶ月程度ラグがあった感じかなという様子でしょうか。

PCEについてはCPIよりも振れ幅が大きい印象ですが、概ねCPIと相関関係がありそうです。(CPIの動きをよりダイナミックにした感じで変動している?)

通常0.25%づつ引き上げる政策金利を2段飛ばし(0.75%)で引き上げし始めたのは6月からなので、9月分のCPI/PCEの下落具合は「2段飛ばししている割にはちょっと低い」かもという印象があります。ラグタイムがキッカリ3ヶ月という訳ではないので、もう2〜3ヶ月程度様子を見ないと分からないですが。

2022.10.13に発表される数値(9月分)は、さてどんな感じになるかなと。

2022年9月30日金曜日

ストリーミングゲームはどうすれば上手くいくのか

Stadiaがサービス終了するようですね。

https://blog.google/products/stadia/message-on-stadia-streaming-strategy/

私は3年前のローンチ前からこの日を予期していました。

https://suzukiplan.blogspot.com/2019/03/blog-post_20.html

思っていたよりも長く続いたなというのが率直な印象です。Googleの中の人は頑張ったんだろうなと思います。お疲れ様でした。

Stadiaはどうすればどうすれば上手くいったのだろうか?

上記の記事では要約すると「価格の問題ではないか」と指摘してます。つまり、StadiaをYouTubeプレミアムと抱合せ販売するか、CMを再生すれば無料でプレイできるとかにすれば良いのではないかと。

しかし、そういった試みをすることなくサービスクローズするということは、仮にそういったことをしても十分な売上が確保できないといった判断がなされたのかもしれません。(これから来る冬の時代に備えた不採算部門の切り離し...という経営戦略的な匂いもしないこともないですが)

YouTubeでゲーム実況動画を視聴して、面白そうだと思ってPlayボタンを押せば5秒と掛からずゲームがプレイできるという体験は一見筋が良さそうに見えますが、実はそれがそもそもミスリードだったのかもしれません。

プロ野球の試合を観戦していると野球で遊びたくなってウズウズしてしまい、バットを持って河川敷へ遊びに行くタイプの人は恐らくマイノリティで、大半の人はビール片手に観戦だけしたいと考えているものと思われます。だから、プロ野球のドームの近所に草野球が出来る手頃な河川敷(Stadia)が無くても問題無いと考えられます。

また、私は購入したゲームを骨の髄までしゃぶり尽くす(何なら逆アセンブルして実装方法まで調べる)タイプですが、それも実は少数派なのかもしれません。知人のゲームオタクの中に一定数「積みゲー」をする人が居ます。ゲーム自体好きで買うものの、プレイを後回しにして只管タンスの肥やしを増やしていくタイプです。実はそういうタイプの人の方が多いかもしれません。全く遊ばずに積むのはアラブの富豪だけかもしれませんが、少し遊んでクリアもせずに遊ばなくなる人は実際結構多いと思います。私は律儀に全部クリアするのは当然として何なら完全攻略も目指す場合もあるので、未だにスーパーファミコンから抜け出せないのですが、そんな人ばかりではゲーム業界は商売あがったりな筈。

要するに、大半の人はゲームを「何となく遊びたいけどプレイするのが面倒くさい」と思っているのではないかなと推察しています。この推察は最近思いついたものではなく、以前個人でスマホ用のゲームを開発していた頃、「放置系」というジャンルのゲームが流行っている様子を見て考察したものです。

「如何にプレイさせずに没頭させるか」

その軸でゲームデザインを考えた時、私の思考はショートしてしまいました。

私は昔からスポーツは観戦よりもプレイする方が好きで、ゲームもプレイする方が好きだったので、そういうモノを考えることは無理だと悟りました。(東方VGSは意図せずその軸に乗っているかもしれませんが)

ストリーミングゲームの仕組み自体は面白いと思いますが、ビジネス的に筋が良い(マジョリティに刺さる)やり方は全く思いつきません。

ただし、友人に「おーい磯野!野球しようぜ!」と誘われた時、スケジュールさえ問題無ければ付き合う人が大半(マジョリティ)だと思われるので、ゲームプレイを誘うコラボレーター的な仕掛けがあればStadiaは上手くいったのかもしれません...具体的なフラッシュ・アイディアは思いつきませんが、少なくともそのシーンでは「ストリーミング再生できるデバイスしか持っていなくてもゲームプレイできる」という要素の重要性が高まります。

2022年9月28日水曜日

AIによる再現可能性を断ち切る方法

前々から現在普及しているAI(ディープラーニング)について色々調べていたのですが、音楽方面では恐らく、

  • 耳コピによる楽曲の完全再現
  • それっぽい音楽の自動作曲
あたりなら普通にできる日が来る筈だと思っています。

耳コピAIについては以前記事で書いてます。

そして、自動作曲AIについては既にサービスが存在するようです:

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000070769.html

絵画方面ではAIがキーワードから自動的にそれっぽい絵を生成するサービスが注目されています。

最近では、米コロラド州で開催されたアートコンテストでAIが描いた絵が優勝したりとか。

https://artnewsjapan.com/news_criticism/article/412

絵画や作曲のスキルは、プロなりのトレース(特徴抽出)をしながらスキルを盗み、それを各々少しづつ自己流にアレンジしていくことで、独自の画風や曲風なりにしていくアプローチで身につけていくのが一般的だと思われます。

一見するとそれは、ディープラーニングの学習アプローチと近いと思われるかもしれませんが、「少しづつ自己流にアレンジ」という部分が多分ディープラーニングでは再現不可能なので、それにより作られたコンテンツは(少なくとも世に出るまでの間は)AIに真似されることは無いと思われます。

世に出てウケたら速攻で学習される訳ですが、順序が「人→AI」にしかならない(できない)点はとても重要です。

アート自体の良し悪しも評価構成要素として重要なのかもしれませんが、結局のところ「誰が創ったか」が重要です。例えば、ゴッホが描いた絵は高く売れるけど、全くの別人が描いたゴッホっぽい絵が何億円といった価格で取引されることは無いと思います。

Wikipedia によると、カメラで最初に写真が撮影されたのは1826年〜1827年ごろとのことです。印象派が流行りだしたのはちょうどその後ぐらいからですね。写真の登場により、見たモノをそのまま描く写実画のスキル価値が大幅に低下したため、印象派が発展したとする説もあるようです。

AIの登場は、カメラが登場した1800年代当時の状況と割と似ている気がしています。

1800年代のゲームチェンジの時は「こうすればカメラでは再現できない筈」というアプローチで印象派が誕生したものと想像していますが、AIによるゲームチェンジも「こうすればAIでは再現できない筈」というアプローチが正解かなと。

既存絵画や音楽の単純な「特徴抽出」だけではAIにより再現可能なので、「少しづつ自己流にアレンジ」を深化させることが、AIによる再現可能性を断ち切る方法だろう...というのが今の所の私見ですが、もっと別のやり方もあるかもしれません。

「AIによる再現可能性を断ち切る方法」というのは単なるタイトル詐欺で、確立した方法はまだ分かりません。ただ、ゲームチェンジを悲観するのは無意味で、それを受け入れつつ無効化する何かを考えながら創作活動を続けていくことが、クリエイターに求められる素養なのではないか?という単なる精神論です。

2022年9月23日金曜日

業績分析: サイバーエージェント

ゲーム業界ではないかもしれませんが、実質ゲームの売上がずば抜けていることで有名なサイバーエージェントの業績分析をしてみます。

【P/L】

売上と利益の偏差値をグラフ化したものを示します。

主要ヒットタイトルとAbemaTV(ABEMA)の先行投資期間を分かりやすくしてみました。

スマホ対応(2013.05)以前もガラケーのソーシャルゲームとブログで荒稼ぎしているイメージがありましたが、2007年〜2012年あたりも利益率の高い成長をして順調に成長していたことが窺えます。

スマホ対応した当初の決算(2013.09)では営業損失を計上していますが、高い経常利益を出して当期純利益は黒字をキープしています。(恐らく、株を売るなどしてとりあえず赤字を回避したようです)

その後、2016年あたりまでは順調に利益率が高い成長をしていましたが、2017年あたりから利益率の偏差値が大幅に悪化しています。

ですが、2021年2月にリリースしたウマ娘により約半期(7ヶ月分)しか計上していないにも関わらず利益偏差値80オーバーの急激な回復をしています。

【メディア事業P/L】

2015.09以降の決算では、AbemaTVの先行投資でガンガン資本投入しています。

以下、メディア事業単体の売上と営業利益です。

メディア事業(AbemaTV)への投資を継続した結果、売上全体に占めるメディア事業の売上高構成比率が2015年の7.42%から2021年の12.43%まで順調に伸びています。

丸6年やって構成比率12.5%(+7%)ということは、単純な線形予測で12年後に19.5%、24年後に33.5%で、構成比率が少ない時ほど少ないコストで構成比率を上げることができる点を勘案すると、投資対リターンのパフォーマンスが随分低い印象です。

売上は2020.09以降から本格的に伸び始めているので「まだこれから」なのかもしれませんが。また、他事業(広告・ゲーム)へのシナジー効果等もあるかもしれないので、単純な単体業績では測れないところもあるかもしれません。

【メディア除外P/L】

2015年以降のメディア事業の売上高と利益(損失)を無かった状態にして、売上と当期純利益の偏差値グラフを作成してみました。

すると、売上と利益がかなり相関するようになったことが分かります。

ただ、2017.09 〜 2020.09 の 4期 の偏差値ギャップ(当期純利益率の悪化)がやや目立ちます。(2020.09は巣ごもり需要もあって若干回復してますが)

この利益率が悪かった期間はシャドーバース、バンドリ、プリンセスコネクトReあたりの収穫期と重なると思います。それらのゲームは客観的に見て結構ヒットしていたように見えたのですが、利益貢献という意味ではイマイチ旨味が無かったように見えます。

ソーシャルゲームの場合、売り切りのゲームソフトと違って古いタイトルでも安定的に収益を出せる資産性のようなものがありますが、運営にもコストが掛かるのでそれが徐々に利益を圧迫しているのかもしれません。(黒字だから切るに切れない→維持にHRが割かれる→パフォーマンス低下→利益率悪化...かな?)

ウマ娘が一気にそれらを帳消しにしているようですが。

ゲームで経営成績を安定させるのは難しいから次の柱としてメディア事業(主にAbemaTV)を育てていく事業戦略なので、今後メディア事業が成長できるかどうかが投資判断のポイントかと思われます。

【AbemaTVの可能性】

ざっくり、テレビ、YouTube、Netflix、TikTokあたりと同じ動画コンテンツを配信するプラットフォームですが、基本的にやっていることはテレビと同じです。(スマホ版テレビ?)

AbemaTVのビスネススケールできる収益モデルは基本テレビと同じ企業広告だと思われます。また、過去動画をオンデマンド視聴できる有料会員サブスクリプションもあるので、テレビよりも収益性は若干良いかもしれません。

  • 収益モデル
    • Ads
      • YouTube
      • テレビ
      • AbemaTV
      • TikTok?
      • ニコニコ動画(※おまけレベル?)
    • Subscription
      • Netflix
      • YouTube(※おまけレベル?)
      • AbemaTV(※おまけレベル?)
      • ニコニコ動画

また、YouTubeやTikTokは一般ユーザーも配信できるUGC(User Generated Contents)という違いもあります。テレビ、AbemaTV、Netflixとの違いは、コンテンツ(動画)の作成コストを運営が負わなくても、ユーザーが勝手にコンテンツを配信してくれることです。

  • コンテンツ制作モデル
    • UGC
      • YouTube
      • TikTok
      • ニコニコ動画
    • プロがコンテンツ制作
      • テレビ
      • AbemaTV
      • Netflix

あとは、大きいのは商売している地域ですね。AbemaTVはテレビと同じなので日本ドメスティックです。日本語の動画コンテンツを海外でヒットさせるのは基本無理だと思います。例外的にヒットするレアケースも無くは無いかもしれませんが、言語の壁は大きいです。

  • 地域
    • ドメスティック
      • テレビ
      • AbemaTV
      • ニコニコ動画
    • グローバル
      • YouTube
      • TikTok
      • Netflix

ビジネスインパクトの大きさは、収益モデル < コンテンツ制作モデル < 地域 だと思います。

収益モデルはその時の状況に応じて変更することができるので、ビジネスインパクトはそれほど大きく無いと見ています。

コンテンツ制作モデルも、プラットフォームが成熟するとUGCとプロ制作コンテンツの差は実質無くなる傾向があります。サービス運用初期のコンテンツ確保や慢性的にコンテンツを制作し続けるランニングコスト(止まれば死ぬ)という点でUGCがやや有利かもしれません。テレビやAbemaTVのようにライブストリーミングでコンテンツを垂れ流し続ける必要があるタイプは運営コストが無駄に高いのでやや不利と見ています。

実際、収益モデルとコンテンツ制作モデルが異なるYouTubeとNetflixの直近の売上高は概ね同じぐらいらしいです。(YouTube: 288億米ドル、Netflix: 297億米ドル)

問題は地域ですね。

【結論】

バンナムの記事でも書いてますが、コンテンツ産業全般の経営戦略として「海外事業の強化」は必須で、ドメスティックでしか戦えないコンテンツ企業は遅かれ確実に淘汰されると思っています。

という訳で、サイバーエージェントの事業戦略は、私が考える事業戦略の方向性と合致していないので、私の投資判断は「投資不適格」となります。(Netflixのようにグローバル展開をする予定があるのかは定かではないですが、国内投資だけで息切れするのではないかと予測)

ゲーム制作会社としては優秀だと思いますが、そのゲームも日本向けのマーケットインに注力しているようなので、グローバルでは厳しいと想定しています。ウマ娘の中国語版とかも出そうている(既に出している?)らしいですが、日本の競走馬のことを1ミリも知らない外国人にはそこまでウケないんじゃないかなと予測してます。

ただし、投資CFについては、事業の成長に合わせて適切に成長できているので、成長可能性のある優良企業(経営自体は優秀)だと思います。

長期視点での成長率の傾向として、Yon10Y(10年前比)の売上高成長率は4.89倍〜5.57倍、Yon5Y(5年前比の成長率)は1.54倍〜2.29倍と順調に成長しています。

ただし、スマホゲーム参入の2013年との比較が始まる2018年以降のYon5Yは鈍化の傾向を示しているため、スマホゲーム依存では成長鈍化する兆候が見られます。(上図では省略してますがYon3Yでも2013年との比較が始まる2016年以降からの成長鈍化の兆候が見られます)

課題は、

  • AbemaTV黒字化(投資やHRのプライオリティを下げる)
  • 新たな事業の柱の模索
  • 社長の後継者育成(社長の藤田さんはまだ49歳と若いですが、社外取締役を除く取締役が、創業メンバーの日高さんとプロ経営者っぽい中山さんの3名体制で、次世代の人が入っていない雰囲気だから、まだ育成着手していない段階と想定)

あたりかなと。

2022年9月21日水曜日

東方VGSのアプリ内課金(広告削除)の価格について

2022年10月5日以降、日本を含む一部地域でAppStoreのアプリ内課金の価格が改訂されます。 

https://developer.apple.com/jp/news/?id=e1b1hcmv

これに伴い、iOS版「東方VGS」のアプリ内課金アイテムの価格が次のように改訂(値上げ)されます。

  • リワード広告削除: 370円→480円
  • ディスプレイ広告削除: 1,220円→1,600円

なお、Android版でも2022年10月5日に日本ではiOSと同価格へ手動改訂を実施する予定です。

また、日本以外の地域におけるAndroid版の価格は、2022年10月5日時点の米ドル為替レート($2.99、$9.99)を基準に自動調整をする予定です。

本家のお値段がだいたい¥1,500(※委託販売の場合)なので、それぐらいの価格をということでだいたい¥1,500よりも少し安くなるように当初価格設定したので、合計¥1,500以下ぐらいになるように調整しようか悩んだのですが、物価や為替は変動するのが当たり前なので「米ドル基準で価格維持」という方針でいきます。

2022.10.06 追記: 米ドルで$13なので¥1,500以下だろうと勘違いしてましたが、値上げ前から既に¥1,500超えていました。送料込みで¥1,590ということで。(値上げ後は¥2,000超えるのか....ちょっと高すぎる感)

業績分析: スクウェア・エニックスHD

ゲーム業界大手のスクウェア・エニックスHDの業績分析をしてみました。

【P/L】

概ね右肩上がりの成長をしています...ただ、バンダイナムコHDと比べると当期純利益と売上の偏差値ギャップが激しく、2009.03以前は利益率が高く、2010.03以降は利益率が低い傾向が目立ちます。

また、2011.03は営業利益が黒字なのに当期純利益が赤字になっている謎の状態です。

(2011.03決算)※偏差値ギャップ = 11.1

  • 売上: 1252億7200万円(偏差値42.2)
  • 営業利益: 73億2500万円(偏差値38.8)
  • 経常利益: 53億9000万円(偏差値38.4)
  • 当期純利益: △120億43万円(偏差値31.1)

これは、主にのれんの減損損失の計上(約88.5億円)によるもののようです。のれんの減損損失は、過去のM&Aで儲かると見越した額に届かなかった額を損失計上することです。(節税スキームかな)

ただし、前期よりもトータルの特別損失額は低い(2010.03の特別損失は179億で、2011.03は160億)ので、人気タイトル(FF14)の発売延期による減収減益が響いたようです。

ただし、ここから丸5年間、売上偏差値40台の低水準の暗黒期が続き、2016.03年になってようやく2010.03の売上を超えることができた業績結果から見るに、仮にFF14がオンスケで販売できたとしても、結果的にダメだったであろうことが予測できます。

2013年の偏差値ギャップも激しく、営業利益(本業の利益)でも赤字を掘っています。

(2013.03決算)※偏差値ギャップ = 15.5

  • 売上: 1479億8100万円(偏差値45.0)
  • 営業利益: △60億8100万円(偏差値29.5)
  • 経常利益: △43億7800万円(偏差値32.4)
  • 当期純利益: △137億1400万円(偏差値29.9)

決算短信によると「開発方針の変更、組織体制の見直し、一部ビジネスモデルの変更等による特別損失」が主要因とのこと。恐らく、その体質改善により、2014年以降の業績が回復したものと思われます。

特にひどい偏差値ギャップは2011.03と2013.03ですが、その他にも計測期間(19期)全体で7期(約36.8%)に目立つ偏差値ギャップが出ています。通常、本業に専念していれば売上と利益の偏差値はキレイに相関するので、偏差値ギャップが出ることは好ましくありません。

【投資C/F】

投資C/Fは基本マイナスで徐々に右肩下がり(増額)になっているのが理想形なので、これはダメなパターンです。

基本マイナスになる筈の投資C/Fが5億円ぐらいプラスになっている2005.03の決算短信を確認したところ「国債の満期償還などによって投資有価証券の売却による収入が 22 億 61 百万円、有形固定 資産、無形固定資産の取得による支出が△16 億 81 百万円」とのこと。2005.03は業績が赤字になりそうだった訳ではないので投資が不十分な謎の状態です。

2011以前のジェットコースターのような変動は完全に謎でしたが、2012年以降はだいぶマシになった感があります。2013年3月に社長交代があったようなので、恐らくそれが原因だろうと考えられます。ただし、2012以降も業績が良い2019.03〜2021.03の間に投資シュリンクしているので、企業の成長能力について疑問が残ります。前任社長の下手な博打がトラウマになっているのかもしれません。

以上のことからスクエニ株に対する私の投資判断は、任天堂と同様「投資不適格」という結論になります。

【余談】

2005.03決算短信の「2. 経営方針」に「当社は、株主に対する利益還元を経営の重要政策の一つとして位置づけており、今後、既存事業の拡 大、新規事業の開拓等を目的とした設備投資や買収など、当社の企業価値を高めるための投資を優先し、そのための内部留保を確保します。」とあります。

またこのパターンか...それならそもそも公開株式市場に上場すべきではないと思います。ゲーム会社の人は公開株式市場をスコアアタック大会か何かと勘違いしているのでしょうか。ゲーム会社に限らずそういう企業は結構多い印象ですが、何故上場しているのか今一度しっかり考え直した方が良いと思います。上場維持するにも結構コストが掛かるので。

【まとめ】

P/Lを見る限り2015年以降は順調に成長をしているように見えるので、私の判断が的外れかもしれません。

私は、サラリーマン生活で貯めたケチなお金の使い道が無いから投資をしているだけの素人なので、的外れの可能性が高いと思います。だから既にスクエニに投資されている方は心配しなくて良いと思います。

「ドラクエやFFの続編が遊びたい」といった純粋な動機があればスクエニの株を買うのはアリで、それが金融の本質だと思っています。私の中ではドラクエは5、FFは6で完結していて、もう新作もリメイクも欲しいと思わないので、投資をする動機がありません。

【金融の本質】

株式投資とは単なるお金を使ったゲームですが、パチンコ、競馬、FXなどのギャンブルとは根本的に異なる点があります。

パチンコ等のギャンブルは勝っても負けても何も生産されません。単にお金が減ったり増えたりするのを楽しむだけの無意味なゲームです。しかし、株式投資は私の(使い道の無い)お金を有効に使ってすごく優秀な人達が頑張って何某かを生産してくれます。額面のキャピタルゲインや配当はその副産物に過ぎません。

私は商売が基本ヘタクソ...というか、儲けとかよりもフィロソフィーとかばかり重視してしまう傾向があるので、一応サラリーマン業とは別に商売(個人事業)もしてますが、個人事業ではサラリーマン業ほど儲かっていません。個人事業はむしろ儲からなくても良いと思いながらやっているので(資本主義の世界では)生産効率が悪い無能です。だから、商売は商売が得意なフレンズたちに頑張っていただく方が生産効率が良いと考えています。

ここ数日間、任天堂、バンナム、スクエニの業績分析をした結果、その3社の中ではバンナムが一番優秀そうに見えます。

ただし、バンナムの分析記事で投資適格の判断を下しながら「少なくとも現時点ではバンナム株は1株も持っていませんし、今の所買う予定もありません」と書いた根拠は、スクエニと同じく「株を買う動機が無いため」です。

単純に株でお金を儲けたいだけなら、バンナム株ならポートフォリオに組み込んでも良いと思います。(そして、トータルパフォーマンスだけなら個別株よりインデックスの投資信託やETFの方が良いと思います)

昔のnamcotのゲームは好きだったのですが、最近のゲームはバンナムに限らず魅力を感じません。(任天堂のゲームは別軸で魅力的ですが)

ゲームを卒業した訳ではなく、素人が個人制作してSteamとかで売られている同人ソフトとかは魅力的なものが一定数あるので、大人数のチームで工業的に作られたゲームよりも、1人か多くても3人(グラフィック、サウンド、プログラムに各1人)ぐらいで作られた「作家性が垣間見える作品」が好きなようです。

ただし、その路線ではビジネススケールが難しいのか商売向きではないらしいことは何となく理解しています。ですが、ゲームと違って漫画や小説などの作家性が垣間見えるものしか基本ヒットできない傾向が見られるコンテンツも存在するので、やり方次第では何とかなる気がしないでもないです。実際、Valve Corporation(ワシントン州)が運営するSteamはかなり上手くいっているらしいという噂をチラホラ聞きます。上場企業ではないので実態は不明ですが(参考)。しかし、日本の大半のゲーム企業はその方向を向いていないようです。

だから、ゲーム企業(株式会社)に投資しても、私が好きなタイプのゲームが作られることはないから「ゲーム企業の株は例え優良であっても買う予定はない」という結論に至ります。

バンナムの分析記事で「私が実際に売買をする時は主に定性的な論点でもっと煮詰めたレビューをします」と書いた「定性的な論点」というのがそこです。

例え評価損を抱えて何年間も塩漬けしたとしても「別に良いか」と思える銘柄に投資するのがベストで、業績評価等の定量的な論点での分析は、無能な企業の株を掴まないための単なる足切り手段です。

そして、資本を貸す以上は最低限のパフォーマンスは求めます。

IPO(公開市場への上場)をしている企業にも無能な企業は結構多いので、チェックは必須です。その一方、最低限のパフォーマスンスを出せる可能性がある最低限の足切りラインがIPOなので、IPOしていない企業の非公開株の第三者割当増資、私募ファンド、合同会社スキームなどは論外です。

2022年9月19日月曜日

業績分析: バンダイナムコHD

先日、任天堂の業績分析をしましたが、残念ながら私の投資スタイルとは合わない感じでした。業界トップの企業なら私の投資判断で「投資不適格」になる事は滅多に無いのですが、ゲーム業界はやはりヤクザな業界なのか...と思ったのですが、流石にそんなことは無いだろうと思って色々探してみたら、ちゃんと真っ当な企業もありました。

という訳で、私の投資判断OKなゲーム会社の例として、バンダイナムコHD(BNH)の業績分析の結果を記します。

【P/L分析】(2006.03〜2022.03)

理想的な(右肩上がりの)成長をしています。

また、売上+営業利益と経常利益+純利益が概ね相関関係にあるので「本業に専念している状態」だということが分かります。

敢えて気になる点を挙げるとすれば、以下2点です。

  1. 2006〜2010の期間が右肩下がり
  2. 2022.03の経営成績が売上+利益すべて偏差値70超え(偏差値60ぐらいの成長が理想的だがやや急激に業績が伸びている印象がある)

2007.03 決算短信で『当社グループは当期よりスタートいたしました3ヵ年の中期経営計画に基づき、「ポートフォリオ経営の強化・充実・拡大」を推進しております』とあり、その中期経営計画ではKPIとして売上高と営業利益の目標値が示されていました。

2008年目標は売上5500億円、営業利益580億円とのことでしたが、2008.03決算成績は売上4604億円、営業利益334億円なので大幅に未達です。1年ズレて2009.03決算成績なら売上4263億円、営業利益223億円でもっと未達です。

実のところKPI未達については大した問題ではなくて、未達の原因が「戦略ミスなのかどうか」が重要です。私はそもそも売上とか利益のKPI自体重視してなくて、極論ですが「戦略が妥当なら何なら短期的には利益が落ちてもOK」とすら考えています。

中期経営計画で示されている「ポートフォリオ経営の強化・充実・拡大」の目的は「市場構造変化、競争の激化等による経営リスクの増大への対応」とのことで、具体的には次の経営戦略と事業戦略を実行したようです。

  • 経営戦略
    • コーポレートガバナンスの強化
    • 人的資源の有効活用
    • 最適な経営体制の構築(組織再編、間接部門の集約化)
  • 事業戦略
    • エンターテイメント・ハブ構想
    • 海外事業の強化

経営戦略は特に気になるところはありません。コーポレートガバナンスは強化すべきだし、HRは有効活用すべきだし、間接部門は集約した方が良いに決まっています。(いわば「当たり前のことをやります」という内容だからOK)

事業戦略の「エンターテイメント・ハブ構想」とは、要約すると「コンテンツの創出から商品展開までの機能を持ちつつ事業領域の拡大を図る」とのことでした。これは特段問題無さそうですが、「海外事業の強化」が結果的に中期計画未達の原因になったものと考えられます。

海外事業の強化とは具体的には、2005年度時点で国内売上比率81.6%だったものを2008年度は75.1%にしようとしたようです。結果的にリーマン・ショック後の世界金融危機があり、2008年〜2012年頃の期間は記録的な円高水準だったので、計画通り海外売上比率を上げてしまった場合、数字が悪くなることになります。

ただし、日本は少子高齢化が進むことで玩具やゲームの販売が将来的にシュリンクしていくことが明白なので、コンテンツ産業全般の経営戦略として「海外事業の強化」は必須です。ドメスティックでしか戦えないコンテンツ企業は遅かれ確実に淘汰されます。また、円高の内に海外の設備投資を進めておけば円安のタイミングでの利幅が上がるので、金融危機の円高タイミングでの「海外事業の強化」は、ベストな戦略だったと私は評価します。

実際、円安がゴリゴリ進んでいる2023年Q1決算短信に「為替差益で儲かった」ということが書かれています。また、フロム・ソフトウェア(KADOKAWA傘下)と共同開発したELDEN RINGがヒットしたことなどが寄与したようです。ELDEN RINGの開発にどの程度関わったのかは不明ですが、海外販売をBNH傘下が担当していることから、海外におけるエンターテインメント・ハブ構想の商品展開機能が好走したものと考えられます。

つまり、2022年の決算が異常に良かった原因は「偶然儲かった(ギャンブルに勝った)」のではなく「前々から準備していたから儲かった(戦略上の勝利)」ということになります。

以上のことから、私のBNH投資判断は「投資してもOK」という評価になります。

なお、実際に私が投資するかどうかは別 & 株を買えば絶対儲かるというものではありません。少なくとも現時点ではバンナム株は1株も持っていませんし、今の所買う予定もありません。(私が実際に売買をする時は主に定性的な論点でもっと煮詰めたレビューをします)

【投資C/F分析】(2006.03〜2022.03)

投資C/F(一般的に設備投資など)の流れは、2011年までは投資抑制傾向でしたが2012年以降は緩やかに強化していることが分かります。

「投資C/Fをシュリンクさせている企業の株は下がるから買うな」という持論があるのですが、実際投資C/Fがシュリンクしている期間は業績も悪かった傾向が覗えます。シンプルに儲かってない(原資がない)から投資シュリンクしているのなら良いのですが、儲かっているのに投資シュリンクさせる企業は伸びる見込みが無いと考えています。

2012.03以降は投資C/Fを無理なくだんだん増やしていっており、業績も伸びているので、この点は特に問題無さそうです。

一点、2018.03に異常値を出している点が気になります。決算短信によると「主に有形・無形固定資産の取得による支出が48,243百万円(前期は14,821百万円)、投資有価証券の取得による支出が11,461百万円(前 期は2,946百万円)であったことによるもの」とのこと。

単なる自社ビル建設などでここまで高くなることは無いので若干謎です。

投資CFに入れているからオフィスではなく事業目的の不動産等だと考えられますが、三田にディズニーランド的な何かでも作ろうとしたのでしょうか?(参考: 東京ディズニーシーの総工費は3,350億とかなのでその規模ではないです)

2018Q1〜Q4の株主総会の質疑応答を見てもそれらしい質問をしている人が居ないっぽいのでよく分かりませんでした。普通、こういう異常値が出れば真っ先に株主に問い詰められる筈ですが、それが無いということは、400億ぐらい投資しててもおかしくない公知の事実があったのかもしれません。

【コーポレート・ガバナンス分析】

組織の統治機構について分析してみます...とはいえ、組織図とかの変化を見たりとか無駄なことはしません。組織の統治機構はトップのプロフィールを見ればだいたい分かるので、歴代の社長のプロフィールをザックリ確認します。

※敬称略 & 役職類は登記上影響のあると思しきもの以外とBNH代表取締役社長社長以降の経歴は省略します

  • 2021.04(川口勝)
    • 1960.11 生
    • 1983.03 駒澤大学経済学部経済学科卒
    • 1983.04 バンダイ入社
    • 2006.04 バンダイ取締役
    • 2015.08 バンダイ代表取締役社長
    • 2016.06 バンダイナムコHD取締役
    • 2021.04 バンダイナムコHD代表取締役社長
  • 2015.06(田口三昭)
    • 1958.06 生
    • 1982.03 明治大学法学部卒
    • 1982.04 バンダイ入社
    • 2003.06 バンダイ取締役
    • 2015.06 バンダイナムコHD代表取締役社長
  • 2009.04(石川祝男)
    • 1955.04 生
    • 1978.03 関西大学文学部ドイツ語学科卒
    • 1978.04 ナムコ入社
    • 1995.06 ナムコ取締役
    • 2002.05 NAMCO AMERICA INC 取締役会長
    • 2002.05 NAMCO EUROPE LTD 取締役会長
    • 2005.05 NAMCO HOLDINGS CORP 取締役社長
    • 2006.04 ナムコゲームス代表取締役社長
    • 2006.06 バンダイナムコHD取締役
    • 2009.04 バンダイナムコHD代表取締役社長
  • 2005.09(高須武男)
    • 1945.06 生
    • 1968.03 早稲田大学経済学部卒
    • 1968.04 三和銀行入行
    • 1996.04 バンダイ移籍
    • 1996.06 BANDAI HOLDINGS CORP代表取締役社長
    • 1997.06 バンダイ取締役
    • 1999.03 バンダイ代表取締役社長
    • 2000.09 バンダイネットワークス設立 取締役会長
    • 2000.12 トイカード代表取締役副社長
    • 2002.02 バンダイネットワークス代表取締役社長
    • 2005.06 バンダイ代表取締役会長
    • 2005.09 バンダイナムコHD設立 代表取締役社長

なるほど。

初代社長がバリバリの銀行マンだったんですね。ゲーム会社なのにずいぶん優秀な経営しているのはその為かもしれません。ちなみに、バンダイは元々三和系企業グループ(みどり会)で設立されたので、三和銀行→バンダイ移籍という流れだと思われます。

BNHはまだ(旧バンダイと旧中村製作所が合併してから)歴史が浅い企業ですが、社長はバリバリの現場叩き上げのようです。この統治タイプの企業としては日立製作所などがあります。(日立は実質初代の小平浪平さんの後釜以降は全員、大学卒業後即日立入所というバリバリの現場叩き上げ)

という訳で、私の分析ではBNHの組織の統治機構は「現場型」です。

(参考: 私の統治機構診断)

  • ワンマンタイプ
    • 同族型(跡継ぎが無能だと潰れるので長期視点ではリスキー)
    • カリスマ型(ちゃんと世代交代できれば存続可能性があるので一族経営型よりは安全なミドルリスク。組織としてトップマネジメントの後進育成をちゃんとしているかが重要)
  • バランスタイプ
    • 外部委託型(プロ経営者に経営をお任せするタイプで本来ローリスクな筈だが、カルロス・ゴーンのような有能なプロ経営者が逮捕されてしまうケースもあったので日本の組織向きではないかもしれない)
    • 現場型(現場叩き上げがトップになるタイプで、日本の伝統的な組織ではこのタイプが多い。日立製作所のようにグローバルで戦える企業もあるので、日本の組織とは最も相性が良いのがこのタイプだと考えられる)

ワンマンタイプは、基本的に組織統治がメチャクチャなケースが多いので、業績を見て「この企業良いな」と思っても、このタイプに属する企業は基本的にハイリスク(伸び代はあるが存続しにくい)と判断します。投資しない訳ではなく、短期・中期でのキャピタルゲインは狙いやすいので、短期投資銘柄(投機に近い)としては悪くないと思われます。

たいだいの企業の中期経営計画は3年単位なので、社長任期は長くても3年2期(6年)、短ければ3年で次世代にバトンタッチするのが現場型の理想形で、二代目の石川さんと三代目の田口さんがジャスト6年なので妥当です。

ちなみに、目安として10年以上トップが世代交代できていない組織は、専制君主制(カリスマ型)に移行したものと判断できます。

【リスク分析】

  1. 直近の決算数値が良すぎるので短期 or 中期的には反動減があるかもしれない。(単なるテクニカルなので根拠は無いです)
  2. 円安で儲かるということは急激に円高に振れると減収減益リスクがありそう。(円安進行が急だったので円高に振れる時もフラクラ後急に進むではないかというテクニカル上の懸念)
  3. 私の株式取引は基本長期保有が前提です(組み換えならします)が、長期保有の前提で考えると配当利回りが低い。(配当ではなく株価で複利が付く方が税制面で有利なので、必ずしも配当利回りが低いから投資しない訳ではないですが)
  4. 過去の決算短信をななめ読みした限りガンダムに関する報告割合(ガンダム頼み?)が体感的に多い気がした。また、2023Q1も他社コンテンツの海外販売代理業務で儲かっているだけだから結果的に利幅が少ない筈。エンターテイメント・ハブ構想の要点であるコンテンツ創出が弱いかもしれない。(この辺はバンダイ系よりもナムコ系の強みか?)
【総括】

私の投資判断基準だと、任天堂は投資NGですがバンナムは投資OKということになります。ただし、コレは飽くまでも公示情報を確認した限りでの私の単なる感想であって、株の売買を勧めている訳ではありません。

株の売買判断は自己責任で。

ちなみに、私はバンナム株は持っていない(というかゲーム業界には詳しくないので、ゲーム業界の株にそもそも手を出したことがない)です。

合理的ではないものを作りたい

ここ最近、実機版の東方VGSの開発が忙しくて、東方VGSの曲追加が滞っています。 東方VGS(実機版)のデザインを作りながら検討中。基本レトロUIベースですがシークバーはモダンに倣おうかな…とか pic.twitter.com/YOYprlDsYD — SUZUKI PLAN (...