来月(2022.10)任天堂の株が31年ぶりに分割されます。という訳で「安くなるなら買おうかな?」と思っている方向けに任天堂の業績を分析してみました。
株式の売買を勧めている訳ではなく、任天堂の株なら興味あるけど株ってよく分からない >< という方の売買判断の一助になればと思い書いてみました。
【データ】
【経営分析】
1999年〜2022年までの売上、営業利益、経常利益、当期純利益の偏差値をグラフ化してみます。
経営上プラスのインパクトがある商品をだいたい10年スパンでリリースしていることが、経営成績にハッキリ現れています。(株の買い時はちょうど2005年、2015年でした...買ってないけど)
【参考】(12月末日の株価終値)
- 1999: ¥16,830
- 2000: ¥18,250
- 2001: ¥22,700
- 2002: ¥11,050
- 2003: ¥10,060
- 2004: ¥12,780
- 2005: ¥14,290(買いシグナル)
- 2006: ¥30,900
- 2007: ¥66,500(ピークアウト)
- 2008: ¥33,750
- 2009: ¥22,190
- 2010: ¥23,820
- 2011: ¥10,540
- 2012: ¥9,070
- 2013: ¥14,010
- 2014: ¥12,605
- 2015: ¥16,755(買いシグナル)
- 2016: ¥24,540
- 2017: ¥41,190
- 2018: ¥29,285
- 2019: ¥43,970
- 2020: ¥65,830(ピークアウト)
- 2021: ¥53,650
理想的には偏差値が右肩上がりになっている状態で、前回の暗黒時代末期(2015年)から現在までの短いスパンで見ると右肩上がりではありますが、2021年→2022年で若干ダウンしているので、テクニカル的な視点では今は買うのを少し警戒するタイミングです。
ただし、前回のヒット(DS+Wii)と今回のヒット(Switch)では利益構造が異なることに注目すべきかもしれません。売上、営業利益、経常利益、当期純利益の偏差値の並び順がキレイに逆転してます。
- 【DS+Wii】売上 > 営業利益 > 経常利益 > 当期純利益
- 【Switch】当期純利益 > 経常利益 > 営業利益 > 売上
2021年3月期と2022年3月期の偏差値低下の具合を見ても、売上と営業利益の低下と比べて経常利益と当期純利益の低下が緩やかです。
【財務&投資】
任天堂は無借金経営をしていることで有名ですね。
実際過去の決算短信で、「当社は、会社の成長に必要な設備投資等を内部留保資金でまかなうことを原則とし、将来経営環境の急激な変化への対応や競争に勝ち抜くため、財務面での健全性を維持しつつ、株主の皆様への 直接的な利益還元については、安定した配当を継続しながら、各期の利益水準や配当性向をも勘案 して実施することを基本方針としています。」と説明されていました。(いつの頃からか書かれなくなりましたが)
という訳で、現金残高と投資CFの推移を見てみます。
投資CFがプラスの年がチラホラありますね。財テクかな?と思って決算短信をチェックしたところ、有価証券の満期償還による利益とのことでした。つまり、財テクですね。
本業の投資(設備投資、開発投資)と財テクは分離して欲しいです...
ちょくちょく財テクで稼げているおかげで営業利益が赤字でも当期純利益が黒字という年もあったので、投資ファンドとしても優秀な側面があるようです。
その財テクのノイズで本業のお金の流れが少し分かり難くなっていますが、2020年3月期と2021年3月期に大きめの投資CFが発生していて、2022年3月期に収束していることから、新しいゲーム機の開発中ですかね...過去の投資CFの流れと比較してみると、3DSが発売される5年前の投資CFの動きと似ている気がするので、この新作ゲーム機(?)の発売は2025年ぐらいかな?と予測してます。
過去のゲーム機の開発投資期間を3〜5年程度と予測すると概ね、
- DSとWii: 無理の無い範囲で予算を投じて開発(メガヒット)
- 3DSとWiiU: ガッツリ予算を投じて開発(ヒットせず)
- Switch: そこそこの予算を投じて開発(ヒット ※Wiiほどではない)
というように見えます。
2008年に約1兆円あったキャッシュ残高は、2016年には2500億円近くまで減少しています。つまり、だいたい年1000億円ぐらいづつライフが削られる計算なので、Switchがヒットできなかったら(潰れないにしても)無借金経営を維持できず、お金を持っている外資(Appleとか?)の傘下になるなど、大きく状況が変わっていたかもしれません。
とりあえず、今は1兆円キープできているので、10年ぐらいは戦える余力がありそうです。
10年でプロダクト・アウトが成功すればセーフ、できなければアウト。
仮に任天堂の株を買う場合、「ギャンブル要素が高い」ということを念頭に入れ、一点買いは避けたほうが良いかもというのが私見です。
...というより、無借金経営できる体力がある(=外部からの資金調達が不要)なら、そもそも上場すべきではないと私は思っていて、何で上場しているのか昔から謎だったのもあって少し調べてみたのですが、結局謎は謎のままでした。
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