2022年4月30日土曜日

キャプテン・ムラサ(東方VGS)

  東方VGSで「東方星蓮船」より村紗水蜜のテーマ「キャプテン・ムラサ」を配信しました。(Pull Request

原曲はコチラ(Apple Music)

【元ネタ確認】

前回配信した幽霊客船の時空を越えた旅の記事でも触れましたが、隠岐の島(島根県)に伝わる民話「船幽霊ムラサ」が元ネタです。

村紗水蜜(むらさみなみつ)は、海難事故で亡くなった人間の幽霊で、地縛霊となって船を沈没させていたら妖怪化、その後なんやかやあって白蓮に拾われて聖輦船の船長を務めるようになったものの、聖輦船は自動運転なのでほぼ仕事が無いようです。(参考

原作者様コメント

村紗 水蜜のテーマです。

よく沈没することで有名な舟幽霊の船長です。

曲はキャプテンってイメージで作ったので、無駄に格好良いです。
しかしみんなムラサって呼ぶけど、ムラサのは妖怪の名前なので実は名前で呼ばれていないというオチが。

てっきり「ムラサ」という名前だと思ってました。

以下、楽曲の解説です。

【全体構成】

  • 2-9構成
    • i→A→B→A'→B'→v1→v2→v3→v4
      • V1〜V4はAの変奏
      • Phase
        • i: イントロ
        • A-B: 主題提示
        • A'-B': 変化主題提示
        • v1-v4: A変奏
        • 変奏の間、ムラサが定期的に柄杓で水を掛けてきます
  • テンポ: 160
  • 拍子: 4/4
  • 主調: ニ短調(D-Moll)

【i】(1〜4小節)

メインテーマ(A)の原型となるモチーフを提示します。

この曲は、このモチーフをバリエーション(変奏曲)のように変化を加えながら全体を構成しています。

※ベースは少しアレンジしてます

上図では「Trumpet」としてますが正しくは Reed Romance かな?(SD-90は持ってないので分かりません。まぁ、大きな括りでリード楽器ということで^^;)

【A】(5〜20小節)

iの展開を2回繰り返します。

(5〜8小節 & 13〜16小節)

※3段目はピアノです

(9〜12小節 & 17〜20小節)

【B】(21〜28小節)

(21〜24小節)

(25〜28小節)

ここで、ニ短調からヘ短調に転調(+3)します。

上図ですが、最後の1/2小節のパッセージが少し間違っていて、E♭をE♮(ハーモニックマイナースケール)にするのが正しいです。

【A'】(29〜44小節)

(29〜32小節 & 33〜36小節)

ここで、ヘ短調からホ短調に転調(-1)して、Aをピアノとベースのみで2回繰り返します。

ピアノは若干Aから展開してます。

  • 1oct高い
  • 最後の三連符がアルペジオになっている

Aではサブメロディー的に鳴っていたピアノが前面に出される形ですね。

(37〜44小節)

前8小節と同じピアノとベースに下図のリードを重ねます。

【B'】(45〜52小節)

ト短調 & メロディーをリード楽器に変更&気持ちリズムを変化させた状態のBを演奏します。

(45〜48小節)

(49〜52小節)

ここで、ホ短調からト短調に転調(+3)します。

最後の1/2小節で転調(-3)してホ短調(またはト長調)になります。

【v1】(53〜60小節)

Aのリード楽器をピアノ(伴奏)にして、リードでメロディーを演奏します。

調性はホ短調です。

(53〜56小節)

(57〜60小節)

※60小節目はハーモニックマイナースケールです

2小節に1回のタイミングで定期的に柄杓で水を掛けてくるような効果音が入ります。

【v2】(61〜68小節)

  • メロディーが若干変化
  • 16ビートのゴースト・ノート追加
  • ピアノのピッチが若干変化(メロディーと重ならないように)

(61〜64小節)

(65〜68小節)

VGSではゴースト・ノートをキレイに入れられなかったので省略してます...

【v3】(69〜76小節)

  • メロディーがユニオンに変化(下図楽譜では省略)
  • ベースが5度の8ビート
  • 柄杓で水を投げる頻度が2小節間隔から1小節間隔にスピードアップ

(69〜72小節)

(73〜76小節)

【v4/Coda】(77〜84小節)

  • メロディーに高音の対旋律追加

(77〜80小節)

(81〜84小節)


2022年4月28日木曜日

幽霊客船の時空を越えた旅(東方VGS)

 東方VGSで「東方星蓮船」より4面のテーマ「幽霊客船の時空を越えた旅」を配信しました。(Pull Request

原曲はコチラ(Apple Music)

【元ネタ確認】

幽霊客船はゲームの舞台「聖輦船(せいれんせん)」のことを指しますが、その元ネタは隠岐の島(島根県)に伝わる民話「船幽霊ムラサ」とのことです。(参考

隠岐の島はまだ行ったことがないので聖地巡礼行きたいなぁ...

聖輦船は時空を越えて魔界へ向かっているようですが、「時空を越える船」といえばフィラデルフィア実験(フィラデルフィア計画)ですね。

フィラデルフィア実験とは、ニコラ・テスラ(電気自動車で有名なテスラの社名の元ネタとなった天才科学者)が考案した軍艦を透明化する実験のことで、巨大駆逐艦エルドリッジ号が透明化に成功したのかと思いきや、一瞬で470kmもワープしたとのことです。(参考

(((( ;゚Д゚)))

少し古いですが、これを題材にした「フィラデルフィア・エクスペリメント」という映画があります。

実用化されれば、東京から大阪まで秒で行けちゃいますね。

仮に秒速470kmなら、東京から地球の裏側のサンパウロまで1分も掛からずに駆逐艦サイズの大型貨物の輸送が可能になります。

人間用の乗り物としての実用性はよく分かりませんが、物流の世界には革命が起こることは間違いありません...なお、フィラデルフィア実験の公式な記録はないので捏造が疑われています。(参考

原作者様コメント

4面BGMです。

旅って良いですよね。乗り物に乗っている時が一番ワクワクする。
例えそれが、よく沈没することで有名な幽霊船長の船だとしても。
この曲は出来るだけ期待と不安が入り交じった、ワクワク感を出してみました。

すごく分かりみ...

私は電車に乗るのが好きなので、以前、北海道旅行へ行った時に宗谷本線で稚内から旭川まで行く工程(4時間ぐらい)を組み込んだりしてみました。

日本最北端のヒロシゲ

ヒロシゲ感がある車内の様子

以下、楽曲の解説です。

【全体構成】

  • 4-8構成
    • i→A→B→A'→C→A''→B'→C'
  • 主調: ヘ短調(F-Moll)
  • テンポ: 145(一部137, 142)
  • 4/4拍子

【i】(2〜5小節 / F-Moll / tempo 145)

短いイントロ的なフレーズです。(この前に1/4小節のタムが入ってます)

ここで、全体の主題となる1小節単位のモチーフを4小節で展開しながら演奏します。

1〜2小節ではD♭とA♭の音が無いので当初「1〜2小節はヘ長調(F-Dur)で3〜4小節は同主調転調(+3)してヘ短調(F-Moll)かな?」と思いましたが、E♮はハーモニックマイナースケールで最初からずっとF-Mollと解釈しました。

この解釈が多分普通なんですが、ここまで星蓮船の曲は全般的にゴリゴリに転調しまくっているので感覚が狂いつつありますw(※この曲はあまり転調しないタイプです)

【A】(6〜9小節 / F-Moll / tempo 145)

最初2小節は低音のみで、次の2小節で高音(ユニオン)が加わる形です。

半音階の経過音が含まれていますね。

【B】(10〜25小節 / F-Moll / tempo 145)

ピアノとベースで楽しげに奏でます。

Ph.1(10〜13小節)

所々、半音階進行や経過音などでEとDが♮になってますが、転調とかはしていないようです。

12小節目からお囃子のような音も入って楽しげ。

Ph.2(14〜17小節)

ベースのパターンはPh.1と同じです。

Ph.3(18〜21小節)

ピアノとベースはPh.1と同じですがお囃子のパターンが異なります。

Ph.4(22〜25小節目)

ベースはPh.1と同じで、これでパートフィニッシュです。

【A'】(26〜33小節 / F-Moll / tempo 145)

Aを展開して演奏します。

32〜33小節目から次パート(C)に繋がるピアノの旋律が加わります。

【C】(34〜49小節 / F-Moll / tempo 137〜145)

ピアノでカデンツァのような即興的な旋律をテンポを137に落として演奏します。

Ph.1(34〜37小節, t=137)

美しいです。

そして音が高いのでスコアが少し見切れてます ><

Ph.2(38〜41小節, t=137)

ベースはPh.1と同じです。

Ph.3(42〜45小節, t=142)

ここで、少しテンポを上げて142で演奏します。

ベースはPh.1と同じです。

Ph.4(46〜49小節, t=142~145)

46〜47小節はテンポ142, 48〜49はテンポ145(a tempo)です。

48小節目からのストレッタのようなところのリード楽器(2段目)ですが、Ph.1の4〜5小節がフェードインする形で入ります。

48小節目のピアノですが、上図の楽譜は少し間違っているのですが、楽譜だと分かり難いですね...ピアノロールだとこんな感じです。

余談ですが、基本的に普段はピアノロールしか使って無くて、楽曲解説するようになって初めてLogicのスコア表示機能が役に立ったのですが、スコア機能があるとミスノートが拾い易くて良い感じです。

一番良いのはPC-98版レコンポーザのステップ入力だと思いますが。

【A''】(50〜53小節 / D-Moll / tempo 143〜145)

ここで同主調転調(-3)してニ短調(D-Moll)になります。(ここから魔界突入?)

最初の2小節はテンポ143、後半2小節はテンポ145(a tempo) です。

調性以外にもユニオンの加わり方がAと若干異なります。

【B'】(54〜69小節 / D-Moll / tempo 145)

メイン楽器がピアノからリードに変わった状態 & ニ短調でBを演奏します。

リードパートは若干ピアノからメロディーの細かい変化があり、また、最後のカデンツは次のパートへ2小節ほど食い込みます。

上図はこのパート全体のリード譜面で、緑のマーカ部分がパート境界です。

【C'】Coda(70〜85小節 / D-Moll / tempo 145)

再びカデンツァです。

前半が少し最初と異なりますが、すごく小さな音でフェードインしてくるので正確にコピーできている自信がありません...

途中、結構絶妙なタイミング(上図の警告マーク箇所)で「スポッ!」というWindows XPのポップアップ音が入りますが、これはレコーディング時のミスのようです。(IRCかな?)

MTRなどの録音用の機材を使わずSD-90から普通にデスクトップ録音していたんですね^^;

ちなみに、VGS版をYouTubeへ投稿する時の動画は、普通にiPhoneの画面収録で録画したものをバッチ処理で特定範囲をクロップしたりタイトルを追加して作っているのですが、ほぼノーチェックで投稿しているので、ウッカリ通知音が混入したまま投稿する事故が起こるかもしれません。

2022年4月25日月曜日

「時代親父とハイカラ少女」を配信しました

東方VGSで「東方星蓮船」より雲居一輪&雲山のテーマ「時代親父とハイカラ少女」を配信しました。(Pull Request

原曲はコチラ(Apple Music)

【元ネタ確認】

時代親父(雲山)とハイカラ少女(雲居一輪)のテーマということで、東方Projectではかなり珍しい男性キャラクターを含むテーマ曲です。旧作後〜星蓮船の時点では森近霖之助以来、史上2人目のイラスト付き男性キャラクターとのことです。妖怪の性別は不詳かもしれませんが、公式に「親父」という男性名詞が付けられているので、男性という解釈で良いかと思います。

雲山は見越入道という妖怪が元ネタで、人間だった頃の一輪となんやかやあり、天寿を全う後に妖怪化した一輪とコンビで行動するようになったとのことです。(参考: ニコニコ大百科

原作者様コメント

雲居 一輪&雲山のテーマです。

楽しいキャラだったので、曲も楽しげで古くさい感じにしました。

馬鹿っぽかったり、時折センチになったり素敵です。

雲山は雲で出来ていますので、同時に二人以上出てきても同時に

腕が四本出てきても気にする必要はありません。眼力フラッシュ!

完全に天津飯w

天津飯良いですね。歪みない理想の男性像。ちなみに個人的に好きな天津飯の必殺技は排球拳です。(Dr.スランプ感がある)

この曲の表題の「時代親父」については容易に理解できるのですが、もうひとつの「ハイカラ」については完全にノーヒントなので「どの辺がハイカラ?」と長年謎でした。今回、楽曲を解析してみてようやくその意図が分かったような気がします。

ちなみに、ハイカラ(High Collar)は直訳すると「襟が高い(服)」という意味で、まだ着物文化だった明治時代頃の日本で洋服を着ているお洒落な人を指す言葉でしたが、洋服が当たり前になった現代では死語になったとのことです。ただし、ここ最近襟付きの服を着る機会が全く無くなったので、一周回って現代でもお洒落な人を指す言葉として通じるかもしれません。

以下、楽曲の解説です。

【全体構成】

  • 4-7構成
    • 4つのモチーフを7パートで構成
    • A→B→A'→B'→C→D→A''
    • ループ基点はB
    • モチーフの解釈についての補足
      • 便宜上4としています(ミニマムでは多分2)
  • 主調: ロ短調(H-Moll)
  • テンポ: 168
  • 拍子: 4/4
【A】(H-Moll→A-Moll→H-Dur)

4小節の短いフレーズです。

メインメロディーはリード系楽器で次のように演奏しています。

以下のように転調してます:

  • 1小節目: ロ短調
  • 2小節目: イ短調(短7度転調: -2)
  • 3〜4小節目: ロ長調(長7度転調: -1)

短7度転調は曲が盛り下がる効果があるため、使われる事が珍しい転調とのことです。有名どころではドラゴンボールZの初代オープンニング(CHA-LA-HEAD-CHA-LA)のサビに入る時に使われているようです。Apple Musicで確認してみましたが、音の響きだけ注意深く聴くと確かに盛り下がっていますね。(歌込みだと胸がパチパチするほどスパーキン!な展開なので気付き難いですがw)

長7度転調は、曲のトーンが下がる効果がある転調ですが、ここで長調になっているのであまりそういう風には聴こえないかもしれません。

3小節目からピアノのパッセージが入ります。

ベースはこんな感じです。

あとは、歪んだギター音が鳴ってますね。

ディストーションの聴音は相変わらず苦手です^^;

今回の曲はメイン(雲山)とサブ(一輪)の絡みが重要だから各2ch割り当てる必要があって、そして絶対に外すことが出来ないベース1chとドラム1chでチャンネルがカツカツなので、大半のギターパートは省略している所が多いです。

VGSの音源特性でD.GT音の再現が難しいという事情もあって、D.GTは普通のポップスだと割と主役級のポジションですが、VGSでは一番不遇な楽器かもしれません。稀に奇跡的に上手く入れられることもあったりしますが。(直近で上手く入れることが出来たと思っているのは地霊殿のラストリモート)

【B】(H-Dur→G-Moll→Haikara→F#-Moll→F#-Dur)

このパートの解説はかなり長くなるので、以下4小節毎に分けて解説します。

(1 of 4 / 5〜8小節)

前パートから引き続きロ長調で2小節単位のモチーフを提示します。

リードがメインメロディーでピアノがサブメロディーのようです。イメージ的にはメインが雲山、サブが一輪っぽさが感じられます。

初っ端からピアノの発狂具合が良い感じだったので、内声パッセージを加えるなどしたアレンジを少しだけ入れてみました。

(2 of 4 / 9〜12小節)

半音下(-1)のト短調に転調してモチーフを展開します。

最後の1小節(12小節目)は転調しているようなしていないような...

B♭が♮でAが♭になっているように見えます。(下り音階かな?)

上記の音階に一致する調(BがHになっている♭付きの調)は存在しません。

なので、これは転調ではなくスケール(音階)の変化だと考えられますが、Wikipediaの音階のページの音度記号(スケールディグリー)で表記すると「1 ♭2 #3 4 5 6 7」です...何だコレw

そもそも、私は音階に精通している訳ではないです(普通に長音階、短音階、和声的音階、旋律的音階、ブルーノートスケール、ニロ抜きなどの基本的なヤツしか知らないです)が、♭と#が同時に入るスケールは多分無いと思うので、恐らく楽典的な解釈が出来ない音階だと思われます。なるほど、すごくハイカラだw

こういう楽典的な解釈が出来ないケースに遭遇した時は、シンプルに耳コピがミスっているというオチが多かったりするので、このパートは普段よりも丁寧に繰り返し聴いたのですが、どうやらコピーミスではなさそうです。

ただし、自分の聴音力に絶対の信頼を寄せている訳ではない(^^;)ので、ニコニコ動画にアップされている猛者達の耳コピも幾つかチェックさせて頂いたのですが、(細部の違いはありましたが)少なくとも B♮ & A♭ の部分は合っているようです。

マイナー・スケールとして見ると規則性が一見分かり難いですが、メジャー・スケールとして見ると、先頭(1st)が#、末尾(7th)が♭になっているので、スケールサイズが全音1つ分小さい形になります。

メジャー・スケールのディグリー表記は「#1 2 3 4 5 6 b7」ですね。

ハ長調なら「ド# レ ミ ファ ソ ラ シ♭」です。

音の響きとして不自然ではなく、独特なエキゾチックな響きがあるスケールなので、実は既に存在するスケールなのかもしれませんが、その辺の知識が無いので ハイカラ短音階(Haikara Minor Scale)と呼ぶことにします。

華のさかづき大江山でも似たようなスケールがあったかも?記憶力には結構自信がある方だと過信してましたが、ちゃんと文書に記錄しておかないとダメですね...

念の為、Twitterで情報を求めてみました

あ...今ツイッター見返して気づいたのですが、ツイッターで呟いた当時、この次の4小節では増4度転調(+6)をして嬰ハ短調になると思っていたのですが、よくよく耳コピを進めてみたら # が1つ少なかったので、半音下転調(-1)して嬰ヘ短調でした...お恥ずかしい><(それでも私はTwitterには編集機能は要らない派です)

(3 of 4 / 13〜16小節)

嬰ヘ短調で同モチーフを更に展開します。

(4 of 4 / 17〜20小節)

引き続き嬰ヘ短調でフィニッシュ。

最後の20小節目の後半1/2拍は3の音(A)が#になっているので、短3度上(+3)の同主調転調で嬰ヘ長調になっています。

【A'】(H-Moll→A-Moll→H-Dur)

  • Bパートのリード音の続き(B=嬰ヘ長調のサブドミナント)をフェルマータ
  • 上記1点以外はAと全く同じ

【B'】(H-Dur→G-Moll→Haikara→F#-Moll→D#-Moll

最後の1小節(40小節目)以外はBと全く同じです。

40小節目は最初から嬰ニ短調(※嬰ヘ長調ではない)の半終止(ドミナント)になります。

【C】(H-Moll)

ここから曲の雰囲気がガラリと若干変わります。

まず、ピアノのアルペジオとベース(とギター)の和音で前半8小節(41〜48小節)で(ただならぬ雰囲気が漂わせながら)演奏します。8小節目からリードのメロディーが入ります。とてもハラハラする展開な気がします。

このアルペジオはC後半/Dパートで展開されるモチーフ(メインテーマ)の原型になっています。

この曲では、ピアノフレーズは全般的に一輪をイメージしていると思われるので、その点を踏まえて少し深読みして解釈すると、このパートでは元々人間だった一輪が怪異化していく過程(回想)を表現しているのかもしれません。

次の8小節(49〜56小節)では、前半で提示したアルペジオを展開したリードとピアノのメロディーを演奏します。


「この部分のピアノはもっとヒステリックなイメージではないか?」と、いつものように魔が差してしまったので、VGS版ではピアノ部分を少しだけ超絶技巧にしてみました。

以下、VGS版のピアノ譜です。

【D】(H-Moll)

引き続きロ短調で展開主題を演奏します。

最初の8小節(57〜64小節)は、単音で次のような形です。

次の7小節(65〜71小節)は、高音のサブメロディーが加わります。

したたかにシンコペーションしている楽譜だと、Logicが良い感じに譜面出力してくれないので、若干手書き修正してます^^;

カデンツは次のA''パートに重ねる形になります。

【A''】

  • Dパートのリード音の続き(H=ロ短調のトニック)をフェルマータ
  • 上記1点以外はAと全く同じ


2022年4月20日水曜日

「スカイルーイン」を配信しました(東方VGS)

東方VGSで「東方星蓮船」より3面のテーマ「スカイルーイン」を配信しました。(Pull Request

原曲はコチラ(Apple Music)

【元ネタ確認】

Sky Ruins = 空の遺跡・・・ラピュタかな?

原作者様コメント

3面のテーマです。

軽快さを失わずに、ちょっと謎めいた雰囲気を出してみました。

空中に浮かぶといえばやはりラピュタですが――のくだりは、もうやりましたね。

では廃墟といえば……やはりラピュ

やはり、ラピュタw

全然関係ありませんがジブリ繋がりで、以前とある施設のトイレで宮崎駿先生とエンカウントしたことがあります。私はどんな有名人を見ても無反応を装いますが、この時ばかりは感激を抑えるのに苦労しました。(もちろん、無反応を装いました)

以下、楽曲の解説です。

【全体構成】

  • 構成: 4-8構成
    • 4つのモチーフ(A/B/C/D)を8パートで構成
    • A, B, C, A', D, B', C', A''
    • メインテーマ: C
  • テンポ: 基本156(Dのみ152, 154, 156)
  • 拍子: 4/4
  • 主調: ホ短調(#が1つ)

【A】part 1(テンポ156/E-Moll)

まず、3小節の短いフレーズ(第1モチーフ)をピアノで提示します。

4小節目からがループ基点になります。

上図モチーフを展開した2セット(下りと上り)のモチーフを2回繰り返し、1回目の終わり(7小節目の4拍目)からリードが加わります。

8〜11小節目(2回目)は、上記と同じ楽譜をピアノとリードのユニオンで演奏します。

【B】part 2(テンポ156/E-Moll→D#-Moll)

リード楽器で第2モチーフを演奏します。

13小節目の最後1/4拍から15小節目まで半音下転調(-1)して嬰ニ短調(#が6つ)になります。

16小節目から再びホ短調に復帰(+1)して、同モチーフの展開を演奏します。最初と同様、17小節の4拍目から半音下転調(-1)して、最後にパートCへの繋ぎが入ります。

今回の例によって、ニコニコ動画やYouTubeにアップされている耳コピ動画の幾つかとクロスチェック(答え合わせ)をさせて頂いたのですが、Cパートへの繋ぎを上記(高音: BA#>C#)のようにしていない方が多かったかも?(多分、高音: G#A#B>C#派が優勢)

この部分は、(初見でBA#>C#と聴こえたというのも勿論ありますが)Cパートのモチーフと形状を合わせた方がキレイに繋がると思ったので、例によって自前の耳コピの方を採用しました...が、相変わらず自分の耳コピには自信がありません^^;(deCoda買った方が良いかなぁ...)

【C】part 3(テンポ156/D#-Moll)

嬰ニ短調でこの曲のメインテーマ(第3モチーフ)を演奏します。

楽器はリード楽器(高音2音)とピアノ(低音1音)のユニオンです。

この第3モチーフですが、第2モチーフの展開という解釈でも良いかも?

【A'】part 4(テンポ156/G#-Moll)

前パート(B)からサブドミナント転調(+5)した嬰ト短調(#が5つ)でAを演奏します。

その他の細かい変更点としては、メロディーの最初の1音だけが装飾音に変わっています。

その他の違いは...多分無いかなと思います。(この辺の判断にはあまり自信無いので、変化した感を強調するようにVGS版では軽いアレンジを入れて誤魔化しておきました^^;)

【D】part 5(テンポ152〜156/G#-Moll)

このパートは前半8小節と後半8小節に分けて解説します。

(前半8小節)

前パートから引き続き嬰ト短調のまま、リードでカデンツァのような即興的なフレーズを演奏します。

本パートのピアノ伴奏(※下図を2回繰り返す)は、以下のような形です。この伴奏が後半の主題になります。

※ロジックの譜面出力の仕様で高音が4分音符になってますが8分音符です

前半のベース(※下図を2回繰り返す)は裏拍のみ演奏しているジャジーな感じになっていて、とてもカッコイイです。実際にベースで演奏する時は表拍をゴースト・ノートにするとソレっぽくなると思います。

(後半8小節)

リードとピアノで前半のピアノ伴奏を演奏します。ただし、リード部分は低音部分が前半のピアノと若干異なります。また、最後の54小節目で次パート(B')への繋ぎが入ります。

ベースは前半と同じです。

(テンポについて)

更にこのパートではテンポが若干揺らいでいて、次のように変化しています。

  • 39〜40小節目 = テンポ152
  • 41〜46小節目 = テンポ154
  • 47〜50小節目 = テンポ152
  • 51〜54小節目 = テンポ156

メロディーがシンコペーションしてるので正確なテンポを拾えているかは若干自信ないです。

【B'】part 6(テンポ156/C#-Moll→C-Moll)

  • 前パートからサブドミナント転調(+5)した嬰ハ短調(#が4つ)に転調します
  • Bパート同様、途中で半音下転調(-1)してハ短調(♭が3つ)に転調します
  • Bパートを短3度下転調(-3)した形なので、Bよりもやや暗め(Bが廃墟外 → Dで廃墟内に進む → B'が廃墟内...というイメージかなと思われます)

【C'/Coda】part 7(テンポ156/C-Moll)

  • 前パートの終わりと同じ調(ハ短調)でCと同じフレーズを2回演奏します
  • Cパートを短3度下転調(-3)した形
  • 2回目の演奏時に発狂ピアノ追加

【A''】part 8(テンポ156/F-Moll)

このパートは、ハ短調からそのまま主調(ホ短調)にループした場合、+4の転調(長三度転調)で不自然な響きになってしまうので、繋ぎ用のパートですね。

  • 前パートからサブドミナント転調(+5)したヘ短調(♭4つ)で、Aの最初の7小節を演奏します(Aの最初の7小節を半音(+1)高い状態です)
  • ドラムが若干荒ぶっています
  • 7小節演奏後、半音下転調(-1)してAの4小節目にループします


合理的ではないものを作りたい

ここ最近、実機版の東方VGSの開発が忙しくて、東方VGSの曲追加が滞っています。 東方VGS(実機版)のデザインを作りながら検討中。基本レトロUIベースですがシークバーはモダンに倣おうかな…とか pic.twitter.com/YOYprlDsYD — SUZUKI PLAN (...