2022年4月25日月曜日

「時代親父とハイカラ少女」を配信しました

東方VGSで「東方星蓮船」より雲居一輪&雲山のテーマ「時代親父とハイカラ少女」を配信しました。(Pull Request

原曲はコチラ(Apple Music)

【元ネタ確認】

時代親父(雲山)とハイカラ少女(雲居一輪)のテーマということで、東方Projectではかなり珍しい男性キャラクターを含むテーマ曲です。旧作後〜星蓮船の時点では森近霖之助以来、史上2人目のイラスト付き男性キャラクターとのことです。妖怪の性別は不詳かもしれませんが、公式に「親父」という男性名詞が付けられているので、男性という解釈で良いかと思います。

雲山は見越入道という妖怪が元ネタで、人間だった頃の一輪となんやかやあり、天寿を全う後に妖怪化した一輪とコンビで行動するようになったとのことです。(参考: ニコニコ大百科

原作者様コメント

雲居 一輪&雲山のテーマです。

楽しいキャラだったので、曲も楽しげで古くさい感じにしました。

馬鹿っぽかったり、時折センチになったり素敵です。

雲山は雲で出来ていますので、同時に二人以上出てきても同時に

腕が四本出てきても気にする必要はありません。眼力フラッシュ!

完全に天津飯w

天津飯良いですね。歪みない理想の男性像。ちなみに個人的に好きな天津飯の必殺技は排球拳です。(Dr.スランプ感がある)

この曲の表題の「時代親父」については容易に理解できるのですが、もうひとつの「ハイカラ」については完全にノーヒントなので「どの辺がハイカラ?」と長年謎でした。今回、楽曲を解析してみてようやくその意図が分かったような気がします。

ちなみに、ハイカラ(High Collar)は直訳すると「襟が高い(服)」という意味で、まだ着物文化だった明治時代頃の日本で洋服を着ているお洒落な人を指す言葉でしたが、洋服が当たり前になった現代では死語になったとのことです。ただし、ここ最近襟付きの服を着る機会が全く無くなったので、一周回って現代でもお洒落な人を指す言葉として通じるかもしれません。

以下、楽曲の解説です。

【全体構成】

  • 4-7構成
    • 4つのモチーフを7パートで構成
    • A→B→A'→B'→C→D→A''
    • ループ基点はB
    • モチーフの解釈についての補足
      • 便宜上4としています(ミニマムでは多分2)
  • 主調: ロ短調(H-Moll)
  • テンポ: 168
  • 拍子: 4/4
【A】(H-Moll→A-Moll→H-Dur)

4小節の短いフレーズです。

メインメロディーはリード系楽器で次のように演奏しています。

以下のように転調してます:

  • 1小節目: ロ短調
  • 2小節目: イ短調(短7度転調: -2)
  • 3〜4小節目: ロ長調(長7度転調: -1)

短7度転調は曲が盛り下がる効果があるため、使われる事が珍しい転調とのことです。有名どころではドラゴンボールZの初代オープンニング(CHA-LA-HEAD-CHA-LA)のサビに入る時に使われているようです。Apple Musicで確認してみましたが、音の響きだけ注意深く聴くと確かに盛り下がっていますね。(歌込みだと胸がパチパチするほどスパーキン!な展開なので気付き難いですがw)

長7度転調は、曲のトーンが下がる効果がある転調ですが、ここで長調になっているのであまりそういう風には聴こえないかもしれません。

3小節目からピアノのパッセージが入ります。

ベースはこんな感じです。

あとは、歪んだギター音が鳴ってますね。

ディストーションの聴音は相変わらず苦手です^^;

今回の曲はメイン(雲山)とサブ(一輪)の絡みが重要だから各2ch割り当てる必要があって、そして絶対に外すことが出来ないベース1chとドラム1chでチャンネルがカツカツなので、大半のギターパートは省略している所が多いです。

VGSの音源特性でD.GT音の再現が難しいという事情もあって、D.GTは普通のポップスだと割と主役級のポジションですが、VGSでは一番不遇な楽器かもしれません。稀に奇跡的に上手く入れられることもあったりしますが。(直近で上手く入れることが出来たと思っているのは地霊殿のラストリモート)

【B】(H-Dur→G-Moll→Haikara→F#-Moll→F#-Dur)

このパートの解説はかなり長くなるので、以下4小節毎に分けて解説します。

(1 of 4 / 5〜8小節)

前パートから引き続きロ長調で2小節単位のモチーフを提示します。

リードがメインメロディーでピアノがサブメロディーのようです。イメージ的にはメインが雲山、サブが一輪っぽさが感じられます。

初っ端からピアノの発狂具合が良い感じだったので、内声パッセージを加えるなどしたアレンジを少しだけ入れてみました。

(2 of 4 / 9〜12小節)

半音下(-1)のト短調に転調してモチーフを展開します。

最後の1小節(12小節目)は転調しているようなしていないような...

B♭が♮でAが♭になっているように見えます。(下り音階かな?)

上記の音階に一致する調(BがHになっている♭付きの調)は存在しません。

なので、これは転調ではなくスケール(音階)の変化だと考えられますが、Wikipediaの音階のページの音度記号(スケールディグリー)で表記すると「1 ♭2 #3 4 5 6 7」です...何だコレw

そもそも、私は音階に精通している訳ではないです(普通に長音階、短音階、和声的音階、旋律的音階、ブルーノートスケール、ニロ抜きなどの基本的なヤツしか知らないです)が、♭と#が同時に入るスケールは多分無いと思うので、恐らく楽典的な解釈が出来ない音階だと思われます。なるほど、すごくハイカラだw

こういう楽典的な解釈が出来ないケースに遭遇した時は、シンプルに耳コピがミスっているというオチが多かったりするので、このパートは普段よりも丁寧に繰り返し聴いたのですが、どうやらコピーミスではなさそうです。

ただし、自分の聴音力に絶対の信頼を寄せている訳ではない(^^;)ので、ニコニコ動画にアップされている猛者達の耳コピも幾つかチェックさせて頂いたのですが、(細部の違いはありましたが)少なくとも B♮ & A♭ の部分は合っているようです。

マイナー・スケールとして見ると規則性が一見分かり難いですが、メジャー・スケールとして見ると、先頭(1st)が#、末尾(7th)が♭になっているので、スケールサイズが全音1つ分小さい形になります。

メジャー・スケールのディグリー表記は「#1 2 3 4 5 6 b7」ですね。

ハ長調なら「ド# レ ミ ファ ソ ラ シ♭」です。

音の響きとして不自然ではなく、独特なエキゾチックな響きがあるスケールなので、実は既に存在するスケールなのかもしれませんが、その辺の知識が無いので ハイカラ短音階(Haikara Minor Scale)と呼ぶことにします。

華のさかづき大江山でも似たようなスケールがあったかも?記憶力には結構自信がある方だと過信してましたが、ちゃんと文書に記錄しておかないとダメですね...

念の為、Twitterで情報を求めてみました

あ...今ツイッター見返して気づいたのですが、ツイッターで呟いた当時、この次の4小節では増4度転調(+6)をして嬰ハ短調になると思っていたのですが、よくよく耳コピを進めてみたら # が1つ少なかったので、半音下転調(-1)して嬰ヘ短調でした...お恥ずかしい><(それでも私はTwitterには編集機能は要らない派です)

(3 of 4 / 13〜16小節)

嬰ヘ短調で同モチーフを更に展開します。

(4 of 4 / 17〜20小節)

引き続き嬰ヘ短調でフィニッシュ。

最後の20小節目の後半1/2拍は3の音(A)が#になっているので、短3度上(+3)の同主調転調で嬰ヘ長調になっています。

【A'】(H-Moll→A-Moll→H-Dur)

  • Bパートのリード音の続き(B=嬰ヘ長調のサブドミナント)をフェルマータ
  • 上記1点以外はAと全く同じ

【B'】(H-Dur→G-Moll→Haikara→F#-Moll→D#-Moll

最後の1小節(40小節目)以外はBと全く同じです。

40小節目は最初から嬰ニ短調(※嬰ヘ長調ではない)の半終止(ドミナント)になります。

【C】(H-Moll)

ここから曲の雰囲気がガラリと若干変わります。

まず、ピアノのアルペジオとベース(とギター)の和音で前半8小節(41〜48小節)で(ただならぬ雰囲気が漂わせながら)演奏します。8小節目からリードのメロディーが入ります。とてもハラハラする展開な気がします。

このアルペジオはC後半/Dパートで展開されるモチーフ(メインテーマ)の原型になっています。

この曲では、ピアノフレーズは全般的に一輪をイメージしていると思われるので、その点を踏まえて少し深読みして解釈すると、このパートでは元々人間だった一輪が怪異化していく過程(回想)を表現しているのかもしれません。

次の8小節(49〜56小節)では、前半で提示したアルペジオを展開したリードとピアノのメロディーを演奏します。


「この部分のピアノはもっとヒステリックなイメージではないか?」と、いつものように魔が差してしまったので、VGS版ではピアノ部分を少しだけ超絶技巧にしてみました。

以下、VGS版のピアノ譜です。

【D】(H-Moll)

引き続きロ短調で展開主題を演奏します。

最初の8小節(57〜64小節)は、単音で次のような形です。

次の7小節(65〜71小節)は、高音のサブメロディーが加わります。

したたかにシンコペーションしている楽譜だと、Logicが良い感じに譜面出力してくれないので、若干手書き修正してます^^;

カデンツは次のA''パートに重ねる形になります。

【A''】

  • Dパートのリード音の続き(H=ロ短調のトニック)をフェルマータ
  • 上記1点以外はAと全く同じ


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