2023年1月18日水曜日

耳コピの上達方法を教えて

なるほど。

大筋は良いですが、私ならどういう回答をするか書いてみます。

1番耳コピが上達する方法はベース(楽器)を弾けるようになることです。

ただし、超絶上手く演奏できるようになる必要は無いです。

  1. 一通りの音階(スケール)を弾けるようになる(ハノンとかが弾ければOK)
  2. 色々な音楽を聴きながらリアルタイムでルート音を拾って弾けるようになる(必ずしも正確でなくて良くて、気持ち良い音とそうでない音を聞き分けることが目標)

というトレーニングを繰り返します。

2点目の「一番気持ちいい音」が正解の音です。

耳コピとは要するに(音の)「気持ちいいとこ探し」です。

数多の楽器の中から「ベースがベスト」と言い切れるのは、高音は比較的簡単に拾えるので、低音(ベース音)をバッチリ拾えるようになれば高音を拾うのは容易いためです。

実際、メロディーだけなら気合だけでも簡単に耳コピできて、最初に躓くのがベースの聴音です。ベースだけは気合だけで拾うのは難しいですが、ベースが弾ければ比較的簡単に拾えるようになります。

と、偏見だらけ(一応実体験に基づく)をインターネット上に書いておけば、その内ChatGPTのインプット情報のひとつになるのかなということで。

使ってみたアプリだと1日1回しか質問できない(サブスクで上限緩和?)らしいのでまだあまり詳しく確認した訳ではないですが、こういったフワッとした質問なら割と精度が高い回答をしてくれるようです。

ただし、専門性が高い突っ込んだ質問をしてみたところ、かなり間違いだらけの回答を自信満々でしてきた(パッと見だけだと正しい風に見えるがよくよく精査するとトンチンカンな内容だった)ので中々危ういかも。確度自体、学習量が増えれば高まっていくのかもしれませんが、現時点の確度(学習量?)に応じて自信度合いを変えた表現で回答する等の工夫が必要かも?

2023年1月17日火曜日

MSXのスプライト水平上限について

MSXのVDP(TMS9918A, V9938, V9958)では、Mode1のスプライト(TMS9918A互換スプライト)を1スキャンラインあたり最大4つ描画できますが、5つ目以降のスプライトの描画はスキップされます。(優先度としてはOAM上位のものが最優先だったかな)

このことを「バグのようなもの」と仰っている方が居るようですが、これはバグではなくハードウェアリミット(仕様)です。

別にそのバグだと仰っている方のことを責め立てたい訳ではないです。

「リミットがキツイ」→「仕様の問題」→「バグのようなもの」という文脈も無い訳ではないので。

特に過去ハードウェアのエミュレーションというシーンでは、そのリミットを期待した過去のソフトウェアを動かす必要がある以上、バグというものはほぼ存在しなくてバグのような仕様上の問題もまた全て仕様...という非常に厄介な問題があります。

仕様変更には必ず副作用が伴います。

エミュレータ開発の場合、副作用を見極めることで、仕様上の問題による体験悪化を回避しつつ、改善を図ることも可能で、スプライト水平上限の問題はその例として最適だと思われるので取り上げてみました。

という訳で、

  • 何故そのようなハードウェアリミットになっているか
  • リミット撤廃(仕様変更)するとどのような副作用があるのか

を考察した上で適切な解決策を考えてみたいと思います。

※なお、私は昔のセガハードには結構詳しいと思うのですが、MSXは触ったことすら無いので、以下SG-1000と同じMSX1のVDP(TMS9918A)の前提で考えます。

-----【考察】-----

TMS9918Aは、NTSC方式ブラウン管テレビの262本(可視スキャンラインは240本)のスキャンラインを約1/60秒間隔(約60Hz)でリフレッシュ(描画)しています。

※ブラウン管テレビのスキャンライン本数は525本で可視スキャンラインは約480本でリフレッシュは約30Hzなので、インタレースして240本にすることで約60Hzにしているものと考えられ、TMS9918AのスプライトとBGはこの内192本が可視領域になっています。

1本のスキャンラインあたりの描画処理に費やせる時間は、1÷60÷262秒(約63.6マイクロ秒)ということになります。

更に、1つのスキャンラインには342個の画素(ピクセル)があり、画面左から1ピクセルづつ逐次的に描画が行われています。

なお、水平の可視画素数は284ピクセルで、BGとスプライトを描画できる領域は256ピクセルです。

1ピクセルあたりの描画処理に費やせる時間は、1÷60÷262÷342秒(約186ナノ秒)ということになります。

TMS9918Aはこの短い時間で、

  • バックドロップ(BGの裏面の背景色)
  • BGキャラクタ(1~2bit color & 透明色あり)
  • スプライト(1bit color & 透明色あり)

という3種類のグラフィックの合成表示を行っています。

これらの内、描画プライオリティが最も高い(=一番最後に描画される)グラフィックがスプライトです。

スプライトは16pxの正方形で最大32枚表示できます。

スプライトの水平上限は、TMS9918Aの性能上スキャンライン辺りの限界ピクセル数が 604(284+256+64)以下であった為に設けられた仕様ではないかというのが私の仮説です。

バグは単純に直せば良いのですが、仕様は変更すると副作用が起こります。

水平上限を単純に撤廃する仕様修正をした場合の副作用としては、

  1. 演出としてスプライト表示を意図的にカットしていたものが表示されてしまう
  2. スプライトのコリジョン機能が誤動作する

などが考えられます。

-----【適切な解決策】-----

演出的にカットする時はTMS9918Aなら透明スプライトを利用するケースが大半だと考えられるので、エミュレーションであれば「①優先度が高い透明スプライトが水平に4つ並んでいた時は描画を省略」しつつ、「②コリジョンについてはハック描画した5つ目以降では発生させない」とすることでハードウェアリミットの影響による体験悪化(チラツキ)を抑えつつ副作用をほとんど回避できると考えられます。

副作用を回避できないパターンとしては、非透明スプライト(TMS9918Aのスプライトは1bitカラーで表示するパレット番号の0〜15を指定する仕様で、OAMにパレット0を指定しているスプライトが透明スプライト、パレット0以外を指定しているスプライトが非透明スプライト)を使って意図的なカット演出をしているパターンです。(私が知る限りではこのパターンに該当するソフトウェアは無いと思われます)

仕様を修正する時は、副作用を考慮した上で解決策を考えましょう。

2023年1月16日月曜日

恐らくX68kやMSXの新作ハードに必要なもの

最近、X68000(X68k)やMSXの次世代機(?)のクラファンが結構賑わっていて、先に出たX68kの方(X68000Z)は現時点(2023.01.16)で900%を超える出資者が集まっているようです。

https://kibidango.com/2285

MSXの方(MSX0 Stack)は、まだ始まったばかり(2023.01.15〜)ですが、既に50%近い出資者が集まっているようです。

https://camp-fire.jp/projects/view/648742

X68kの方はクラファン開始初日で100%突破したのと比べるとMSXの方はやや勢いが弱いように見えます。ただし、目標金額ベースではX68kが約3,000万円だったのに対してMSXが約6,000万円なので、金額という観点では初日はだいたい同じペースで推移しているようです。即日100%超えの方がインパクトが強くて記事本数が増えプロモーションになり、All or Nothing(目標未達ならやらない)ではなく All In(目標未達でも続行)だから目標金額を高くする意図がちょっとよく分からないです。

レトロハードの復刻自体、個人的にウェルカムでどちらも出資しても良いかな?と思いつつ、出資には踏み切れていません。結構値段も高いですし。

出資を躊躇する理由は、レトロハードの復刻というとファミコンミニ、PCエンジンミニ、メガドラミニ、ゲームギアマイクロのように、単なる「昔のコンテンツが遊べるノベリティ」というしょっぱいビジネスで終始する傾向があるためです。

仮にiPhoneがAppleが供給するソフトだけ使える単なる「タッチパネル付きの電話機」だったらここまで普及しなかった筈で、iPhoneが普及できたのはAppStoreというコンテンツを無限に供給してくれるUGCプラットフォームの存在が大きいです。

仮にファミコンミニに、AppStoreのような任天堂が審査を通した新しいファミコンソフトが販売され購入できる「UGCプラットフォーム」が備わっていていたら、果たしてどうなっていたのか?

単なる「昔のコンテンツが遊べるノベリティ」でも1,000万台が売れたので、話題になるUGC作品(プロが作った否かは不問)があったら1億台すら突破できたかもしれません。

ただし、エコシステムを構築しようとすると初期費用もハネ上がるでしょうし、固定費も掛かるという頭の痛い問題もありますが。

果たしてX68000ZやMSX0 Stackには「UGCプラットフォームの構築」という青写真があるのか無いのか・・・という点のみが、私の出資(投資)判断ポイントです。つまり、物理的なリターンは何ならナシでも良い派です。市場流通してから安く買えば良いだけなので。

2023年1月5日木曜日

東方VGS 2022年のデータ振り返り

2022年1月に東方VGSを復活させてから1年が経過しました。

もう1年経ったのか...時間が光速で流れていく。

という訳で1年分の各種データを纏めてみました。

【アクティブユーザ数】

まず、月間アクティブユーザー数(MAU)の遷移から。

※正確には28日間平均のアクティブユーザ数の平均

2022年8月までの間(妖精大戦争の全曲コンプリートするまで)、だいたい週1ペース以上のハイピッチな間隔で楽曲追加していたのですが、妖精大戦争が終わった8月以降はペースをかなり落としています。

(月別の配信楽曲数)

  • 2022.01: 3曲(地霊殿)
  • 2022.02: 6曲(地霊殿)
  • 2022.03: 6曲(地霊殿+星蓮船)
  • 2022.04: 7曲(星蓮船)
  • 2022.05: 5曲(星蓮船)
  • 2022.06: 6曲(星蓮船、妖精大戦争)
  • 2022.07: 5曲(妖精大戦争)
  • 2022.08: 2曲(妖精大戦争)
  • 2022.09: 3曲(神霊廟)
  • 2022.10: 2曲(神霊廟)
  • 2022.11: 3曲(神霊廟)
  • 2022.12: 2曲(神霊廟)

8月から配信頻度を落とした結果、9月以降にMAUが落ちてきた傾向が顕れたことが分かります。

なお、DAUの平均は概ねMAU(28DAU)の1/10ぐらいでした。

ソーシャルゲームやソーシャルメディア(SNS)の一般的なDAU:MAU比率と比べると、乖離がやや広めかと思われます。

なにがしかのソーシャル要素(例えば楽曲の人気ランキングなど)を実装することで乖離幅を狭めることができると思われます。

DAU率を上げたところで売上が上がる程度の効果しかないので、すぐにやろうとは思っていませんが、手が空き&予算に余裕があったら何かしら考えてみようと思っているところです...ただし、ソーシャル機能は色々な意味で諸刃の剣なので極力持たない方が良いと思っています。

ちなみに1年前に再公開した当時の記事では、「DAU 500 が同人としてほどほどに良い感じのレンジ(目標レンジ)です」と言及していますが、年間平均は411でした。

微妙に目標値には届いていませんが、500を超えた日もあったので目標達成できたといっても過言ではないかもしれません。

また、DAUあたりの収益について

  • DAU 平均100人 = 月収3,000円
  • DAU 平均500人 = 月収1万5,000円
  • DAU 平均2,500人 = 月収7万5,000円
  • DAU 平均30,000人 = 月収90万円

と予測してましたが、月あたりの平均売上は3万円ぐらいなので、上記予測値の2倍ぐらいの乖離があります。

これは多分課金による広告削除を入れた影響なので、広告収入だけに絞って見れば概ね上記予測通りでした。(売上面での分析については詳しく後述します)

【ダウンロード数】

月間のダウンロード数(※新規インストールのみ)は、最大が 2022.03(3,328DL)、最小が 2022.09(1,488DL)、年間合計は 26,557DL でした。

1日平均は73ダウンロードぐらいです。

スマホアプリの公開を始めたばかりの頃は、1日1ダウンロードしてもらうのも大変でした。

50ダウンロードでガッツポーズし、100ダウンロードで祝杯を上げ、1000ダウンロードで「思えば遠くへ来たものだ」と感慨にふけっていたあの頃のことを思えば、ありがたいことにかなり沢山ダウンロードして頂いています。

ただ、2013年〜2016年の4年間の累計ダウンロード数は約50万(年間平均12.5万)ぐらいで、1日平均300ダウンロード以上だったので、復活前と比べると大分落ちました。

※2013年〜2016年の累計ダウンロード数ですが実は正確な数字は不明で、Androidのコンソールのどこかに20万ぐらいという数字が見つかったので、iOSはおそらくその1.5倍〜2倍と類推しておよそ30〜40万ぐらいと見て「OS合算すれば少なく見積もって50万DLぐらいかな?」というフワッとしたものです(去年の記事だと30万とか言ってますねw)。2022年の復活以降はちゃんとFirebaseでDL数カウントするようにしたので恐らくそこそこ正確な数字かと思われます。

DL数が落ちた主な要因は、

  • 東方Projectの二次創作アプリが増えたので埋もれやすくなった(特にガッツリ広告予算を組んでいるであろう大手の公認アプリには絶対に勝てない)
  • 2013年〜2016年当時と比べてスマホアプリの目新しさが減ったので、単純なストア流入だけでは厳しくなってきた

あたりかなと思われます。

なお、別に公認アプリに勝とうとは思っていませんw

公認アプリの売上は恐らく上海アリス幻樂団さんとレベニューシェアとかの契約になっていると思われます。一方、東方VGSは公認ではなく非公認(野良)の二次創作なので、公認アプリが売れた方が上海アリス幻樂団さんの実入りが良い筈なので、応援しようと思うことはあっても勝とうと思うことはありません。

そもそも、流入数というのは資本の体力勝負(パワーゲーム)で決まるものなので、資本力のある企業に勝つのはほぼ不可能です。

流入数を増やそうと思うと、メディアに露出したり広告を打ったりといった手段(プロモーション)が必要なのですが、その辺を頑張る予定も資本もありません。

実験的に広告(※純広告ではなくアドネットワークの広告)を打ったことならありますが、広告で獲得できるダウンロード単価はARPUの10倍近い状況で、加えて広告で獲得したユーザーは、自然流入のユーザーと比較してリテンション率&LTVが低い傾向があるように見受けられました。なので、広告の使い所は収益調整のみだと思っています。

【リテンション率】

流入よりもリテンション率(継続率)の方が重要です。

流入数(ダウンロード数)を増やすにはプロモーションが必要で、プロモーションをするには基本的にお金が必要です。テレビCMなど、より多くの人にリーチできる手段だと天文学的な数字の予算が必要になります。もちろん、趣味で作っているアプリでは無理です。だからといって、何もプロモーションをしなければどんなに良いプロダクトでも埋もれていってしまいます。

しかし、流入数(≒パワーゲーム)と異なり、リテンション率の良し悪しはプロダクトの質にのみ依存します。

良質なプロダクトを作るのにもお金が掛かるから、リテンション率向上も結局お金の力が必要なパワーゲームではないか...と思われがちですが、お金を積んで得られるのは「表面上のプロダクトの質」でしかありません。

短期のリテンション率や流入数なら表面上のプロダクトの質向上(便利な機能、キレイな絵、美しい音楽...etc)でそこそこ上げることができますが、長期のリテンション率を左右するのは「より原始的なプロダクトの質」で、それは世界観や哲学など(作家性)でできているというのが持論です。

もちろん、表面上のプロダクトの質もある程度は重要ではありますが、そこは後から改善することができるので、最初からそこに全力投球するのはお金をドブに捨てるようなものです。当たる確度が高い既に成熟している市場でのマーケティングということであれば話は別で、そういう市場はパワーゲームで勝敗が決まるので個人のスモールビジネスでは絶対に勝てないです。(勝てない勝負はすべきではないというのが私見)

原始的なプロダクトの質は、500億円の開発予算、天才的なデザイナ、伝説のプログラマなどの盤石な布陣で開発しても向上することはありません。

むしろ逆効果かもしれません。

というのも、開発に携わる人間が増えるほど世界観も哲学もブレていくものなので、大組織によるサービス立ち上げは「サービスの長期リテンション」という観点では、失敗する確率を高めるリスクの塊のように思われます。更に、失敗した時のトータル損失額(初期投資額+損切りできなかった期間の運用コスト)も無駄に高くなってしまいそうです。

協調性のある優秀な人材ではなく、サイコパスな独裁者の方が、低リスク&高確率で長期リテンション率の高いサービスを生み出せる可能性が高いかもしれません。

長期のリテンション率が最重要KPIですが、それを狙ってコントロールするには未来予知に等しい能力が必要になります。

データや歴史書などを読み漁ったりAIの力を駆使するなどして、未来予測(過去に起こった事象の再現を推し量ること)だけなら「ある程度」までならできますが、未来予知(未来に起こることを予め知る)には神の視点が必要です。

この点(神の視点の有無)に限れば、資本の大小に関係なく全ての人(法人)は平等です。もちろん、才能の有無(というか、運の良し悪し)ならあるかもしれませんが、この世に神の視点を持つ人や法人は存在しません。

なので、初期の内は色々な方向性でプロダクトの種のようなものを作り、ヒットするプロダクトの芽を見つけたらそれを選択&集中するという、とてもシンプルな脳筋戦略(多様な10を生んで、9を捨て、1に全力投球)が、プロダクトアウトにおける最善のマーケティング戦略だと考えられます。

この点に絞れば大企業と同じ土俵で戦っても勝ち筋があります。

むしろ、組織が大きいと柵も多いので1を生むのに掛かるコストが無駄に高く、上場企業ならそうそう簡単に作ったモノ(資産価値のある可能性のあるモノ)を捨てられないので、個人やベンチャーの方が有利です。ただし、後者(捨てる決断)については、個人でもベンチャーでも人によっては簡単ではないかもしれませんが。膨大な時間と丹精を込めて捏ねたツボを、些細な理由で地面に叩きつけて壊せる気難しい陶芸家のようなスキルが必要です。

という訳で、直近6週間のリテンションをOS別に見てみます。

iOS: 1週目27.4%〜5週目11.4%

Android: 1週目22.6%〜5週目11.1%

リリース当初、Androidのリテンションが妙に低かったので、UIのデザインをマテリアルデザイン(ライト)からiOSと同じフラットデザイン(ダーク)に合わせる大幅改修を入れた所、iOSと同程度のリテンション率に改善できました。

「マテルアルデザインがダメ」という訳ではなく、ちゃんとアプリの世界観と合致したデザインを思考&試行すべきということかと思われます。

世界観に完全に一致しているベストなUIは、マテリアルやフラットなどのチャラチャラしたUIではなく、2013年当時のVGS独自UI(RETROタブのUI)だと思っているのですが、OS側(特にAndroid)のバックグラウンド再生を安定化させるにはVGSだと出来ない(Android 7以前ならできたのですがAndroid 8以降で不可能になった)ので、メインUIはチャラチャラしたUIにせざるを得ないのが中々歯がゆいところです。チャラチャラした標準的なUIの方が、人間工学なりなんなりが考えられていて使いやすいのは知ってますが、私は使いやすさよりも世界観の方が重要だと思っていて、多分この辺が私とGoogleのデザイナーさんとの間で決定的に相違している価値観なのかもしれません。

結果的にAndroidの序盤(1週目〜4週目)のリテンション率がiOSと比べてまだ微妙に低い傾向がありますが、重要なのは長期リテンションで、5週目リテンションについてはAndroid/iOS間に大差はありません。

Androidの初期リテンションはiOSよりも低い傾向があることは他のサービスでも同じらしいので、Androidのテコ入れは完了した感じだと思われます。

あと必要なのは全体的なリテンションの底上げですね...何をするのがベストなのかは明白で「もっと配信頻度を上げる」ということに尽きるかなと。

【売上】

赤と青はAds(広告)、緑と黄はIAP(広告削除のアプリ内課金)の売上です。

なお、実際の収益の受け取りは日本円&約1ヶ月遅れですが、上図は米ドル基準&リアルタイムのグラフです。

日本円換算の年間トータルの売上金額は40万円ぐらい(経費を差っ引いた雑所得金額は16万円ぐらい)なので、小金持ちな家庭の高校生のお小遣いぐらいでしょうか。

作業時間あたりの単価で見ると、コンビニでレジ打ちしていた方が遥かに高い程度ですが、想定以上に儲かってしまいました。

広告での売上は「売れるソシャゲが出るかどうか」に掛かっていて、ソシャゲは2020年のウマ娘を最後に大きなヒット作が無いにように見受けられるので、艦これを最後に終わったブラウザゲームの時と似たような潮流を感じています。(奇しくも同じ擬人化ネタですね)

2023年以降はもっと厳しくなるものと予測しています。

幻想入りしてからが本番と思っている節があって、2020年の最後の大きな花火が本当のラスイチだと確信した2022年のタイミングで復活した訳ですが(※もちろん冗談です)、これで食っている訳ではないものの、最低限赤字にならない年2〜3万円程度の売上はキープしたいところです...大丈夫かなぁ。

とりあえず今年(2023年)は黒字キープできそうな見通しなので、売上面のことはしばらく考えなくて良さそうです。

参考までに月間売上と月間平均DAUの偏差値の遷移を比較してみました。

基数やベースラインの異なるデータを比較する時は偏差値にすると相関関係が見やすくなります。

3月〜4月は、課金アイテムの売上が大きかったので若干異常値が出てますが、その点を無視すれば概ね相関関係があるように見えます。

少し注目すべき点は、

  • 1〜2月: 売上偏差値 > DAU偏差値
  • 5月〜12月: 売上偏差値 < DAU偏差値

というところですね。

課金機能の導入を契機に逆転現象が起きているように見えます。

課金(広告削除)を行うことで広告収入が0になるのでDAUが伸びても売上が上がりにくくなるとも考えられます。

加えて、そもそも課金しなくても全機能をフルで解放している状態で提供しているので、課金してくれるユーザさんのリテンション率が基本的に高めになるのではないかと想定しています。

この辺が再開当初に課金による広告削除を躊躇した(入れなかった)理由です。

LTVと楽曲配信サーバやドメインのコスト(固定費)との兼ね合いで、恐らくそれでも赤字化することは無いだろうということで、課金機能の導入に踏み切りました。

儲けすぎるのも良くない(というか同人っぽくない)と思っているので売上はほどほどで良いのですが、赤字運営だけは回避したいのでマネタイズ周りの意思決定はかなり慎重に行っています。

【LTV】

LTV(Life Time Value; ユーザーの利用期間あたりの平均売上金額)はおよそ $0.09 でした。

一般的に「iOSの方がユーザがお金払いが良い」みたいなイメージがあるかもしれませんが、少なくともデータ的にはそういう傾向は全く見られません。

単純に(日本や北米では)iOSユーザの方が多いから売上が多いだけで、ユーザ単位のLTVで均せばAndroidとiOSの差はほぼ無くてどちらもおよそ $0.09 (100日目あたり) という結果でした。

少し興味深い傾向として、

  • 9日目
  • 46日目
  • 68日目

という、特定のタイミングでLTVがライズアップしている点が気になります。

恐らく46日目、68日目あたりが広告削除の課金をしてくれるタイミングかな...(68日目のライズアップを堺にLTVの上昇が緩やかになっているので)

星蓮船に着手してから完成するまでに掛かった期間が78日間だったので、その辺が関係しているのかもしれません。

【サーバコスト】

楽曲配信サーバには、Firebase Hosting + 独自ドメインを使っています。

独自ドメインはお名前どっとこむで10年間で1万円(年間1,000円弱)ぐらいの契約です。

ホスティングは従量課金制ですが、年間の請求額は¥0(無料枠内)でした。

直近1ヶ月のデータ通信量は以下のような形です。

  • ストレージ(アップロード): 21.1MB/月
  • ダウンロード: 67.9MB/月

無料枠は、ストレージ・ダウンロードが各10240MB(10GB)/月までです。

ストレージ(※正確にはCDNキャッシュのinvalidation→validationのコストかな?)は概ね「曲の配信頻度」に比例して、ダウンロードは概ね「アクティブユーザ数」に比例します。

ストレージの方は、東方Projectの全楽曲を配信しても確実に無料枠内で収まるので黙殺できます。

ダウンロードの方は、アクティブユーザ数が増えれば無料枠を超過してコストが発生する可能性があり、アクティブユーザ数が現在の約150倍(10240 ÷ 67.9)に増えればコストが発生する可能性があります。

2022年12月のMAUは4,220だったので、MAUが63万3,000以上になった辺りで初めてサーバーコストが発生し始めます。

その規模になれば、月間の収益が300万〜400万円前後になる筈で、加えてサーバコストが発生するといっても数百円レベルのオーダーだと思われるので、サーバコストにより利益切迫になる心配はほぼ無さそうです。(ただ、流石にそのオーダーで稼ぐと野良の二次創作だとマズイから原作レベニューが必要などの別の問題が出てくる筈...そこまで伸びることは多分無いとは思いますが)

データ選定は重要です。

東方VGSの場合、曲データがMMLと呼ばれるテキストデータ(CDNでgzip圧縮された状態なので1曲数KB)だから、インフラコストを低く抑えられています。

AAC等(m4a)なら音質を落としても1曲数MB(約1,000倍)になり、データが1,000倍になればインフラコストも1,000倍以上になります。

動画ならもっと大きくなります。

合理的ではないものを作りたい

ここ最近、実機版の東方VGSの開発が忙しくて、東方VGSの曲追加が滞っています。 東方VGS(実機版)のデザインを作りながら検討中。基本レトロUIベースですがシークバーはモダンに倣おうかな…とか pic.twitter.com/YOYprlDsYD — SUZUKI PLAN (...