2022年3月31日木曜日

「春の湊に」を配信しました(東方VGS)

東方VGSで「東方星蓮船 ~ Undefined Fantastic Object.」の1面のテーマ「春の湊に」を配信しました。(Pull Request

辞書を調べてみた所「春の湊」とは「春の行きつくところ。春の果て。はるのとまり。」という意味らしいですが、同梱のストーリーに土はぬかるみ、氷で覆われた大地から有象無象が目覚めるとあるので、ストーリー上の季節感としてはガッツリ春先ですね。

ニコニコ大百科によると「春の湊とは春の終わりのこと。春を船に喩えた表現。星蓮船本編の季節はまだ残雪が残る春先なので湊を港とかけている?」とのこと。ちなみ、「港」と「湊」の違いは、「港」は船が通る水路、「湊」は船が停泊する場所とのことです。英語で言えば「港」は Port、「湊」は Harbor ですね。

星蓮船のストーリーからシンプルに「春先に謎の船(UFO)のハーバーを探しに行くよ!」という感じではないでしょうかw

第16回東方Project人気投票の結果によると、544曲中41位ということで、かなり人気が高い曲のようです。

原作者様コメント(東方星蓮船 Music Roomより)

1面のテーマです。

軽快で気持ちの良い曲で始めたかったのでこんな感じに。

やっぱさ、シューティングって明るい方がよくない?

と、その時の気分で趣味嗜好が変わる人間が言ってもねぇ。

曲は爽やかです。窓から飛び出したくなるくらい。

なるほど。

原作者様コメントは発売当時に読んだものの、もう13年前の事なので内容をほぼ忘れてました。ただ、何故か「窓から飛び出したくなる」という件だけは覚えてました。デフェネストレーション?最近はもう聞かない(幻想入りした?)ネットスラングですね。

だいたい全ての作業が終わってから、曲に関するコンテキスト情報を調べて、「この曲はそういう曲なのか〜」と勝手に愉しむのが最近のマイブームです。

以下、曲自体の簡単な解析内容を記します。

【構成 & テンポ】

  • 5パート構成: 第1提示→第2提示→第1展開→第2展開→コーダ
  • テンポ: 155
  • 主調: 嬰ヘ短調

【第1パート】(第1提示)& 【第5パート】(コーダ)

これは、イ長調...ではなく嬰ヘ短調ですね。

ピアノがメインのパートですが、第5パート(コーダ)では第4パートのメロディ(リード)のカデンツァ(下図)と一緒に演奏されます。

【第2パート】(第2提示)

変ホ短調へ3半音下転調(短3度下転調)をして、ピアノで第2モチーフを提示してリードで繰り返します。

【第3パート】(第1展開)

ピアノで第1モチーフを展開したと思しきモチーフ(下図)を展開しながら4回演奏します。

第3展開でセオリー通り3半音上(嬰ヘ短調)の主調へ戻り、第4展開でリードに切り替えて第4パートのメロディーへ繋ぐ形になります。

【第4パート】(第2展開・再現)

主調(嬰ヘ短調)で第2モチーフを展開したと思しきモチーフ(下図)を2回繰り返します。

【考察】

ソナタ形式は概ね、

  1. 主調で第1主題を提示
  2. 転調して第2主題を提示
  3. 主題を展開(展開部)
  4. 主調に戻って第1主題と第2主題(※第2主題に限り同主調も可)を再現(再現部)
  5. 主調または同主調でコーダ
という構成になっています。

「春の湊に」の構成はソナタ形式を意識したであろう形になっていることが分かります。

つまり、この曲は「ピアノソナタの二次創作」という結論に至りました。

...というのが私のアナリーゼ結果ですが、合っているかは分かりません ^^;

2022年3月28日月曜日

Cubaseをなるべく安く買いたい

耳コピ作業に主にLogic Proを使ってます。

一番気に入っているのは...値段です。

AppStore(Mac)で約2万円で買える買い切りソフトですが、DAWとしては破格で、しかもアップグレードも無料です。(他のソフトだとバージョンアップの都度ライセンスを書い直す必要があります)

Logic Pro の VariSpeed という機能を使えばピッチ(音程)を変えずに -50% ~ 100% の範囲でテンポを変えることができるので、高速なアルペジオのコピーなどが割と簡単にできるようになります。あと、メロディーラインをコピーする時はリアルタイムに演奏して採譜するのですが、アップテンポな曲だと技術不足でモタついてしまうので、テンポを落として弾きます。

VariSpeed は標準だと表示されてませんが、ディスプレイ(テンポなどが表示されている部分)のプルダウンをクリックして「コントロールバーとディスプレイをカスタマイズ...」で「VariSpeed」をチェックすることで使えるようになります。(下図の「速度のみ」という部分)

同じような機能が Cubase にもあるらしく、以前から気になっていたのですが、Cubaseはちょっと高いです... 調べてみたところ、ダウンロード版は6万円以上して、しかもメジャーバージョンアップ時のアップグレードも有料です。

ついでに、以前のバージョンだと専用のUSB(ドングル)を挿し込まないと起動できないという不便な仕様だったようです。(流石に最新バージョンだとそれは廃止されたようですが)

サウンドハウスだともっと安く(5万円台で)買えますが、物理パッケージです...

廉価版(Artist)ならダウンロードでも3万円台で手頃感があり、一応Artist以上なら目的の機能はあるらしいので、買うならArtistかな...と思っていたのですが、Proのダウンロード販売には「競合製品からの乗り換えキャンペーン」なるものがあるらしく、それなら4万円台で買えるようです。

お値段まとめ(2022.03.28時点)

  • Cubase 12 Pro パッケージ販売: ¥57,800 (サウンドハウス)
  • Cubase 12 Pro ダウンロード販売(通常)¥62,700
  • Cubase 12 Pro ダウンロード販売(乗換)¥41,800
  • Cubase 12 Artist ダウンロード販売: ¥35,200
  • Cubase 12 Artist パッケージ販売: ¥30,222

買ってから「Proの機能が必要だった」というようなケースが発生すると困るので、その時の保険として +¥6,600 なら支払っても良いかもしれません。

ちなみに、乗り換え対象のDAWはだいたい有名所は入っているようで、もちろんLogicも入ってました。


...ただ、やっぱり高いので暫くはLogic Proで我慢しておきます。

アプリの年間利益が20万円を超えたら経費で買おう。

2022年3月24日木曜日

広告削除機能の検討(東方VGS)

東方VGSのレビューで「アプリ内課金で広告削除できるようにしてほしい」というご要望を頂いてます。

実はリリース当初からどうしようか悩んでました。

まず、東方VGSには3種類の広告があります。

  1. 楽曲アンロック(リワード広告)
  2. 画面上部(バナー広告)
  3. シャッフル再生(インタースティシャル広告 ※動画広告は排除)

現時点(約3ヶ月の運用)で収益性が一番良いのは 1 です。

収益の比率としては 1:2:3 = 10:3:3 ぐらいです。

例えば、1の売上が1万円なら 2 と 3 はそれぞれ 3千円(計6千円)です。

そして、長期的な運用で考えると重要なのは 2 と 3 だと想定してます。

収益性が低くても 2 と 3 が重要な理由は、赤字運営を回避するためです。

仮に新曲の追加をしない状態が続くと徐々に1の収益性は低下して、2と3は残存ユーザーが居る限り一定の収益が得られ、それにより赤字を回避できるという想定ですが、全ての広告を削除してしまうと(一時的な売上は高くなりますが)将来的に単年赤字になるリスクが高くなってしまいます。

悩んだ末、「1 と 2&3 を別々の課金で削除できるようにして、多くのユーザーさんが望んでいる 1 はリーズナブル価格($2.99)、2・3 は少し割高($9.99)で提供してみてはどうか?」という奇策を思いついたので、現在実装中です。

開発中の図

全部の広告を削除する課金だと、試算してみたところ1,000円以上の価格設定にしなければならないので、大半のユーザーさんが欲する機能を可能な限り割安で提供することが出来るこの形がベストかもと思っているところです。

とりあえず、iOSは実装できたので審査提出してみました。

Androidの課金周りの実装は結構面倒なので苦戦中。(実装自体はできているのですが、購入フローが何故か動かない...)

ただし、Androidで有料販売する場合、GooglePlay上で住所を晒さないといけないルールなので、もしかするとこの機能はiOSのみになってしまうかもしれません。(まだ、どうすべきか悩み中)

2022年3月9日水曜日

Apple Music連携(東方VGS)

先日の東方VGSのアプデで、Apple Music の原曲とリンクする対応をしました。

Settingsで「Apple Music で原曲をチェック」をタップすると、ミュージックアプリが起動して上海アリス幻樂団様のアーティストページが起動する形になります。

 

この意図はシンプルに「東方Project(原曲)の布教」です。

なので、今後は Apple Music を積極的にプッシュしていきます。

現時点ではSettingsからのリンクだけですが、今後のアップデートで曲単位で原曲(Apple Music)とリンクできるようにしようと検討中です。

なお、東方Projectの原曲はApple Musicだけでなく他のサブスクリプションサービスでも配信されていますが、東方VGSでは Apple Music だけを推していく方針です。

その理由は2つあります。

第1の理由はプロモーションのチャンスがある(かも)と思っているためです。

東方VGS で Apple Music をプッシュしておけば、あわよくば Apple の方からフューチャーしてくれるかも?という淡い期待を抱いています。

期待値としてはそんなに高くはないですが、東方VGSは個人運営のアプリなので、大手企業のようにお金を積んで大々的に広告を打ち出す体力はありません。なので、プロモーションは死活問題だから、確度が低くてもお金を掛けずにできる事なら何でもやります。(ん?)

第2の理由は上海アリス幻樂団様の実入りが他サービスをプッシュするよりも良くなる可能性が高いと考えられる為です。

Apple Music や Spotify などのサブスクリプション型の音楽配信サービスは、売上の一部を権利者(コンテンツホルダー)に実績値で按分して分配する仕組みになっています。

Apple Music の場合、サブスクリプション収益の52%を再生回数で按分して権利者に分配しています。Apple Music の現在の会員数は不明ですが、2019年時点の報告では約6,000万人なので、月間の売上はおよそ600億円、その52%(およそ312億円)を約6000万曲(※2019年時点の配信楽曲数)へ分配するので、1曲あたりの分配額は平均520円/月ぐらいだと考えられます。そして「1再生平均1円ぐらい」とも言われているので、1曲あたり平均520回/月ぐらい再生されているものと思われます。(参考

なので、1アルバム平均16曲で28本のアルバム(全448曲)をリリースしているアーティスト(東方Projectがだいたいそれぐらいの規模感)の場合、平均23万2,960円/月ぐらいの収益を得られる計算になります。(もちろん、人気などによって大きく上下する筈です)

ただし、Apple Music以外はアーティストへの分配金額が低いという情報があります。

ソース: https://rockinon.com/blog/nakamura/201465

また各ストリーミングが曲を1回ストリームしてアーティストに支払う金額と、$1000払われるまでのストリーム回数(全て推定)
Tidal 0.12ドル、8,333回
Apple Music 0.01ドル、100,000回
Amazon Music 0.004ドル、250,000回
Spotify 0.0033ドル、303,030回
YouTube Music 0.002ドル、500,000回

Apple Music よりも Spotify の方が有料会員数が多いにも関わらず、アーティストへの還元率が低いらしいことが分かります。

これは別に Spotify がアーティストから搾取している訳ではなく、仕組み上やむを得ずそうなっているものと考えられます。

Spotfiyの場合、売上の15%〜30%(平均22.5%ぐらい?)がApple税/Google税で持っていかれるので、Apple Musicと同程度の収益配分(52%)にしようとすると、ネット売上(Apple税/Google税を差し引いた金額)の約67.1%をアーティス還元に回すことになり、売上に対する粗利益率は25.5%(対するAppleはiOSでは48%)で、そこからランニングコスト等を差し引くとかなりカツカツの経営になる筈です。

Android版の Apple Music でも Spotify と同じようなことが言えますが、課金ユーザーは圧倒的に iOS の方が多く、加えて経営体力もある Apple なら、それで経営がカツカツになることはまず無いと思われます。

Spotify にはアプリ内課金ではなく独自決済もあるので、ユーザーが積極的に独自決済を利用すれば、Spotifyとアーティストの実入りが多少良くなると考えられますが、独自決済であっても手数料は当然タダではありません。決済システムやクレジットカード手数料は規模がデカイほど有利で、世界最大級のAppStoreの決済システムをタダ同然で使えるApple Musicが有利であることは変わらないと思います。(何より独自決済よりもアプリ内決済の方が利用者にとって圧倒的に便利なので、値段が同じなら普通にアプリ内決済を選択する人が大半だと思われます)

要するに、構造上「Apple Musicの分配金が高くなって当然」ということです。

プラットフォーマーと同じ土俵で商売するのは分が悪すぎる...

「Spotifyを応援したい人」はSpotifyを使うのがオススメですが、「アーティストを応援したい人」はApple Musicを使うのがオススメということになるので、東方VGSは必然的に後者ということになります。

合理的ではないものを作りたい

ここ最近、実機版の東方VGSの開発が忙しくて、東方VGSの曲追加が滞っています。 東方VGS(実機版)のデザインを作りながら検討中。基本レトロUIベースですがシークバーはモダンに倣おうかな…とか pic.twitter.com/YOYprlDsYD — SUZUKI PLAN (...