2022年3月9日水曜日

Apple Music連携(東方VGS)

先日の東方VGSのアプデで、Apple Music の原曲とリンクする対応をしました。

Settingsで「Apple Music で原曲をチェック」をタップすると、ミュージックアプリが起動して上海アリス幻樂団様のアーティストページが起動する形になります。

 

この意図はシンプルに「東方Project(原曲)の布教」です。

なので、今後は Apple Music を積極的にプッシュしていきます。

現時点ではSettingsからのリンクだけですが、今後のアップデートで曲単位で原曲(Apple Music)とリンクできるようにしようと検討中です。

なお、東方Projectの原曲はApple Musicだけでなく他のサブスクリプションサービスでも配信されていますが、東方VGSでは Apple Music だけを推していく方針です。

その理由は2つあります。

第1の理由はプロモーションのチャンスがある(かも)と思っているためです。

東方VGS で Apple Music をプッシュしておけば、あわよくば Apple の方からフューチャーしてくれるかも?という淡い期待を抱いています。

期待値としてはそんなに高くはないですが、東方VGSは個人運営のアプリなので、大手企業のようにお金を積んで大々的に広告を打ち出す体力はありません。なので、プロモーションは死活問題だから、確度が低くてもお金を掛けずにできる事なら何でもやります。(ん?)

第2の理由は上海アリス幻樂団様の実入りが他サービスをプッシュするよりも良くなる可能性が高いと考えられる為です。

Apple Music や Spotify などのサブスクリプション型の音楽配信サービスは、売上の一部を権利者(コンテンツホルダー)に実績値で按分して分配する仕組みになっています。

Apple Music の場合、サブスクリプション収益の52%を再生回数で按分して権利者に分配しています。Apple Music の現在の会員数は不明ですが、2019年時点の報告では約6,000万人なので、月間の売上はおよそ600億円、その52%(およそ312億円)を約6000万曲(※2019年時点の配信楽曲数)へ分配するので、1曲あたりの分配額は平均520円/月ぐらいだと考えられます。そして「1再生平均1円ぐらい」とも言われているので、1曲あたり平均520回/月ぐらい再生されているものと思われます。(参考

なので、1アルバム平均16曲で28本のアルバム(全448曲)をリリースしているアーティスト(東方Projectがだいたいそれぐらいの規模感)の場合、平均23万2,960円/月ぐらいの収益を得られる計算になります。(もちろん、人気などによって大きく上下する筈です)

ただし、Apple Music以外はアーティストへの分配金額が低いという情報があります。

ソース: https://rockinon.com/blog/nakamura/201465

また各ストリーミングが曲を1回ストリームしてアーティストに支払う金額と、$1000払われるまでのストリーム回数(全て推定)
Tidal 0.12ドル、8,333回
Apple Music 0.01ドル、100,000回
Amazon Music 0.004ドル、250,000回
Spotify 0.0033ドル、303,030回
YouTube Music 0.002ドル、500,000回

Apple Music よりも Spotify の方が有料会員数が多いにも関わらず、アーティストへの還元率が低いらしいことが分かります。

これは別に Spotify がアーティストから搾取している訳ではなく、仕組み上やむを得ずそうなっているものと考えられます。

Spotfiyの場合、売上の15%〜30%(平均22.5%ぐらい?)がApple税/Google税で持っていかれるので、Apple Musicと同程度の収益配分(52%)にしようとすると、ネット売上(Apple税/Google税を差し引いた金額)の約67.1%をアーティス還元に回すことになり、売上に対する粗利益率は25.5%(対するAppleはiOSでは48%)で、そこからランニングコスト等を差し引くとかなりカツカツの経営になる筈です。

Android版の Apple Music でも Spotify と同じようなことが言えますが、課金ユーザーは圧倒的に iOS の方が多く、加えて経営体力もある Apple なら、それで経営がカツカツになることはまず無いと思われます。

Spotify にはアプリ内課金ではなく独自決済もあるので、ユーザーが積極的に独自決済を利用すれば、Spotifyとアーティストの実入りが多少良くなると考えられますが、独自決済であっても手数料は当然タダではありません。決済システムやクレジットカード手数料は規模がデカイほど有利で、世界最大級のAppStoreの決済システムをタダ同然で使えるApple Musicが有利であることは変わらないと思います。(何より独自決済よりもアプリ内決済の方が利用者にとって圧倒的に便利なので、値段が同じなら普通にアプリ内決済を選択する人が大半だと思われます)

要するに、構造上「Apple Musicの分配金が高くなって当然」ということです。

プラットフォーマーと同じ土俵で商売するのは分が悪すぎる...

「Spotifyを応援したい人」はSpotifyを使うのがオススメですが、「アーティストを応援したい人」はApple Musicを使うのがオススメということになるので、東方VGSは必然的に後者ということになります。

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