2022年4月6日水曜日

「小さな小さな賢将」を配信しました(東方VGS)

東方VGSで「東方星蓮船 〜 Undefined Fantastic Object.」よりナズーリンのテーマ「小さな小さな賢将」を配信しました。(Pull Request

Apple Music の原曲はコチラ

今回はナズーリンのテーマ曲ということで、諸説ある「ナズーリンの元ネタ」についての新説を勝手に妄想してみます。

以下の内容は、Wikipediaでいうところの 独自研究 に相当しますので色々とご注意ください。(このブログのタイトルからお察し頂けるとは思いますが念の為)

ニコニコ大百科では、十二支のねずみが賢いというエピソードを元ネタの説として支持しているようです。なるほど。

私はナズーリンという名前の由来が気になりました。

ネズミ→ネズーミン→ナズーリンとする説もありますが、ナズーリン  نسرين (ペルシア語)は英訳すると wild rose(野ばら)という意味で、Wikipediaによるとイラン人女性の名前としてポピュラーらしいです。

日本の人名で言うところの優曇華...ではなく「花子」あたりでしょうか。

ナズーリンはスパイという印象が強いキャラクターなので、当たり障りのない名前ということで花子(偽名)なのか、または反乱軍のスパイの合言葉(のばら)をヒントにしているかは定かではありません。折角だらか私は、普通に考えればミスリードっぽいけど面白そうな前者「ナズーリン花子説」を支持してみます。

「ねずみ」+「花子」というキーワードと「星蓮船の体験版リリース(2009E)以前の文献」をヒントにリサーチしてみたところ、何故か村岡花子さん著の童話集(1938年出版)にたどり着きました。村岡花子さんは赤毛のアンの翻訳本などで有名な作家さんで、日本クリスチャンペンクラブの初代会長などもされていた方です。

その童話集の表紙にはかわいらしいネズミが描かれていて、何やらステッキと思しきものを持っています...ダウジングでもしているのでしょうか?

※童話集のスクショを貼って解説したかったのですが、この文献は2039年まで著作権が有効なので、残念ながらスクショ掲載はできません...(気になる方は国会図書館でタダで見ることができるので、そちらをご参照ください)

目次で収録タイトルを確認してみたところ、「ミッキー・マウスのお手柄」という中々攻めたタイトルが収録されてました(やぁ)。大雑把な粗筋としては、「日本在住の米国人メリー(幼女)が近所に引っ越してきた日本人(幼女)と友達になるためミッ○ーマウスの人形を使ったら上手くいった」というほのぼのしたストーリーでした。こういう文章を書けるようになりたいものです。

戦前の日本だとまだ外国人は珍しいので、外国人を見るとついつい「スパイかな?」と疑ってしまいがちです。もちろん、スパイじゃない人が大半ですが、有事中でなければスパイも一定数存在します。

童話集が出版された年(1938)は、満州国建国(1932)から6年後、太平洋戦争の宣戦布告(1941)の3年前なので、時期的にはABCD包囲網の真っ只中です。なので、史実上「有事リスクが極限まで高まった有事前」という、スパイが特に多かったと考えられる時期です。

ジョーカー・ゲームという人気のスパイ小説(2008年8月末出版)に、日本で諜報活動をする米国人スパイ(ジョン・ゴートン)のエピソードがありますが、その時期設定もだいたい同じ頃(1939年)ですね。

ジョーカー・ゲームによると「スパイは疑われた時点で失敗」らしいので、戦前の閉ざされた海洋国家日本での諜報活動は大変だったんだろうなぁ...と、当時のスパイの気持ちになって「ミッキー・マウスのお手柄」を読むと、ほのぼのストーリーの外側にやや複雑なメタ・ストーリーが見えてきます。

スパイというと危ない人だと思われがちですが、無益な戦争は起こさせないように内側からコントロールするという側面もあると思います。

今の日本では外国人は珍しくないので、スパイが安全に仕事できる良い世の中になったと思います。

スパイは時代劇のサムライと違って現代の日本にも普通に居ます。

以前都心に住んでいた時、早朝のゴーストタウンのような銀座を街歩きしていると結構な頻度でネズミを見かけたのですが、もしかするとあのネズミたちもナズーリンが使役する諜報ネズミだったのかもしれません。


根も葉もない与太話はこれぐらいにしておきます^^;

上記までの内容は全部私の妄想なので、実際の事件・人物とは無関係のフィクションかもしれません。

前回配信した春の湊には、曲を作り終わってからコンテキスト情報を調べましたが、今回はコンテキスト情報を調べてから作業を始めるアプローチで作ってみました。この方式だと1曲作るのに掛かる作業時間が増えてしまうので、どっちの方式が良いのかは考えどころです。

ただし、一番時間が掛かるのは耳コピなのでトータルの作業時間はあまり変わらないですが。耳コピなら多分将来AIで自動化できるようになる(実際に京都大学で研究が進んでいるらしい)ので、AIで出来る作業はAIにお任せにして時間を節約したいなぁ...

少し前置きが長くなりましたが、以下音楽に関する解説をしてみます。

【全体構成】

  • 構成: 2つのモチーフ(A/B)を全6パートで変化させながら構成する様式
    • 一般用語ではないですが「2-6構成」と呼んでいます
    • 構成: A→B→A'→B'→B''→A''
  • テンポ: 170
  • リズム: 3/4拍子 + 原則1拍目にアクセント(ワルツと同じ)
  • 主調: 嬰ニ短調

【A】(第1パート・イントロ)

ピアノのユニオンで3音のアルペジオを繰り返し、最後の音符がフェルマータになる形のモチーフが提示されます。

最初の2小節は、1小節目の1拍目にのみアクセントが置かれているので、「モチーフは2小節1単位かな?」と思ったのですが、3小節目以降は1小節毎に1拍目にアクセントが置かれる形になるので、厳密には「最初の2小節」+「以降1小節づつ」+「最後のフェルマータ」という形+和声の変化でモチーフが展開されています。

ベースのルート音がD#だったので、主調は多分嬰ニ短調...かなぁ

主調の解釈についてはあまり自信がありません...

といのも、アルペジオの構成音(※装飾・経過音を除く)を結合(和声化)した時のコード進行は、

  • 1〜5小節目:  { F#5 maj 7 → E♭m7 }
  • 6小節目: { D#m → D#m }
  • 7〜8小節目: { D#9 → E♭dim }
  • 9〜12小節目: { F# maj 7 → D aug }
  • 13〜14小節目: F# maj 7 <フェルマータ>

となっているので、和音としては嬰ヘ長調(F#-Dur)寄りな気がします。

しかし、ベースのルート音の始まりが嬰ニであることと、次パートのメロディーの最初の音も嬰ニであることから、主調は嬰ニ短調(D#-Moll)と判断しました。

Aパートが F#-Dur on D# で、Bパートが D#-Moll に転調という解釈にも出来るかもしれません。

【B】(第2パート)

最初の4小節(15〜18小節)は主調(嬰ニ短調)で2小節単位のモチーフを演奏、

次の4小節(19〜22小節)は ト短調に長三度転調(+4)して同モチーフを展開しながら演奏します。

長三度転調は雰囲気がガラッと変わってしまうので処理が難しい転調です。(ウマ娘プリティーダービーのうまぴょい伝説という曲でも使われているようです)

この曲の場合、

  • 15小節目と17小節目のモチーフの出だしのトニック音(D#)を、19小節目と21小節目で短6度(E♭)に変化させることで同じ音にしている
  • 19小節目は敢えてベースだけ転調しない(ベース音の転調は20小節目から)
  • 1拍目を強調するワルツ奏法の特徴
あたりが要因となって、かなりナチュラルに聴こえる気がします。

この処理方法ですが驚異的なレベルで巧いと思います。

もしかすると、そこそこ音感が良い人でもここで転調していることに気づかない人も居るかもしれません。私はあまり音感が良い方ではないので全然気づかなくて、耳コピしてみて初めて「あれれ?おかしいぞ?」となりました^^;

普通、長三度転調なら「これは長三度転調ですね(キリッ)」と気づくかは疑問ですが、少なくとも「転調したかも?」程度には気づくことができます。しかし、これは全然分かりませんでした。スパイから情報を抜かれた時もきっとこんな感じなのかなぁ〜w

その次の4小節(23〜26小節)は同モチーフをト短調&高音域で展開します。

ココではモチーフが再びトニック音(G)になっているので、ある程度音感が良い人ならココで「転調してるね」と気づくかも。スゴイなぁ〜(私はここでも気づかない程度ですw)

そして、最後の4小節(27〜30小節)では主調(嬰ニ短調)へ戻ってパッセージを演奏しつつAのモチーフへ変形しながら次パート(A')へ繋ぎます。

2-6構成の東方Projectの楽曲は、ここまでで提示された2つのモチーフ(A/B)が曲全体の骨格になっていて、あとはモチーフ自体は大きく変えずに色々な変化(転調したり発狂ピアノを加えたりetc)を加えたり引いたりしながら繰り返す様式になっています。

以降の作業はそこそこ機械的に出来るので簡単です。

以下、A/Bとの違いを箇条書きで簡単に解説します。

【A'】(第3パート)

  • 調性: Aと同じ(嬰ニ短調)
  • 楽器: メロディーの楽器がピアノ→リードに変化
  • パート最後(43小節目)のフェルマータをストレッタ & グリッサンド(ピアノ)追加

【B'】(第4パート)

  • 調性: Bと同じ(嬰ニ短調→ト短調→嬰ニ短調)
    • 前パートの終わりでグリッサンドが入ったから転調するかな?と思わせておいて転調しません
  • 楽器: メロディーの楽器がリード→ピアノに変化
  • サブメロディー(フルート)追加
  • メインメロディーの細かい変化
    • 前打音を経過音に変更・省略
    • 一部経過音を省略
    • 音価の変化
    • 装飾音(ターン)追加
  • 最後の2小節(58〜59小節目)からB''の発狂ピアノに繋ぐ高速アルペジオ追加

【B''】(第5パート)

  • 調性 & 楽器: Bと同じ
  • 発狂ピアノ追加

【A''】(第6パート・コーダ兼2ループ目イントロ)

  • 調性 & 楽器: A'と同じ
  • 発狂ピアノ(高速アルペジオ)追加
  • サブメロディー(フルート)追加

【VGS版の主なアレンジポイント】

  • B と B' に独自のサブメロディーを追加
  • B'のメロディーの経過音をサブメロディーと合わせる関係で1箇所だけ半音階進行に変更
  • A''のフルートはチャンネル不足でカット...orz


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