2022年6月23日木曜日

サピエンス全史読書ノート(#1 認知革命)

今更サピエンス全史を読み始めてみたのですが、メチャクチャ面白いやんけ...という訳で読書ノートを作ってみました。本を読む時ですが読書ノートをつけることが割とオススメです。要点をピックアップして時系列に並べたりするだけでインプット+アウトプットが同時にできるので難しい内容でも効率的に入ってきます。割と時系列が飛ぶのでその整理にも役立ちます。

結構ラディカルな内容なのでご注意ください。

なお、一部私の独自解釈を入れてますが、独自解釈の部分は斜体にしてます。

以下、第一部の内容です。(上巻のだいたい30%ぐらい)

【学問の進化】

  • 135億年前 ビッグバン → 物質、エネルギー、時間、空間(物理学の誕生)
  • 134億9970万年前 → 原子、分子(化学の誕生)
  • 38億年前 → 分子が有機体を形成(生物学の誕生)
  • 7万年前 → ホモサピエンスが文化を形成(歴史の誕生)

【人類の進化】

  • 600万年前 ある類人猿から2匹の子が生まれ、1匹がホモ属の祖先、もう1匹がチンパンジーの祖先となる
  • 250万年前 アウストラロピテクス誕生
    • まだほぼサル(取るに足らない動物)
    • 道具の製造はできたらしい
  • 200万年前〜 アウストラロピテクスが世界各地に分布して各地で進化
    • アジア東部 → ホモ・エレクトス(最古の人類)
    • ヨーロッパ・アジア西部 → ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)
    • ジャワ島(インドネシア) → ホモ・ソロエンシス
    • フローレンス(インドネシア)→ ホモ・フローレシエンシス(小人)
    • シベリア → ホモ・デニソワ
    • 東アフリカ →
      • ホモ・ルドルフェンシス
      • ホモ・エルガステル
      • ホモ・サピエンス
各ホモ属の誕生にはタイムラグがあり、例えば、ホモ・エレクトスは約200万年前、ネアンデルタール人は約50万年前、ホモ・サピエンスは20万年前頃に誕生した痕跡がある。

生物の進化(DNAの突然変異)にはかなりの長い時間(だいたい100万年ぐらい)を要し、現代のホモ・サピエンスは誕生からまだ20万年前後の新参者なので、誕生当時から現代に至るまで進化はしていない。

【ホモ属が地球を征服するまでの歴史】

100万年前の人類全般は食物連鎖の中程。脳が大きく道具が作れたが貧弱だったので、植物や昆虫、肉食獣の食べ残しの残骸から骨髄液を啜っていたりした。サバンナでは負け組(大型動物のエサ)だった人類(ホモ属)は、火を扱えるようになることで勢力を拡大していった。
  • 80万年前 → 一部のホモ属が火を扱えるようになる
  • 40万年前 → 一部のホモ属が大型動物を狩れるようになる
  • 30万年前 → 一部のホモ属が日常的に火を使用(火が使える → 調理ができるようになる → 生食をしなくなり消化が早くなる → 時間を手に入れる)
    • ホモ・エレクトス
    • ネアンデルタール人
    • ホモ・サピエンス
  • 15万年前 → 火を扱えるホモ属の行動範囲が劇的に広がる
  • 10万年前 → ホモ・サピエンスがネアンデルタール人を襲う → 敗北
  • 7万年前 → 認知革命(※ホモ・サピエンスのみ)
  • 5万年前 → ホモ・ソロエンシス、ホモ・デニソワが絶滅
  • 3万2千年前 → ライオン人間の像(虚構を実体化した最初の痕跡)
  • 3万年前 → ネアンデルタール人が絶滅
  • 1万3千年前 → ホモ・フローレシエンシスが絶滅
  • 1万2千年前 → 農業革命
  • 1万年前ごろ → ホモ・サピエンス以外の人類が絶滅
  • 500年前 → 科学革命(宗教の衰退)

    【ホモ・サピエンス】

    • ホモ・サピエンスは認知革命により地球を征服した
    • ホモ・エレクトス → ネアンデルタール人 → ホモ・サピエンスという進化はしていない(アウストラロピテクスが各地に分布して並列進化)
      • 私見だが、この点については、ホモ・エレクトスが200万年前、ネアンデルタール人が50万年前、ホモ・サピエンスが20万年前に誕生したタイムラグがあり、DNAレベルでも重複があるので断定はできないと思われる。ただし、ネアンデルタール人の誕生からホモ・サピエンスの誕生までは約30万年程度のラグしかないので、DNAがバグって進化するには微妙に短いかもしれない。
    • 火を扱えるようになった(料理を覚えた)ホモ属が食物の消費に掛かるエネルギー負担が減った結果、行動範囲が大きく拡大
    • 認知革命によりホモ・サピエンスが他全てのホモ属を粛清して唯一の人類となる
    • 地域により数%程度の他ホモ属の混血が残っているケースがある

    【認知革命】

    ホモ・サピエンスだけが、言語を使い宗教などの想像上の現実を創作して共有することで大きな集団を形成する能力を獲得した。
    • チンパンジーの群れはだいたい20〜50頭が限界
    • ホモ属でも上限は150人ぐらい(それを超えると社会秩序が乱れ集団が分裂する)
    • 集団は共感により統率される
    • ホモ・サピエンスの言語の進化
      • サルにも言語はある(ex: ライオンが居るぞ!)
      • コンテキストが複雑化(ex: 川の近くにライオンが居るぞ!)
      • 噂話が可能になる(ex: あいつはライオンを倒したことがあるらしい)
      • 虚構を伝達できるようになる(ex: ライオンは我が部族の守護霊だ)
      • 宗教が生まれる
      • 宗教の共感(共有)により150人を超える大人数の集団が統率可能になる
    • 会社(法人)も宗教と本質的には同じ虚構の産物
    • 嘘と虚構は異なる
      • 虚構 = 想像上の現実(国家、宗教、法律、会社、人権、民主主義、社会主義...etc)
      • サルでも嘘はつき騙すことはあるがキリシタンになる(=虚構を信じる)ことはできない
    • 認知革命以降、ホモ・サピエンスは「現実」と「虚構」の二重の現実の中で暮らしてきた
    • 虚構は必要に応じて柔軟に書き換えが可能
      • 例: 1789年にフランスで王権神授説の神話から別の神話(国民主権)への書き換えが一夜にして行われた
      • チンパンジーの専制君主(アルファオス)を頂点とする階層的集団行動は遺伝的傾向があり、ボノボ(近縁種)のメスの連合を優勢とする集団を見て雌猿によるフェミニスト改革が起こることはないし、基本的猿権を主張して民主化運動が起こることもない
      • 遺伝子が書き換わる(進化する)には膨大な時間を要するが、虚構は必要性に応じて柔軟に変化できるため頻繁に革命が起きる
    • ホモ・サピエンスは3万年前から大陸間での交易をしていた痕跡がある
      • 交易ネットワークの形成は信頼抜きには発生しない(虚構が必須)
      • 他のホモ属は交易をしていた痕跡が無い

    【ホモ属の主な職業】

    • 職歴 = 約199万年間(200万年前〜1万2千年前)= 狩猟採集民
    • 職歴 = 約1万年間(1万2千年前〜200年前)= 農耕民
    • 職歴 = 約200年間(200年前〜現代) = 都市労働者・オフィスワーカー
    【進化】
    • DNAレベルの進化には膨大な時間を要する
    • 現人類のDNAレベルの生物学的特徴は狩猟採集民の時代に形成された
      • 高カロリーな甘いもの(熟れたいちじく等)はサバンナでは珍しく、放置しておけば他の動物に奪われるので、見つけたらあるだけ食い尽くすことが適切 → その習性が現人類にも引き継がれているため、肥満や糖尿病で死ぬ人が沢山居る
      • サボり癖は火を日常的に扱えるようになる15〜30万年以上前からの本能(生食だと消化に時間が掛かるので一日の大半をゴロゴロして過ごすしかない)
      • ギャンブルが好きなのは狩猟採集民の本能(ギャンブラーの方が長生きできた確率が高いため)
      • ゲームが好きなのも狩猟採集民の本能(狩りの代償行為)
      • ガチャ(ギャンブル)+ゲーム = ソシャゲはかなり最悪な組み合わせなので、日本で流行ったのはいわば必然...逆に日本でしか流行らなかったのは、日本へ外貨が流れることを恐れた各国当局がルートボックス違法化など、法律で必死にガードした功績だと思われる(日本でもさっさと違法にした方が良い)
    【狩猟採集民】
    • 大抵の道具は木製で、風化により朽ちたが石は残るので出土しやすい傾向(石器時代というよりは木器時代)
    • 現代人は多用な物を持っている(大抵は忘れていて引っ越しする時にそれを思い知らされる)が、常に全ての道具を持ち運ぶ必要がある狩猟採集民は基本ミニマリスト(宗教行為や性行為は道具に頼らない形式が合理的)
    • 認知革命以降は複数の言語、宗教などの文化が生まれたので画一的な暮らし方を推測することはできない
    • 現代人より脳が大きく、個体としては現代人より賢かった
    • 労働時間は35〜45時間/週(現代: 40〜80時間/週)
    • 子どもの死亡率が高かったため平均寿命は30〜40歳(成年できれば60〜80歳程度まで生きた個体も存在するため現代人と大差はない)
    • 農耕民より飢えたり栄養不足になることが少なかった(食物が多用 & 移動が容易なため)
    • 分散しているのでペスト、インフルエンザ、covid-19等の感染症蔓延リスクも低い
    • 理想郷だったかといえば微妙で、そもそも生きていくのが厳しく、病気になれば簡単に見捨てられ、特に成年できる確率が低い子どもには厳しく、宗教的な儀式で生贄にされたりもした
    • 近年(1960年頃)まで現存した狩猟採集民(アチェ族・パラグアイ)の例では、泣き声がうるさい、ブサイク、キモイ、ハゲてるなどの些細な理由でカジュアルに子どもを殺していたが、大人同士はとても仲が良かった(暴力行為は稀で、ヒエラルキーはなく、不特定のパートナーと自由に交尾をし、気前が良く、富に執着しない)
    • 多種多様なアニミズム心棒(霊魂などを意味するラテン語「アニマ」)
      • 有神論は農業革命以降と考えられる
      • 民族間の戦争がどの程度行われたかは不明(発掘された骨格の内、暴力による死と推定されるものはまばら)で、どのような宗教儀式が行われたかなどは想像の域を出ない

    【狩猟採集民による環境破壊】

    • 85万年前 フローレンス島(インドネシア)上陸
      • 生態系に大きな変化はない
    • 4万5千年前 オーストラリア上陸
      • 上陸後数千年で原住の大型哺乳類がほぼ(23/24種)絶滅
      • 気候の変化によるものではなく人類によるもの
      • 気候の変化の場合海洋生物も多く絶滅するが陸上生物のみ絶滅
      • ほぼ同じ気候のニュージーランドでは同じ時期に謎の大量絶滅はしていない
    • 3万5千年前 日本上陸
    • 3万年前 台湾上陸
    • 1万6千年前 米国上陸
      • シベリアからマンモス等を追って陸路でアラスカ到達
    • 1万2千年前 南米大陸の最南端に到達
    • 7千年前 カリブ海の島に上陸
      • ほぼ同時期にオオナマケモノが絶滅
    • 4千年前 ウランゲリ島(シベリアから北約200km)上陸
      • 地球上最後のマンモスが絶滅
    • 3200年前 サモアとトンガ上陸
      • 上陸後、大多数の原住動物が絶滅
    • 2000年前 マルキーズ諸島上陸
      • 上陸後、大多数の原住動物が絶滅
    • 1500年前 マダガスカル島上陸
      • リュウチョウ、メガラダピス等の大型動物が絶滅
    • 800年前 ニュージーランド上陸
      • 上陸後200年で原住の大型哺乳類がほぼ絶滅
    • 100年前 ガラパゴス諸島上陸
      • まだ日が浅いので多用な生態系が今のところ残っている
    認知革命以降、ホモ・サピエンスが新たな大陸を訪れると、2000年以内に原住の大型哺乳類をほぼ絶滅させてきた。
    • 大型哺乳類は繁殖能力が低いので少し狩ればすぐに絶滅する
    • 焼き畑農業による環境変化
    • 4万5千年前は氷河期だったのでそもそも環境的に厳しかったが、大型動物たちはそれ以前のより厳しい氷河期も乗り越えてきたので気候変動が原因ではない

    【まとめ】

    農業革命以降も、ホモ・サピエンスの殺戮の歴史は規模を縮小して繰り返している。農業革命までに少なくとも約200属生息していた大型動物の内、100属ほどがホモ・サピエンスにより絶滅させられた。環境保護団体は「昔の人は自然と調和して生きていた」というが、それは遺伝子レベルで異なる別の人類(数十万年以上前)の話しで、認知革命以降の7万年前から人類は、地球上の多くの生物種(同属を含む)を根絶やしにして生きてきた。

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