2022年10月12日水曜日

消費税の下げ方

「消費前は上げるべきか下げるべきか?」

と問われれば、恐らく8割以上の国民が「下げるか撤廃すべき」と答えると思われるので、どうすれば消費税を下げることができるかを(建設的に)考えてみます。

まず、そもそも消費税が導入された原因ですが、これについては「第3次ベビーブームが起こらなかったため」が模範解答かと思われます。ベビーブームの発生時期・発生期待時期と消費税法成立の時期感を照らし合わせると分りやすいです。

  • 1947年〜1949年ごろ(第1次ベビーブーム)
  • 1971年〜1974年ごろ(第2次ベビーブーム)
  • 1989年 消費税start(3%)
  • 1996年ごろ(第3次ベビーブームは発生せず)
  • 1997年 消費税率up(5%)
  • 2014年 消費税率up(8%)
  • 2019年 消費税率up(基本10%, 軽減8%)

人口が減れば税収が減るので、(その財源を根拠に設計された)充実した社会保障サービスが保てなくなってしまいます。

つまり、社会保障サービスを撤廃して、弱者切り捨てができる社会にすれば消費税を下げることができます。ただし、一旦その方策については横に置いておき、「現状の社会保障サービスを維持したまま消費税を下げる方法は無いのか?」という論点で考えてみます。

日本の2021年度の税収は約57.4兆円ですが、所得税+法人税+消費税で47.9兆円(全体の約83.4%)となっています。このボリュームゾーンの税収(メイン税収)を引き上げることが財源確保という観点で最も効果が高い手段だといえます。

メイン税収の内訳をもう少し細かく見てみます。

(2021年度メイン税収の内訳)

  • 所得税 18.6兆円
    • 源泉 15.7兆円(主に労働者から徴収)
    • 申告 2.9兆円(主に経営者や投資家から徴収)
  • 法人税 9.0兆円
  • 消費税 20.3兆円

所得税+法人税で消費税収の20.3兆円を丸々カバーできれば、現状の社会保障サービスを維持したまま消費税を撤廃することが可能だと考えられます。

所得税+法人税の税収を引き上げる手段をとしては、

  • 税率を上げる
  • がんがんお金を稼ぐ

という2通りの方法が考えられますが、税率を上げればキャピタルフライトが増えるなどして逆に税収が減るリスクがあるので、「がんがんお金を稼ぐ」ことが消費税を下げる上で有効だと考えられます。

お金を稼ぐ手段としては次の3通りの方法があります。

  • 労働をする(労働者になる)
  • 事業を営む(経営者になる)
  • 投資をする(投資家になる)

労働者からの税収は源泉所得税、経営者と投資家の税収は申告所得税に分類されると考えられます。

なお、労働者(平社員〜執行役員)でも年収が2000万円を超えると源泉徴収はできないため確定申告をする必要があるので、申告所得税に分類されます。確か、アクセンチュアの上級コンサルタントなら年収4000万円ぐらい貰えるので無い話しではありません。しかし、大半の労働者は年収2000万円未満(平均467万円)なので、大半の労働者の税収は源泉所得税に分類されると考えられます。(あとは源泉徴収ありの特定口座で運用している投資家も源泉所得税に分類されますが、多分総額はそんなに多くないので無視できる範囲かな...と想定)

そして、儲かっていない会社とかだと経営者(取締役)でも年収2000万円に満たないかもしれませんが、だいたいの経営者の年収は2000万円以上(上場企業の取締役の平均年収は3200万円ぐらい)なので、大半の経営者(と投資家)の税収は申告所得税に分類されると考えられます。

24時間寝る間も惜しんでガンガン労働してお金を稼ぐのは効率が悪いです。精神や体を壊したり過労死するなどして、むしろ総労働時間が減ってしまうということも考えられるので。

労働については元気な若年層(10代〜30代)が1日8時間を週3〜5日程度適度にQuiet Quitingでもしながら頑張り、ある程度の年齢(40代〜60代)になったら経営や投資で生計を立てていくのがベターだと思います。労働には体力が必要だから若さが必要ですが、軌道に乗っている事業の経営や投資は、頭脳酷使しますが肉体はそれほど酷使しないので結構年を喰った後でも割と何とかなるので、そういった方向性での人生設計が合理的ではないかと。

しかし、現状の税収分布を見る限り、申告所得税と法人税が少なすぎるので、現状はそういう風になっていないものと思われます。

源泉所得税収は人口動態とほぼ相関するため、第3次ベビーブームが起きなかった時点でそのシュリンクが発生することは既定路線です。

消費税の増税は、税収upさせる手段として手っ取り早いようにも思われますが、お腹を空かせたタコが自らの足を食べているような状態なので筋が良い政策とは思えません。

従って、如何に申告所得税+法人税の税収を増やすかという観点での政策立案が重要なのではないかと思われます。(なので、選挙で投票する時はそういう路線の政党に投票しています)

そういった意味では、副業はもっとガンガン推進していくべきだし、Nisa拡充で投資を呼び込んだり金融教育を進めることも重要だと思います。

ただ、個人的にはもっとシンプルに「個人の貯蓄や企業の内部留保に対して課税すれば良いんじゃない?」とも思っていたりします。ソルベンシーリスク回避という観点で貯蓄や内部留保は重要なのかもしれませんが、(企業も個人も)そのリスクヘッジが過剰過ぎる印象があります。

企業の内部留保は484兆円、個人の貯蓄額は1992兆円あるらしいので、そこから毎年1%吸い上げればそれだけでだいたい24兆円ぐらいの財源を確保できるので、消費税を撤廃しても問題無くなるかもしれません。厚生労働省の社会保険料歳入がだいたい4.6兆円ぐらいだったと思うので、何なら消費税撤廃だけでなく(あのえげつないぐらい高い)社会保険料を50%offとかにしてもお釣りが来そうです。

長期の安定税収にはならないと思いますが、貯蓄から投資への流れを加速させることで所得税収を増やす二段構えになります。ついでに、貯めると損だからお金を使う人が増えることに加え、消費税分の物価ディスカウントにより消費も拡大して景気が良くなるかもしれません。

企業や資産家のキャピタルフライト等のリスクはありそうですが、それぐらいフットワークが軽い企業や個人は既にタックスヘイブンに逃げていると思われるので、多勢には影響が無いのではなかろうか...と推測。

まとめると、貯蓄税を導入すれば消費税を下げられる or 撤廃できる(かも)と。

個人の貯蓄に対してという話しはあまり聞きませんが、企業の内部留保に対してという話しは割とチラホラ聞きます。(内部留保課税だけでは消費税の税収を賄えるだけのボリュームは得られないと思いますが)

参考 https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/1014_2

2022年10月11日火曜日

Web3とは果たしてどんなwinnyなのか

Web3の話しを聞く都度「それってどんなwinny?」となってしまうのですが、単なるバズワードなので真面目に考えるだけ無駄かなと思いつつ、かなりざっくり要約すると、

  • Web1.0は単方向メディア(ホームページ、テレビ、ラジオ、新聞など)
  • Web 2.0は双方向メディア(検索、広告、ブログ、SNSなど)
  • Web 3は分散管理台帳(ブロックチェーン)により個々の端末でデータを分散管理できる機能

ということのようです。

Web2.0も当時は単なるバズワードだったので、Web3もWeb2.0と同じくカネのなる木になるかもしれません...が、正直今ひとつピンときません。

メディア(情報媒体)or 機能でレイヤーが違うような気もするので。

ですが、

  • Web1.0 = 独裁主義
  • Web2.0 = 民主主義
  • Web3 = 個人主義(自由主義)

という文脈で見ると「なるほど?」となります。

プラトンの著書(国家)に『民主政が善とするのは自由だが、過度に自由を求めると結果的に独裁制に陥る』みたいな話しがあったと思います。かなり昔に読んだ記憶なのでうろ覚えですが、民主政で過度に自由がはびこる → 民衆に統治を疎む傾向が現れる → 反統治の民衆指導者が独裁者になる といった話しだったと思います。

つまり、Web2.0という名の情報の民主化が飽和しつつあって、その傾向のシグナルとしてWeb3というバズワードが注目されている状態だと現状を読み解くと、最適な次の一手が見えてくるかもしれません。

2022年10月6日木曜日

東方VGSのアプリ内課金(広告削除)の価格設定方針

以下の記事で東方VGSのアプリ内課金アイテム(広告削除)の値上げのアナウンスをしましたが、2022.10.06 PM 22:00 JST 時点でまだ値上げが反映されていないようなので、AppStoreでの値上げが確認されるまでの間、値上げの実施を延期します。

https://suzukiplan.blogspot.com/2022/09/vgs.html

ここで、SUZUKI PLANのアプリ内課金アイテム(非消耗タイプ)の価格設定の方針について(以前どこかで書いた気がしますが)改めて補足すると、原則的に「値上げはしても値下げはしない」というポリシーでアプリの有料販売を開始した2012年当初から運用しています。

パズドラの魔石などの消耗タイプのアプリ内課金と違い、CDやゲーム等のコンテンツを購入するイメージに近いのが非消耗タイプのアプリ内課金(有料販売を含む)ですが、この場合、基本的に「初期に買って頂いたお客様を優遇する」という考え方で価格設定をしています。

そのため、Steamのサマーセールのような期間限定の値下げみたいなキャンペーンは一切しません。(ストアからそういうお誘いがあっても断る予定です)

今回の値上げは、ドル高の影響に伴うものですが、逆に超ドル安になって1ティアが80円とかになった場合、ティアを引き上げて値上げをするつもりです。

価格を上げてしまうと売れる確率が下がるし、期間限定プロモーションをやった方が短期的には稼げるかもしれませんが、それをやると初期の頃に買っていただいたコアファンの方を裏切るように思えるというのが、そのポリシー設定の第一の理由です。

また、デジタルコンテンツはコピーが簡単にでき全く劣化しないので、価格設定についてはそれぐらいのポリシーにしておかないとそもそも売れなくなってしまうのではないか?とも考えています。

一度期間限定プロモーションをやってしまうと、期間限定プロモーションの時にしか商品が売れなくなるのではないかとも考えられます。私自身Steamで「このゲーム面白そうだなー」と思ってもサマーセールまで待つので。(そして、サマーセールの頃には忘れていることもままある...)

消耗型やサブスクリプションなら値下げしても(初期のコアユーザーにとっても出費が減って有り難いから)良いと思いますが。

2022年10月5日水曜日

ブレーキの重要性

移住から約2ヶ月経過して、だいぶ落ち着きました。

最近の休日は、近所のコース開拓に忙しいです。

近所の海や川のコースはだいたい把握済み。

近所の海

近所の川

山エリアを現在開拓中です。

静岡は面積が広いですが、大半は山なので、良い感じの激坂が豊富にあります。

毎朝始業前に30分ぐらい(10kmぐらい)近所を走ってますが、自宅から300mほどの所にも程よい激坂があり、短時間で体力をガッツリ消耗できるのでよく使ってます。

以前居住していた足立区を含む江東5区(足立区、葛飾区、墨田区、江戸川区、江東区)のエリアは、海抜ゼロメートル地帯とも呼ばれるだけあって坂が全く無かったので、山を走ると新鮮な気分になります。西岸にある荒川ロックゲート(江戸川区)あたりにそこそこの坂がありますが、山と比べると平坦も同然です。

山の上り坂は気合だけで何とかなるから良いのですが、下り坂はかなりブレーキを酷使します。調子に乗ってスピードを出すと死ぬレベルの急勾配なので、万が一ブレーキを作動しなかったらとても危ないです。多分時速70〜80kmぐらいは出るんじゃないかな。東京での最高トップスピード(時速64km)を更新できそうな気がしますが、危ないのでチャレンジはしないようにしておきます。

山道でブレーキを酷使しまくった結果、前輪のインナーワイヤーが若干ほつれてました...危うい。

インナーワイヤーの寿命は2〜3年ぐらいらしいので、元々そろそろ変え時ではあったのですが、最近の山岳アタック(下り)で一気に逝ってしまったようです。ついでに、インナーリードという可動部上部の部品の金属部分も破けていました。

という訳で、インナーワイヤーを交換の為、近所のホームセンターで以下の部品を購入:

  • Vブレーキ用インナーワイヤー(伝導部の金属線 ※コレがほつれた)
  • Vブレーキ用インナーリード(可動部の金属 ※コレの端っこが破れていた)
  • ワイヤーエンド(これはインナーワイヤーに付いていたので買う必要無かった...)
  • KURE5-56(本当はワイヤーグリスを塗布する必要があるらしいが売ってなかったので)

部品代は全部で2,000円ぐらい。

参考までにネットで見つけた同じような製品の通販リンクを張ってますが、実際に買ったのは別の製品です。(全部モノタロウで揃えればもっと安く調達できたのか...)

ブレーキワイヤー関連の部品としては、他にもアウターワイヤー(ストローみたいなヤツ)とアウターキャップという部品もありますが、それらは損傷が無いので古いヤツをそのまま使用しました。(アウターはそんなに負荷が掛からないので滅多なことでは壊れないっぽい)

ブレーキワイヤー交換の難度は、タイヤ交換よりも大分楽な印象です。

なお、お店で修理を依頼することもできるらしいです。

スポーツ車のブレーキワイヤー交換の相場は1,320円とのこと。

高いな...ついでにこれは基本工賃のみで部品代は別らしいです。

多分、部品代込みで最小2,000円ぐらい、前輪後輪同時なら4,000円ぐらいでしょうか。

「ご一緒にポテトはいかがですか?」的なノリで色々とオプションが追加されると思うので、なんやかや5,000円以上出すことになると思います。

実際、Google Mapで自転車屋のレビューを見ていると「頼んでない修理を勝手にして請求された」みたいなトラブルがチラホラ見受けられます。

同意なく勝手に修理するのはダメですが、消耗部品は定期的に交換した方が安全なので、修理する時はピンポイントでお願いするのではなく、一緒に点検もお願いした方が良いとは思います。

自力で点検できれば点検費用と工賃が無料で、交換する部品も最小限のコストで済むことに加え、自分で修理できると愛着も湧いてくるので長持ちするような気がしないので、なるべく自力点検 & 自力修理できた方が良いと思います。

私の経験上、自転車で壊れやすい箇所は、

  • タイヤ(パンク)
  • チェーン(切れる、オイル切れでガタつく)
  • シフター(切れる、オイル切れでガタつく)
  • ブレーキ(ワイヤー切れ, リムが擦り切れる, ディスクブレーキの油圧故障)
の4点で、タイヤ、チェーン、シフターは最悪走行中に壊れても安全に止まれるので良いのですが、ブレーキが壊れるとかなりキケンなので、自己点検する場合、一番入念にチェックする必要があるのはブレーキかなと思われます。

平坦な東京ではブレーキワイヤーの損耗が大したこと無かったからあまり頻繁にチェックしてなかったのですが、これからはマメにチェックした方が良さそうだなぁ...と。

2022年10月1日土曜日

金利上げれば物価下がるのか?

最近、円安やその原因の日米金利差などが話題で、FRBは景気悪化も辞さない覚悟で金融引締を断行(参考)のようなニュースをチラホラ聞きます。

米国が金融引締を行う理由は物価の高止まり(インフレ)を抑えるためという話を金融ガチ勢からよく聞きます。ただ、割とそもそも論なんですが、政策金利引き上げでインフレが収まるという理屈が「風が吹けば桶屋が儲かる」という風に聞こえます。

コチラのサイトで説明されている理屈によると、

  1. 過度な景気上昇
  2. 政策金利を上げる
  3. 資金調達が困難(資金不足)になる
  4. 生産・設備投資が縮小
  5. 業績が悪化して不景気になる

という感じのようです。

不景気になれば安くしなければ商品が売れなくなるからインフレが収まる筈...というのがFRBの見立てだろうと想像していますが、生産・設備投資が縮小すれば市場流通する商品の数が不足すること(需給バランスの悪化)で物価が逆に上がることもあるように思われます。

現在の米国物価の高止まりの原因は、

  • ウクライナ戦争による穀物や燃料等の一次産品不足(需給バランス悪化による価格上昇)
  • 感染症の影響(上海ロックダウン等)によるサプライチェーン混乱(需給バランス悪化による価格上昇)
  • エッセンシャルワーカーを中心とした労働者不足による賃金上昇(コスト上昇による価格上昇)

辺りに起因していると思われるので、政策金利引き上げでそもそもインフレ退治ができるのか?と以前から少し疑問でした。

という訳で、2022年1月〜9月の政策金利と物価指数(CPIとPCE)を偏差値化して比較してみたところ、一定の効果があるように見受けられます。

  • CPI: 消費者物価指数
  • PCE: 個人消費支出
(数値データ)

年月政策金利CPIPCE
2022/10.25%7.00%5.80%
2022/20.25%7.50%6.00%
2022/30.50%7.90%6.30%
2022/40.50%8.50%6.60%
2022/51.00%8.30%6.30%
2022/61.75%8.60%6.30%
2022/72.50%9.10%6.80%
2022/82.50%8.50%6.40%
2022/93.25%8.30%6.20%

5〜7月は政策金利/CPIともに上昇傾向でしたが、8月以降はCPIがピークアウトしたように見受けられます。政策金利を上げ始めたのが5月あたりなので、CPI下落までに3ヶ月程度ラグがあった感じかなという様子でしょうか。

PCEについてはCPIよりも振れ幅が大きい印象ですが、概ねCPIと相関関係がありそうです。(CPIの動きをよりダイナミックにした感じで変動している?)

通常0.25%づつ引き上げる政策金利を2段飛ばし(0.75%)で引き上げし始めたのは6月からなので、9月分のCPI/PCEの下落具合は「2段飛ばししている割にはちょっと低い」かもという印象があります。ラグタイムがキッカリ3ヶ月という訳ではないので、もう2〜3ヶ月程度様子を見ないと分からないですが。

2022.10.13に発表される数値(9月分)は、さてどんな感じになるかなと。

2022年9月30日金曜日

ストリーミングゲームはどうすれば上手くいくのか

Stadiaがサービス終了するようですね。

https://blog.google/products/stadia/message-on-stadia-streaming-strategy/

私は3年前のローンチ前からこの日を予期していました。

https://suzukiplan.blogspot.com/2019/03/blog-post_20.html

思っていたよりも長く続いたなというのが率直な印象です。Googleの中の人は頑張ったんだろうなと思います。お疲れ様でした。

Stadiaはどうすればどうすれば上手くいったのだろうか?

上記の記事では要約すると「価格の問題ではないか」と指摘してます。つまり、StadiaをYouTubeプレミアムと抱合せ販売するか、CMを再生すれば無料でプレイできるとかにすれば良いのではないかと。

しかし、そういった試みをすることなくサービスクローズするということは、仮にそういったことをしても十分な売上が確保できないといった判断がなされたのかもしれません。(これから来る冬の時代に備えた不採算部門の切り離し...という経営戦略的な匂いもしないこともないですが)

YouTubeでゲーム実況動画を視聴して、面白そうだと思ってPlayボタンを押せば5秒と掛からずゲームがプレイできるという体験は一見筋が良さそうに見えますが、実はそれがそもそもミスリードだったのかもしれません。

プロ野球の試合を観戦していると野球で遊びたくなってウズウズしてしまい、バットを持って河川敷へ遊びに行くタイプの人は恐らくマイノリティで、大半の人はビール片手に観戦だけしたいと考えているものと思われます。だから、プロ野球のドームの近所に草野球が出来る手頃な河川敷(Stadia)が無くても問題無いと考えられます。

また、私は購入したゲームを骨の髄までしゃぶり尽くす(何なら逆アセンブルして実装方法まで調べる)タイプですが、それも実は少数派なのかもしれません。知人のゲームオタクの中に一定数「積みゲー」をする人が居ます。ゲーム自体好きで買うものの、プレイを後回しにして只管タンスの肥やしを増やしていくタイプです。実はそういうタイプの人の方が多いかもしれません。全く遊ばずに積むのはアラブの富豪だけかもしれませんが、少し遊んでクリアもせずに遊ばなくなる人は実際結構多いと思います。私は律儀に全部クリアするのは当然として何なら完全攻略も目指す場合もあるので、未だにスーパーファミコンから抜け出せないのですが、そんな人ばかりではゲーム業界は商売あがったりな筈。

要するに、大半の人はゲームを「何となく遊びたいけどプレイするのが面倒くさい」と思っているのではないかなと推察しています。この推察は最近思いついたものではなく、以前個人でスマホ用のゲームを開発していた頃、「放置系」というジャンルのゲームが流行っている様子を見て考察したものです。

「如何にプレイさせずに没頭させるか」

その軸でゲームデザインを考えた時、私の思考はショートしてしまいました。

私は昔からスポーツは観戦よりもプレイする方が好きで、ゲームもプレイする方が好きだったので、そういうモノを考えることは無理だと悟りました。(東方VGSは意図せずその軸に乗っているかもしれませんが)

ストリーミングゲームの仕組み自体は面白いと思いますが、ビジネス的に筋が良い(マジョリティに刺さる)やり方は全く思いつきません。

ただし、友人に「おーい磯野!野球しようぜ!」と誘われた時、スケジュールさえ問題無ければ付き合う人が大半(マジョリティ)だと思われるので、ゲームプレイを誘うコラボレーター的な仕掛けがあればStadiaは上手くいったのかもしれません...具体的なフラッシュ・アイディアは思いつきませんが、少なくともそのシーンでは「ストリーミング再生できるデバイスしか持っていなくてもゲームプレイできる」という要素の重要性が高まります。

2022年9月28日水曜日

AIによる再現可能性を断ち切る方法

前々から現在普及しているAI(ディープラーニング)について色々調べていたのですが、音楽方面では恐らく、

  • 耳コピによる楽曲の完全再現
  • それっぽい音楽の自動作曲
あたりなら普通にできる日が来る筈だと思っています。

耳コピAIについては以前記事で書いてます。

そして、自動作曲AIについては既にサービスが存在するようです:

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000070769.html

絵画方面ではAIがキーワードから自動的にそれっぽい絵を生成するサービスが注目されています。

最近では、米コロラド州で開催されたアートコンテストでAIが描いた絵が優勝したりとか。

https://artnewsjapan.com/news_criticism/article/412

絵画や作曲のスキルは、プロなりのトレース(特徴抽出)をしながらスキルを盗み、それを各々少しづつ自己流にアレンジしていくことで、独自の画風や曲風なりにしていくアプローチで身につけていくのが一般的だと思われます。

一見するとそれは、ディープラーニングの学習アプローチと近いと思われるかもしれませんが、「少しづつ自己流にアレンジ」という部分が多分ディープラーニングでは再現不可能なので、それにより作られたコンテンツは(少なくとも世に出るまでの間は)AIに真似されることは無いと思われます。

世に出てウケたら速攻で学習される訳ですが、順序が「人→AI」にしかならない(できない)点はとても重要です。

アート自体の良し悪しも評価構成要素として重要なのかもしれませんが、結局のところ「誰が創ったか」が重要です。例えば、ゴッホが描いた絵は高く売れるけど、全くの別人が描いたゴッホっぽい絵が何億円といった価格で取引されることは無いと思います。

Wikipedia によると、カメラで最初に写真が撮影されたのは1826年〜1827年ごろとのことです。印象派が流行りだしたのはちょうどその後ぐらいからですね。写真の登場により、見たモノをそのまま描く写実画のスキル価値が大幅に低下したため、印象派が発展したとする説もあるようです。

AIの登場は、カメラが登場した1800年代当時の状況と割と似ている気がしています。

1800年代のゲームチェンジの時は「こうすればカメラでは再現できない筈」というアプローチで印象派が誕生したものと想像していますが、AIによるゲームチェンジも「こうすればAIでは再現できない筈」というアプローチが正解かなと。

既存絵画や音楽の単純な「特徴抽出」だけではAIにより再現可能なので、「少しづつ自己流にアレンジ」を深化させることが、AIによる再現可能性を断ち切る方法だろう...というのが今の所の私見ですが、もっと別のやり方もあるかもしれません。

「AIによる再現可能性を断ち切る方法」というのは単なるタイトル詐欺で、確立した方法はまだ分かりません。ただ、ゲームチェンジを悲観するのは無意味で、それを受け入れつつ無効化する何かを考えながら創作活動を続けていくことが、クリエイターに求められる素養なのではないか?という単なる精神論です。

合理的ではないものを作りたい

ここ最近、実機版の東方VGSの開発が忙しくて、東方VGSの曲追加が滞っています。 東方VGS(実機版)のデザインを作りながら検討中。基本レトロUIベースですがシークバーはモダンに倣おうかな…とか pic.twitter.com/YOYprlDsYD — SUZUKI PLAN (...