2022年9月19日月曜日

業績分析: バンダイナムコHD

先日、任天堂の業績分析をしましたが、残念ながら私の投資スタイルとは合わない感じでした。業界トップの企業なら私の投資判断で「投資不適格」になる事は滅多に無いのですが、ゲーム業界はやはりヤクザな業界なのか...と思ったのですが、流石にそんなことは無いだろうと思って色々探してみたら、ちゃんと真っ当な企業もありました。

という訳で、私の投資判断OKなゲーム会社の例として、バンダイナムコHD(BNH)の業績分析の結果を記します。

【P/L分析】(2006.03〜2022.03)

理想的な(右肩上がりの)成長をしています。

また、売上+営業利益と経常利益+純利益が概ね相関関係にあるので「本業に専念している状態」だということが分かります。

敢えて気になる点を挙げるとすれば、以下2点です。

  1. 2006〜2010の期間が右肩下がり
  2. 2022.03の経営成績が売上+利益すべて偏差値70超え(偏差値60ぐらいの成長が理想的だがやや急激に業績が伸びている印象がある)

2007.03 決算短信で『当社グループは当期よりスタートいたしました3ヵ年の中期経営計画に基づき、「ポートフォリオ経営の強化・充実・拡大」を推進しております』とあり、その中期経営計画ではKPIとして売上高と営業利益の目標値が示されていました。

2008年目標は売上5500億円、営業利益580億円とのことでしたが、2008.03決算成績は売上4604億円、営業利益334億円なので大幅に未達です。1年ズレて2009.03決算成績なら売上4263億円、営業利益223億円でもっと未達です。

実のところKPI未達については大した問題ではなくて、未達の原因が「戦略ミスなのかどうか」が重要です。私はそもそも売上とか利益のKPI自体重視してなくて、極論ですが「戦略が妥当なら何なら短期的には利益が落ちてもOK」とすら考えています。

中期経営計画で示されている「ポートフォリオ経営の強化・充実・拡大」の目的は「市場構造変化、競争の激化等による経営リスクの増大への対応」とのことで、具体的には次の経営戦略と事業戦略を実行したようです。

  • 経営戦略
    • コーポレートガバナンスの強化
    • 人的資源の有効活用
    • 最適な経営体制の構築(組織再編、間接部門の集約化)
  • 事業戦略
    • エンターテイメント・ハブ構想
    • 海外事業の強化

経営戦略は特に気になるところはありません。コーポレートガバナンスは強化すべきだし、HRは有効活用すべきだし、間接部門は集約した方が良いに決まっています。(いわば「当たり前のことをやります」という内容だからOK)

事業戦略の「エンターテイメント・ハブ構想」とは、要約すると「コンテンツの創出から商品展開までの機能を持ちつつ事業領域の拡大を図る」とのことでした。これは特段問題無さそうですが、「海外事業の強化」が結果的に中期計画未達の原因になったものと考えられます。

海外事業の強化とは具体的には、2005年度時点で国内売上比率81.6%だったものを2008年度は75.1%にしようとしたようです。結果的にリーマン・ショック後の世界金融危機があり、2008年〜2012年頃の期間は記録的な円高水準だったので、計画通り海外売上比率を上げてしまった場合、数字が悪くなることになります。

ただし、日本は少子高齢化が進むことで玩具やゲームの販売が将来的にシュリンクしていくことが明白なので、コンテンツ産業全般の経営戦略として「海外事業の強化」は必須です。ドメスティックでしか戦えないコンテンツ企業は遅かれ確実に淘汰されます。また、円高の内に海外の設備投資を進めておけば円安のタイミングでの利幅が上がるので、金融危機の円高タイミングでの「海外事業の強化」は、ベストな戦略だったと私は評価します。

実際、円安がゴリゴリ進んでいる2023年Q1決算短信に「為替差益で儲かった」ということが書かれています。また、フロム・ソフトウェア(KADOKAWA傘下)と共同開発したELDEN RINGがヒットしたことなどが寄与したようです。ELDEN RINGの開発にどの程度関わったのかは不明ですが、海外販売をBNH傘下が担当していることから、海外におけるエンターテインメント・ハブ構想の商品展開機能が好走したものと考えられます。

つまり、2022年の決算が異常に良かった原因は「偶然儲かった(ギャンブルに勝った)」のではなく「前々から準備していたから儲かった(戦略上の勝利)」ということになります。

以上のことから、私のBNH投資判断は「投資してもOK」という評価になります。

なお、実際に私が投資するかどうかは別 & 株を買えば絶対儲かるというものではありません。少なくとも現時点ではバンナム株は1株も持っていませんし、今の所買う予定もありません。(私が実際に売買をする時は主に定性的な論点でもっと煮詰めたレビューをします)

【投資C/F分析】(2006.03〜2022.03)

投資C/F(一般的に設備投資など)の流れは、2011年までは投資抑制傾向でしたが2012年以降は緩やかに強化していることが分かります。

「投資C/Fをシュリンクさせている企業の株は下がるから買うな」という持論があるのですが、実際投資C/Fがシュリンクしている期間は業績も悪かった傾向が覗えます。シンプルに儲かってない(原資がない)から投資シュリンクしているのなら良いのですが、儲かっているのに投資シュリンクさせる企業は伸びる見込みが無いと考えています。

2012.03以降は投資C/Fを無理なくだんだん増やしていっており、業績も伸びているので、この点は特に問題無さそうです。

一点、2018.03に異常値を出している点が気になります。決算短信によると「主に有形・無形固定資産の取得による支出が48,243百万円(前期は14,821百万円)、投資有価証券の取得による支出が11,461百万円(前 期は2,946百万円)であったことによるもの」とのこと。

単なる自社ビル建設などでここまで高くなることは無いので若干謎です。

投資CFに入れているからオフィスではなく事業目的の不動産等だと考えられますが、三田にディズニーランド的な何かでも作ろうとしたのでしょうか?(参考: 東京ディズニーシーの総工費は3,350億とかなのでその規模ではないです)

2018Q1〜Q4の株主総会の質疑応答を見てもそれらしい質問をしている人が居ないっぽいのでよく分かりませんでした。普通、こういう異常値が出れば真っ先に株主に問い詰められる筈ですが、それが無いということは、400億ぐらい投資しててもおかしくない公知の事実があったのかもしれません。

【コーポレート・ガバナンス分析】

組織の統治機構について分析してみます...とはいえ、組織図とかの変化を見たりとか無駄なことはしません。組織の統治機構はトップのプロフィールを見ればだいたい分かるので、歴代の社長のプロフィールをザックリ確認します。

※敬称略 & 役職類は登記上影響のあると思しきもの以外とBNH代表取締役社長社長以降の経歴は省略します

  • 2021.04(川口勝)
    • 1960.11 生
    • 1983.03 駒澤大学経済学部経済学科卒
    • 1983.04 バンダイ入社
    • 2006.04 バンダイ取締役
    • 2015.08 バンダイ代表取締役社長
    • 2016.06 バンダイナムコHD取締役
    • 2021.04 バンダイナムコHD代表取締役社長
  • 2015.06(田口三昭)
    • 1958.06 生
    • 1982.03 明治大学法学部卒
    • 1982.04 バンダイ入社
    • 2003.06 バンダイ取締役
    • 2015.06 バンダイナムコHD代表取締役社長
  • 2009.04(石川祝男)
    • 1955.04 生
    • 1978.03 関西大学文学部ドイツ語学科卒
    • 1978.04 ナムコ入社
    • 1995.06 ナムコ取締役
    • 2002.05 NAMCO AMERICA INC 取締役会長
    • 2002.05 NAMCO EUROPE LTD 取締役会長
    • 2005.05 NAMCO HOLDINGS CORP 取締役社長
    • 2006.04 ナムコゲームス代表取締役社長
    • 2006.06 バンダイナムコHD取締役
    • 2009.04 バンダイナムコHD代表取締役社長
  • 2005.09(高須武男)
    • 1945.06 生
    • 1968.03 早稲田大学経済学部卒
    • 1968.04 三和銀行入行
    • 1996.04 バンダイ移籍
    • 1996.06 BANDAI HOLDINGS CORP代表取締役社長
    • 1997.06 バンダイ取締役
    • 1999.03 バンダイ代表取締役社長
    • 2000.09 バンダイネットワークス設立 取締役会長
    • 2000.12 トイカード代表取締役副社長
    • 2002.02 バンダイネットワークス代表取締役社長
    • 2005.06 バンダイ代表取締役会長
    • 2005.09 バンダイナムコHD設立 代表取締役社長

なるほど。

初代社長がバリバリの銀行マンだったんですね。ゲーム会社なのにずいぶん優秀な経営しているのはその為かもしれません。ちなみに、バンダイは元々三和系企業グループ(みどり会)で設立されたので、三和銀行→バンダイ移籍という流れだと思われます。

BNHはまだ(旧バンダイと旧中村製作所が合併してから)歴史が浅い企業ですが、社長はバリバリの現場叩き上げのようです。この統治タイプの企業としては日立製作所などがあります。(日立は実質初代の小平浪平さんの後釜以降は全員、大学卒業後即日立入所というバリバリの現場叩き上げ)

という訳で、私の分析ではBNHの組織の統治機構は「現場型」です。

(参考: 私の統治機構診断)

  • ワンマンタイプ
    • 同族型(跡継ぎが無能だと潰れるので長期視点ではリスキー)
    • カリスマ型(ちゃんと世代交代できれば存続可能性があるので一族経営型よりは安全なミドルリスク。組織としてトップマネジメントの後進育成をちゃんとしているかが重要)
  • バランスタイプ
    • 外部委託型(プロ経営者に経営をお任せするタイプで本来ローリスクな筈だが、カルロス・ゴーンのような有能なプロ経営者が逮捕されてしまうケースもあったので日本の組織向きではないかもしれない)
    • 現場型(現場叩き上げがトップになるタイプで、日本の伝統的な組織ではこのタイプが多い。日立製作所のようにグローバルで戦える企業もあるので、日本の組織とは最も相性が良いのがこのタイプだと考えられる)

ワンマンタイプは、基本的に組織統治がメチャクチャなケースが多いので、業績を見て「この企業良いな」と思っても、このタイプに属する企業は基本的にハイリスク(伸び代はあるが存続しにくい)と判断します。投資しない訳ではなく、短期・中期でのキャピタルゲインは狙いやすいので、短期投資銘柄(投機に近い)としては悪くないと思われます。

たいだいの企業の中期経営計画は3年単位なので、社長任期は長くても3年2期(6年)、短ければ3年で次世代にバトンタッチするのが現場型の理想形で、二代目の石川さんと三代目の田口さんがジャスト6年なので妥当です。

ちなみに、目安として10年以上トップが世代交代できていない組織は、専制君主制(カリスマ型)に移行したものと判断できます。

【リスク分析】

  1. 直近の決算数値が良すぎるので短期 or 中期的には反動減があるかもしれない。(単なるテクニカルなので根拠は無いです)
  2. 円安で儲かるということは急激に円高に振れると減収減益リスクがありそう。(円安進行が急だったので円高に振れる時もフラクラ後急に進むではないかというテクニカル上の懸念)
  3. 私の株式取引は基本長期保有が前提です(組み換えならします)が、長期保有の前提で考えると配当利回りが低い。(配当ではなく株価で複利が付く方が税制面で有利なので、必ずしも配当利回りが低いから投資しない訳ではないですが)
  4. 過去の決算短信をななめ読みした限りガンダムに関する報告割合(ガンダム頼み?)が体感的に多い気がした。また、2023Q1も他社コンテンツの海外販売代理業務で儲かっているだけだから結果的に利幅が少ない筈。エンターテイメント・ハブ構想の要点であるコンテンツ創出が弱いかもしれない。(この辺はバンダイ系よりもナムコ系の強みか?)
【総括】

私の投資判断基準だと、任天堂は投資NGですがバンナムは投資OKということになります。ただし、コレは飽くまでも公示情報を確認した限りでの私の単なる感想であって、株の売買を勧めている訳ではありません。

株の売買判断は自己責任で。

ちなみに、私はバンナム株は持っていない(というかゲーム業界には詳しくないので、ゲーム業界の株にそもそも手を出したことがない)です。

2022年9月17日土曜日

業績分析: 任天堂

来月(2022.10)任天堂の株が31年ぶりに分割されます。という訳で「安くなるなら買おうかな?」と思っている方向けに任天堂の業績を分析してみました。

株式の売買を勧めている訳ではなく、任天堂の株なら興味あるけど株ってよく分からない >< という方の売買判断の一助になればと思い書いてみました。

【データ】

【経営分析】

1999年〜2022年までの売上、営業利益、経常利益、当期純利益の偏差値をグラフ化してみます。

経営上プラスのインパクトがある商品をだいたい10年スパンでリリースしていることが、経営成績にハッキリ現れています。(株の買い時はちょうど2005年、2015年でした...買ってないけど)

【参考】(12月末日の株価終値)

  • 1999: ¥16,830
  • 2000: ¥18,250
  • 2001: ¥22,700
  • 2002: ¥11,050
  • 2003: ¥10,060
  • 2004: ¥12,780
  • 2005: ¥14,290(買いシグナル)
  • 2006: ¥30,900
  • 2007: ¥66,500(ピークアウト)
  • 2008: ¥33,750
  • 2009: ¥22,190
  • 2010: ¥23,820
  • 2011: ¥10,540
  • 2012: ¥9,070
  • 2013: ¥14,010
  • 2014: ¥12,605
  • 2015: ¥16,755(買いシグナル)
  • 2016: ¥24,540
  • 2017: ¥41,190
  • 2018: ¥29,285
  • 2019: ¥43,970
  • 2020: ¥65,830(ピークアウト)
  • 2021: ¥53,650

理想的には偏差値が右肩上がりになっている状態で、前回の暗黒時代末期(2015年)から現在までの短いスパンで見ると右肩上がりではありますが、2021年→2022年で若干ダウンしているので、テクニカル的な視点では今は買うのを少し警戒するタイミングです。

ただし、前回のヒット(DS+Wii)と今回のヒット(Switch)では利益構造が異なることに注目すべきかもしれません。売上、営業利益、経常利益、当期純利益の偏差値の並び順がキレイに逆転してます。

  • 【DS+Wii】売上 > 営業利益 > 経常利益 > 当期純利益
  • 【Switch】当期純利益 > 経常利益 > 営業利益 > 売上

2021年3月期と2022年3月期の偏差値低下の具合を見ても、売上と営業利益の低下と比べて経常利益と当期純利益の低下が緩やかです。

【財務&投資】

任天堂は無借金経営をしていることで有名ですね。

実際過去の決算短信で、「当社は、会社の成長に必要な設備投資等を内部留保資金でまかなうことを原則とし、将来経営環境の急激な変化への対応や競争に勝ち抜くため、財務面での健全性を維持しつつ、株主の皆様への 直接的な利益還元については、安定した配当を継続しながら、各期の利益水準や配当性向をも勘案 して実施することを基本方針としています。」と説明されていました。(いつの頃からか書かれなくなりましたが)

という訳で、現金残高と投資CFの推移を見てみます。

投資CFがプラスの年がチラホラありますね。財テクかな?と思って決算短信をチェックしたところ、有価証券の満期償還による利益とのことでした。つまり、財テクですね。

本業の投資(設備投資、開発投資)と財テクは分離して欲しいです...

ちょくちょく財テクで稼げているおかげで営業利益が赤字でも当期純利益が黒字という年もあったので、投資ファンドとしても優秀な側面があるようです。

その財テクのノイズで本業のお金の流れが少し分かり難くなっていますが、2020年3月期と2021年3月期に大きめの投資CFが発生していて、2022年3月期に収束していることから、新しいゲーム機の開発中ですかね...過去の投資CFの流れと比較してみると、3DSが発売される5年前の投資CFの動きと似ている気がするので、この新作ゲーム機(?)の発売は2025年ぐらいかな?と予測してます。

過去のゲーム機の開発投資期間を3〜5年程度と予測すると概ね、

  • DSとWii: 無理の無い範囲で予算を投じて開発(メガヒット)
  • 3DSとWiiU: ガッツリ予算を投じて開発(ヒットせず)
  • Switch: そこそこの予算を投じて開発(ヒット ※Wiiほどではない)

というように見えます。

2008年に約1兆円あったキャッシュ残高は、2016年には2500億円近くまで減少しています。つまり、だいたい年1000億円ぐらいづつライフが削られる計算なので、Switchがヒットできなかったら(潰れないにしても)無借金経営を維持できず、お金を持っている外資(Appleとか?)の傘下になるなど、大きく状況が変わっていたかもしれません。

とりあえず、今は1兆円キープできているので、10年ぐらいは戦える余力がありそうです。

10年でプロダクト・アウトが成功すればセーフ、できなければアウト。

仮に任天堂の株を買う場合、「ギャンブル要素が高い」ということを念頭に入れ、一点買いは避けたほうが良いかもというのが私見です。

...というより、無借金経営できる体力がある(=外部からの資金調達が不要)なら、そもそも上場すべきではないと私は思っていて、何で上場しているのか昔から謎だったのもあって少し調べてみたのですが、結局謎は謎のままでした。

2022年9月15日木曜日

決算短信の読み方

基本的に投資はインデックス系の投資信託かETF推奨です。ただし、不景気局面では含み損が続く期間を許容する胆力が必要になります。最終的に上がってくれれば問題ないですが、確実に最終的に上がる保障は無いので、そういったリスクを許容できる範囲で定期・定額(ドルコスト平均法)で積み立てていくのが良いと思います。

その上でまだ余裕資金があるなら、思い切って個別株も組み入れてリスクヘッジするのも悪くはないというのが私見です。

個別株を購入する時、対象企業のB/S(資産)、P/L(損益)、C/F(お金の流れ)などの情報を決算短信からチェックします。

決算短信には色々な数値が載っていて全部重要な数値ですが、とりあえず売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、1株あたりの当期純利益、総資産、自己資本比率、投資キャッシュフローだけ通期(Q4)のみチェックしておけば大丈夫だと思います。

  • 売上&利益(P/L)→ 会社が儲かっているかどうかの判断指標
  • 総資産と自己資本比率(B/S)→ 会社が潰れやすいかどうかの判断指標
  • 投資C/F → 会社が成長できるかどうかの判断指標

そして、以下のような業績の銘柄は、投資不適格として弾きます。

  • 売上が右肩下がり
  • 利益が右肩下がり
  • 資産が右肩下がり

という訳で、結構面倒ですが決算短信からスプレッドシートにそれらの数値をひたすら転写していきます...(面倒だから必要な数値情報を規定書式のJSONで公示するルールにして欲しいところ)

※上図はとある銀行の業績なので、売上高=経常収益、利益=経常利益

一通り転写できたら、売上高と利益の偏差値を求めます。

【例: B2の偏差値をC2で求める場合の計算式】

=(B2-AVERAGE(B$2:B$9999))/STDEV.P(B$2:B$9999)*10+50

上記の式をC2へ入力すれば、あとはオートコレクトやコピペで簡単に全部入力できます。

偏差値を求めることで、「売上が良かった年」「営業利益が良かった年」「経常利益が良かった年」「当期純利益が良かった年」などが(※もちろん、逆に悪かった年も)ひと目で分かるようになります。

そして、その年の数値が「何で{良かった | 悪かった}のか?」という情報を決算短信の概況テキストから調べます。

例えば、日立製作所の決算短信から営業利益の偏差値を(かなりザックリと)分析すると下図のようになります。

観測期間の中間点が偏差値50、中間点より過去が50以下、中間点より未来が50以上という右肩上がりの状態であることが望ましいです。

日立製作所の場合、金融危機でこの観測期間内で最悪の営業利益(損失)を計上してますが、そこから順調に回復できていて、コロナショックの業績反映タイミングで一瞬落ちましたが、それでもこの観測期間内で偏差値50以上をキープできています。要するに、とても優秀な企業だということが分かります。

もちろん、それでも株を買えば必ず儲かるものでもありませんが。

客観的な経営成績のインプットができたらその企業の 過去の中期経営計画の評価 を行います。それを踏まえた上で、将来に向けた中期経営計画の妥当性を評価した上で「まだ成長できそうか?」を予測して、「成長しそうだ」と思ったら株を買います。

日立の場合はグローバルロジックの買収で2022年3月期に1兆円を超える投資C/Fが発生しているところが直近では最大の焦点ですね。グローバルロジックはだいたい1兆368億円ぐらいらしいので、他の投資を殆ど(100億ぐらいしか)してないから、ほぼ1点張りですね...男前だなぁ(円安拡大前なので結果的に投資タイミングとしてはベストでしたが大丈夫なのだろうか)


最近はIR資料として凝ったパワポのレポートとかを頑張って作っている企業が多いですが、何故そのような無駄な事にコストを掛けているのか理解できません。

決算短信だけで十分だと思います。

パワポ資料は企業サイドにとって都合が良い情報を強調するなど、変なバイアスが掛かっているケースが多いので、読むだけ時間の無駄...とまでは言いませんが、実態的な業績情報をチェックした上で参考程度に読むぐらいで良いと思います。(経験上、そこまで詰めて読むと、得られる有益な情報は無いケースしかなかったので、変に情報分散するよりは決算短信で情報を一元化してくれた方がレビューしやすくて助かります)

なお、パワポ資料は頑張っている割に決算短信は過去5年分しか開示していない...といった企業は基本的にギャンブル性が高いから、そういった企業も投資不適格企業として弾きます。

多分、もっとカジュアル(ラジカル?)な判断をした方がリターンは高くなるので、年間30%以上とかの爆益を叩き出したいスタイルの投資家向けではありません。リターンが高い運用はその分リスクも高いので、景気連動で業績がよくなるハイリスク企業にはインデックスで広く浅く張っておき、個別株をやるならこれぐらい硬めのバランス感覚が良いかなと。

2022年9月10日土曜日

Quiet Quitting

最近「QQ: Quiet Quitting (静かな退職)」という言葉が米国のZ世代の間で流行っているとか。

Z世代よりもう少し上のミドル世代(30代〜40代)では、少し前に FIRE; Financial Independence, Retire Early (経済的独立と早期退職) といった言葉が流行ってました。(それで勘違いしてレバナスとかにどーんと突っ込んで派手に散ったりする人が居たりして少し落ち着いた感があります)

  • FIRE = 投資運用リターンのみ(目安として目標年率4%前後)で生活する
  • QQ = 必要以上に働かない

どちらも要にするに 働きたくないでござる という事ですね。

良い傾向だと思います。

そもそも、何故働く必要があるのか?

この問いに対する回答は、大きく分類すると「趣味」と「必要に迫られて」の2種類があり、後者は3パターンに細分できるというのが私見です。

  1. 趣味で働いている
  2. 必要に迫られて働いている
    1. 豪華な暮らしがしたいため
    2. 生活費を捻出したいため(働かないと生活できない)
    3. 奴隷であるため(働くことが強制されている)

日本の場合、生活保護の規定があり、米国の生活保護制度(SSI)と比べれば判定基準が緩いので、質素な暮らしで問題無ければ 2-2 は除外できます。

ただし、質素な暮らしが出来るのは一種の才能かもしれませんが。「質素な暮らし」とは具体的には「生活に必要な最低支出以内での暮らし」です。例えば、東京23区住まいの単身世帯なら、家賃5万円/月、光熱水費1万円/月、食費3万円/月で月間最低支出9万円ぐらいで、物価高騰分のバッファを見て月間10万円ぐらいが最低ラインで、2〜3万円/月程度の遊興費も入れることができたと思われます。収入が月間最低支出(※具体的な金額は確か自治体により異なる筈)を下回っていたり、そもそも就労できない心身状態であれば、原則的には生活保護を受けることができます。

また、現代の日本に限らず大多数の国には奴隷制度は殆ど無いので、2-3 についても除外できるケースが大半だと思われます。

つまり、日本では究極的には、

  1. 趣味で働いている
  2. 豪華な暮らしがしたいため必要に迫られて働いている

の二者択一の筈です。

そして、だいたいの人は必要に迫られて働いているものと考えられます。

米国も多分同じような状況だと思われますが、米国は日本よりも大胆に弱者を切り捨てる社会システムなので、必要に迫られて働いている人の比率は日本よりも高いかもしれません。

生産性の観点では 1>2 なのは明らかなので、より多くの人々が趣味で働いている状態が理想的です。

趣味で働く手段としては、

  • 趣味を事業化する
  • 趣味と合致する業務内容の企業に就職する
  • 会社に洗脳されて働くことが趣味化する

という3通りの方法が考えられます。

1点目の「趣味を事業化」は、昨今では事業化自体の難度は低いですが、それだけで生活費の全額を賄おうとすると結構難度が高いです。運ゲー要素も結構強いです。

2点目の「趣味が合った会社に就職する」も、そこそこ難度が高い運ゲーだと思います。また、運良く自分の趣味と合致する業務ができる企業に就職できたとしても、長くても40年ぐらいしか働くことができないので、老後のことも考えると企業に依存しきるのは得策ではありません。

3点目は時代錯誤かなと。例えば、頑張ったら謎のバッジが贈られたり無意味な肩書を与えたりみたいな手法は古くから存在しますが、昨今ではSNSによる監視や、ともするとすぐに「ブラック起業」と叩く風潮もあるので、使用者側にとってもリスキーな手段だと思います。

消去法で、「趣味を事業化」が一番筋が良いように見えます。

  • 生活費は FIRE で捻出しつつ、趣味の事業化に励む(資産がある人向け)or
  • 私企業に 趣味かQQで働きつつ、副業で趣味の事業化に励む(資産が無い人向け)

あたりが最適解かなと。

そうなると、資産が無い若い世代には QQ が刺さりやすく、そこそこ資産が有る人が多いミドル世代には FIRE が刺さりやすいということになります。

FIRE や QQ が持て囃されている昨今の風潮は、人類が生産性を最適化しようとする過渡的な段階で顕在化した事象なのかもしれません。

2022年8月6日土曜日

引っ越し(搬出)

本日(2022.08.06)東京から静岡への引っ越しの搬出でした。

搬出直前の様子

2019年に引っ越してきた時の写真と比較すると荷物が増えてしまってますね...

2019年引っ越し当時の様子

サイクリングマシーン、リモートワーク用のデスクと椅子、ソファーテーブルが増えてしまいました。窓の所に袋に包まれた網戸がありますがこれは私のものではありません。(マンションが大規模修繕中なので退避しているだけ)

ミニマリストへの道は遠い。

搬出は小一時間ぐらいでサクッと完了。

ガスと水道の閉栓も実施済みです。水道閉栓したらトイレが使用不可になると思っていたのですが、本日いっぱいは使えるらしいので助かりました。

今回引っ越し業者はサカイを使いましたが、サカイだと遠方引っ越しの場合、搬出は夕方になってしまうとのことで、当日中にマンションの明け渡しが難しいので近所のAPAホテルにチェックイン。

ご尊顔(これがやりたかっただけ)


2022年8月4日木曜日

自転車の選び方(中級者編)

先日の日曜日(2022.07.31)に自転車で臨海町という荒川の河口まで行ってきましたが、今週土曜(2022.08.06)が引っ越しなので、どうやらそれが都内でのラストラン(自転車)だったのかもしれません。

太陽が完全に殺しにきているレベルの良い天気でした。

今使っている自転車(KHS製の折りたたみ自転車)を買ったのは2019年3月で、足立区に引っ越す2019年5月頃まではピカピカの新車でしたが、東京23区最大のフロンティア足立区で3年間走り続けた結果、すっかり老戦士のようにボロボロになりました。

年平均でだいたい2000kmぐらい走ったので、丸3年で6000kmぐらい走行した筈です。6000kmといえばだいたい東京からインドぐらいまでの距離と同じですね。自動車なら走行距離が10万kmを超えると故障頻度が多くなりますが、自転車だと6000kmでも結構故障します。

お陰でパンク修理、タイヤ交換、ブレーキ修理(リム交換や調整)、チェーン交換あたりの基本的なメンテナンスは一通り自力でできる程度になり、Yahoo知恵袋の情報によるとメンテナンス・スキルがあれば中級者と言えるらしいです。「走行距離1万km以上から」という意見もあるようで、それには全然及びませんが...1万kmとかゴリラですか?^^;

先日軽い横転をした後走っていたら後輪のクイックリリースが緩んでいて、別の自転車乗りの方に指摘されて焦りました。今の自転車はエントリーモデルですが、それでも結構速度が出る乗り物です。Adidas Runningで過去のトップスピードを確認したら時速64kmぐらい出ていました。トップスピードで走っている時に脱輪したら死ぬかもしれません。安全のため、人の気配がある時は時速20kmぐらいで走るようにしていますが、コロナで緊急事態宣言が出ていた時はガラガラのほぼ貸切状態だったため調子こいて全力で飛ばしまくっていました。

多少のメンテナンス・スキルがあっても慢心せず、1年に1回ぐらいは自転車屋でプロにメンテナンスをしてもらった方が良いかもしれません。ただし、購入店じゃないとメンテナンスしてくれない所が多く、購入店は銀座にあり、引越し後に買い換えようか迷い中です。

ですが、年1でメンテナンスしてもらうにしても、日々のメンテナンスは必須です。

自転車には、今乗っているフォールディングバイク(折りたたみ自転車)以外にも、マウンテンバイク、ロードバイク、クロスバイク、ママチャリなど色々な種類があって、構造がシンプルな自転車の方が自分でメンテナンスする難度は低いです。

一番メンテナンス難度が高いのはママチャリですね。シンプルにパーツ数が多いので分解するのが大変です。逆に一番メンテナンス(≒分解)しやすいのはロードバイクなので、次買うならロードバイクかなぁ...

ロードバイクを買うにはまず、欲しいメーカーのホームページでディーラー(取扱店)を探す必要がありますが、初心者だと「メーカーとは何ぞ?ブリジストン?」という感じで躓くと思います。

という訳で、3年間荒川で毎週走り続けた際、私を抜き去っていった自転車のメーカーを観察していたのですが、私が観測したデータによると以下5つのメーカーが主流らしいです。

Bianchi を特に沢山見ました。

青緑色のフレームが特徴的なので目立っただけかもしれませんが、色によるブランディングが功を奏してマーケティングに成功した結果 Bianchi が多かったのではないかと分析しています。(売上台数ベースでのMRをした訳ではないので飽くまでも感覚値ですが)

良い感じのモデルを見つけたら、メーカーのページに公式取扱店が載っているのでソコで買っておけば間違いないと思います。

ただ、上記メーカーの主要モデルを一通り確認してみたのですが、素材が微妙な製品が多い...

自転車の素材を大雑把に分類すると、カーボン、アルミ、クロモリの3種類があって、主流はカーボン(高いけど軽い)or アルミ(安くて軽い)です。

それらは軽い反面耐久性が低いので、乗り方が荒くしばしばコケる私向きではありません。という訳で私の場合「クロモリ一択」です。クロモリは(サビにさえ気をつければ)耐久年数が長くスリムなフレームが魅力ですが、重いのが欠点なのでレース向きではありません。

主流メーカーはレースモデルに注力しているので、クロモリのラインナップが弱い傾向があるようです。(当然ですが私はエンジョイ勢なのでレースには出ないです)

という訳で、クロモリに力を入れているメーカーを調べてみた所、

あたりが「クロモリ ロードバイク」で多くのAdSense広告を出稿していて、Fujiが一番出稿量が多い印象でした。

Fujiのラインナップを確認したところ、Ballad ω あたりがスペック&お値段的にバランスが良さそうです。

ですが、TREK の 520 も中々そそられます。

520は少しお値段が高い(18万円)ですが、一応予算(10〜20万円)の範囲内です。

荷物は積まない派なので荷台が邪魔ですが、恐らく簡単に外せる筈なので外してしまえば問題ありません。

ただ、動画を見て気づいたのですがディスクブレーキか...これは完全に私の技術的な事情ですが、リムブレーキなら構造がシンプルなので自力で修理や調整ができるのですが、ディスクブレーキは未知の領域です。セルフメンテの比率が高めであることを勘案するとリムブレーキの方が良さそうな気がします。ディスクブレーキでも機械式なら頑張れば何とかなるかもしれませんが、油圧式だと故障した時に自力で治せる自信がありません。

という訳で Ballad ^ω^ が有力かなぁ...コンポ(SORA)が少し弱い気がしますが、実際使って弱いと思ったらリプレースすれば良いかもしれません。(フォールディングバイクのコンポよりは簡単にリプレースできそうな気がする)

Ballad ω の取り扱いディーラーを探したところ、引越し先の近所(車で30分ぐらいのところ)に取り扱っている店舗があったので、引っ越しが終わったら機会を見て現物を見に行こうと思います。

2022年8月1日月曜日

ちょくちょく出している売上等の数値データについて

以前からちょくちょく東方VGSの各種数値データ(売上等)をこのブログで出していますが、具体的な数値が載っているものはだいたい1週間ぐらいを目処で非公開にしています。

あまり具体的な数字を出してしまうと、広告収入とかが推測できてしまえるから微妙にGoogleのガイドラインに引っかかるかもしれないので。(売上は広告収入だけではないからセーフかもしれませんが念の為)

Googleのガイドラインに引っかかってしまうと検索スコアを落とされるなどのペナルティが考えられるので、あまりよろしくありません。

という訳で、今後もちょくちょく出しては非公開化を繰り返していくと思いますが、「見れたらラッキー」程度の感じでお願いします。

なお、現在の売上目安としては、だいたい壁サークルの作家さんぐらいの水準です。

無理に売上を上げようとは思ってなくて、「やめるよりは続けておいた方が良いな」と思えるギリギリのラインを攻めていこうと思っていて、そういった意味では定期的に検索スコアを落としていく「見えない化」をするのが効果的かなと思ったり思わなかったりする今日この頃です。

合理的ではないものを作りたい

ここ最近、実機版の東方VGSの開発が忙しくて、東方VGSの曲追加が滞っています。 東方VGS(実機版)のデザインを作りながら検討中。基本レトロUIベースですがシークバーはモダンに倣おうかな…とか pic.twitter.com/YOYprlDsYD — SUZUKI PLAN (...