2022年4月6日水曜日

京都大学の耳コピAIについて少しだけ調べてみた

今朝配信した小さな小さな賢将の記事で少し触れた、京都大学で研究中の耳コピAIの研究内容について、少し興味があるので論文の概要だけ読んでみました。(本当は本編も読みたいのですが有料だし難しそうなのでちょっと迷っています...)

機械的に耳コピする場合、単音であれば音の周波数から音程を割り出すことが単純なプログラムで実現できます。しかし、だいたいの音楽は同時に複数の音が鳴っている(ポリフォニックな)状態なので、個々の音符の音程を機械的に割り出すこと(マルチピッチ検出)は容易ではありません。

複数の音を同時に鳴らすと、個々の波形のパルス符号を加算する形で合成された波形が最終的な波形の形状になります。

従来は、その合成波形をスペクトログラム因数分解で単音毎の波形に分離して解析するアプローチで、マルチピッチ検出を行う方式が一般的でした。

deCoda という耳コピ支援ツールがあり体験版を使ったことがありますが、これは恐らくスペクトログラム因数分解で波形分解しているものと思われます。体験版を使ってみた限り、肝心な音が込み入った複雑な部分とかは精度がイマイチ(音がクリアな部分ならDAWで原曲と合わせてピアノを弾きながらアナログ採譜した方が早いかも?)という印象です。VariSpeed等でピッチを変えずにスロー化した波形なら結構実用的かもしれませんが、それも結構手間が掛かるので「実用的か?」と考えると少し微妙なので製品版を買おうか悩み中です。(そんなに高いものではないですが)

ですが、この研究では、

  • DNN(ディープニューラルネットワーク)によるマルチピッチ検出
  • 統計モデルによるリズム量子化

の組み合わせにより、音声から正確な楽譜を起こすことを試みているようです。

DNNとは、多層ニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)の一種です。ニューラルネットワークとは、直訳すると「神経網」で、脳の神経回路の一部を模した数理モデルです。

余談ですが、今よく話題に挙がるAIは基本的にDNNが中心だと思われますが、個人的に「ニューラルネットワーク」のネーミングが原因で、「AIができること」について色々と変なミスリードが発生してしまっているような気がしないでもないです^^;(残念ながらドラ○もんを作るにはDNNとは別軸の深層学習が必要な気がします)

DNNを使うことで具体的に出来る事は「手作業による特徴抽出の自動化」です。例えば、スマホのカメラで写真の中から人物の顔だけ特定して矩形で囲ったりするヤツ(画像認識)とかがわかり易い例だと思います。

耳コピは「複数の音が混じっている中から個別の音を抽出する作業」なので、DNNとすごく相性が良さそうだから、AIによる完全自動化が可能だと考えられます。

論文によると、テンポスケール、拍子、小節線位置などの自動検出は誤検出が多かったものの、音符の採譜についてはかなり確度が高かったとのことです。つまり、リズム量子化の精度がイマイチだったものの、DNNによるマルチピッチ検出は精度が良かったとのことです。そこで、音楽知識から得られるピッチとリズムの非局所的統計量を定式化して、これらの大域的特徴の推定に及ぼす効果を検討してみたところ、リズム量子化についてもかなり改善されたとのことです。

つまり、この論文の研究テーマはリズム量子化がメインっぽいですね。

東方VGSの場合、音だけ拾えれば良くて完璧な楽譜は必要無い(編曲もするから結局楽譜も起こし直す)ので、マルチピッチ検出でピアノロールを生成できるようになるだけでも十分実用的なので未来が待ち遠しいですw(時間があればTensorFlowとか使って自力で作れたりするかも?)

「小さな小さな賢将」を配信しました(東方VGS)

東方VGSで「東方星蓮船 〜 Undefined Fantastic Object.」よりナズーリンのテーマ「小さな小さな賢将」を配信しました。(Pull Request

Apple Music の原曲はコチラ

今回はナズーリンのテーマ曲ということで、諸説ある「ナズーリンの元ネタ」についての新説を勝手に妄想してみます。

以下の内容は、Wikipediaでいうところの 独自研究 に相当しますので色々とご注意ください。(このブログのタイトルからお察し頂けるとは思いますが念の為)

ニコニコ大百科では、十二支のねずみが賢いというエピソードを元ネタの説として支持しているようです。なるほど。

私はナズーリンという名前の由来が気になりました。

ネズミ→ネズーミン→ナズーリンとする説もありますが、ナズーリン  نسرين (ペルシア語)は英訳すると wild rose(野ばら)という意味で、Wikipediaによるとイラン人女性の名前としてポピュラーらしいです。

日本の人名で言うところの優曇華...ではなく「花子」あたりでしょうか。

ナズーリンはスパイという印象が強いキャラクターなので、当たり障りのない名前ということで花子(偽名)なのか、または反乱軍のスパイの合言葉(のばら)をヒントにしているかは定かではありません。折角だらか私は、普通に考えればミスリードっぽいけど面白そうな前者「ナズーリン花子説」を支持してみます。

「ねずみ」+「花子」というキーワードと「星蓮船の体験版リリース(2009E)以前の文献」をヒントにリサーチしてみたところ、何故か村岡花子さん著の童話集(1938年出版)にたどり着きました。村岡花子さんは赤毛のアンの翻訳本などで有名な作家さんで、日本クリスチャンペンクラブの初代会長などもされていた方です。

その童話集の表紙にはかわいらしいネズミが描かれていて、何やらステッキと思しきものを持っています...ダウジングでもしているのでしょうか?

※童話集のスクショを貼って解説したかったのですが、この文献は2039年まで著作権が有効なので、残念ながらスクショ掲載はできません...(気になる方は国会図書館でタダで見ることができるので、そちらをご参照ください)

目次で収録タイトルを確認してみたところ、「ミッキー・マウスのお手柄」という中々攻めたタイトルが収録されてました(やぁ)。大雑把な粗筋としては、「日本在住の米国人メリー(幼女)が近所に引っ越してきた日本人(幼女)と友達になるためミッ○ーマウスの人形を使ったら上手くいった」というほのぼのしたストーリーでした。こういう文章を書けるようになりたいものです。

戦前の日本だとまだ外国人は珍しいので、外国人を見るとついつい「スパイかな?」と疑ってしまいがちです。もちろん、スパイじゃない人が大半ですが、有事中でなければスパイも一定数存在します。

童話集が出版された年(1938)は、満州国建国(1932)から6年後、太平洋戦争の宣戦布告(1941)の3年前なので、時期的にはABCD包囲網の真っ只中です。なので、史実上「有事リスクが極限まで高まった有事前」という、スパイが特に多かったと考えられる時期です。

ジョーカー・ゲームという人気のスパイ小説(2008年8月末出版)に、日本で諜報活動をする米国人スパイ(ジョン・ゴートン)のエピソードがありますが、その時期設定もだいたい同じ頃(1939年)ですね。

ジョーカー・ゲームによると「スパイは疑われた時点で失敗」らしいので、戦前の閉ざされた海洋国家日本での諜報活動は大変だったんだろうなぁ...と、当時のスパイの気持ちになって「ミッキー・マウスのお手柄」を読むと、ほのぼのストーリーの外側にやや複雑なメタ・ストーリーが見えてきます。

スパイというと危ない人だと思われがちですが、無益な戦争は起こさせないように内側からコントロールするという側面もあると思います。

今の日本では外国人は珍しくないので、スパイが安全に仕事できる良い世の中になったと思います。

スパイは時代劇のサムライと違って現代の日本にも普通に居ます。

以前都心に住んでいた時、早朝のゴーストタウンのような銀座を街歩きしていると結構な頻度でネズミを見かけたのですが、もしかするとあのネズミたちもナズーリンが使役する諜報ネズミだったのかもしれません。

2022年4月1日金曜日

テクテクライフ売上急騰の謎を推測してみる

私は位置ゲーが好きで、これまでポケGO、テク4、DQW、テクテクライフあたりを遊んできましたが最近は専ら Adidas Running ばかりやっています。

昨年の5月〜7月頃はアホみたいに走っていたなぁ〜(主にサイクリングで)

「ゲームじゃないじゃん」

と思われるかもしれませんが、自転車なら1km走る毎に1ポイント、ウォーキングやランニングなら1km走る毎に2ポイントの得点を獲得できます。

4,000ポイントに到達すると LEVEL 3、12,000ポイントに到達すると LEVEL 4 に上がります。ほぼ RPG ですね。

なお、上図の写真は私の実写ではなく、適当にネットで拾ったどこの馬のホネとも知れぬ馬の写真です。

1年間遊べたから「そろそろ課金しても良いかな?」という気分ではありますが、サブスクリプションなので無課金で遊んでます。固定費が増える事は好ましくないので、プライベートだとサブスクはどんなに安くても(稀に使うことはありますが)継続的に支払いたいという気分になるのは中々難しいです。

Adidas Running の前は主にテクテクライフを遊んでました。

しかし、概ね生活圏(東京23区)は自粛期間中に(主に自転車で)周り尽くしてしまい離脱してしまったので、遊ばなくなって久しいです。

そんなテクテクライフですが、別件の調査で game-i の情報を調べていた時についでに調べてみたところ、何やら売上が急騰していて驚きました。

iOSのセルランでだいたい800位前後。

800位だと月商換算でだいたい1,500万円/月前後(年商だと1.8億ぐらい)なので侮れません。AndroidではiOSのだいたい1/2程度の売上があると思われるので、トータル2,300万円/月前後ぐらいでしょうか。しかも、パルス的なものではなく安定的にキープできているようです。

確認したところ、2021.11から急騰したようです。

何が起こったんだろう?

テクテクライフの主な収入源は月額780円のサブスクリプションだと以前プロデューサーの田村さんがインタビュー記事で語っていました。月額780円で1,500万円を売り上げるにはだいたい2万人の課金ユーザーが必要なので、それぐらいの規模のユーザーが課金する何らかの事象があったものと考えられます。

テクテクライフの公式ツイッターアカウントのフォロー数は現時点だと2.9万人で、(フォロー数の集め方によるので一概には言えませんが)純粋なポテンシャルユーザー規模がそれぐらいのサービスなら、「2万人の課金ユーザー」という数字自体は現実感があると思いますが、課金ユーザーが一気に約10倍に増える事象とは一体何なのか?とても興味深いです。

ニュース記事などを調べてみたところ、2021.10〜2022.03までの期間に「テクテク釧網めぐり」というイベントをやっていたようです。

時期感的にはその期間と重なりますね。

ただ、(企画自体は面白そうですが)それ単体で売上に直結するか?というと少し疑問です。

売上を増やすには効果的なプロモーションをする必要があって、プロモーションをするには資本が必要ですが、セルラン1000位ぐらいのアプリだと全国ネットのテレビCMを打つには体力不足です。しかし、リージョンを北海道に絞ることで、地方局のテレビCMなどでも効果的なプロモーションができるようになります。地方局のテレビCMなら少ない資本でも割と何とかなります。(例えば静岡ならどんどんという小さなお弁当屋さんが、地方テレビCMの影響で私の同世代では認知度が限りなく100%に近い水準だったりします)

テレビCMに限らず、地方を絞ることでプロモーションコストはかなり抑えられると思われます。例えば、Google広告でも北海道に絞って広告を打ったりすることもできます。

小さな会社が運営するアプリの場合、プロモが最大の死活問題になるので、コストを抑えた効果的なプロモーションができることは強力な武器になります。この辺が企画屋の視点で「この企画が面白そうだ」と思うポイントです。(ランチェスター戦略の局所戦というヤツですね)

ただ、如何にコストを抑えたプロモが出来たとしても、継続課金の壁を突破できるプロダクト改修が無ければ、ここまで大きく売上が増加することは無いと思われます。

その観点で時期感を踏まえて公式アカウントの情報発信をチェックしてみたところ、2021.09.30のタイミングで追加された「重ね塗り」という機能が興味深いです。

この機能が入ることで、一度塗ってしまったところを再度塗るインセンティブが発生するので、少なくとも私の離脱原因は解消されます。

この2点がキーポイントかなと。

この通りだったとすると、効果的な勝ち筋が見えてきたことになるので、今度はまた別の地方に絞って作戦を展開していくことで、更に成長を加速できるかもしれません。

例えば「静岡どんどん巡り」とかw

一定の資本が必要かもしれませんが、地方色の強いインフレンサーを使ったプロモーションも効果的かもしれません。(ハイサイ探偵団を起用して「ハイサイ!沖縄離島巡り」とか?)

(追記)

2021.09.02以降、AppStoreセルランの仕様変更で200位までのランキング情報しか拾えなくなったらしく、現在は一定の予測に基づいて1000位までの順位を出しているらしいとのタレコミ情報を頂きました。

なので、セルラン200位(月商1.5億円ぐらい)以内に入らないと、確度面では如何とも言い難いかもしれません。

1.5億ってことはサブスク会員20万人か...「イケるイケる、頑張れw」とか無責任なことは言えない数字ですが、頑張って欲しいですねぇ。

2022年3月31日木曜日

「春の湊に」を配信しました(東方VGS)

東方VGSで「東方星蓮船 ~ Undefined Fantastic Object.」の1面のテーマ「春の湊に」を配信しました。(Pull Request

辞書を調べてみた所「春の湊」とは「春の行きつくところ。春の果て。はるのとまり。」という意味らしいですが、同梱のストーリーに土はぬかるみ、氷で覆われた大地から有象無象が目覚めるとあるので、ストーリー上の季節感としてはガッツリ春先ですね。

ニコニコ大百科によると「春の湊とは春の終わりのこと。春を船に喩えた表現。星蓮船本編の季節はまだ残雪が残る春先なので湊を港とかけている?」とのこと。ちなみ、「港」と「湊」の違いは、「港」は船が通る水路、「湊」は船が停泊する場所とのことです。英語で言えば「港」は Port、「湊」は Harbor ですね。

星蓮船のストーリーからシンプルに「春先に謎の船(UFO)のハーバーを探しに行くよ!」という感じではないでしょうかw

第16回東方Project人気投票の結果によると、544曲中41位ということで、かなり人気が高い曲のようです。

原作者様コメント(東方星蓮船 Music Roomより)

1面のテーマです。

軽快で気持ちの良い曲で始めたかったのでこんな感じに。

やっぱさ、シューティングって明るい方がよくない?

と、その時の気分で趣味嗜好が変わる人間が言ってもねぇ。

曲は爽やかです。窓から飛び出したくなるくらい。

なるほど。

原作者様コメントは発売当時に読んだものの、もう13年前の事なので内容をほぼ忘れてました。ただ、何故か「窓から飛び出したくなる」という件だけは覚えてました。デフェネストレーション?最近はもう聞かない(幻想入りした?)ネットスラングですね。

だいたい全ての作業が終わってから、曲に関するコンテキスト情報を調べて、「この曲はそういう曲なのか〜」と勝手に愉しむのが最近のマイブームです。

以下、曲自体の簡単な解析内容を記します。

【構成 & テンポ】

  • 5パート構成: 第1提示→第2提示→第1展開→第2展開→コーダ
  • テンポ: 155
  • 主調: 嬰ヘ短調

【第1パート】(第1提示)& 【第5パート】(コーダ)

これは、イ長調...ではなく嬰ヘ短調ですね。

ピアノがメインのパートですが、第5パート(コーダ)では第4パートのメロディ(リード)のカデンツァ(下図)と一緒に演奏されます。

【第2パート】(第2提示)

変ホ短調へ3半音下転調(短3度下転調)をして、ピアノで第2モチーフを提示してリードで繰り返します。

【第3パート】(第1展開)

ピアノで第1モチーフを展開したと思しきモチーフ(下図)を展開しながら4回演奏します。

第3展開でセオリー通り3半音上(嬰ヘ短調)の主調へ戻り、第4展開でリードに切り替えて第4パートのメロディーへ繋ぐ形になります。

【第4パート】(第2展開・再現)

主調(嬰ヘ短調)で第2モチーフを展開したと思しきモチーフ(下図)を2回繰り返します。

【考察】

ソナタ形式は概ね、

  1. 主調で第1主題を提示
  2. 転調して第2主題を提示
  3. 主題を展開(展開部)
  4. 主調に戻って第1主題と第2主題(※第2主題に限り同主調も可)を再現(再現部)
  5. 主調または同主調でコーダ
という構成になっています。

「春の湊に」の構成はソナタ形式を意識したであろう形になっていることが分かります。

つまり、この曲は「ピアノソナタの二次創作」という結論に至りました。

...というのが私のアナリーゼ結果ですが、合っているかは分かりません ^^;

2022年3月28日月曜日

Cubaseをなるべく安く買いたい

耳コピ作業に主にLogic Proを使ってます。

一番気に入っているのは...値段です。

AppStore(Mac)で約2万円で買える買い切りソフトですが、DAWとしては破格で、しかもアップグレードも無料です。(他のソフトだとバージョンアップの都度ライセンスを書い直す必要があります)

Logic Pro の VariSpeed という機能を使えばピッチ(音程)を変えずに -50% ~ 100% の範囲でテンポを変えることができるので、高速なアルペジオのコピーなどが割と簡単にできるようになります。あと、メロディーラインをコピーする時はリアルタイムに演奏して採譜するのですが、アップテンポな曲だと技術不足でモタついてしまうので、テンポを落として弾きます。

VariSpeed は標準だと表示されてませんが、ディスプレイ(テンポなどが表示されている部分)のプルダウンをクリックして「コントロールバーとディスプレイをカスタマイズ...」で「VariSpeed」をチェックすることで使えるようになります。(下図の「速度のみ」という部分)

同じような機能が Cubase にもあるらしく、以前から気になっていたのですが、Cubaseはちょっと高いです... 調べてみたところ、ダウンロード版は6万円以上して、しかもメジャーバージョンアップ時のアップグレードも有料です。

ついでに、以前のバージョンだと専用のUSB(ドングル)を挿し込まないと起動できないという不便な仕様だったようです。(流石に最新バージョンだとそれは廃止されたようですが)

サウンドハウスだともっと安く(5万円台で)買えますが、物理パッケージです...

廉価版(Artist)ならダウンロードでも3万円台で手頃感があり、一応Artist以上なら目的の機能はあるらしいので、買うならArtistかな...と思っていたのですが、Proのダウンロード販売には「競合製品からの乗り換えキャンペーン」なるものがあるらしく、それなら4万円台で買えるようです。

お値段まとめ(2022.03.28時点)

  • Cubase 12 Pro パッケージ販売: ¥57,800 (サウンドハウス)
  • Cubase 12 Pro ダウンロード販売(通常)¥62,700
  • Cubase 12 Pro ダウンロード販売(乗換)¥41,800
  • Cubase 12 Artist ダウンロード販売: ¥35,200
  • Cubase 12 Artist パッケージ販売: ¥30,222

買ってから「Proの機能が必要だった」というようなケースが発生すると困るので、その時の保険として +¥6,600 なら支払っても良いかもしれません。

ちなみに、乗り換え対象のDAWはだいたい有名所は入っているようで、もちろんLogicも入ってました。


...ただ、やっぱり高いので暫くはLogic Proで我慢しておきます。

アプリの年間利益が20万円を超えたら経費で買おう。

2022年3月24日木曜日

広告削除機能の検討(東方VGS)

東方VGSのレビューで「アプリ内課金で広告削除できるようにしてほしい」というご要望を頂いてます。

実はリリース当初からどうしようか悩んでました。

まず、東方VGSには3種類の広告があります。

  1. 楽曲アンロック(リワード広告)
  2. 画面上部(バナー広告)
  3. シャッフル再生(インタースティシャル広告 ※動画広告は排除)

現時点(約3ヶ月の運用)で収益性が一番良いのは 1 です。

収益の比率としては 1:2:3 = 10:3:3 ぐらいです。

例えば、1の売上が1万円なら 2 と 3 はそれぞれ 3千円(計6千円)です。

そして、長期的な運用で考えると重要なのは 2 と 3 だと想定してます。

収益性が低くても 2 と 3 が重要な理由は、赤字運営を回避するためです。

仮に新曲の追加をしない状態が続くと徐々に1の収益性は低下して、2と3は残存ユーザーが居る限り一定の収益が得られ、それにより赤字を回避できるという想定ですが、全ての広告を削除してしまうと(一時的な売上は高くなりますが)将来的に単年赤字になるリスクが高くなってしまいます。

悩んだ末、「1 と 2&3 を別々の課金で削除できるようにして、多くのユーザーさんが望んでいる 1 はリーズナブル価格($2.99)、2・3 は少し割高($9.99)で提供してみてはどうか?」という奇策を思いついたので、現在実装中です。

開発中の図

全部の広告を削除する課金だと、試算してみたところ1,000円以上の価格設定にしなければならないので、大半のユーザーさんが欲する機能を可能な限り割安で提供することが出来るこの形がベストかもと思っているところです。

とりあえず、iOSは実装できたので審査提出してみました。

Androidの課金周りの実装は結構面倒なので苦戦中。(実装自体はできているのですが、購入フローが何故か動かない...)

ただし、Androidで有料販売する場合、GooglePlay上で住所を晒さないといけないルールなので、もしかするとこの機能はiOSのみになってしまうかもしれません。(まだ、どうすべきか悩み中)

2022年3月9日水曜日

Apple Music連携(東方VGS)

先日の東方VGSのアプデで、Apple Music の原曲とリンクする対応をしました。

Settingsで「Apple Music で原曲をチェック」をタップすると、ミュージックアプリが起動して上海アリス幻樂団様のアーティストページが起動する形になります。

 

この意図はシンプルに「東方Project(原曲)の布教」です。

なので、今後は Apple Music を積極的にプッシュしていきます。

現時点ではSettingsからのリンクだけですが、今後のアップデートで曲単位で原曲(Apple Music)とリンクできるようにしようと検討中です。

なお、東方Projectの原曲はApple Musicだけでなく他のサブスクリプションサービスでも配信されていますが、東方VGSでは Apple Music だけを推していく方針です。

その理由は2つあります。

第1の理由はプロモーションのチャンスがある(かも)と思っているためです。

東方VGS で Apple Music をプッシュしておけば、あわよくば Apple の方からフューチャーしてくれるかも?という淡い期待を抱いています。

期待値としてはそんなに高くはないですが、東方VGSは個人運営のアプリなので、大手企業のようにお金を積んで大々的に広告を打ち出す体力はありません。なので、プロモーションは死活問題だから、確度が低くてもお金を掛けずにできる事なら何でもやります。(ん?)

第2の理由は上海アリス幻樂団様の実入りが他サービスをプッシュするよりも良くなる可能性が高いと考えられる為です。

Apple Music や Spotify などのサブスクリプション型の音楽配信サービスは、売上の一部を権利者(コンテンツホルダー)に実績値で按分して分配する仕組みになっています。

Apple Music の場合、サブスクリプション収益の52%を再生回数で按分して権利者に分配しています。Apple Music の現在の会員数は不明ですが、2019年時点の報告では約6,000万人なので、月間の売上はおよそ600億円、その52%(およそ312億円)を約6000万曲(※2019年時点の配信楽曲数)へ分配するので、1曲あたりの分配額は平均520円/月ぐらいだと考えられます。そして「1再生平均1円ぐらい」とも言われているので、1曲あたり平均520回/月ぐらい再生されているものと思われます。(参考

なので、1アルバム平均16曲で28本のアルバム(全448曲)をリリースしているアーティスト(東方Projectがだいたいそれぐらいの規模感)の場合、平均23万2,960円/月ぐらいの収益を得られる計算になります。(もちろん、人気などによって大きく上下する筈です)

ただし、Apple Music以外はアーティストへの分配金額が低いという情報があります。

ソース: https://rockinon.com/blog/nakamura/201465

また各ストリーミングが曲を1回ストリームしてアーティストに支払う金額と、$1000払われるまでのストリーム回数(全て推定)
Tidal 0.12ドル、8,333回
Apple Music 0.01ドル、100,000回
Amazon Music 0.004ドル、250,000回
Spotify 0.0033ドル、303,030回
YouTube Music 0.002ドル、500,000回

Apple Music よりも Spotify の方が有料会員数が多いにも関わらず、アーティストへの還元率が低いらしいことが分かります。

これは別に Spotify がアーティストから搾取している訳ではなく、仕組み上やむを得ずそうなっているものと考えられます。

Spotfiyの場合、売上の15%〜30%(平均22.5%ぐらい?)がApple税/Google税で持っていかれるので、Apple Musicと同程度の収益配分(52%)にしようとすると、ネット売上(Apple税/Google税を差し引いた金額)の約67.1%をアーティス還元に回すことになり、売上に対する粗利益率は25.5%(対するAppleはiOSでは48%)で、そこからランニングコスト等を差し引くとかなりカツカツの経営になる筈です。

Android版の Apple Music でも Spotify と同じようなことが言えますが、課金ユーザーは圧倒的に iOS の方が多く、加えて経営体力もある Apple なら、それで経営がカツカツになることはまず無いと思われます。

Spotify にはアプリ内課金ではなく独自決済もあるので、ユーザーが積極的に独自決済を利用すれば、Spotifyとアーティストの実入りが多少良くなると考えられますが、独自決済であっても手数料は当然タダではありません。決済システムやクレジットカード手数料は規模がデカイほど有利で、世界最大級のAppStoreの決済システムをタダ同然で使えるApple Musicが有利であることは変わらないと思います。(何より独自決済よりもアプリ内決済の方が利用者にとって圧倒的に便利なので、値段が同じなら普通にアプリ内決済を選択する人が大半だと思われます)

要するに、構造上「Apple Musicの分配金が高くなって当然」ということです。

プラットフォーマーと同じ土俵で商売するのは分が悪すぎる...

「Spotifyを応援したい人」はSpotifyを使うのがオススメですが、「アーティストを応援したい人」はApple Musicを使うのがオススメということになるので、東方VGSは必然的に後者ということになります。

合理的ではないものを作りたい

ここ最近、実機版の東方VGSの開発が忙しくて、東方VGSの曲追加が滞っています。 東方VGS(実機版)のデザインを作りながら検討中。基本レトロUIベースですがシークバーはモダンに倣おうかな…とか pic.twitter.com/YOYprlDsYD — SUZUKI PLAN (...