投資については素人ですが、2005年頃からやっていて歴が結構長く、最近の投資関連の話題について少し思う所があるので文章を書いてみます。
「ITバブル崩壊の再来」みたいな記事がチラホラ目につきます。
昨年まで好調だったテック系銘柄のコア技術はインターネットで、1995年のWindows95から一般的に使われるようになったブラウザをキッカケとして広く普及したものの、2000年のITバブル(ドットコムバブル)の崩壊で一時落ち込みました。落ち込んだといってもその後すぐ(2003年頃)に持ち直していたので「過剰投資な状態が是正された」という見方も出来ます。
一旦ハジけたITバブルですが、2007年に登場したiPhoneにより市場環境が大きく変化しました。
スマートフォンの世界での出荷台数の推移:
- 2007年 1.2億台
- 2011年 4.7億台
- 2015年 14.2億台(この時点で普及率でスマホがガラケーを超えた@日本)
- 2019年 15.4億台(前年の15.6億台から初めて減少 = 普及が頭打ち)
2020年時点の人口あたりのスマートフォン普及率は、日本は老人が多いので64%と低いですが、欧米やアジアの大半の国で7割を超えていて、アフリカでも5〜6割と過半数を超えています(参考)。現在、スマートフォンが世界的に見てもコモディティ製品になったと見ることができます。
一方、パソコンの世界での出荷台数は、最初にピークアウトした2000年が1億台ぐらい(参考)、その後IT産業の隆盛とともに出荷台数が増えましたが、それでも2020年時点でも3億台ぐらいで、私がスマホに興味を持ち始めた頃(※2011年末ごろから興味を持ち始めて2012年2月頃からアプリを作り始めました)のスマホ出荷台数よりも全然少ないです。
2000年のITバブル崩壊のキッカケとなった事象はインテルの業績下方修正でしたが、それは単なるトリガーに過ぎなくて、結局のところインターネットを扱うデバイス(当時はPC)がコモディティ製品となるには複雑過ぎた(から普及しても市場が小さかった)ために起こったものと考えられます。そして、スマートフォンの登場(2007年)でそれが解消され、最近(2018年)になってようやく「ITデバイス」がコモディティ製品になりました。
総務省が出している2004年(平成16年)の情報通信白書で「ユビキタスネットワーク社会の実現に向けて云々」といったことが書かれていますが、誰もが指でスマートフォンをシュッシュッとスワイプする「ユビキタス社会」が14年越しに来たとも言えます。(当時の総務省の見立ては結構核心を突いていたと思います)
引用: ユビキタスネットワーク社会とは、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながることにより、様々なサービスが提供され、人々の生活をより豊かにする社会である。
世界の過半数の人がスマホ(自分専用の情報端末)を持っているので、その前提を活かしたサービスが新たなマーケットを緩やかに創生していくと思われましたが、2020年のウイルス騒動などが起因して先食い出来る範囲での需要の先食いが発生しました。
需要の先食いが発生することで普及や進化の速度が早まる一方、ピークアウトが早まることに加え、特に先進国では行政(法)の整備が追いつかなくなるといったデメリットがあるものと思われます。
空白の30年間に何故米国はこんなに儲かっていたのかが、何となく理解できたかと思います。
最近「米国インデックス(S&P500やVTI)だけ買っておけば大丈夫!」みたいな投資勧誘をよく聞き、確かに1990年代〜2021年までの約30年間はそれで良かったのですが、次の10年、20年、30年を見据えた時、果たして同じような投資スタイルで上手くいくかは眉唾ものです。もちろん、上手くいく可能性もゼロではありません。しかし、これまでの30年間の米国の躍進はITバブルの延長線上にあったものなので、今後は2000年代から相対的に衰退を続けている自動車産業のようにIT産業も衰退していく可能性もゼロではありません。
ウィルス騒動による供給網の停滞、各種財政出動によるプライマリバランス悪化、急激な行動規制緩和による需要増加などで世界中でインフレが起きているところに、拍車をかけるように一次資源の供給が滞る各種世界情勢悪化(ウクライナ戦争や中国のロックダウン ※ウクライナは農業大国、ロシアは資源大国、中国はその両方)などが相まってファンダメンタルズが最悪な状態のところに、需要先食いの影響で前年比から微妙な決算のテック系銘柄(決して悪くは無いが良くもない)。ITバブルの時のインテルショックとは比べ物にならないレベルのトレンド変化が起こっても何ら不思議ではない状態のような気がします。
数日前にAppleが時価総額でサウディアラムコに抜かれたのも、ある意味象徴的な出来事かもしれません。
投資ポートフォリオは分散させた方がリスク回避できる可能性が高いので、米国株式インデックス一点張りというのはそれなりにリスクがあります。(その割に低リターン)
とか言いつつ米国経済の伸びしろがゼロだとも思っていないので、私も米国株式インデックスにも投資していますが、一点張りはせず、新興国株式インデックス、コモディティ・インデックス、株式指数ETF、国債ETF、日本の個別株、現金などに分散させています。国債やコモディティ商品はIG証券など取引できる証券会社が限られますが、そういうのは基本ETFで取引しておけば良いと思います。長期投資(10年以上の鬼ホールド)は各種インデックス系を中心とした投資信託、中期投資(2〜3年程度でのexit想定)はETFや個別株、良きタイミングで買い増しできるように必ず現金もプールしてます。CFD、FX、信用取引等のハイ・レバレッジ運用はしてなくて、レバレッジ1倍(現物)縛りにしてます。リーマンショックで少し痛い目を見たので。ただし、ハイレバを全くやっていない訳ではなくゲーム感覚でFX/CFDを遊ぶことならあります。お金を賭けて遊ぶことで多少金融リテラシーも上がるのでソシャゲ等に時間を浪費するよりは有意義かも?
具体的にどういう銘柄や投資信託を買っているかといった事は書きませんが、「どういう銘柄に投資しないか」についてだけ書いてみます。
まず、仮想通貨とメタバース関連(NFTを含む)の個別銘柄については意図的にポートフォリオから除外してます。これらは国家主権のひとつである通貨発行権を脅かす可能性があるため、法が正常に機能している法治国家では普及する可能性は低いと見ています。仮に普及するとすれば、先に法整備が緩い新興国で普及した結果、その新興国が先進国化する場合だと思っていて、その時は新興国株式のインデックスで小さく儲かれば良い程度の期待値で見てます。
また、VR投資が加熱していた2016年頃にはVR関連銘柄への投資も避けていました。これはシンプルにVRが当たるモノだったらバーチャルボーイはもっと普及していた筈という謎の理屈です。「FBが生理的に受け付けないからFBが手を出す分野には基本手を出さない」というもっと謎の理屈もあります。VRもメタバースもまだ未来はあるかもしれませんが、それらが結果的に当たっても後悔することがなく、大ゴケしても(インデックス経由で若干ダメージはありますが)ほぼノーダメージです。要するに「流行っているからといって好きになれない分野や企業には投資をしない」という事です。
次に、電気自動車はコモディティレベルでは普及しないと思っています。これはコア原材料の電池がボトルネックになって普及数が伸び悩むと予測してます。カーボンニュートラル?走行時は確かにクリーンかもしれませんが、その動力である電気は火力発電で作っているし、充電には時間が掛かるし、スマホと同様電池がヘタれば交換する必要もあり、更に製造工程でも大量の二酸化炭素が出ます。リチウムイオンの資源量も限られています。なので、普及するとすればシェアリングエコノミーという形だろうから、そうなると出荷台数はそんなに伸びません。というか、日本には既に電車網が結構整っていて、電車がある意味最強のEV&シェアリングエコノミーだと思っています。電気自動車だと蓄電が必須で、蓄電すればエネルギー効率が落ちるのに対し、送電線でダイレクトに電源供給できる電車の方がエネルギー効率が良い筈ですし、個人で電車と線路を持っている人は多分居ないので強制的なシェアリングエコノミーになっているので、多分EVよりも遥かにエコです。というか、本気でカーボンニュートラルを目指すならみんな自転車に乗ろうぜ!と言いたいです。EUのように輪行袋ナシで電車に自転車を乗車可能にして欲しいです。あとはガソリン、車に限らず畜産物などのCo2排出量が多い商品に対してタバコのような「悪者税」をガンガン掛ければ、EVなんかより遥かにクリーンでエコな未来になるような気がしないでもないです。運動不足も解消できて結果的に健康保険のコストも下がる副産物もあるかもしれませんし、健康的な(=働ける)老人が増えればGDPも上がるかもしれません。
かなり暴論混じりだし的外れかもしれませんが、こんな感じのことを考えながらポートフォリオを組んでいます。
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