2022年5月13日金曜日

虎柄の毘沙門天

 東方VGSで「東方星蓮船」より寅丸星のテーマ「虎柄の毘沙門天」を配信しました。(Pull Request

原曲はコチラ(Apple Music)

【元ネタ確認】

毘沙門天(वैश्रवण)は、紀元前1000年〜紀元前500年頃に作られたインド神話のヴェーダ(वेद)に出てくる財物の神様から由来して、日本では七福神の一柱として知られており、神社やお寺でも祀られていたりします。毘沙門天は虎を使役していた為、境内には狛犬ではなく虎の像があるらしいです。(参考

なるほど、だから虎なのか。

寅丸は忙しい毘沙門天の代理とのことですが、毘沙門天から完全に信頼されている訳ではなく、部下のナズーリンにより監視されています。会社で例えると、中間管理職の配下に取締役から送り込まれた特命社員がいて、評価が経営陣にダイレクトに伝わるようなイメージでしょうか。(割とよくある話ですね)

毘沙門天は右手で持つ宝棒で邪気を祓い、左手で持つ宝塔で豊かさを授けるとされていますが、寅丸は現在宝塔を紛失中で、それをナズーリンだけに打ち明けて探させていたようです。あぁ...w

ちなみに、京都の三室戸寺にある毘沙門天像も宝棒しか持っていないスタイルなので、同じく紛失中なのでしょうか?今度京都旅行する機会があったら見に行こう。

毘沙門天は財物の神様なので、財テクネタを少し書いてみます。上述のように旅行先で元ネタを見に行く目的(聖地巡礼)を組み入れておき、実際に旅行した時に取材記録、日程表、領収証等を残しておけば、視察旅行として認められる範囲の旅費(一部)を経費として計上できるらしいです。私はやったことないですが^^;(参考

聖地巡礼を趣味にしているオタクは多いと思いますが、同人活動をしていて確定申告が必要な程度稼げているオタクにとっては有用なテクニックかもしれません。

【構成】

  • 構成: 3-6
    • A→A'→B→A''→C→A'''(→A'へループ)
    • メインテーマはAでB/Cは間奏のような形です。
    • B/Cは構成的にも良く似ているので当初CをB'にしようと思ったのですが、結構内容が違っていたのでBから独立したCと判断しました。
  • 拍子: 4/4
  • テンポ: 141〜153(テンポは概ね4小節毎に変わります ※その限りではないです)
  • 主調: 嬰ト短調

【A】(1〜16)

このパートはイントロで最初に1回だけ演奏します。

1〜4 (tempo 141)

1小節目と3小節目のA(2の音)が♮になってますね。何だろう?あまりよく見ないスケールです。多分転調はしてません。

5〜8 (tempo 141)

8小節目の1〜2拍目に6の音(F#)と3の音(C#)が半音上がってます...そういうスケールがあるのかな?スケールは色々とありすぎて、既にあるものかZUNさんオリジナルかの判別が付きにくいですね。転調ではない...筈(自信なし)

9〜12 (tempo 142)

楽譜は1~4小節と同じですが、テンポが少し(+1)上がっています。

13〜16 (tempo 142, 146)

テンポ:

  • 13〜15 = 142
  • 16 = 146

【A'】(17〜32)

このパートのベースは全般的に少しアレンジしてます。(楽譜上は普通の音符になってしまってますがゴーストノート多めです)

17〜20(tempo 153, 148)

テンポ:

  • 17 = 153
  • 18〜20 = 148

21〜24(tempo 150)

25〜28(tempo 148)

29〜32(tempo 150)

メロディーの終止音(G#)は次のパートで鳴らします。

【B】(33〜56)

8小節毎、3フェーズに分かれています。

Phase 1: 33〜40(tempo 148, 150)

  • 前パートのメロディーのカデンツを演奏しながら、ピアノのみで伴奏のようなメロディーを演奏します。
  • ベース音は聴き取れなかったためルートだけ押さえて作曲しているので、かなり原曲と違うかもしれません。
  • テンポは前半4小節が148、後半4小節が150です。

Phase 2: 41〜48(tempo 148, 150)

  • ベースとピアノは Phase 1 と同じで、トランペットのメロディーが加わります。
  • テンポは前半4小節が148、後半4小節が150です。

Phase 3: 49〜56(tempo 148, 150)

  • 1小節毎に半音上下(+0, +1, +1, -1, -1, +1, +1, -1)の転調をしています
    • 49,53: 嬰ト短調
    • 50,54: イ短調
    • 51,55: 変ロ短調
    • 52,56: イ短調
  • テンポは前半4小節が148、後半4小節が150です。

【A''】(57〜88)

メインテーマを2回繰り返します。

57〜60(tempo 150)

調性は主調(嬰ト短調)のままです。

出だし4小節のメロディー高音部分だけ、他のAパートと異なるので注意しましょう。(B/Cの間奏パートからAに移る時だけこの形になっているようです)

61〜64(tempo 148)

65〜68(tempo 150)

69〜72(tempo 148)

73〜76(tempo 150)※2ループ目

先述のように通常のAパートのメロディーの形に戻っています。

77〜80(tempo 148)

※65〜68と同じなので省略

81〜84(tempo 150)

※69〜72と同じなので省略

85〜88(tempo 148)

【C】(89〜112)

Bと同様、3フェーズに分けられた間奏パートです。

Twitterでも書きましたがこの部分のベース音の再現にだいぶ苦戦しましたw

Phase 1: 89〜96(tempo 150, 148)

  • 89〜 tempo 150
  • 93〜 tempo 148

Phase 2: 97〜104(tempo 150, 148)

  • 97〜 tempo 150
  • 101〜 tempo 148

Phase 3: 105〜112(tempo 150, 148)

※楽器が少し違うことを除いて B パートの Phase 3 と同じなので省略します

【A'''】(113〜128)

アルペジオが鳴っていたり、テンポが違ったり、出だし4小節のメロディーが少し違いますが、その他はだいたいAと同じです。

113〜116(tempo 150)

117〜120(tempo 148)

121〜124(tempo 150)

125〜128(tempo 148)

(以下、A'にループ)


音が結構クリアに聴こえるし、繰り返しも多い曲なので楽勝だと思っていたのですが、割と大変でした。だからこの曲を耳コピしている人が少ないのかな。シンプルに128小節と長いのも苦労した一因かも。今まで東方の曲だけで何千小節と耳コピしてきた訳ですが、単曲で100小節越えると解析の集中力が割と途切れやすいです。

2022年5月6日金曜日

魔界地方都市エソテリア(東方VGS)

東方VGSで「東方星蓮船」より5面のテーマ「魔界地方都市エソテリア」を配信しました。(Pull Request

原曲はコチラ(Apple Music)

【元ネタ確認】

魔界の地方都市の名称のようです。

原作者様コメント

5面のテーマです。

変則的なリズムの曲ですが意外とノリノリです。魔界っぽい感じ。

プレイ中の効果音と共に聞くと、途中からの盛り上がりが激しいので、是非遊びながら聞いて貰いたいです。

曲名は、田舎的な感じと都会的な感じを併せ持ったところから。

esoteriaはギリシア語で和訳すると「中身」(esoは「内側の」)という意味です。

東京都多摩市にエソテリックというオーディオ機器メーカーがありますが、恐らく無関係かな?esotericは和訳すると「秘伝の免許皆伝」みたいな感じの意味のようです。

Google Mapで「エソテリア」で検索したところメキシコ方面で幾らかヒットして、その中のひとつの「Esoteria La Santisima」というショップが中々魔界感が漂っていて良い感じです。

また、ドイツのラーティンゲンにエソテリア・ベルマンという形而上学(哲学)関連の文房具屋さんがありました。とても興味深いです。ラーティンゲンはデュッセルドルフからチャリで行けるぐらいの距離にある地方都市です。(次回ドイツ方面へ行った時に行ってみよう)

熱海の秘宝館のようなイメージのショップでしょうか?

以下、楽曲の解説です。

【全体構成】

  • 構成: 1-5構成
    • 1つのモチーフを5パートで展開しながら演奏する構成です
    • A→B→A+→B'→A+'→A'
  • 拍子: 6/4, 5/4 が概ね交互に現れる変則拍子
  • テンポ: 基本188(一部183〜192の範囲で変化)
  • 主調: 変ホ短調(E♭-Moll)

【A】(1〜8 tempo 188 E♭-Moll

1~4:

5~8:

【B】(9〜25 tempo 188 E♭-Moll

9~12:

13~16:

15小節の途中から D♭ が D♮ になっているのは、スケール変化(和声的短音階)なので転調はしてません。

17~20:

9~12と同じ内容なので省略します

21~25:

24小節の4拍目から風切り音が入ります。

【A+】(26〜41 tempo 188 E♭-Moll)

Aと比べて最初から1オクターブ高くノリノリな感じに展開しています。

26〜29:

30〜33:

34〜37:

26~29と同じ内容なので省略します

38〜41:

最後の1拍で次パートへの繋ぎが入ることを除けば30~33と同じですね。

ここで短6度転調(+8)してロ短調(H-Moll)になっています。

【B'】(42~58 tempo 183 H-Moll)

ここでテンポを183に落とします。

42~45:

46~49:

50~53:

ここは、42~45とだいたい同じなのですが、原曲ではかすかに対旋律が鳴っているように聴こえますが、聴き取りにくかったので対旋律については例によって若干作曲しました。

54〜58:

Bと同様に風切り音が入りますが、入るタイミングが若干Bと異なります。

【A+'】(59~74 tempo 190~188 H-Moll)

A+の展開です。

A+との相違点としては次の3点があります:

  • 調性: 変ホ短調→ロ短調
  • フィニッシュ部分が若干異なる
  • テンポが一部(最初の4小節だけ)異なる

59~62 (tempo 190~183)

最後の1小節(62小節)のみテンポが183になっています。

63~66 (tempo 188)

67〜70 (tempo 188)

テンポ以外は59~62と同じ内容なので省略します

71〜74 (tempo 188)

63~66と同じ内容なので省略します

【A'/Coda】(75~ tempo 183~192 H-Moll→E♭-Moll)

75~78 (tempo 183~188)

75〜76小節はテンポ183、77〜78小節はテンポ188だと思いますが少し違っているかも。(75~78にかけてリニアに183から192に上がっているかも?)

79~82 (tempo 192~188)

79~80小節はテンポ192、81〜82小節はテンポ188・・・だと思います。(同じくリニアに下がっているかも?)

83~86 (tempo 188)

1オクターブ高い a tempo になった 75~78 です。

87~90

91~94

変ホ短調(主調)に戻ってA#(B♭)のフェルマータを鳴らしながらパートA(1~4)にループします。

2022年4月30日土曜日

キャプテン・ムラサ(東方VGS)

  東方VGSで「東方星蓮船」より村紗水蜜のテーマ「キャプテン・ムラサ」を配信しました。(Pull Request

原曲はコチラ(Apple Music)

【元ネタ確認】

前回配信した幽霊客船の時空を越えた旅の記事でも触れましたが、隠岐の島(島根県)に伝わる民話「船幽霊ムラサ」が元ネタです。

村紗水蜜(むらさみなみつ)は、海難事故で亡くなった人間の幽霊で、地縛霊となって船を沈没させていたら妖怪化、その後なんやかやあって白蓮に拾われて聖輦船の船長を務めるようになったものの、聖輦船は自動運転なのでほぼ仕事が無いようです。(参考

原作者様コメント

村紗 水蜜のテーマです。

よく沈没することで有名な舟幽霊の船長です。

曲はキャプテンってイメージで作ったので、無駄に格好良いです。
しかしみんなムラサって呼ぶけど、ムラサのは妖怪の名前なので実は名前で呼ばれていないというオチが。

てっきり「ムラサ」という名前だと思ってました。

以下、楽曲の解説です。

【全体構成】

  • 2-9構成
    • i→A→B→A'→B'→v1→v2→v3→v4
      • V1〜V4はAの変奏
      • Phase
        • i: イントロ
        • A-B: 主題提示
        • A'-B': 変化主題提示
        • v1-v4: A変奏
        • 変奏の間、ムラサが定期的に柄杓で水を掛けてきます
  • テンポ: 160
  • 拍子: 4/4
  • 主調: ニ短調(D-Moll)

【i】(1〜4小節)

メインテーマ(A)の原型となるモチーフを提示します。

この曲は、このモチーフをバリエーション(変奏曲)のように変化を加えながら全体を構成しています。

※ベースは少しアレンジしてます

上図では「Trumpet」としてますが正しくは Reed Romance かな?(SD-90は持ってないので分かりません。まぁ、大きな括りでリード楽器ということで^^;)

【A】(5〜20小節)

iの展開を2回繰り返します。

(5〜8小節 & 13〜16小節)

※3段目はピアノです

(9〜12小節 & 17〜20小節)

【B】(21〜28小節)

(21〜24小節)

(25〜28小節)

ここで、ニ短調からヘ短調に転調(+3)します。

上図ですが、最後の1/2小節のパッセージが少し間違っていて、E♭をE♮(ハーモニックマイナースケール)にするのが正しいです。

【A'】(29〜44小節)

(29〜32小節 & 33〜36小節)

ここで、ヘ短調からホ短調に転調(-1)して、Aをピアノとベースのみで2回繰り返します。

ピアノは若干Aから展開してます。

  • 1oct高い
  • 最後の三連符がアルペジオになっている

Aではサブメロディー的に鳴っていたピアノが前面に出される形ですね。

(37〜44小節)

前8小節と同じピアノとベースに下図のリードを重ねます。

【B'】(45〜52小節)

ト短調 & メロディーをリード楽器に変更&気持ちリズムを変化させた状態のBを演奏します。

(45〜48小節)

(49〜52小節)

ここで、ホ短調からト短調に転調(+3)します。

最後の1/2小節で転調(-3)してホ短調(またはト長調)になります。

【v1】(53〜60小節)

Aのリード楽器をピアノ(伴奏)にして、リードでメロディーを演奏します。

調性はホ短調です。

(53〜56小節)

(57〜60小節)

※60小節目はハーモニックマイナースケールです

2小節に1回のタイミングで定期的に柄杓で水を掛けてくるような効果音が入ります。

【v2】(61〜68小節)

  • メロディーが若干変化
  • 16ビートのゴースト・ノート追加
  • ピアノのピッチが若干変化(メロディーと重ならないように)

(61〜64小節)

(65〜68小節)

VGSではゴースト・ノートをキレイに入れられなかったので省略してます...

【v3】(69〜76小節)

  • メロディーがユニオンに変化(下図楽譜では省略)
  • ベースが5度の8ビート
  • 柄杓で水を投げる頻度が2小節間隔から1小節間隔にスピードアップ

(69〜72小節)

(73〜76小節)

【v4/Coda】(77〜84小節)

  • メロディーに高音の対旋律追加

(77〜80小節)

(81〜84小節)


合理的ではないものを作りたい

ここ最近、実機版の東方VGSの開発が忙しくて、東方VGSの曲追加が滞っています。 東方VGS(実機版)のデザインを作りながら検討中。基本レトロUIベースですがシークバーはモダンに倣おうかな…とか pic.twitter.com/YOYprlDsYD — SUZUKI PLAN (...