2022年5月6日金曜日

魔界地方都市エソテリア(東方VGS)

東方VGSで「東方星蓮船」より5面のテーマ「魔界地方都市エソテリア」を配信しました。(Pull Request

原曲はコチラ(Apple Music)

【元ネタ確認】

魔界の地方都市の名称のようです。

原作者様コメント

5面のテーマです。

変則的なリズムの曲ですが意外とノリノリです。魔界っぽい感じ。

プレイ中の効果音と共に聞くと、途中からの盛り上がりが激しいので、是非遊びながら聞いて貰いたいです。

曲名は、田舎的な感じと都会的な感じを併せ持ったところから。

esoteriaはギリシア語で和訳すると「中身」(esoは「内側の」)という意味です。

東京都多摩市にエソテリックというオーディオ機器メーカーがありますが、恐らく無関係かな?esotericは和訳すると「秘伝の免許皆伝」みたいな感じの意味のようです。

Google Mapで「エソテリア」で検索したところメキシコ方面で幾らかヒットして、その中のひとつの「Esoteria La Santisima」というショップが中々魔界感が漂っていて良い感じです。

また、ドイツのラーティンゲンにエソテリア・ベルマンという形而上学(哲学)関連の文房具屋さんがありました。とても興味深いです。ラーティンゲンはデュッセルドルフからチャリで行けるぐらいの距離にある地方都市です。(次回ドイツ方面へ行った時に行ってみよう)

熱海の秘宝館のようなイメージのショップでしょうか?

以下、楽曲の解説です。

【全体構成】

  • 構成: 1-5構成
    • 1つのモチーフを5パートで展開しながら演奏する構成です
    • A→B→A+→B'→A+'→A'
  • 拍子: 6/4, 5/4 が概ね交互に現れる変則拍子
  • テンポ: 基本188(一部183〜192の範囲で変化)
  • 主調: 変ホ短調(E♭-Moll)

【A】(1〜8 tempo 188 E♭-Moll

1~4:

5~8:

【B】(9〜25 tempo 188 E♭-Moll

9~12:

13~16:

15小節の途中から D♭ が D♮ になっているのは、スケール変化(和声的短音階)なので転調はしてません。

17~20:

9~12と同じ内容なので省略します

21~25:

24小節の4拍目から風切り音が入ります。

【A+】(26〜41 tempo 188 E♭-Moll)

Aと比べて最初から1オクターブ高くノリノリな感じに展開しています。

26〜29:

30〜33:

34〜37:

26~29と同じ内容なので省略します

38〜41:

最後の1拍で次パートへの繋ぎが入ることを除けば30~33と同じですね。

ここで短6度転調(+8)してロ短調(H-Moll)になっています。

【B'】(42~58 tempo 183 H-Moll)

ここでテンポを183に落とします。

42~45:

46~49:

50~53:

ここは、42~45とだいたい同じなのですが、原曲ではかすかに対旋律が鳴っているように聴こえますが、聴き取りにくかったので対旋律については例によって若干作曲しました。

54〜58:

Bと同様に風切り音が入りますが、入るタイミングが若干Bと異なります。

【A+'】(59~74 tempo 190~188 H-Moll)

A+の展開です。

A+との相違点としては次の3点があります:

  • 調性: 変ホ短調→ロ短調
  • フィニッシュ部分が若干異なる
  • テンポが一部(最初の4小節だけ)異なる

59~62 (tempo 190~183)

最後の1小節(62小節)のみテンポが183になっています。

63~66 (tempo 188)

67〜70 (tempo 188)

テンポ以外は59~62と同じ内容なので省略します

71〜74 (tempo 188)

63~66と同じ内容なので省略します

【A'/Coda】(75~ tempo 183~192 H-Moll→E♭-Moll)

75~78 (tempo 183~188)

75〜76小節はテンポ183、77〜78小節はテンポ188だと思いますが少し違っているかも。(75~78にかけてリニアに183から192に上がっているかも?)

79~82 (tempo 192~188)

79~80小節はテンポ192、81〜82小節はテンポ188・・・だと思います。(同じくリニアに下がっているかも?)

83~86 (tempo 188)

1オクターブ高い a tempo になった 75~78 です。

87~90

91~94

変ホ短調(主調)に戻ってA#(B♭)のフェルマータを鳴らしながらパートA(1~4)にループします。

2022年4月30日土曜日

キャプテン・ムラサ(東方VGS)

  東方VGSで「東方星蓮船」より村紗水蜜のテーマ「キャプテン・ムラサ」を配信しました。(Pull Request

原曲はコチラ(Apple Music)

【元ネタ確認】

前回配信した幽霊客船の時空を越えた旅の記事でも触れましたが、隠岐の島(島根県)に伝わる民話「船幽霊ムラサ」が元ネタです。

村紗水蜜(むらさみなみつ)は、海難事故で亡くなった人間の幽霊で、地縛霊となって船を沈没させていたら妖怪化、その後なんやかやあって白蓮に拾われて聖輦船の船長を務めるようになったものの、聖輦船は自動運転なのでほぼ仕事が無いようです。(参考

原作者様コメント

村紗 水蜜のテーマです。

よく沈没することで有名な舟幽霊の船長です。

曲はキャプテンってイメージで作ったので、無駄に格好良いです。
しかしみんなムラサって呼ぶけど、ムラサのは妖怪の名前なので実は名前で呼ばれていないというオチが。

てっきり「ムラサ」という名前だと思ってました。

以下、楽曲の解説です。

【全体構成】

  • 2-9構成
    • i→A→B→A'→B'→v1→v2→v3→v4
      • V1〜V4はAの変奏
      • Phase
        • i: イントロ
        • A-B: 主題提示
        • A'-B': 変化主題提示
        • v1-v4: A変奏
        • 変奏の間、ムラサが定期的に柄杓で水を掛けてきます
  • テンポ: 160
  • 拍子: 4/4
  • 主調: ニ短調(D-Moll)

【i】(1〜4小節)

メインテーマ(A)の原型となるモチーフを提示します。

この曲は、このモチーフをバリエーション(変奏曲)のように変化を加えながら全体を構成しています。

※ベースは少しアレンジしてます

上図では「Trumpet」としてますが正しくは Reed Romance かな?(SD-90は持ってないので分かりません。まぁ、大きな括りでリード楽器ということで^^;)

【A】(5〜20小節)

iの展開を2回繰り返します。

(5〜8小節 & 13〜16小節)

※3段目はピアノです

(9〜12小節 & 17〜20小節)

【B】(21〜28小節)

(21〜24小節)

(25〜28小節)

ここで、ニ短調からヘ短調に転調(+3)します。

上図ですが、最後の1/2小節のパッセージが少し間違っていて、E♭をE♮(ハーモニックマイナースケール)にするのが正しいです。

【A'】(29〜44小節)

(29〜32小節 & 33〜36小節)

ここで、ヘ短調からホ短調に転調(-1)して、Aをピアノとベースのみで2回繰り返します。

ピアノは若干Aから展開してます。

  • 1oct高い
  • 最後の三連符がアルペジオになっている

Aではサブメロディー的に鳴っていたピアノが前面に出される形ですね。

(37〜44小節)

前8小節と同じピアノとベースに下図のリードを重ねます。

【B'】(45〜52小節)

ト短調 & メロディーをリード楽器に変更&気持ちリズムを変化させた状態のBを演奏します。

(45〜48小節)

(49〜52小節)

ここで、ホ短調からト短調に転調(+3)します。

最後の1/2小節で転調(-3)してホ短調(またはト長調)になります。

【v1】(53〜60小節)

Aのリード楽器をピアノ(伴奏)にして、リードでメロディーを演奏します。

調性はホ短調です。

(53〜56小節)

(57〜60小節)

※60小節目はハーモニックマイナースケールです

2小節に1回のタイミングで定期的に柄杓で水を掛けてくるような効果音が入ります。

【v2】(61〜68小節)

  • メロディーが若干変化
  • 16ビートのゴースト・ノート追加
  • ピアノのピッチが若干変化(メロディーと重ならないように)

(61〜64小節)

(65〜68小節)

VGSではゴースト・ノートをキレイに入れられなかったので省略してます...

【v3】(69〜76小節)

  • メロディーがユニオンに変化(下図楽譜では省略)
  • ベースが5度の8ビート
  • 柄杓で水を投げる頻度が2小節間隔から1小節間隔にスピードアップ

(69〜72小節)

(73〜76小節)

【v4/Coda】(77〜84小節)

  • メロディーに高音の対旋律追加

(77〜80小節)

(81〜84小節)


2022年4月28日木曜日

幽霊客船の時空を越えた旅(東方VGS)

 東方VGSで「東方星蓮船」より4面のテーマ「幽霊客船の時空を越えた旅」を配信しました。(Pull Request

原曲はコチラ(Apple Music)

【元ネタ確認】

幽霊客船はゲームの舞台「聖輦船(せいれんせん)」のことを指しますが、その元ネタは隠岐の島(島根県)に伝わる民話「船幽霊ムラサ」とのことです。(参考

隠岐の島はまだ行ったことがないので聖地巡礼行きたいなぁ...

聖輦船は時空を越えて魔界へ向かっているようですが、「時空を越える船」といえばフィラデルフィア実験(フィラデルフィア計画)ですね。

フィラデルフィア実験とは、ニコラ・テスラ(電気自動車で有名なテスラの社名の元ネタとなった天才科学者)が考案した軍艦を透明化する実験のことで、巨大駆逐艦エルドリッジ号が透明化に成功したのかと思いきや、一瞬で470kmもワープしたとのことです。(参考

(((( ;゚Д゚)))

少し古いですが、これを題材にした「フィラデルフィア・エクスペリメント」という映画があります。

実用化されれば、東京から大阪まで秒で行けちゃいますね。

仮に秒速470kmなら、東京から地球の裏側のサンパウロまで1分も掛からずに駆逐艦サイズの大型貨物の輸送が可能になります。

人間用の乗り物としての実用性はよく分かりませんが、物流の世界には革命が起こることは間違いありません...なお、フィラデルフィア実験の公式な記録はないので捏造が疑われています。(参考

原作者様コメント

4面BGMです。

旅って良いですよね。乗り物に乗っている時が一番ワクワクする。
例えそれが、よく沈没することで有名な幽霊船長の船だとしても。
この曲は出来るだけ期待と不安が入り交じった、ワクワク感を出してみました。

すごく分かりみ...

私は電車に乗るのが好きなので、以前、北海道旅行へ行った時に宗谷本線で稚内から旭川まで行く工程(4時間ぐらい)を組み込んだりしてみました。

日本最北端のヒロシゲ

ヒロシゲ感がある車内の様子

以下、楽曲の解説です。

【全体構成】

  • 4-8構成
    • i→A→B→A'→C→A''→B'→C'
  • 主調: ヘ短調(F-Moll)
  • テンポ: 145(一部137, 142)
  • 4/4拍子

【i】(2〜5小節 / F-Moll / tempo 145)

短いイントロ的なフレーズです。(この前に1/4小節のタムが入ってます)

ここで、全体の主題となる1小節単位のモチーフを4小節で展開しながら演奏します。

1〜2小節ではD♭とA♭の音が無いので当初「1〜2小節はヘ長調(F-Dur)で3〜4小節は同主調転調(+3)してヘ短調(F-Moll)かな?」と思いましたが、E♮はハーモニックマイナースケールで最初からずっとF-Mollと解釈しました。

この解釈が多分普通なんですが、ここまで星蓮船の曲は全般的にゴリゴリに転調しまくっているので感覚が狂いつつありますw(※この曲はあまり転調しないタイプです)

【A】(6〜9小節 / F-Moll / tempo 145)

最初2小節は低音のみで、次の2小節で高音(ユニオン)が加わる形です。

半音階の経過音が含まれていますね。

【B】(10〜25小節 / F-Moll / tempo 145)

ピアノとベースで楽しげに奏でます。

Ph.1(10〜13小節)

所々、半音階進行や経過音などでEとDが♮になってますが、転調とかはしていないようです。

12小節目からお囃子のような音も入って楽しげ。

Ph.2(14〜17小節)

ベースのパターンはPh.1と同じです。

Ph.3(18〜21小節)

ピアノとベースはPh.1と同じですがお囃子のパターンが異なります。

Ph.4(22〜25小節目)

ベースはPh.1と同じで、これでパートフィニッシュです。

【A'】(26〜33小節 / F-Moll / tempo 145)

Aを展開して演奏します。

32〜33小節目から次パート(C)に繋がるピアノの旋律が加わります。

【C】(34〜49小節 / F-Moll / tempo 137〜145)

ピアノでカデンツァのような即興的な旋律をテンポを137に落として演奏します。

Ph.1(34〜37小節, t=137)

美しいです。

そして音が高いのでスコアが少し見切れてます ><

Ph.2(38〜41小節, t=137)

ベースはPh.1と同じです。

Ph.3(42〜45小節, t=142)

ここで、少しテンポを上げて142で演奏します。

ベースはPh.1と同じです。

Ph.4(46〜49小節, t=142~145)

46〜47小節はテンポ142, 48〜49はテンポ145(a tempo)です。

48小節目からのストレッタのようなところのリード楽器(2段目)ですが、Ph.1の4〜5小節がフェードインする形で入ります。

48小節目のピアノですが、上図の楽譜は少し間違っているのですが、楽譜だと分かり難いですね...ピアノロールだとこんな感じです。

余談ですが、基本的に普段はピアノロールしか使って無くて、楽曲解説するようになって初めてLogicのスコア表示機能が役に立ったのですが、スコア機能があるとミスノートが拾い易くて良い感じです。

一番良いのはPC-98版レコンポーザのステップ入力だと思いますが。

【A''】(50〜53小節 / D-Moll / tempo 143〜145)

ここで同主調転調(-3)してニ短調(D-Moll)になります。(ここから魔界突入?)

最初の2小節はテンポ143、後半2小節はテンポ145(a tempo) です。

調性以外にもユニオンの加わり方がAと若干異なります。

【B'】(54〜69小節 / D-Moll / tempo 145)

メイン楽器がピアノからリードに変わった状態 & ニ短調でBを演奏します。

リードパートは若干ピアノからメロディーの細かい変化があり、また、最後のカデンツは次のパートへ2小節ほど食い込みます。

上図はこのパート全体のリード譜面で、緑のマーカ部分がパート境界です。

【C'】Coda(70〜85小節 / D-Moll / tempo 145)

再びカデンツァです。

前半が少し最初と異なりますが、すごく小さな音でフェードインしてくるので正確にコピーできている自信がありません...

途中、結構絶妙なタイミング(上図の警告マーク箇所)で「スポッ!」というWindows XPのポップアップ音が入りますが、これはレコーディング時のミスのようです。(IRCかな?)

MTRなどの録音用の機材を使わずSD-90から普通にデスクトップ録音していたんですね^^;

ちなみに、VGS版をYouTubeへ投稿する時の動画は、普通にiPhoneの画面収録で録画したものをバッチ処理で特定範囲をクロップしたりタイトルを追加して作っているのですが、ほぼノーチェックで投稿しているので、ウッカリ通知音が混入したまま投稿する事故が起こるかもしれません。

合理的ではないものを作りたい

ここ最近、実機版の東方VGSの開発が忙しくて、東方VGSの曲追加が滞っています。 東方VGS(実機版)のデザインを作りながら検討中。基本レトロUIベースですがシークバーはモダンに倣おうかな…とか pic.twitter.com/YOYprlDsYD — SUZUKI PLAN (...