2023年5月12日金曜日

所得倍増計画とは?

岸田政権の所得倍増計画なるものが少し気になるので調べてみました。

ざっくりと投資家数と投資金額を倍増させることで所得を倍増させるという感じのもののようです。

5年後のKPI(現状→目標)は次のような形のようです。

  • Nisa口座数 1,700万口座 → 3,400万口座
  • Nisa買付額 28兆円 → 56兆円
  • 投資家人数 2,000万人 → 4,000万人
  • 投資総額 244兆円 → 569兆円

かなり無理感がある気がしますが飽くまでも目標は大きくという感じでしょうか。その方が有権者へのアピールになるしどうせ5年後には有権者は忘くぁwせdrftgyふじこlp

現時点の日本人の金融資産総額は2000兆円ぐらいあり、その内

  • 投資総額は244兆円(12%)ぐらい
  • 現金預金が1000兆円超
とのことです。

少し脱線しますが、現状の投資家人口2,000万人で244兆円を投資運用しているということは、投資家1人あたりの平均投資額は1,220万円という感じでしょうか。もちろん中央値はもっと低いかもしれません。投資というとどちらかといえば富裕層ばかりがやっている印象なので「結構少ないな」という印象を受けましたが、それだけ一般層の間でも投資が普及しているということかもしれません。(なお、私は富裕層ではありません)

これを投資環境の整備により新たに325兆円を投資に回すことで、投資額を569兆円程度にすることを目標としているようです。

投資リターンを年率で平均5%程度と仮定すると、年間の投資所得が現状の12.2兆円から28.45兆円程度(倍以上)に増えると考えられます。つまり、所得(全体)を倍増させるというよりは投資所得を倍増する政策ではないかと思われます。参考までに令和2年の全国民の給与所得は219兆円ほどのようです。

政策の方向性としては良いと思います。(新しいというよりは堅実でトラディショナルな資本主義ですね)

投資人口が倍増という点については若干眉唾ものですが。

また、325兆円の追加投資先は「人・スタートアップ・GX・DX といった重要分野」とのことで、つまり「アクティブなテーマ投資」を想定しているようですが、アクティブ投資で稼ぐのは結構難度が高いので果たしてどうなるかなと。投資バジェット569兆円の内325兆円をテーマ投資ぶっこむポートフォリオは、素人目に見て若干バランスが悪い気がします。

【自分の金融資産の保有状況を精査してみる】

所得倍増計画の政府案が出た昨年11月に「自分の立ち位置を把握するために金融資産の保有状況をちゃんと把握した方が良いかも」と思いたち、昨年12月から月次で金融資産の保有状況を管理&把握するようにしてみました。

2023年4月末時点の私の金融資産の保有割合は次の通りです。

Nisa(積み立て)とiDeCoは上限MAXの金額で毎月積み立ててます。

あとは保険(生保&介護保険)にも入っていて、それは掛け捨てではないらしいのですが、細かいことはよく分からない(把握するのが面倒くさい)のでノーカウントにしてます。他にも勤務先の会社の株式を第三者割当増資に応じて幾らか取得していますが、それについてもノーカウントで。

個人年金もとりあえず金利無し(拠出額の累計)で計上しています。利回りにすると0.4%程度とかなり低いので、これなら自分で運用した方が良さそうです。同じく元本保証がある銀行預金は金利がゴミなので論外ですが、現在の日本国債(10年債)が0.38%(YCCで上限0.5%)で日本国債と概ね肉薄しています。個人年金はまだ20年ぐらい振り込み期間が残っていて受け取りにも10年の期間を要するという中々のクソ仕様なので、適当なタイミングで全部解約して国債に切り替える予定です。(国債は財務省のウェブサイトで購入できる個人向け国債になり、それだとまだまだ金利が低いのでまだ暫くは静観しますが、これが仮に個人年金の利回りを超えたら即刻動かすつもりで国債の動向を見守っています)

保険と個人年金は所得控除がありますが、控除額の上限が低く利回りも悪いので、あまり余裕が無い場合は拠出額を全額所得控除できるiDeCoのみ積み立てることをオススメします。(iDeCo & つみたてNisaをMAXで積み立ててもなお余裕資金があるのであれば入っても良いかもしれませんが、それでも自己運用した方がトータルでは良い結果が出ていた筈です...ただし、結果どうなるかは分からないからリスク分散ということで無くは無い程度のものかなと)

確定拠出年金(今はiDeCo)は制度が始まった約20年前から続けてますが、その割にパーセンテージが低めになっています。これは、旧来の確定拠出年金は可搬性が悪い(就職先の企業によって対応していたりしていなかったりする)ので、同じ会社にずっと居続ける気が無かった私は意図的に少ない拠出で運用してました。また、転職のタイミングで国庫に移っていた期間もあるため、結果的に保有比率が低めになっています。(iDeCoができてようやく上限までぶっ込めるようになった)

私見ですが「まだNisaもiDeCoもやっていない」という方にはiDeCoがオススメです。一定の年齢になるまで現金化できない点がデメリットではありますが、長期運用という前提ではむしろそれがメリットになります。

投資の基本は「長期・積み立て・分散」ですが、いつでも利益確定ができるNisaでそれを履行し続けるのは初心者には難しいです。何故難しいのかというと、人間には楽観よりも悲観の方がバイアスが強めな性質があるためです。株価がじわ上がりしている状態で含み益が出てると「下がったらどうしよう」と悲観し、ガクッと大きく下げると「このまま奈落の底へ落ちたらどうしよう」と悲観するものです。この悲観バイアスは時として銀行を破綻させることもあったり、トイレットペーパーの買い占め騒動を起こします。私の経験上、どんな優良株でも上がる時はじわじわ上がり、下がる時はガクッと下がるものなので「上がっても下がっても気にせず売らない」という戦法が一番勝率が良いです。含み損が膨らんで塩漬けにするのは心理的にも比較的簡単ですが、逆に含み益が出てしまうとついつい利益確定したくなるのが人の性です。そして、下手な利益確定と大きく下がった時の狼狽売り(下手な損切り)によりトータルで負けるのが、初心者というか8割ぐらいの人が陥る負けパターンです。(もちろん経験済み)

iDeCoなら半強制的に「長期・積み立て・分散」が履行できるので、投資初心者でも失敗する可能性が低いと考えられます。ついでに、税制面でのメリットもNisaより大きいです。(iDeCoは掛け金を全額所得控除できますがNisaには掛け金の所得控除はありません)

所得倍増計画に伴いNisaが大幅拡充されるので、世間ではそちらばかりが注目されている印象がありますが、現役世代や若年層で投資未経験者の方はNisaよりもまずはiDeCoを少額で始めてみるのが良いと思います。

【投資の内訳】

投資の内訳を株、投資信託、MRF(証券会社の特定口座への預け入れ金の残高=買付余力)で細分化した保有割合は次のような感じでした。

  • MRF 8.3%
  • 個別株 46.2%
  • 投資信託 45.5%(※この中に積立Nisaも含まれる)

ちなみに、個別株は現物の国内企業のみでプライム市場に上場しているものに限定しています。

なお、現時点のプライム市場は一部、上場基準を満たしていない銘柄もあるので注意が必要です。例えば、Yahoo!JapanやLINEの親会社のZホールディングスはプライム市場の上場基準の一部(流動性)を満たしていません。こういったプライム市場の上場基準を満たしていない企業でも、現状は経過処置として上場基準を満たすための計画を提示して条件付きでプライム市場に上場している状態です。計画通りに上場基準を満たせなかった場合、上場廃止になるかスタンダードかグロースなどに格下げになるものと思われます。

個別株の投資判断は過去10年程度の決算短信を読み、B/S, P/L, C/Fの推移状況や中期経営計画のレビューなどをして、長期スパンでの事業の成長見込み、経営の実現力(過去の中期経営計画の履行が妥当に行われたか)、企業統制の妥当性などの観点から投資不適格な企業でないか慎重に判断しています。

プライム市場に絞っているのは、グロースやスタンダードの銘柄ではレビューしてもほぼ100%「投資不適格」の判断になったりデータ不足でそもそも判断できなかったりするためです。少し強い言い方をすると「見るだけ時間の無駄」ということです。(旧来の東証一部よりも基準が高いので良い感じですが、経過処置は正直ノイズにしかならないのでさっさと終わってほしいところ)

個別株の取引はリターンが大きい分リスクも大きいので、これぐらい慎重に取引した方が良いというのが私見です。(ここまでガッツリとはチェックせず、短期〜中期で雑な判断で少額取引することもありますが)

投資信託は外国インデックス(全世界、米国、新興国に分散)、債権、コモディティ、アクティブ商品(※これは日本も含む)などに分散して、月1でその時々の世界の経済情勢から「お買い得かな?」と(雑に)判断した商品の比率を高めにして積み立てする半アクティブなパッシブ運用をしています。

投資信託の投資判断は個別株と比べるとかなり雑です。

円安だから日本のアクティブ商品を多めに買っておこうとか、米国債がそろそろターミナルレートっぽいから米国債権比率を少し上げてみよう...みたいな感じで、基本的には積み立てのみで組み換えは判断を失敗しそうだからあまりしません。

所得倍増計画の「人・スタートアップ・GX・DX といった重要分野への投資」に相当する投資は、投資信託の内のアクティブ商品の一部(テーマ投資)ですが、私の場合は金融資産全体に占める割合の10%にも満たないポートフォリオになっています。

このテーマ投資の比率を上げればキッシーが爆上げしてくれる...という訳ではなさそうなので注意しましょう。結局の所「上がるも八卦上がらぬも八卦」なので、あまり気にせず粛々と分散投資しつつ、頭の片隅で少し気にしておくようにする予定です。

【国民平均と比較してみる】

ざっくりとした自分の立ち位置が分かったので、次にこれを国民平均と比較してみます。

日銀が公開しているデータによると、国民の金融資産の保有割合の平均(2022年9月末)は次のような形のようです。

金融資産保有割合(国民平均)

ざっくり、現金、投資、保険の割合で私のものと比較してみると次のような形でした。

  • 現金: 私=23.8%, 平均=54.8%
  • 投資: 私=53.1%, 平均=15.4%
  • 保険: 私=23.1%, 平均=26.9%

私の場合、平均的な日本国民よりは投資比率が高め(3倍強)、現金が少なめ(半分以下)、保険はだいたい平均並という感じのようです。

国民平均の現金比率が若干高すぎる点は確かに宜しくないですね。

もちろん、現金預金も一定量は必要ですが、現状の比率(54.8%)は明らかに過剰で、資本主義社会ではお金は市場で流れてこそ価値があるので、過剰に停滞させても経済が停滞するだけで何も良いことは無いように思われます。だからといって、無闇に消費支出を上げる(無駄遣いをする)のではなく、投資をするのが資本主義社会における最適解だと私は考えています。

もちろん、最低限の金融リテラシーは必要ですが。

とりあえず、iDeCoや積み立てNisaなら国が選んだ信頼性のある金融商品にしか投資できないようになっているので、金融リテラシーがあまり無いということであればiDeCoと積み立てNisaだけやっておけばそこそこ低リスクです。もちろん、iDeCoであれ積み立てNisaであれ「リスク商品」である以上元本保証はありませんが、投資詐欺に引っかかったり、FXや仮想通貨などのパチンコや競馬と同レベルのギャンブル(投機)と投資をウッカリ勘違いして大火傷をするようなタイプのリスクは回避できると思われます。

テレビなどを見ているとFXや仮想通貨を「投資」と報道していることに違和感しかありません。義務教育よりも先ず、報道機関に対してちゃんと金融リテラシー教育をした方が良いかもしれません。私はギャンブルも好きなのでFXで遊ぶこともちょくちょくありますが、FXを投資と思ったことは一度もありません。(ソシャゲのガチャみたいなものという感覚ですが、多少なりとも世界情勢を気にするようになるから「若干健全なギャンブル」というイメージ)

所得倍増計画とは、タンス(銀行)の中に眠る「死んだ金」を市場に流すことで市場の活性化を促すことが本質だと思われるので、「人・スタートアップ・GX・DX といった重要分野への投資」というのは「何となくカッコイイから言ってみた」程度のものではないかなと。

投資は自己責任で。

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