2019年9月8日日曜日

Findyをエンジニアの人事評価に使えないか?という話

テック系の企業では、エンジニアのスキル評価を人事評価に組み入れる必要がありますが、技術面に疎いであろうコーポレート部門でエンジニアのスキル評価をするのは、中々難儀なことだろうと想像できます。

シンプルに、
・携わったサービスがバズったら高く評価
・イマイチなら低く評価
という風に評価してしまうのは、良くないです。(経営者やマネジメント的なポジションの人ならそれで良いのですが)

例えば、技術力が無茶苦茶高いエンジニアが、社長命令で企画面がイマイチなプロジェクトに配属され、サービスの顧客評価&売上がイマイチだった時、その原因が「エンジニアの技術力が低いため」と評価して良い筈がありません。

エンジニアの評価は、
・業績面での評価
・スキル面での評価
で分けて考えるべきだと思います。

業績面での評価は、売上やプロジェクトの進捗結果(納期未達があったか?とか)などである程度は定量的に測ることができます。

しかし、スキル面での評価はすごく難しい。

スキル面に疎いであろうコーポレート部門ではなく、エンジニア部門内で評価する事すら難しいと思っています。

ふわっとした感覚値として「Aさんはスキルが高い」「Bさんのスキルは微妙」みたいな評価ならできますが、「彼らが前期と比べてスキルが向上したか?」といった評価ができるかというと、多分(エンジニア部門でも)できる人は殆ど居ないと思われます。

そうなると、マネージャがエンジニアにヒアリングして、自己申告ベースでの証言に頼ってスキル評価をするしかない訳ですが、そうなると何かしら恣意的な操作をされて評価が正当に行われない可能性が生じます。私はその事象のことを「評価がふわつく」と呼んでいる)

独立行政法人IPAでは、そういったエンジニアのスキル評価がふわふわしている課題を解決すべく、スキル評価基準の標準化(ITSS)を多分10数年ぐらい前から進めていましたが、恐らく上手くいっていません。以前、ITSSを取り入れた職場(某大企業)で働いていたことがあるのですが、ITSSのレベル進行は各人で勝手に決めてはいけなくて、上司に「鈴木くん、来期からレベル4に上げといて」と言われたら、言われるがままレベル4になるように各種パラメタ調整をする感じのものでした。(やるだけ時間の無駄だったし、明らかに私よりスキルレベルが低い上司が私よりハイレベルな設定になっていたりすると、物凄くモヤッとした気分になる)

要するに、スキル評価の仕組みをシステムとして成り立たせることは実質不可能ではないか?と以前から思っていました。

しかし、以下のFindyというサービスを使えば、定量的なスキル評価ができるかもしれません。
https://findy-code.io/

(参考記事)

GitHubをAIで解析して“スキル偏差値”算出、エンジニアのキャリア選びを支援するFindyが2億円調達

https://jp.techcrunch.com/2019/06/05/findy-fundraising/

要するに、エンジニアの成果物(GitHubの作業履歴)を元にAIが良い感じにスキルを偏差値として採点してくれるもののようです。

試しに私のスキル偏差値も判定してみました。
ん?スキル偏差値85って...高すぎないか?(自分がそこまでレベルが高いと思っていないので、自己評価だったら絶対につけない点数ですが、AIによる公平な判定だから仕方がない)

スキル偏差値の年収分布は以下のような感じらしいです。
参考までに、私の前職(ドワンゴ)の年収はだいたい700万円だったので、偏差値65あたりが妥当ライン or 会社からの評価査定結果が微妙だった(市場価値より低く評価された)と考えられますが、業績評価込みなら(担当サービスがまだサービスインしてなかった & 全社的な状況を鑑みて)概ね妥当なラインだったかもしれません。現職の年収は色々と特殊な事情があって若干低い(400万円ぐらい)ですが。

スキル偏差値の判定はAIの学習が進むなり、サンプリング対象の拡大が進んでいけば(=利用者が増えれば)更に良い感じになるかもしれません。
その上で偏差値85だったら、何処か年収1200万円で良いので雇ってくれないですかねw

今の所、Public Repository(OSS)で活動している人限定ですが、Private RepositoryやGitHub Enterpriseとかで連携できれば、普通に人事評価ツールとして使えると思います。
ただ、個人的には今のまま(Public Repository限定)の方が良いと思っていたりします。Privateな評価だと社内の人事評価でしか役立たないけど、Publicなら就職、転職、作業外注の受け入れ審査などのシーンでも使える事に加え、社外のエンジニアとの比較調査にもなると思うので。(評価のオープン化みたいな...そういう言い方をすると少し抵抗がある人が居るかもしれませんが、例えば英語ができる作業外注を探す時、「TOEIC900点以上の人」みたいな感じで探すと思いますが、それと同じようなノリで「Androidの仕事ができる人が欲しいから、Kotlin偏差値70以上の人」みたいな探し方ができるようになるというイメージで考えれば、ごく自然なことではないでしょうか)
もちろん、OSS活動にかまけて社内業務が疎かになってはいけませんが。
ただ、OSS活動にウェイトを置いた方が、世界が面白いことになる可能性が高い気がする。

追記: 最初、職歴入力しない状態でどれぐらいのオファーが来るものかと思ったけど、あまり来なくて、職歴を入力してみたらおおよそ年収700〜1200万円前後のオファーがチラホラ来るようになったので、転職用途としてはスキル偏差値は飽くまで目安で、基本職歴の方が重視される感じらしい。(東大を出てても職歴10年過ぎればその辺がほぼほぼ評価の対象にならないのと同じかなと)

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