日本の個別株式投資だと高配当の銘柄が好まれる傾向が(特にここ最近は)あるように思われます。
高配当銘柄ということで昨年は海運株がフィーバーしていましたが、商船三井、日本郵船、川崎汽船の過去10年間の配当利回りを見てみると、
という感じで、過去10年を平均すると配当利回り1.71%〜2.97%ぐらいです。
配当利回りというのは、企業の時価総額の何%を株主に還元するかという指標なので、配当利回りだけ見るのはナンセンスで、時価総額とセットで見る必要があります。
という訳で上記3社の過去10年間の時価総額の推移を見てみます。
時価総額は2020年までずっと下げ基調で、2021年の増配をキッカケとして大きく上昇していることが分かります。
これが高配当株かと言われると微妙かなと。
以下、私が考える「高配当株」の条件(※架空の企業)を例示してみます。
- 10年前は時価総額 = 100億円 & 配当利回り = 1.5%
- 毎年100億円づつ時価総額がリニアに上昇し、配当利回りは常に1.5%をキープ
- 現在の時価総額 = 1000億円 & 配当利回り = 1.5%
この場合、10年前に買った株の配当利回りは現時点で15%、10年間平均の配当利回りは8.25%になります。
10年前に100万円分の株を持っていた場合、10年間の配当リターンは合計577万5,000円で、それに加えて900万円のキャピタルゲインがあることになります。
もちろん、それだけ成長する分野はそれなりにボラティリティも高いので、一点買いはオススメできませんが。(私見ですが、10年間で10倍に成長するテンバガー銘柄に投資する時は10年間で1/10にシュリンクすることも想定して投資をします)
参考までに私が株を始めた時(2007年頃)に最初に買った銘柄は東京エレクトロンでした。東京エレクトロンは10年で時価総額がだいたい10倍ぐらいになり、2022年の配当利回りは2.22%なので、10年間ホールドし続けた場合の実質配当利回りは22%以上ということになりますね。(ここから10年で更に10倍に成長するかは分かりませんが)
テンバガーというとベンチャー企業を連想しがちですがそうとは限りません。(実際、東京エレクトロンは当時から既に半導体製造装置世界2位とかだったような気がします)
2007年時点の私の見立てでは、「将来的に世界中の人が1人1台パソコンを持つ時代が来る」という予感があって、その時に「儲かる企業ってどんな所?」と考えました。まず、Apple等のコンピュータメーカーは即除外しました。基本的にエンドユーザーに渡る家電製品(所謂シロモノ)を売るB2Cビジネスは、参入障壁が低いので価格競争が激しく厳しい生存競争が強いられることになります。つまり、ギャンブル性が高すぎるので避けました。次にパソコンの主要部品である半導体製造メーカー(エルピーダメモリなど)に着眼したのですが、調べてみたら半導体製造も技術的な参入障壁がそれほど高くなく、広大な土地(工場地)と労働力が確保できる新興国の方が伸びる筈だという話を知人(日立の主任技師)から聞いたので除外しました。そこで最終的に工場機械(この場合は半導体製造装置)に着眼して、これは技術的な参入障壁が物凄く高いと思われたので、現時点でシェアを握っている企業が勝つ確率が高いだろうということで東京エレクトロン...というのが当時の私の投資判断根拠です。
高配当投資をするなら、
- 握力が最重要(長期ホールドが前提)
- 今後10年間で成長しそうな企業が良い
というのが私見です。
この視点で投資系YouTuberが紹介している高配当銘柄を眺めてみると「何だかな〜」と思うところが多かったので文書化してみたのですが、むしろ私の方がズレているのかもしれません。
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