■東方VGS(Android版)
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.suzukiplan.TOHOVGS
■動画(全17曲を再生する様子)
※30分ぐらいあります(BGM代わりにでもどうぞ)
(1) 趣旨
私は以前、SUZUKI PLAN - Video Game System(VGS)に関する論文の中で、ゲーム用の音源としては、VGSの波形メモリ音源ぐらいのスペックが妥当であるようなことを、クドクドと説いたような記憶があります。ただし、その点についての客観的な証明をするには、私の作曲の腕前だけではちょっと(かなり?)微妙だということで、私自身が好きで、尚且つ人気も高い、東方Projectの楽曲を「二次創作」という形でお借りすることにしました。
そして誕生したのが、東方VGSです。
(2) SUZUKI PLAN - Video Game System(VGS)
SUZUKI PLAN - Video Game System(VGS)とは、私が開発したゲーム機です。ただし、ゲーム機としての実体は存在しません。VGSは、私が論理的にデザインした仮想ゲーム機で、Windows、Android、iPhone(iOS)で動作するエミュレータのみが存在します。(ここまでテンプレート)
・VGSで作られたゲーム等@Android
・VGSで作られたゲーム@iPhone
※私がリリースしているスマホ(Android/iPhone)用アプリは、全てVGSで作られています。
詳しい事は、このブログで過去に何回も書いているし、論文の方でも詳述しているので、省略します。
(3) 東方VGSを作った目的 #1
私は、SUZUKI PLAN - Video Game System(VGS)のプロモーションの一環として、東方VGSを作りました。そのため、東方VGSでは、一切の収益化(マネタイズ)をしないようにしています。要するに、ひとりでも多くの方に使っていただくため、完全に無料で提供しています。東方VGSを通じて、SUZUKI PLAN - Video Game Sytem(VGS)の名前だけでも知って頂ければ、それでOKだということです。そのための障壁となる行為は一切しないようにしています。だから、広告すら付けてません。
若い時なら、単純に「好きだから」という理由で突っ走れるかもしれませんが、歳を取ると、中々そういう訳にはいきません・・・動くには、大義名分が必要なのです。
東方VGSは、上述のように、明確な目的の元、無料で提供しています。
だから、何もご心配なさらず、お楽しみください。
なお、スマートフォンアプリで東方Projectの二次創作アプリのマネタイズをする場合、原則的には、上海アリス幻樂団からの個別許諾が必要になるという事情もあったりします(※東方Project二次創作のガイドラインを参照)。広告付き無料アプリの場合、収益がお小遣い程度ならOKとのことなので、私の平均的なお小遣いが月3万円ぐらいだから、年間36万円前後がデッドラインであろうと解釈しています(※あくまでも、私の解釈です)。
広告アプリの収益というのは、平均1DLあたり1円ぐらいなので、二次創作アプリのトータルDL数が(少し下駄を履かせて)年間50万DLを超えた場合、アウト(個別契約が必要)になる可能性があると思っています。(「アウト」というと若干語弊があるかもしれませんが)
※「50万DL」という風に下駄を履かせた理由は、広告アプリは今後、主要な広告主だったソーシャルアプリのポテンシャル低下により(=在庫不足&全体的に入札価格が低下することにより)、収益は落ちていくものと想定している為です。(あくまでも個人の予測です)
(4) 東方VGSを作った目的 #2
前項の目的とは別に、純粋に一人の音楽をやっている人間として、東方の音楽をアナリーゼしてみたかったという目的があったりします。東方の音楽は、とても人気があり、私自身も好きなのですが、具体的に何処が良いのか、何故人気があるのかを論理的には説明し難い部分があります。その点を、東方の音楽を詳細に解剖することで掴んでみよう・・・という試みです。
こちらの目的の方が、何となく同人っぽいかも。
ちなみに、私が東方紅魔郷の中で一番好きな曲は、「ヴワル魔法図書館」(4面道中)です。王道ファンタジーのような旋律で始まったかと思うと、現代音楽のような不安定なパートで終わる曲なのですが、この曲の良いところは、非常にゴチャゴチャとしているところです。ただし、一般的な人気は、必ずしも高い曲とはいえません。(敢えて、この曲を一番に推す人は、そんなに居ないと思うので)
一般的に人気がある曲は、「U.N.オーエンは彼女なのか?」じゃないかと思います。ただ、純粋に音楽として見てみると、正直なところ、曲自体の良さが今一つ分かりません。データを作りながら曲を分析してみて分かったのは、「U.N.オーエンは彼女なのか?」は、やはり、音楽自体は極めてシンプル(悪い言い方をすれば単調)な作りだということです。つまり、曲の解析からは何も導き出すことができませんでした。
それが、意図的な演出であるかは定かではありません。
しかし、恐らく、開発当時、一番最後に作ったであろうExtraステージということで、半分投げやり状態で作ったのかなぁ?と感じるところ(疲れ?のようなもの)が所々あるので、恐らく意図しないで生まれた演出だと思います。そして、それがゲーム本編と組み合わさると恐ろしくマッチしている。「U.N.オーエンは彼女なのか?」に限らず、一般的に人気がある曲は、概ね同じ傾向だったと思います。
ゲーム音楽は、「ゲームのための音楽」なのだから、ゲームと調和した音楽の人気が出る。
だから、曲はシンプルな方が良い。
・・・そんなことを、再確認しました。
なお、「再確認」というところがポイントです。
つまり、「論理的に説明」という部分に関して、新発見は何もありませんでした。
まぁ、この程度の分析で本質が掴めれば、誰でも東方のように人気のある曲が作れる訳で...
ただ、文書では説明できない部分では、幾らか掴めたモノはあります。
非常にフワフワしたものです。
ここでちょっと話題を変えて、東方VGSに同梱している東方の音楽データを、私がどういうプロセス(手順)で作成しているかということを解説しておきます。
まず、ピストンコラージュ(ピスコラ)を使って、耳コピーや原曲のMIDIデータを参照するなどして、ピスコラ譜を作ります。この段階で、対位法などを駆使して編曲まで済ませておきます。VGSの場合、音声チャネルが6に限られていて、原曲通りの音を鳴らす事が不可能なので、対位法で編曲する際は、より原曲に近いイメージにするため、敢えて原曲通りの副旋律ではなく、独自の副旋律を挿入します(稀に、原曲通りで良い感じの場合もありますが)。また、自然楽器じゃないと自然に聴こえない部分とかは、主旋律も多少弄ります。更に遊び心で弄ることもあります。ただし、それでも原曲らしさは失わないように細心の注意を払います。
二次創作とはいえ(むしろ、二次創作だからこそ)、原作者の著作者人格権を保つように努める必要があるから、私は、東方VGSでなるべく私の個性を消し、著作者の個性を出すようにしたつもりなので、もしも、私の独自色が目立つ形に聞こえてしまった場合、私の負けです。そういうゲームです。
アプリの説明文で、「基本的に原曲忠実にコピーしたつもりですが、VGSで良い感じに聴けるようにするため(または、私の力不足のため)、若干アレンジしています。」といったことを書いていますが、この括弧書きの部分は、そういった意味で書いています。
この作業の過程でも、主にエフェクト周りの調整などのアレンジをします。
そのため、この作業も機械化せず、手作業でやるしかありません。
それらの作業を経て、ようやく1曲分のデータが完成します。
アプリのレビューで、「もっと早くアップして欲しい」というお願いをよく頂きますが、上記全ての作業は、機械的に実施することが一切不可能な作業でして、ついでに、専業ではなくサラリーマン兼業でやっているから、スピードアップは中々難しいです。専業でできれば、週3曲ぐらいはイケると思いますが。しかし、兼業では週間連載が精いっぱいです。
(6) 反応&今後の展望
おかげさまで、東方VGSは、私が想定していた以上に好評でした。
5月2日にリリースしてから、7月26日現在の総DL数は2,259件、評価は☆5が51個、☆4が1個、☆3以下が0個で、平均すると☆4.98でした。これだけ高い評価を頂けたのは、偏に東方の楽曲の実力によるものだと思います。
これだけ好評を頂けた以上、まだまだやめる訳にはいかないかなと思います。実のところ、東方VGSは、紅魔郷の楽曲がコンプした時点でやめるつもりでした・・・が、想定以上に良い反応を頂けたので、妖コンプ&永コンプぐらいまでは頑張ろうかと思っているところです。
先のことは分かりませんが。
ちなみに、上海アリスサイドから「やめてくれ」と言われれば、即座に止める準備があります。私は、東方VGSを作るのに際して、東方Project二次創作のガイドラインを完全に遵守するように努めているつもりですが、私のようなパターンの二次創作は、もしかすると、想定外かもしれないので。(ただし、東方の場合、私に限らず作者が想定していないパターンの二次創作があまりにも多すぎるから、私の二次創作もごく普通程度のものです。自分で音源モジュール(エミュレータ)を作った上で演奏するタイプは、私が知る限りでは初めてのパターンだと思いますが。)
純粋な二次創作=ファンアートという側面があり、且つ、外形上はガイドラインは満たせていますが、私は外形上のルールより、もっと本質的な部分を守るようにしたいと思っています。
(7) iPhone版について
例によって、iPhone版も作りました。
Appleの開発者向けサイトがハッキングされた影響で、若干リリースが遅れてますが。
ちなみに、Android版とはちょっとばかり仕様を変えました。
iPhone版のスクリーンショット |
ちなみに、「技術的な事情」というのは、「私の」技術的な事情ではなく、「OSの」技術の事情です。あちらを立てればこちらが立たず・・・という感じ。実のところ、Android版であれば、連続再生とシャッフル再生を実装できなくもないのですが、ノーパーミッション&セキュアな形で実装をすることは、できません。
(8) アップデート再開の見通し
当初、iPhone版のアップロードがされてから、次のアップデート(妖々夢対応)を再開しようと思っていましたが、Appleがハッキングされた影響で若干計画が狂ってしまったので、iPhone版のアップロードを待たずに、なるべく早く(Android版の)アップデートを再開しようと思っています。
ちなみにiPhone版は、Android版ほど頻繁なアップデートは行いません。
ひとシリーズ(東方の場合、シリーズという呼び方は禁忌だったか?)が終わった都度、一気にアップデートすることを予定しています。スピーディーなアップデートを期待される方には、Android版がオススメです。