暫くアップデートを怠っており、最新のプログラムポリシーに追従できていなかったためGooglePlayから削除されてしまったAndroid版東方BGM on VGS(東方VGS)を色々とアップデートというか、年末休暇でプログラム部分を全部作り直して配信再開しました。
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.suzukiplan.TOHOVGS
また、今回のバージョンからAndroid版もOSS化しました。
https://suzukiplan.github.io/tohovgs4-android/
OSSライセンスはGPLv3です(※ライセンスについては後で MIT に変更するかもしれません)。
assets に MML ファイルをぶち込み、songlist.json を書くだけで、驚くほど簡単に同じようなアプリを作ることができます。
VGS音源を使って同じような音楽配信アプリを作りたい会社などありましたら、ライセンスの範囲内でご自由にどうぞ。
最後に東方VGSのアップデートをしたのが2016年2月なので、もう6年もアップデートしていなかったんですね...その間に色々と足回りの準備をしていたこともあり、色々と遅くてスミマセン。
iOSのDeveloper Accountの維持費を支払うことをやめてiOS版が削除され、その後(2018年頃)アップデートをサボり続けていた結果Android版も削除されて現在(2022年1月)に至るので、Android版は恐らく4年ぶりぐらいの復活ではないかと推測しています。
2023年(10周年)より前に復活できて良かったです。
できれば10周年前にiOS版も復活させたいところ...
今回のアップデートでは、UIをマテリアルデザインっぽい凡庸で使いやすいものに変更しつつ、広告を追加してマネタイズするようにしています。
また、Android 8.0以降でバックグラウンド再生を長時間しているとOSから止められる問題についても対策しました。
新曲の追加はまだありませんが、追々追加していくつもりです。
最低限iOSのDeveloper Account維持費(年間1万2,000円ほど)が支払える程度のプロフィットを得ることができそうであれば、iOS版についても同じような形で再開しようと思っています(多分、遅くともGWぐらいまでには判断できる筈)。
それでは、よろしくお願いします。
(以下、駄文です)
折角久しぶりに東方VGSのネタを書くことができたので、軽くこれまでの経緯を振り返ってみます。
東方VGSを最初にリリースした2013年当時、精神的にヤバイ状態になって休職したりといったイベントがあり、その間(ゴールデンウィーク頃)に作ったものです。
元ネタは昔マイコンBASICマガジン(ベーマガ)という雑誌のMMLで書かれた楽曲投稿のコーナーで、それをVGSの波形メモリ音源のMMLでやってみた感じのものです(最初は東方ではなくヨハン・セバスティアン・バッハの曲でやっていたのですが、残念ながらそっちの方はまだ復活できていません)。
ゲーム音楽というのは一般的に権利関係がかなり複雑であることに加え、そもそもマネタイズを一切していなかったので企業やJASRACに相手にされないだろうということで、東方Projectなら二次創作ガイドラインの範囲内でセーフだから東方Projectでやってみた...という経緯があります。
当然ですが、東方Projectが好きだという大前提もあります。
ただし、私は音楽に関しては雑食で、クラシックや映画音楽も東方と同じぐらい好きだし、ラブライブとかもμ’sやAquosに関係なく好きです(静岡出身だから若干Aquosを贔屓している程度)。
ラブライブ(スクフェス)は東方VGSとほぼ同じ時期にリリースされたこともあり、その頃から知っているのですが、ラブライブVGSは(やりたいけど)多分やれません。
そんな東方VGSですが、リリース後からジワジワとですが想定以上に好感触で、Android版は最終的にレビュー数6775で平均評価 4.8 / 5.0 という、かなり凄い評価をいただきました。
iOSでは「神々が恋した幻想郷」と「芥川龍之介の河童」を追加した時のアップデートが一番好評で、100件以上のレビューがついて平均 5.0(パーフェクト)だった時はビックリしました。
もちろん、サクラ無しです。
100件以上のレビューがついて平均 5.0 なんて普通はサクラを使わない限りあり得ない評価ですが、サクラを雇おうにも当時マネタイズを一切していなかったので原資が無いですし、そもそも、サクラを使ってレビューを引き上げるメリットも分かりません。
東方VGSでこれだけ多くの人に評価を頂きながら一切マネタイズをしなかった(後述しますがそもそも「できない」と思っていた)のは、当初は精神安定剤のような効果があったので、それで十分かなと思っていたためです。
しかし、その後精神も安定して当時勤めていた会社を辞め、ドワンゴに転職したりして忙しくなり、そうなると今度はマネタイズしていないことが致命傷になって、結果的に続きませんでした。
精神が安定している状態では、精神安定剤は毒にしかなりません。
私はあまりお金を使わない方なのでガッツリ稼ぐ必要もないのですが、最低限iOS Developer Accountの維持費(年間1万2,000円)程度の収益をあげていなかったことが敗因です。
という訳で、今度はちゃんとマネタイズします。
ただし、二次創作ガイドラインの規定で有料アプリはNGなので、マネタイズといっても広告だけです。
参考: https://touhou-project.news/guideline/
ブラウザ上で動くゲームアプリ、スマートフォンでのゲームアプリは無料のもののみとします。アプリ内への広告の導入、広告機能の解除のための課金機能はOKです。
以前、ZUNさんがWeb媒体か何かのインタビュー記事で、「無料はOK、有料はNG」ということを仰られていたので、少なくとも「有料はNG」という点は分かっていたものの、果たして広告を載せて良いのか、私には判断できませんでした。
つまり、正確に言えばマネタイズを「しなかった」のではなく「出来なかった」訳ですが、今はちゃんとガイドラインとして「広告はOK」と明文化されている点が大きいです。
そこで、大きく分類すると次の3種類の広告を導入しました。
- リワード広告(楽曲のアンロック時にタイトル単位で)
- バナー広告(アプリ上部に常時表示)
- インタースティシャル広告(シャッフル再生リスト作成時)
ハイパーカジュアルのようなLTV(Life Time Value≒アンインストされるまでの期間)が短いアプリの場合、広告解除の課金も重要ですが、東方VGSは他のアプリよりもLTVが長いので、広告解除の課金とはあまり相性が良くありません。
LTVが長い場合、単発の広告解除ではなくサブスクリプションとかにせざるを得ないのですが、サブスクリプションだと「有料販売」に該当するのでガイドライン的にNGになると私は解釈しています。
以前一度、バナー広告を実装したバージョンをAndroidで(本家アプリとは別アプリとして)試験的にリリースしたことがあるのですが、100万DLされているような大御所アプリと違ってニッチ狙いのアプリ(本家でもAndroid+iOS合計して30万DLぐらい)だから、バナーだけだと収益性の面で全然足りなかったので、今回は広告のバリエーションを少し工夫してみました。
一番の要はリワード広告だと思っています。
収益性の状況次第では緩和すること(例えばリワード広告のみに絞るなど)もあり得るかもしれません。
追加楽曲はデフォルトでロックされた状態になっていて、これにより、曲を追加したら追加に掛かった労力に対する十分な(路上ライブの投げ銭程度の)対価が得られるんじゃないか...と淡い期待を抱いていて、それなら続けられるのではないかというのが現在の私の見立てです。
当然ですが、うっかり想定以上に儲かってしまった場合、東方Projectの事務局の方に「これ大丈夫ですか」と確認してみて按分等が必要なら対応するつもりですが、それもシッカリやろうとすると中々面倒なので「ほどほど」が良いです。
どれぐらいが「ほどほど」なのかは人それぞれですが、私の感覚ではギリギリ雑所得以内(年間20万円以内)ぐらいが一番「ほどほど」に同人活動として続けられると思っていて、それを超えたら「同人」ではなく「商人」だと思っています。
仮に、広告のeCPM(1,000回広告を出した当たりの収益)を¥1,000、DAU(1日あたりのアクティブユーザ)1人あたりの平均インプレッションを1と仮定すると、アクティブユーザ1人あたり1円の収益になるので、想定月収は次のようになります。
※Googleとの契約で細かいeCPMとかを公表することはできないので、eCPM ¥1,000というのは計算しやすくするための仮の値です
- DAU 平均100人 = 月収3,000円
- DAU 平均500人 = 月収1万5,000円
- DAU 平均2,500人 = 月収7万5,000円
- DAU 平均30,000人 = 月収90万円
悲観的な予測として、DAU 100 以下のレンジになるんじゃないかと推定していますが、それでも年間換算するとiOS Developer Programの維持費は賄えるのでセーフです。
しかし、YAU 12,000 ≒ DAU 約33 以下だと、続けることが厳しくなります。
そして、DAU 500 が同人としてほどほどに良い感じのレンジ(目標レンジ)です。
参考値で出した 2,500 という数字は、現在のAndroid版東方VGSのインストール端末数ですが、もう長いことアップデートしていないのにまだこんなにインストールしてくれている端末が残っているということは、もしかするとそれぐらいのDAUになるのかもという楽観的な期待数値です。
そして、30,000 という数字はピーク時の推定DAUで、この辺は完全にお花畑な期待値です。
※当時はFirebaseすら入れてなかったので推定値でしか分かりません...
毎日 30,000 ではなく、曲を追加(アップデート)したタイミングだけが特別多くて、平常時は 3,000 〜 5,000 前後だったのではないかと予測していて、仮に当時広告でマネタイズしてたら、月収換算すると22万円ぐらいは安定して稼いでいたんじゃないかと思われます。
ただ、流石にそれぐらいの水準で稼いでしまったら同人と呼ぶには無理があるので、事務局の方に相談して場合によっては何かしらの対応が必要になり、仮に按分が 7:3 なら月収15万4000円ぐらいという想定です。
その場合、年収換算で184万8000円ですが、そこから国民保険で月約2万(年間約24万)と所得税18万4800円(※専業の場合)が引かれるので、仮に当時専業にしていた場合の手取り年収は142万円ぐらいということになります。
アプリを作り始めた当時は、もっと人生が狂うレベルのお金が稼げるお花畑みたいな予測をしていた時期もありましたが、流石に今となってはそれは無いです。
ゴールドラッシュはもうとっくに終わっているので、見立ては悲観値あたりが現実的な着地点だろうと予測しています。
人が狂うレベルで儲かった時、お金に縁がないけど困ったこともない程度の凡庸な私が果たして狂わずに正気を保てるのかという点に興味はありますが、一度狂ったことがある経験上、狂わずに健康でいることが一番です。