2014年7月26日土曜日

異なるデータを並べて見ること

Android開発者向けサイトのダッシュボードにバージョン別シェアの情報が載ってます。
https://developer.android.com/about/dashboards/index.html

現時点の記載内容によると、以下のような感じらしいです。
・2.2 = 0.7%
・2.3.x = 13.5%
・4.0 = 11.4%
・4.1 = 27.8%
・4.2 = 19.7%
・4.3 = 9.0%
・4.4 = 17.9%

注釈によると、「Data collected during a 7-day period ending on July 7, 2014.」とのこと。
割と新しいですね。

なお、2.2よりも古いバージョンは入っていないようです。
(収集できないらしいので)

確か、こんな感じの情報は、Developer Consoleでも確認できたんじゃないか?
と、思い確認してみたところ、若干ニュアンスが違っていました。
Developer Consoleで確認できるのは、カテゴリ別のトップ10。

アーケードカテゴリのトップ10
音楽&オーディオカテゴリのトップ10

つまり、Androidバージョンの全体的な分散傾向(Dashboardの情報)と、アプリ・カテゴリ別ダウンロードの分散傾向(Consoleの情報)という「異なる情報」です。

データ分析の基本は、「異なる情報を並べてみること」だと言われています。これが一般論なのかは定かではないですが、私が色々な分析をする時はそういう風にやっています。異なる情報を並べてみることで、新しいものが見えてくる事が稀にあるので。(「稀に」であっても新しい情報が得られることこそが重要)

という訳で並べてみました。
versiondashboardconsole(arcade)console(music)
2.2
0.7%
2.36%
1.56%
2.3.x
13.5%
14.27%
11.77%
4.0
11.4%
19.41%
12.39%
4.1
27.8%
26.44%
25.93%
4.2
19.7%
17.06%
15.82%
4.3
9.0%
6.55%
10.05%
4.4
17.9%
11.54%
21.56%

どうでしょうか。
何か見えてきたでしょうか。
だいたい似たような感じに分散する筈です。
しかし、突出した違いがある部分には「何か」があるはずです。

一番目につくのは、4.0(ICS)と4.4(KitKat)。

ICSは、DashboardとMusicは似たような傾向(10%ぐらい)なのに、ゲーム(アーケード)では突出して高い(20%ぐらい)です。
つまり、ゲームをやる層の人々は、4.0(ICS)に固まっているようです。
# 差異は小さいですが、2.3.x(Gingerbread)でも同様にゲーム(アーケード)だけが高い。

逆に4.4(KitKat)だとゲーム(アーケード)が突出して低い。
Android使いの新しい者好きはゲームが嫌い?
実はそうでもなく、4.1~4.3の頃にOSが重くなり過ぎて、ゲームをやる&新しい物好きな方がかなり、iOSの方へ流れてしまったのではないかと推測しています。

実際、私が身をもってそう感じたので。

ICSの頃まではAndroidでもゲームが普通に遊べたのですが、4.1以降では、ゲームが遊べたものではなかったので、ゲーム=iPod touch、ガジェット=Androidという具合に綺麗に使い分けるようになりました。(ソーシャルゲームをやるときは、いちいちテザリングしないといけないから面倒ですが)
KitKatでOSのダイエットが図られましたが、それでも4.1~4.3の3レビジョンもの間、「重い問題」が放置されたことで、「Android=ゲーム向きではない」という認識が定着してしまったのではないかと推測しています。(いや、実際放置されていた訳ではないでしょうけど)

特に新しいものは見えてこなかったな。
まぁ、そんなもんです。

2014年5月6日火曜日

Android版 東方BGM on VGS(1周年)

2013年のGWに東方BGM on VGS(Android版)をリリースしてから1年経ったようです。
「1周年特別企画」めいたものをやるつもりはありませんが、データで振り返ってみようと思います。

■ランキング
日本のMusic & Audioカテゴリにのみランクインしてます。
東方BGM on VGS(Android)のランキング遷移
(GooglePlay - Music & Audio category)
自然流入のみだと、100位あたりが壁みたいですね。
一日のDL数は、平日が100前後、休日が200前後といったところです。

■インストール数
インストール数: 15,837
ダウンロード数: 31,268
インストール維持率は、50.65%。
このインストール維持率は、エンターテイメント系のアプリとしては高めかな。

■評価
星5: 780件
星4: 54件
星3: 23件
星2: 5件
星1: 12件
平均: 4.81点

公開当初から星100件ぐらいまでの間は、平均評価5.0だったのですが、途中からチラホラと星1~3の評価も付くようになったため、大分低くなりました。Android版は、iPhone版と比べて悪い評価(星1~3)が多く付き易い傾向があります。

しかし、星1~3にはコメント付きの評価が1件も無いため、何故、低評価が付けられたのか、具体的な原因は不明です。ただし、星4以上でも機種依存と思われる情報のコメントも幾らかあるので、その辺りが原因かなと推測しています。

■国別分布
国別のダウンロード数
東方VGS以外の私のアプリは、海外8割(主に欧米)、日本2割という感じですが、東方VGSに限って見てみれば、日本8割、海外2割(主にアジア)という感じで逆転してます。

実のところ、東方VGSは日本が9割ぐらいじゃないかと予想していましたが、意外と海外でも沢山ダウンロードされています。日本ではAndroidよりもiPhoneの方が普及していることも一因かもしれませんが、東方の海外(特にアジア)での人気も根強いようです。欧米方面での東方の知名度は、アジア圏と比べれば今一つ(※この点は東方のローカライズのし難さが一因しているものと想定)ですが、その分、エリートユーザにアプローチし易いというメリットがあるかも。

■今後の予定
水面下では、花映塚の後半の曲(製品版のみの収録曲)の耳コピをボチボチ始めていますが、いつ出来るのやら。今のペースでは、そもそも完成に至らない可能性の方が濃厚です。ついでに4月以降、ちょっと色々あって、アプリ開発の活動自体がままならない状態だったりします。連休も殆ど手付かずでした(あわよくば、6月ごろには落ち着くと思いますが)。

先日、GitHubでGameDaddyのオープンソース化をしましたが、もしかするとそこに波形メモリ音源部分のソースコードも追加して、「後は有志にお任せ」という感じ(○投げとも言う)になるかも。その点の判断は、落ち着いてからすることになると思います。

期待せず、気長にお待ちください。

2014年3月22日土曜日

SHOT08 making #1 (22-Mar-2014)



SUZUKI PLANの新作スマートフォン用ゲーム「SHOT08」(仮称)のメイキング動画です。
元画面にはインタレースが入っているのですが、動画にするとちょっと粗い^^;
とりあえず、自機の攻撃(ショット&レーザー)と背景の表示ができただけの状態です。

直近のTODO:
・背景作画(色々と足りない)
・敵作画(ノータッチ)
・敵アルゴリズムの実装(ノータッチ)
・BGM(作曲中)
・システム周り(ゲームのメイン処理以外はノータッチ)

リリース予定:
1面が完成したら、Lite版(無料)を配布予定です。
Lite版の完成は、多分GW中ぐらい。
製品版は、今夏 or 今秋ぐらい。
時期感は、NOKOGI Riderを作った時の実績を参考。
ただし、NOKOGI Riderの時は、音楽データが揃っている状態で開発スタートしたのに対して、今回は音楽がほぼ無い状態からスタートしているので、ちょっとズレ込むかも。(1面分は概ね出来上がっているので、Lite版は多分予定通りで、製品版が遅れる感じで)

価格:
・Lite版は無料(Android版は広告付きになるかも)
・フル版は300円ぐらいを予定(※リリースから1ヶ月間は、100円ぐらいで販売予定)



2014年3月9日日曜日

始まりはいつも、Invader Block

昨日(8-Mar-2014)、GameDaddy(Android)版Invader Block 3をリリースしました。
GooglePlayでダウンロード(無料)
iPhone版についても、近日中に公開予定です。

SUZUKI PLANのゲーム開発の歴史を振り返ってみると、
・大人になってからゲーム開発を再開した時 → Invader Block
・VGS(Android版)を作った時 → Invader Block 2
・GameDaddy(Android版)を作った今 → Invader Block 3
という具合に、始まりはいつも、Invader Blockです。

SUZUKI PLANの代表作といっても過言ではないでしょう。
SUZUKI PLANの一番人気は東方VGS売上げトップはNOKOGI Riderですが、Invader Blockには、人気でも売上げでも、これらを抜き去る潜在能力があると思っています。

難易度を調整

しかし、Invader Blockの評価はそれほどではありません。
そこで、GameDaddy版を作るに当たって、評価を阻害し得る要因を取り除くことにしました。

Invader Block 2をリリースしてから2年。
「爆発的なヒット」こそしませんでしたが、2年も経てば、結構色々な方々からご意見を頂く機会がありました。
ポジティブな意見としては、(本業の)取引先の会社の課長さんに半ば強引に買って貰ったのですが、その課長さんの息子さんが至極気に入ったみたいで、延々とゲームをプレイし続けていたようです。また、マレーシア辺りでは非常に反応が良く、ただ一言「Very good!」と書かれたメールを送って頂いたりしました。
Android版Invader Block 2(Free)の国別分布
(マレーシアが3位!)
ネガティブな意見としては、「難易度が高すぎる」という感じのものが多かった印象です。(私自身、サクッとプレイできるInvader Block 2ぐらいの難易度がほど良いと思っていますが)

以前、会社の同僚やそのご家族にプレイしていただき、その様子を観察したところ、どうも、アクションゲームが苦手な人は、ボールの軌道などを「先読みして行動」していない事に気付きました。例えば、ボールが一定の低さまで落ちて来るのを視認してから初めて回収行動に入ったりとか。それでは、反射神経or運に頼ってプレイすることになるため、自然とミス率が高くなり、「難しい」と感じてしまうのではないかと分析しました。(逆に、ゲームが上手い人は、先読みするポイントを適確に早く理解できるから、すぐに上手くなる)

Invader Block 3では、その辺りのことを考慮して、ゲーム性が無くならない程度に、難易度を引き下げるバランス調整を施しました。具体的には、玉の速度を遅くしたり、雷撃をしないようにしてみたりしています。これらの調整は、「Invader Block 2との差別化」という意味でも良い感じになったかも。

広告とモノクロ+インタレースの相性

Invader Block 3は、GameDaddyのゲーム第一弾ということで、GameDaddyの一番の特徴である、モノクロ+インタレースのグラフィックを全面的にプッシュしてみました。例えば、アイコンにもソレ(モノクロ+インタレース)がにじみ出てます。
Invader Block 3のアイコン
実は、このモノクロ+インタレースの描画には、単なる雰囲気的なものだけでなく、重要なポイントがあります。それは、「広告が浮く」ということです。
広告が「浮く」様子
インタレースの画像の上に、非インタレースの画像を載せると、後者が浮き立つ視覚効果があります。シューティングゲームなどではこの「浮き立つ」効果を利用して、背景BGはインタレース、プレイヤや空中の敵キャラ等のスプライトを非インタレースで描画するCG作成技術があります。(PC-98のBurning Dragon Plusというシューティングゲームで、その表現方法が採用されていました)

同じ理屈で、ゲーム画面(インタレース)の上に広告(非インタレース)を乗せれば、広告が浮き立ち目立つから、広告が単なる背景の一部として認識されてしまうことを防ぐことができます。(こうすることで多分、CTRが高くなります)

ただし、「浮いている」だけに、ゲームプレイ中に表示されていると視覚的に(かなり)邪魔な存在になってしまうから、広告を表示するのはタイトル画面のみで、また、誤タッチが発生しないようにするため、画面上部への表示にしています。(3.5インチのiPhoneだと、画面下部へ表示せざるを得ないですが)

私自身、少額ですが幾らか広告出稿の経験があるので、広告主サイドの視点から見て、Invader Block 3は、理想的な媒体になるようにしてみました。GoogleのAdMobチームあたりから、「理想的な広告掲載アプリの例」みたいな感じで取り上げて貰えたりしないかな?w

2014年3月6日木曜日

VGS mk-IIのスペックやマネタイズ等

SUZUKI PLAN - Video Game System mk-II (VGS mk-II)の開発が着々と進み、ゲーム本体(エミュレータ)が完成しました。

グラフィックスのスペックは、160×200ピクセルのモノクロ8段調です。
音楽は、将来的にPSG音源を搭載するかもしれませんが、今のところ、効果音のみです。

【モノクロ】

最初、モノクロ8段調 or 3ビットカラー(8色)のどちらにしようか迷いましたが、「初代VGSのプレミアム感を上げたい」という内部的な事情で、とりあえずモノクロにしてみたところ、思っていた以上に味わい深い印象になりました。



最近、横井軍平さん関連の本を読んでインスパイアを受けた感もあります。確かに、色が付いているよりも単色の方が、作るサイドとしても楽だし、モノクロでも、リンゴの形をしていれば赤いと想像できます。

モノクロのベースカラーは、プログラムを作る際にAPI関数を用いて7色から好きな色を選ぶことができます。例えば、海や空を題材にしたゲームなら、cyanベースのモノクロにすれば、そういう雰囲気が出ますし、コンフィグレーションなどで作り込めば、ユーザが好きな色を選ぶこともできます。
(1) blue ()
(2) red ()
(3) magenta ()
(4) green ()
(5) cyan (水色)
(6) yellow (黄色)
(7) white (白)
※PC-8801やPC-9801世代のプログラマが空でも分かるように、例の並びにしておきました。

ぶっちゃけてしまえば、今回のSDKは、オープンソースで公開するつもりなので、やろうと思えば256色のフルカラーで表示する改造も簡単にできます。(VRAMは1ピクセル8bitで管理するのが最もCPU演算効率が良いので)

【160x200】

横幅の160ピクセルというのは、「等倍表示」でiPhoneの横幅ピッタリに収まるピクセル数にしたかったので、非Retinaモデルの横幅は320ピクセルだから、その半分の160ピクセルを採用しました。

これを基準にして、画面比率から幾つかの候補をピックアップ。
(1) 2:3 = 160 x 240
(2) 1:1 = 160 x 160
(3) 3:4 = 割り切れないからボツ
(4) 4:5 = 160 x 200

そして、考察。
(1) → 3.5インチのiPhoneやiPod touchで操作用の空きスペースが無くなるからボツ
(2) → 空きスペースがちょっと広すぎるからボツ
(4) → バランス的にも良さげなので採用

最後に、ステータスバー(縦=10×2)と広告(縦=25×2)を入れた状態の設計図を書いてバランスチェック。
3.5インチ端末でのレイアウト
4インチ端末でのレイアウト
【広告】

サラリと「広告」と書きましたが、mk-IIはどちらかといえば「広告モデル」でマネタイズするタイプのプラットフォームにします。mk-IIではアイディアベースの小作品をなるべく短い期間で沢山リリースして、ヒットの予兆を探ろうと考えています。

そして、初代VGSはこれまでと同様、有料販売のみ(広告でのマネタイズをしない)プラットフォームにすることを考えています。つまり、mk-IIで作ってみて反応が良ければ、本格的なプレミアム・バージョンを初代VGSで作るという感じです。

私が今までVGSでは頑なに広告で収益化しなかった(実験的なことはチラホラやりましたが、本格参入は避けていた)のは、それをやってしまうと、「そういうブランド」だと思われてしまうこと(つまり、有料アプリが売れなくなること)を避ける為です。

よく、「有料アプリは売れない」と言われていますが、それは、マーケティング戦略(主にブランディング)がマズイからだと思います。SUZUKI PLANの戦略は、単体のアプリではなく「VGS」という独自に開発したゲーム機自体を市場へプッシュしていく方法です。果たして上手くいっているのか、まだ定かではないですが、確実に数字は伸びてきているので、上手くいきつつあるのではないかと思います。
SUZUKI PLANのAndroid有料アプリの売上げ推移
2012/2/29~2014/3/5
(密度=継続性、高さ=売上高)
それ故に、安易な広告モデルの導入は良くないと考えました。

mk-II限定で広告によるマネタイズをするのであれば、初代VGSのブランド価値を落とさないというより、寧ろ引き上げるのではないかと思った訳です。

【呼称】

VGSとは別路線だということを明確にするため、呼称はVGS mk-IIではなく、変えるかも。

2014年2月27日木曜日

VGS mk-II

SUZUKI PLAN - Video Game Systemの次世代機(mk-II)の開発が着々と進んでいます。

一般的に、ゲーム機の世代が進化すると性能が向上したりしますが、VGSの場合、「無駄をそぎ落とした形」に進化する点が若干特殊かもしれません。

[解像度]
初代: 240×320 or 320x240
mk-II: 160×200 (インタレース)

[同時発色数]
初代: 8bitカラー(256色)
mk-II: モノクロ8段調
※3bitカラー(8色)にするかも

[音源]
初代: 波形メモリ音源(6ch)
mk-II: PSG音源(3ch)

[処理系]
変更なし(C言語+専用API)

[対応機種]
変更なし(Windows, Android, iOS)

[公開SDK]
初代:
- Windows+Android版は無償提供
- iOS版は非公開
mk-II:
- 全て無償提供
- オープンソース

今のところ、こんな感じを予定してます。まだ、色々変わると思いますが、方向性は概ね定まっています。
方向性は、「よりゲームを創りやすいゲーム機への進化」です。
この進化を特殊と捉えるか、普通と捉えるか・・・「ゲームを面白いものに進化させたい」という視点で見れば、案外後者なのかもしれません。
「創りやすい」=「作り手の視点」ではありますが、創り難ければ生まれ難いのもまた事実なので、割と正当な進化だと思っています。

2014年2月18日火曜日

発想の論理

前の記事で紹介した「ゲームの父・横井軍平伝 - 任天堂のDNAを創造した男」という本では、「枯れた技術の水平思考」という任天堂の開発哲学が紹介されています。それは、既に普遍化している技術(枯れた技術)を別の使い方をする(水平思考する)ことで、新しいモノを創りだすことを意味します。この「枯れた技術の水平思考」には、色々と思うところがあります。

2007年ごろ、「発想の論理 - 発想技法から情報論へ」(©1970, 中山正和)という本を読んだのですが、その本の出だしには、「創造とは、異質なものを組み合わせて、新しいはたらきを作ることをいう」と書かれています。そして、それがSUZUKI PLANの開発哲学みたいなものになっています。

その当時の私は、投機行為(株など)が趣味でしたが、その「お金を作り出す錬金術」みたいなものに、少々嫌気がさしていました。投機はギャンブルと同様、情報戦&心理戦です。それらに長けている人がお金を稼ぐことは容易く、そうでない人がお金を溶かすことはもっと容易いです。更に、お金に対して頓着が無い人が勝ち、お金に対して執着が有る人が負けます。これは、確信を持って断言できます。その為、「お金が欲しい」という動機で株や為替を始める事は、オススメできません。そういう人(※普通の人はだいたいそうだと思います)は、ほぼ確実に負けます。

お金に対して執着がある人は、実際にお金を賭けてギャンブル行為をすると、心が乱れます。そして、心が乱れれば、情報に踊らされ易くなり、更に心理戦にも負けます。私自身、お金は好きですが、それは、どちらかといえば「ゲームのスコア」みたいな意味で好きなだけで、頓着みたいなものは有りません。ゲームのスコアは、ハイスコアならセーブされるかもしれませんが、開始する時は常に0点から始まる空虚なものです。だから、強かったのかもしれません。しかし、投機行為で造ったお金は、実に味気が無いものでした。

私はお金に対して頓着がありませんが、昔からモノ作りが好きだったので、「モノの対価として受け取るお金」に対する強い渇望がありました。しかし、投機行為で得られるお金は、同じお金でも完全に「似て非なるモノ」です。ある日、そのフラストレーションが極限状態に達し、突発的に株などを全て現金化して投機行為から完全に足を洗い、その資金を元手に、何らかの創作行為に挑戦することにしました。

余談ですが、私が株などの資産を全て現金化した約1ヶ月後、リーマンブラザーズ証券が破たん(いわゆる、リーマンショックが発生)しました。俗にいう神回避というヤツですねw 続けていたら、結構大変なことになったかもしれません。

どのような創作行為をするかについては、迷いはありませんでした。私は中学~高校ぐらいの頃まで、PC-9801でゲームを作って遊んでいたので、(昔取った杵柄ではありませんが)ゲームを作って売るのが良いだろうと思いました。ところが、ゲームを作って売るには大きな問題があります。それは、私の絵と音楽では、正直お金にならないということです。プログラムなら(一応プロなので)どうにでもなりますが、絵と音楽に関しては才能が無ければどうにもなりません。

しかし、私は昨今の絵や音楽が素晴らしいゲームが、どうにも好きになれませんでした。ファミコンの頃は、同じゲームを狂ったように何度も遊び倒していましたが、昨今のゲームは、何というか「底が浅い」ものが多いので、すぐに飽きてしまいます。だから、絵や音楽が下手なことは然して問題無く、「アイディアが良ければ売れるだろう」と考えました。

しかし、そのアイディアが浮かばない…

そこで、とりあえず、膨大な量の本を買い漁って読むことにしました。「とにかく知恵をつければ何とかなる」程度の考えで、哲学、文学、経済学、法律、政治、宗教、雑学、官能小説など、様々なジャンルの本(主に文庫本と新書)を月10冊ぐらいのペースで読んでいたと思います。上述の「発想の論理 - 発想技法から情報論へ」は、その中の一つです。

「創造とは、異質なものを組み合わせて、新しいはたらきを作ることをいう」

「創造」という言葉を、「発明」に置き換えても良いかもしれません。発明といえば、発明王「トーマス・エジソン」が思い浮かびますが、トーマス・エジソンの初めての発明品について、wikipediaに下記のようなエピソードが書かれています。

wikipediaより引用】
17歳の頃のエジソンはカナダの駅で夜間電信係として働いていたが、「何事もなければ、一晩中1時間おきに勤務に就いていることを示す信号を送るだけ」という退屈な仕事に飽きてしまい、時計を使って電信機が自動で電信を送る機械を発明した。電信を機械に任せて自分は寝ていたところ、それまでと違って全く誤差なく正確に1時間おきに電信が届くようになった事を不思議に思い様子を見に来た上司に「お前が寝ていたら定時に連絡する意味がないだろう」と怒られた。これがエジソンの最初の発明だった。

上述の「時計を使って電信機が自動で電信を送る機械」とは多分、時計の長針(分針)の動力を利用して、電信機のボタンを押す感じのものだろうと思います。時計と電信機という異質のものを組み合わせて創られた物と言えます。更に、時計の長針を本来の用途と違う使い方をして(=水平思考して)創られた物とも言えます。

私にアイディアが浮かばなかった原因は、恐らく、この考えが足りなかったからだと悟りました。かのトーマス・エジソンでも、発明の要素部分は未知のものではなく、既知のものの組み合わせです。凡人の私が、それを上回る創造をしようとするのは、かなり無理があることだと言えるのではないでしょうか。

そこで、既存のゲームのルールを組み合わせてゲームを作ってみてはどうだろうかと考え、私が嘗て好きだったアルカノイド(ブロック崩し)とスペースインヴェーダーのルールを組み合わせたゲームを作ってみました。

それが、Invader Block(初代)です。
※一応、今でもVectorでダウンロードできますが、Mode-Xという最近のPCには搭載されていない画面モード(320×2408bitカラー)を使っているので、多分、最近のパソコンでは動作できないかもしれません。なお、スマホ進出後最初に作ったInvader Blockのリメイク版(Invader Block 2)なら、最近のPCでもちゃんと動きます。

私は、Invader Block(初代)を作る前に、Classic Blockというシンプルなブロック崩しゲームも作りました。Classic Blockは、肩慣らし程度の目的で作ったものです。私は以前からPC-9801でゲームを作っていましたが、Windowsでゲームを作るためのノウハウが殆ど無かったため、DirectXDirectDraw)の使い方を勉強する必要がありました。完成したClassic Blockは、Invader Block(初代)と同様、Vectorで公開しています。

私は、Invader Block(初代)とClassic Blockの両方をプレイしてみて、「断然、Invader Block(初代)の方が面白い」と感じていたのですが、ダウンロード数を比べてみると、Invader Block(初代)よりもClassic Blockの方が多かったりします。

【参考:2014131日時点のDL数】
Classic Block = 3686
Invader Block(初代) = 524

これは致し方が無い結果かもしれません。「Classic BlockよりもInvader Block(初代)の方が面白い」ということは、実際にプレイしてみないことには分かりません。そして、何処の馬の骨とも知れない開発者が作ったゲームの場合、奇抜なモノよりもオーソドックスなモノの方がダウンロードされ易いです。

しかし、オーソドックスなモノの場合、作り手(競合)が沢山居るから、グラフィックなり音楽なりが良いものには勝てません。オーソドックス路線は茨の道です。グラフィックが得意な人や、音楽が得意な人ならそれでも問題無いと思います。ただ、それでも競争原理が働けば「ジリ貧」という名の茨の道になりそうなので、同じかもしれません。だから、Invader Block(初代)のような路線でいくことが正解であろうと考えています。この考えは、今でも変わりません。

ところが、スマホへ移行後も、とりあえず技術力をアピールする目的でオーソドックス路線のゲーム(NOKOGI Rider)を作っていて、現時点のSUZUKI PLANの収益の大半はNOKOGI Riderが稼ぎ出しているという状況なので、若干自信が揺らぎつつありますが。ただし、稼いでいるといっても額としては微々たるもの(月あたり1万円にちょっと届かない程度)なので、まだ完全に折れてはいません。(NOKOGI Riderが10万本以上売れたりしたら、流石にそっち路線に切り替えるかもしれませんがw)

私は、しばしばこのブログやSNSで「任天堂寄り」の発言をしていますが、それは、「枯れた技術の水平思考」という開発哲学を貫こうとする姿が、「発想の論理」を基点とする私の開発スタイルと被る所が多くて、ついつい自分を任天堂に投影して見ているからかもしれません。

発明には失敗が付き物です。

だから、SUZUKI PLAN路線のゲームが、私自身が創ったオーソドックス路線のゲームにすら勝てていないのは、掃いて捨てるほどある失敗パターンの内のひとつであろうと考えています。恐らく、1000のアイディアがあれば999が駄作に終わるぐらいの世界です。もっと酷いかもしれません。

しかし、1つが当たれば大きいし、単なる性能競争みたいなものと違い、ジリ貧になる事はありません。負ける時は、アッサリと消えて無くなる儚いものです。「ギャンブル的」という表現が適確かもしれません。その点、私はギャンブルには強い方だと思うので、何とかなるのではないかと思っています。

合理的ではないものを作りたい

ここ最近、実機版の東方VGSの開発が忙しくて、東方VGSの曲追加が滞っています。 東方VGS(実機版)のデザインを作りながら検討中。基本レトロUIベースですがシークバーはモダンに倣おうかな…とか pic.twitter.com/YOYprlDsYD — SUZUKI PLAN (...