2014年1月18日土曜日

Canon Sniper - 壊さなければ創れない

先ほど、AppleへiPhone版Canon Sniperの審査申請をしました。

普段は、Android版を先行公開していますが、今回は、Android版Canon Sniperについては、iPhone版の様子を見てから出すことにします。昨今は、「Androidファースト」と言われていますが、それは、プロモーションが十分にできる場合に限られた事情だと思います。

Androidアプリの場合、リリース前に認知度を上げる活動が重要です。私の場合、お金を掛けたプロモーションはそんなに出来ないし(※全くやらない訳ではない)、かといってリリース前に出来ることもそんなに無いから、やはり、ストア側でプロモーション(新着表示)してくれるiPhoneへの対応を先にすること(iPhoneファースト)の方が良いかなと思った訳です。

一応、今回リリース前プロモーションとしてやった事といえば、SNSで情報を流したり、YouTubeでビデオを先行公開したり、ニコニコ動画の自作ゲームフェス3に(Windows版を)出品する程度のことしか、してません。

(事前に流したプロモビデオ@YouTube)


それでは、Canon Sniperについて、設計コンセプトを中心に色々と書き綴ってみようと思います。

SHOT06 Project - Canon Sniper

Canon Sniperのタイトル画面が完成してバランスをチェックした時、「あぁ、全体的に下寄りになってしまった...」と思い、座標値を修正しようとしたのですが、ふと、「題字の左上に、何か文字を書けば良いんじゃないか?」と思い直し、NOKOGI Riderのタイトル画面に倣い、「SHOT06 PROJECT」と書いておくことにしました。

Canon Sniperの「Canon」は、「キャノン砲」とかのキャノン(Cannon;銃器などの古典的な言い回し)ではなく、「教典」や「芸術・倫理上の規範や基準」を意味するカノン(Canon)です。シューティングゲームの本質は狙い撃つこと(Snipe)という考えに基づいて作ったので、それに関連する意味だとか・・・かなり、苦しいのですが、それもその筈。実は、単純にスペルミスをしたのですが、今更引き返すのは大変だということで、そのまま、Canonで行くことにしました。
※Canon Sniperは、株式会社キヤノン様とは完全に無関係です。

なお、SHOT05はBattle Marineということにしておきます。

SHOT0xシリーズは、「その時点の私が最も面白いと考えたSTGの形」を表現する場です。2009年にSHOT01をリリースしてから、かれこれ丸4年以上続いています。STGといえば、昨今では「弾幕」(というより、弾幕しか生き残っていない)かもしれませんが、私にとってのストライクゾーンは、(ことSTGに関して言えば)かなり広いです。そのため、必ずしもSHOT0xシリーズは、オーソドックスなSTGのみではありません。

SHOT05までは「完全なオリジナル作品」ではありません。何かしらの「オマージュ元となる作品やシステム」があります。要するに、パクリですね。SHOT01~SHOT05のオマージュ元は、以下のような感じです。

SHOT01 = パターン系STGをオマージュ

昔PCエンジンで遊んだ何か。
タイトル不詳です。
達人王辺りのように見えなくもないですが、そもそも、私は達人王をプレイしたことがありません。

SHOT02 = 東方(Extra)をオマージュ

東方といえば、スペルカード・システムによるボス戦が一番のセールスポイントかもしれませんが、個人的には単一ロングステージ形式のExtraが好きでした。適度なプレイ時間でテンポ良く遊べるので。(どうでも良いことですが、SHOT02の自機のオプション部分は、陰陽玉のオマージュです)

SHOT03 = グラディウスをオマージュ

例のパワーアップシステムです。
この時、私の中でGradiusⅡがアツかった。

SHOT04 = オーソドックス(Burning Dragon+)

スマホ対応後の処女作だから...という事情もあり、SHOT04は当初、特定の作品をオマージュした訳ではなく、オーソドックス(王道)なものを作る意図で開発しました。「スマホはSUZUKI PLANが今後メインで活動するプラットフォームになり得るか?」という試金石にしたかったという意図もあります。スマホの場合、コントローラが無いので、ゲームプラットフォームとしては、色々と不安がありました。結果的に、「スマホ(=コントローラ無し)でも、工夫次第で十分イケる」という結論になりました。むしろ、入力インタフェースが画一的なので、「Windowsよりも良いかもしれない」とすら感じました。

ちなみに、よく海外の方から「雷電っぽい」と言われますが、どちらかといえば、Burning Dragon Plus(Wiz製のPC-9801用STG)がオマージュ元です。Burning Dragon Plus自体が、雷電のパクリなので、「雷電のオマージュ」という事でも良いかもしれませんが。Burning Dragon Plusは、私が最初にハマッたシューティングゲームなので、「オーソドックなもの」を作ろうとすると、自然とBurning Dragon Plusっぽいものが出来上がります。インプリンティングみたいなものですね。

SHOT05 = Deep Scanをオマージュ

SHOT04の後、正直、アイディアに行き詰まってしまいました。いわゆる、「スランプ」です(※スランプじゃない時の方が珍しいですが)。SHOT04でオーソドックス・スタイルをやってしまった弊害かもしれません。そのため、SHOT05もオーソドックス・スタイルで行くべきか...と、考えていた矢先、PC-8801時代のレトロゲームを纏めたサイトで、今風太さんのサブマリンというゲームが目に留まりました。

「何コレ!?面白そうw」

そんな訳で、サブマリンを自分なりにアレンジしてみることにしました。なお、サブマリンは、海外での認知度がゼロに等しいと思うので、そのオマージュ元と思われる、SEGAのDeep Scanのオマージュということにしてます。SHOT05(Battle Marine)は、実際、かなり面白いゲームになったと思っています。

(Battle Marine)


「これは、売れる!」

Battle Marineには、確かな手応えを感じました・・・しかし、その売り上げは、今のところ、思わしくありません。色々と、初期のプロモーションで失敗している面もあります。SUZUKI PLANの最大の弱点はプロモーションです・・・インプレッションが最も多かった初期の段階で、説明が不十分だったりとか、割と「基本中の基本」とも言えるべき所を落としています。折角、面白いゲームを創ることが出来たのに、それが十分に伝えきれないのは、何とも歯がゆい気分です。

Battle Marineのセールスを伸ばすにはどうしたものか...

色々と考えた挙句、「自ら、Battle Marineをオマージュした作品を創る事がベスト」という結論に至りました。なお、私流のオマージュは、クローンゲームを作る事ではありません。オマージュ元となる作品をベースに、「新しいゲーム」を創る事です。(私に限らず、インディーズゲームや同人ゲームを創っている人は、皆そういう感じで「自分流のアレンジ」を楽しんでいるのではないかと思います)

SHOT06 = SHOT05をオマージュ

Battle Marineで最も説明不足だった点は、「どうすれば、スコアが稼げるか」という事の説明だと思います。後付でブログに書いたり、アプリの説明文で補足したり、撃破得点を可視化する改善をしていますが、こういうのは、最初にリリースした時点でやっておかないとダメだと思います。そこで、Canon Sniperでは、画面上から「スコアシステムの仕組み」を読み取れるようにしてみました。

Canon Sniperの画面
・画面左上(赤い■)=撃破した敵機数
敵を16機破壊すると、撃破得点(黄色い★ or 右上のxxPTS)が1つ上昇します。そこで、赤い■の数で撃破数を表示し、数字で「何回、16機破壊したか」を表示するようにしています。

・画面左上(青い■)=獲得メダル数
敵を破壊すると出てくる勲章(メダル)を5つ取得すると、撃破得点が1つ上昇します。そして、撃破数と同じような感じで、現在の獲得メダル数を表示するようにしています。

・画面左上(灰色の■)=ミスショット数
5回ミスショットすると、撃破得点が1つ減少します。

これで、「どうやって稼ぐか」という疑問に応えられるんじゃなかろうか・・・と、想定してます。こういうのは、プレイを繰り返して発見するのが楽しみのひとつだと思っていたので、Battle Marineでは、敢えて説明不足な形にしてみたのですが、撃破得点を可視化するアップデートをしてみたところ、思っていた以上に面白くなった気がするので、「より徹底的な可視化」を試みることにしました。

スマホならではの操作性

ほぼ全てのスマホには、「加速度センサー」というものが付いています。このセンサーは、端末の傾きを検出するものです。このセンサーを使ったゲームを幾つかプレイしてみたのですが、想像以上にプレイし易かったので、VGSの設計思想をアッサリと崩して、傾きセンサーを導入してみることにしました。なお、傾きセンサーを導入しようとした意図は、それだけではありません。

狙い撃つホーミングショット

私は、シューティングゲームによくある「ホーミング・ショット」というのが、あまり好きではありません(だから、東方の一番標準機とされるホーミング霊夢は使ったことがありません)。私は、Snipe(狙い撃つこと)がシューティングにとって重要な要素だと思っているので。
スマートフォンの場合、「画面上の何処でもタッチ反応ができる」という特性があるので、タッチした箇所をターゲットにホーミングするのなら良いかも・・・と、考え、「狙い撃つタイプのホーミングショット」を実現してみることにしました。
しかし、「狙い撃つタイプのホーミングショット」だと、Battle Marineのように「タッチした地点を目指して移動」とか「スライドして移動」という仕組みとは相性が悪くなります。だから、加速度センサーを使った移動を使わざるを得なかったのです。
この操作仕様だと、「片手でのプレイ」がし難くなってしまうデメリットもあります。だから、Canon Sniperが売れることで、片手プレイを望むプレイヤーがBattle Marineを買ってくれるようになる...というのが、最も理想的なパターンです。

規範をスナイプ→破壊

Canon Sniperは、色々な意味で型破り・・・というか、破壊的だと思います。「シューティングゲームの破壊的イノベーション」とまでは言いませんが。私が最初にこのゲームをスマートフォン上でプレイした時、初めて「ミサイルコマンド」をプレイした時のような新鮮さというか、「発明的な面白さ」みたいなものを感じました。

Canon Sniper(SHOT06)は、SHOT0xシリーズの型(基本的に外部からオマージュ)を破っています(推移的に見ればDeep Scanかもしれませんが)。
更に、SUZUKI PLAN - Video Game System(VGS)の設計思想(※VGSの入力装置は、当初、「シングルタッチのタッチパネルのみ」という設計思想で作られました)も破壊しています。
ついでに、「タップで狙い撃つホーミング・ショット」というのも、結構斬新かもしれません...誰かしらが既にやっているかもしれませんが、少なくとも、私の記憶にはありません。これは、スマホじゃないとまともに成立しない操作系統なので、目新しいとは思います。(マウスでも出来るので、個人製作のゲームでは、既に同じアイディアのものがあったりするかもしれませんが)

Canonのスペルミスについて先述しましたが、このブログを書いていて「このままで結構正しいかも」と思うようになりました。色々な意味で。Canon Sniperは「今までのやり方」を破壊しています。破壊は創造の母です。壊さなければ、創れないものもあります。

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